「プロジェクトに失敗した」という経験がおありでしょうか?
「ない」と答えられるハッピーな人も中にはいるかと思いますが、多くのプロジェクトマネージャーや担当者は大なり小なりプロジェクトに失敗した経験を持っています。
プロジェクトはきちんとマネジメントしてはじめて成功に近づきます。プロジェクトの規模が大きくなればなるほど、プロジェクトマネジメントの重要性は増してきます。
本記事では、プロジェクトマネジメントの基礎を整理しつつ、担当者が押さえておきたいプロジェクトマネジメントのポイントについてご紹介します。
失敗の確率を最小化するために、ぜひ参考にしてください。
プロジェクトマネジメントとは
プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトを成功させることを目的に、人的リソースや、進捗・品質・コスト(QCD)を管理することです。「プロジェクト」とは、納期や締め切りのあるシステム開発などの制作活動のことを指します。手順・人材・設備・資金・資材などを総合的に管理し、プロジェクトのQCD(品質・コスト・納期)を守るため、詳細な計画を立てマネジメントを行います。
プロジェクトマネジメントの目的
リソースをマネジメントし、QCDをコントロールすることがプロジェクトマネジメントで行うことですが、その目的は大きく2つあります。
クライアントの目的を達成する
プロジェクトマネジメントの目的は、契約通りに、計画通りにプロジェクトを完成させることです。
ですが、「プロジェクトそのものの目的を達成する」という視点を欠かすことはできません。
プロジェクトマネジメントを「単に決められた予算や納期を守り仕様通りのシステムや製品を作ること」と捉えてしまうと、結果としてクライアントを満足させることができないかもしれません。
クライアントが達成したい目的を実現するために行うマネジメントと捉えることが重要です。
利益を最大化する
納期や予算に余裕のあるプロジェクトばかりではありません。
むしろ厳しい制約条件の中進めなくてはならないプロジェクトの方が多いかもしれません。
そんな中利益を最大化するにはプロジェクトマネジメントを徹底するしかありません。
ですが、ここでいうマネジメントとは、部分最適ではなく全体最適なので、目先のコストを落とすことではありません。
例えばですが、コストを圧縮するために開発工程にかかる作業の原価を落とすことを考えたとします。
その場合、品質の低下を招くことになり、後工程で非効率な修正作業の発生が予想され、結果として全体のコストが上がってしまうリスクがあります。
広い視野でプロジェクト全体を確認し、本当にムダなもの(長すぎる承認フローなど)を発見し、プロジェクト全体の生産性を向上し、利益の最大化を目指すのがプロジェクトマネジメントの目的です。
プロジェクトマネジメント力を身につけるメリット
経営者視点のメリット
①仕事の効率化による利益向上が期待できる
成果物を期日までに完成させるプロジェクトマネジメントでは、無駄な作業を減らすことが重要です。投資額や適正なリソース量のブレを抑え、計画精度を向上させた結果、業務効率が上がり、高い利益性が実現できるようになるのです。
②早急な対応・判断が可能になる
計画の精度が上がれば、限られた「ヒト、モノ、カネ」といった資源をどこに集中すべきかが見えてきます。迷う余地が少ないため、早急な対応や即断即決が可能になるのです。
プロジェクトマネージャー視点のメリット
①プロジェクトの一貫性が図れる
プロジェクトマネジメントは、成果物を期日までに完成させるための管理手法ですので、プロジェクトマネジメントの目的達成に向かって一貫した取り組みが行われます。全体像をつかめばプロジェクトの一貫性が図れるので、プロジェクトマネージャーにとっては好都合です。
②問題の早期発見と早期対応が可能になる
期日までに成果物を完成させるためには、的確な現状計測と頻繁な進捗確認が欠かせません。この作業を適宜行うと、問題個所の早期発見とスケジュールの遅滞防止などができるようになります。
③マネジメント力が向上する
プロジェクトマネジメントでは、マネジメントに必要とされる知識とノウハウが体系化されています。マネージャーがプロジェクトマネジメントに取り組むと、体系的なマネジメント能力を身に付けられます。
プロジェクトマネジメントに必要なスキル
プロジェクトマネジメントはプロジェクト全体を把握し、課題とステークホルダーを適切にマネジメントする必要があります。
プロジェクトマネジメントを円滑に行うために欠かせない4つのポイントについて解説します。
