進捗管理とは?その必要性と管理のポイントを解説

 2022.07.12  株式会社システムインテグレータ

近年ではリモートワークの増加に伴い、チームメンバー一人ひとりの業務進捗の把握が難しくなりました。これにより、多くの企業で「進捗管理」の重要性が高まっています。

進捗管理では作業計画と実作業のずれを把握し、適切な対応をとることが重要です。進み具合を定点観測することで、進みが遅い業務やミスなどを洗い出せるほか、即座に対応することができます。特に大型のプロジェクトや関わる人員が多岐にわたる案件などにおいて、進捗管理は欠かせないものでしょう。

そこでこの記事では、進捗管理の概要や必要性、適切に行うコツや発生しやすい失敗原因、管理に役立つITツールなどについて解説します。

進捗管理とは

進捗管理とは?その必要性と管理のポイントを解説 1進捗管理とは、事前に立てた作業計画と実際の作業進捗との間にずれが生じていないか把握・管理することです。業務のなかで問題や課題が生じた場合は、その対応も行います。進捗管理を適切に行えなければ作業のスケジュールが遅延し、人件費の増加や顧客からの信用損失につながりかねません。

進捗管理で扱う内容は、業種によって異なります。たとえば、IT分野や製造業などでは進捗管理を品質管理の手法として実施しており、システム障害やリコールなどのトラブルを未然に防いでいます。

なぜ進捗管理が必要なのか

滞りなく業務を進めるには、進捗管理の実施が欠かせません。進捗管理を効果的に行えるようにするために、まずは進捗管理が必要な理由を把握しておきましょう。

業務の漏れを防ぐ

進捗管理を行うことで、業務の漏れを防止できます。複数の業務を行っている場合、一般的には優先順位を決定し、その順番に従って業務を進めます。しかし進捗管理が不十分だと、優先順位を間違えたり業務進行を忘れたりして業務の漏れが発生する恐れがあります。

業務の漏れが発生すると、場合によっては他の業務を中断しなければならず、仕事の効率が低下してしまうでしょう。さらに、プロジェクト全体の進行を止める危険性もあるため、業務の進捗は漏れなく把握しておかなければなりません。

納期の遅延を防ぐ

納期の遅延を防ぐためにも、進捗管理は重要です。進捗管理を怠ると各従業員の進行具合が把握できず、スケジュールの遅延にも気付きません。気づいたときには遅延が致命的なレベルになっており、納期に間に合わないという事態も起こり得ます。納期を破れば取引先との信頼関係にも影響が出るでしょう。

また、納期に間に合うように大急ぎで作業したとしても、細かい部分までチェックができず、品質の低下を招く可能性があります。納期に対して余裕を持ちつつ業務を進めるためには、進捗管理を行って進行具合を常に把握しておく必要があるのです。

プロジェクトの全体像を把握しやすくなる

ここまでご紹介してきたように、進捗管理では業務の進行状況を把握できるのが最大のメリットです。プロジェクトは必ずしもスケジュール通りに進むわけではなく、トラブルやアクシデントが発生することも少なくありません。トラブルは時間が経てば経つほど深刻になりやすいため、発生したタイミングで即座に対応することが大切です。

進捗管理によって業務進行の状況を把握できれば、トラブルの発生をすぐに察知できます。即座に状況を把握できれば、スケジュールの調整も容易になるでしょう。なお、状況を把握する際は1人ではなく、複数人で共有することをおすすめします。

進捗管理を適切に行うコツとは

進捗管理とは?その必要性と管理のポイントを解説 2

適切な進捗管理を行うには、以下でご紹介するさまざまなポイントに気を付けましょう。

業務を細分化する

まずはプロジェクト全体を細かい業務に分けて、各業務ごとに管理しましょう。

業務を大きく分類すると、担当者が業務の状況を把握しきれず、進行や確認に漏れが生じる恐れがあります。全体の把握を容易にするために、業務の細分化は欠かせません。

また、