コンサルティング力
プロジェクトの成功とは、単に納期通りに言われたものを作ることではなく、依頼主(クライアント)の目的および目標を達成することです。
そのためには、プロフェッショナルとして目標達成に必要な観点でプロジェクト自体をコンサルティングしていくスキルが求められる場合があります。
開発難易度が高い機能であっても、目標達成においての影響はそれほどないというケースは少なくありません。
本当にその機能を作るべきか、そういったコミュニケーションができるのとできないとでは、クライアントの満足度は大きく異なります。
役割上の「義務」とまで求められないかもしれませんが、重要なスキルのひとつです。
スケジュール管理力
優れたプロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャーは「時間の管理が上手い」という特徴がありますが、時間管理の成否はスケジュール管理で決まります。
プロジェクトを完了するためのタスクを可能な限り細分化し、各タスクの作業時間を正確に割り出し、自らの、そしてチームメンバーの時間をどう割くかを考えます。これらのタスクごとの計画はWBSとして管理されるのですが、スケジュール管理能力の高い低いは、こうした時間管理を如何に高い精度で出来るかで判断されるのです。
ここで大切な管理手法がCCPM(Critical Chain Project Management)です。CCPMとはプロジェクトや各予算をギリギリに抑えて「プロジェクト・バッファ」と呼ばれる余裕を持っておくことで、円滑なプロジェクト促進を目指します。
関連ブログ:
大型プロジェクトにはCCPMを取り入れようCCPM とは
リスクマネジメントスキル
“リスク”とは将来発生する可能性のある問題を指し、リスクマネジメントはこれを回避するための管理手法です。大切なポイントは、過去の事例から発生し得るリスクを想定し、予め対処することにあります。
リスクを正確に予測し回避することができれば、円滑なプロジェクト推進が可能になります。最も発生しやすいリスクは計画変更によるプロジェクト遅延です。
プロジェクト規模が大きくなるほど初期計画通りにいくことはまず無いので、計画変更時に柔軟に対応するための管理が必要になります。ここでのリスクマネジメントは、予め計画変更を予測して複数のシナリオを用意しておくことです。
リスクマネジメントを徹底できるようになれば、プロジェクトをスムーズに進行できます。
関連ブログ:
プロジェクトマネージャーのためのリスクマネジメント
コミュニケーション能力
チームメンバーやプロジェクトリーダー同士でコミュニケーションを取る上で最も大切な能力であり、身に付けることが最も難しい能力でもあります。
伝える力があるということは、チームメンバーに自身の言葉を納得させる力があるということです。今や力で動かす時代ではなくなってきています。権力や権威で人が動いたり、恐怖感でプロジェクトがうまくいくことは、これからはないと言っていいでしょう。つまり、これからは自身の言葉によって人を動かし、共感によってプロジェクトを推進していくことが重要です。プロジェクトマネジメントには必要不可欠なスキルの一つです。
メンバー育成力
チームをゴールに導くというミッションと同等に、チームメンバーを育成することも大切です。チームメンバーを育成してスキルが伸びれば、結果的にプロジェクト成功につながりやすくなり。具体的な例を一つ上げると“褒め方”と“叱り方”があります。
チームとして仕事をしていると、プロジェクトリーダーは時にメンバーを褒めること、そして叱ることがあります。この2つはチームメンバーのモチベーションを高めたり、課題解決を促すために重要な要素です。
上手な褒め方とは、メンバー全体の前で褒めることです。そうすることで褒めたメンバーのモチベーションを高めるたけでなく、チーム内に競争意識を生ませ、モチベーションを高めることもできます。
上手な叱り方とは、メンバー全体の前で叱らないことです。チーム内で叱られたメンバーは自尊心が傷つけられ、プロジェクトリーダーの話がすっと頭に入らなくなくなります。加えてモチベーションも下がるどころか、チーム全体も人前で叱られたくないという思いから、思い切った行動ができなくなるという問題もあるのです。従って、人前で叱るというのはやってはならないタブーなのです。
日本人の特長として99%はうまくいっているのに、1%がうまくいっていないため、99%を褒めず、1%ばかりを叱る傾向があります。もっと99%の方に目を向けてあげるべきでしょう。
システム開発の技法や技術に関する知識
ITにおけるプロジェクトマネジメントにはシステム開発の全般的な知識も必要です。
それぞれのタスクに対する専門知識がないと、それにかかる工数や想定されるトラブルなどを事前に把握できません。
プロジェクトマネジメントに役立つ資格
プロジェクトマネジメントを行うために必須の資格はありませんが、プロジェクトマネジメント能力を証明したり、体系立てて勉強するために役立つ資格はあります。
資格取得だけがスキルアップの方法ではありませんが、受験勉強を通してプロジェクトマネジメント全体の知識を習得することができます。
代表的な資格としては、「プロジェクトマネージャー試験(PM)」と「PMP試験」があります。
プロジェクトマネージャー試験(PM)
プロジェクトマネージャー試験は、情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格で、情報処理技術者試験のなかでは最高難易度であるレベル4となっています。
試験の対象者像は、
高度IT人材として確立した専門分野をもち、組織の戦略の実現に寄与することを目的とするシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトの目的の実現に向けて責任をもってプロジェクトマネジメント業務を単独で又はチームの一員として担う者
となっており、まさしくプロジェクトをマネジメントするプロフェッショナルな人材であることを証明することができる資格です。
試験も9:30から16:30までと丸一日のボリュームたっぷりの内容で、専門的な知識と経験が要求されます。
PMP試験
PMP試験はアメリカのプロジェクトマネジメント協会(PMI:Project Management Institute)が実施する、プロジェクトマネジメントに関する国際資格です。
単に試験に合格するだけでは取得できず、
- 職務履歴を含む申請書の提出(実務経験が必要)
- PM研修を35時間受講
- 受験
- 合格後、3年の間に60PDU(勉強時間を表す単位)を取得
などの高いハードルをクリアする必要があります。
3年ごとの更新も必要なため、所有していることで高度で専門的な知識を有していることを証明できる資格と言えます。
こちらの記事でも資格に関して詳しく解説しています。
プロジェクトマネージャーとは?仕事内容や役割、必要なスキルを解説
プロジェクトマネジメントスキルを伸ばす方法
実務を通し、失敗を繰り返しながら伸ばしていく方法もありますが、実際にはお客様からご依頼いただくプロジェクトではそう簡単に失敗するわけにはいきません。
資格試験も勉強法のひとつですが、そのほかの実務以外でプロジェクトマネジメントスキルを伸ばす方法についてご紹介します。
書籍を読んで知識を増やす
プロジェクトマネジメント(プロジェクト管理)に関する書籍は、書店に多く並んでいます。最近だと、アプリやサービスをビジネス的な観点において成功させるためのマネジメントであるプロダクトマネジメントに関する書籍も数多く出版されています。
以下の記事でおすすめ書籍をまとめておりますので、参考にしてみてください。
プロジェクト管理 おすすめ本(書籍)のご紹介(Vol.14)
PMBOKについて学ぶ
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)とは、プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系立ててまとめたものです。1987年にアメリカの非営利団体PMIが発表したもので、今ではプロジェクトマネジメントの事実上の世界標準として世界各国に浸透しています。
内容は4年に1度くらいのペースで改訂され、2021年に第7版が発行されています。
プロジェクトマネジメントの実施内容
プロジェクトの現状を把握する
現状把握では、プロジェクトに関する状況の計測やプロジェクトの測定結果の可視化を目指します。具体的にはプロジェクトの状況について、下記2つのステップを実施します。
- 定量的、定性的な手法で測定する
- 測定結果を視覚的に表現する
プロジェクトの問題を調査・抽出して解決方法を策定する
プロジェクトマネジメントでは、定量的・定性的に測定した結果を可視化し、結果を用いてプロジェクトが抱える問題点を抽出します。問題点とは、プロジェクトそのものが抱える問題とプロジェクトを遂行していく上での問題に分かれます。問題を抽出できたら、原因を特定して解決策を検討、実行します。
過去データを再利用してプロジェクト改善を図る
計測した定量的データと分析前の定性的データは、そのプロジェクト以外でも活用できます。新規プロジェクトを立ち上げる際には、蓄積されたデータを分析してプロジェクト改善を図り、その効果を新しいデータから検証し、また次のプロジェクトに活かす、という改善サイクルを回せるようにします。
コミュニケーションをマネジメントする
プロジェクトマネジメントでは、チームを構成するメンバー相互によるスムーズな意思疎通をマネジメントすることも重要です。スムーズで効果的なコミュニケーションを実現することで、プロジェクトマネジメントの成功率を高めることができます。
プロジェクトマネジメントのポイント
小さなトラブルも早急に対処する
プロジェクトには、始まりと終わりの時期が決まっており、期日内に成果物を完成させるには、品質や納期に影響を与える問題の排除が不可避です。小さなトラブルも見逃さず対処していくと、赤字や成果物が完成しない事態を防げます。
人間関係を重視する
プロジェクトマネジメントはチームで動くため、チーム内の人間関係が円滑かどうかが成功に大きな影響を与えます。ギスギスした人間関係は、プロジェクトの運営を困難なものにするでしょう。プロジェクトマネージャーは、チーム内の人間関係をいかに構築していくかに最大限の注意を払わなければなりません。
ミスに寛容になる
どんな仕事にもミスはつきものです。ミスがあった際は、担当者を責めず理由について話し合い、原因をチーム内で共有して再発防止に努めましょう。こうした行動の積み重ねで、同じミスを繰り返さないチーム意識が構築されます。
プロジェクトマネジメントが失敗する原因
適切な管理手法が確立されていない
例えば、プロジェクトマネージャーの経験が浅い、プロジェクトマネージャーがマネジメントの手法を確立できていないといった場合、失敗に陥ります。このようなときは、マネジメントツールを活用したりベテランのマネージャーにアドバイスをもらったりするとよいでしょう。
リスクの把握と対策が甘い
プロジェクトマネジメントには、人員の欠如や顧客から想定外の要求、成果を求める経営陣からの圧力などさまざまなリスクがつきもの。リスクがある点を前提に明確なリスク対策を講じましょう。その場しのぎでは、失敗に終わります。
経営陣からの信頼、協力が得られていない
プロジェクトマネジメントでは、開発コスト見積や制度の構築、メンバーの調整や顧客との折衝などで、経営層の支援が必要です。必要な支援を必要なときに経営層から受けられるようにすると、プロジェクトマネジメントの成功率は上がります。
プロジェクトマネジメントに役立つツール
ひとくちに「プロジェクトマネジメント」といっても、マネジメントしなくてはならない範囲は広く、求められるレベルもさまざまです。
3日で終わるプロジェクトと1年かかるプロジェクトでは、求められることがまるで違います。
ここではシチュエーション別に役立つツールについてご紹介します。
進捗管理だけできればいい場合
比較短期間の単純なプロジェクトや、社内プロジェクトであまり人件費を考慮する必要がない場合、それぞれのタスクの期限だけ管理できていれば十分な場合があります。
その場合、進捗管理ツールやタスク管理ツールと呼ばれるものを利用すると効率的に進捗を管理することができます。
有名な進捗管理ツールとしては、BacklogやAsanaやTrelloなどがあります。
かんたんな進捗管理であればExcelなどを利用する方法もあります。
進捗管理のコツやツールの細かい情報については以下の記事で解説しています。
進捗管理とは?その必要性と管理のポイントを解説
進捗管理ツールとは?導入時のメリットや選び方のポイント、おすすめツールを徹底解説
進捗だけではなく、コストやリソース、品質も管理する場合
スケジュール通りに終われば、それだけプロジェクトは成功かというとそうではありません。
もちろん納期に間に合わせることは重要ですが、コストが超過してしまったり、品質が悪かったりでは、そのプロジェクトは成功したとは言えません。
特にプロジェクトコストマネジメントなくしては、プロジェクトの成功はありません。
こうしたプロジェクトに関する様々な要素を管理する場合、専用のプロジェクト管理ツールがないと管理が煩雑になってしまいます。
プロジェクトとして管理すべき範囲はPMBOKの中で定められており、このPMBOKに準拠した国内唯一のツールがOBPM Neoです。
実際にプロジェクトを管理しようと思うと、それぞれのプロジェクトを単体で管理するだけでは十分でないケースがあります。
複数のプロジェクトをかけもちするメンバーがいたり、不足するリソースを補おう調整をしようと思うと、全社的な状況が把握できていないと管理できないからです。
OBPM Neoは全社的なプロジェクトの状況を見える化することができるので、トラブルが発生しているプロジェクトをいち早く発見し、すばやくリカバリをかけることができます。
代表的なプロジェクトマネジメントの手法
プロジェクトによって必要なツールが異なるというご説明をしましたが、同じように求められるマネジメントの手法も様々です。
プロジェクトの規模や種類、特徴に応じて適した手法を取り入れることが効率的なプロジェクトマネジメントには欠かせません。
ここからは代表的なプロジェクトマネジメントの手法についてご紹介します。
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)
世界的に標準的な手法として知られているのがこのPMBOKです。
時代に合わせてアップデートが繰り返されており、トレンドに合わせたプロジェクトマネジメントにおける重要な考え方を踏まえてマネジメントを行うことができます。
PMBOKについては以下の記事で詳しく解説しています。
【第1章】PMBOKを理解しよう:PMBOK とは
WBS(Work Breakdown Structure)
WBSはプロジェクトの作業を細分化したうえで、構造化し管理する手法です。
WBSは主にタスクの進捗管理に用いられる手法で、コストや品質のマネジメントは含みません。
その分手軽に作成し運用することができるので、多くの場面で活用されています。
WBSについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
WBSの基礎知識と書き方のコツを伝授
ガントチャート
ガントチャートは、プロジェクト管理などで用いられる表のことです。
WBSと組み合わせて使われることが多く、WBSで細分化したタスク単位で作業開始日と完了予定日をグラフ化し管理します。
ガントチャートは以下の記事で詳しく解説しています。
ガントとは?使うメリットとWBSとの違いについて
P2M(Project & Program Management)
P2Mはプロジェクトマネジメントに加えて、プログラムマネジメントの思想を取り入れた管理手法です。
プログラム管理とは複数のプロジェクトを統合して捉え、全体管理を行うための管理手法であり、PPMに近い概念を持ちます。
PERT(Program Evaluation and Review Technique)
PERTは、プロジェクトにおける工程管理の手法で、プロジェクトの各工程の依存関係を明確にして所要時間を見積もり、重要な工程を見える化することができます。
PERTでプロジェクトの流れがはっきりすれば情報共有はスムーズになり、各工程の優先順位も分かるためスケジュール把握も正確に行えます。
QFD(Quality Function Deployment)
QFDは、各工程の目標と課題を明確化してプロジェクトを進行します。そのため、高品質の製品開発を確実に行うことができ、プロジェクトの方向性のぶれをなくします。また、顧客ニーズに的確に応えられる点から、QFDは商品企画手法としての適用も進んでいます。
プロジェクトマネジメント手法については以下の記事で詳しく解説しています。
プロジェクト管理の代表的な手法6選!特徴や活用方法を徹底解説
プロジェクトマネジメントを成功させるための10のコツ
プロジェクトマネジメントの範囲はとても広く、すべてを細かく管理しようとすると途方もない労力が必要となります。
実務としてうまく進めるには勘所を押さえ、効率的に管理をするためのコツをつかむことが重要です。
ここからはプロジェクトマネジメントを円滑にする10のコツをご紹介いたします。
1.“人”とコミュニケーションを大切にする
プロジェクトを推進するのは人であり、コンピューターではありません。さらに、プロジェクトには複数人の関係者がかかわるため、そこには必ずコミュニケーションが発生します。「人とコミュニケーション」、これがプロジェクトを構成するすべてと言っても過言ではないほど、プロジェクトの成功に欠かせない要素です。だからこそ、担当者は常に“人”とそのコミュニケーションを大切にする必要があります。
プロジェクトにかかわるすべてのメンバーを尊重し、その能力を認め、適当な仕事を与え、正しく評価すること。これこそメンバーのモチベーションを最大限に高め、プロジェクトを成功へ導く要因の1つです。
2.正しいプロジェクト管理手法を採用する
プロジェクトマネジメントを実施するにあたり様々な手法が用意されています。担当者は新しくプロジェクト管理手法を発案するのではなく、既に用意されたフレームワークから正しいものを採用することが効率的にプロジェクトを成功させるためのポイントです。
代表的なプロジェクト管理手法としては「PMBOK(Project Management Body of Knowledge)」や「CCPM(Critical Chain Project Management)」などがあります。詳細については、『プロジェクト管理手法をご紹介!PMBOK・WBSから開発手法の違いまで』をご確認ください。
3.プロジェクトの「目的と目標」をメンバー間で共有する
失敗するプロジェクトの中には、プロジェクトメンバーと最終的な「目的と目標」が共有されていないケースが多々あります。プロジェクトの着地点をプロジェクトマネージャーの脳内だけで思い描いていても、そこに向けて真っすぐ突き進むことはできません。メンバー全員が同じビジョンを描いてこそのプロジェクトです。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの最終的な「目的と目標」をメンバー全員と共有し、かつ理解を得るための努力が必要です。
4.「チームを育成する」という意識を持つ
プロジェクトごとに新しいチームが発足される中、どんなに優秀なメンバーが揃ったとしてもチームとしてはまだまだ未熟です。多くのプロジェクトマネージャーは、高いスキルを持ったメンバーを確保できたことに安堵しますが、プロジェクトはチームで推進するものなので、特定のメンバーのスキルに依存するのは非常に危険です。
担当者は常に「プロジェクトと一緒にチームを育成する」という意識を持ってプロジェクトマネジメントにあたることが大切です。
5.経営陣やステークホルダーの支援を得る
プロジェクトを成功させるためには周囲の支援も欠かせません。特に経営人やステークホルダーから信頼され、支援を受けられる関係を築くことは、プロジェクトを成功させる大きな要因になります。彼らの支援を受けられれば、優秀なメンバーを効率良く収集できますし、プロジェクトに関する説得も行いやすくなります。
6.メンバーごとの責任範囲をハッキリとさせる
メンバー1人1人が責任感を持ってプロジェクトにあたれるよう、モチベーションを向上するには責任範囲をハッキリさせる必要があります。何があっても言い逃れができないような責任範囲を明確にすることで、メンバーごとのモチベーションが向上し、プロジェクトを円滑に推進できるでしょう。
7.問題の兆候を見逃さない
一見上手く推進しているプロジェクトも、少し掘り下げると多くの問題が潜んでいることがあります。プロジェクトを失敗させないためには、まずそれらの問題の兆候を見逃さず、早期段階で排除することが大切です。
8.適切なツールを選んで、活用する
プロジェクトを推進するにあたり、様々なツールを活用します。担当者には無数にあるツールの中から、適切なツールを選び有効活用するための方法を模索することが求められます。
関連ブログ:
プロジェクト管理ツールおすすめ18選 無料から有料まで徹底比較
9.プロジェクトが計画通りに進まなかった場合のシナリオを用意する
プロジェクトが当初の計画通りに進むことはほとんどありません。従って、問題が発生した際のシナリオも用意しておき、失敗や赤字を回避するための対策が必要になります。
10.プロジェクトの原価管理を徹底する
「プロジェクトに原価管理?」と思われるかもしれませんが、プロジェクトの利益を最大化するには、原価を徹底管理し、プロジェクトの予算を達成するための管理が必要です。原価管理の手法は多数あるため、適切な手法を選ぶのもポイントです。
関連ブログ:
知らないとヤバい!プロジェクト原価管理の仕組み
まとめ
プロジェクトマネジメントの目的は、提供価値の最大化と利益の最大化です。
実際にプロジェクトマネジメントを行うのはそのプロジェクトのプロジェクトマネージャーですが、関わるメンバーもプロジェクトマネジメントの全体像を理解しておくとスムーズにマネジメントを行うことができます。
ですが、同じ会社でもプロジェクトマネージャーによって、マネジメントの手法が異なるということは少なくありません。ノウハウの共有や横断した管理ができない環境では、組織としてプロジェクトマネジメントを強化することは難しいと言えます。
そんなプロジェクトマネジメントに課題を感じている方向けに、プロジェクトマネジメントに関する詳しい資料もご用意しております。ぜひご活用ください。
- カテゴリ:
- キーワード: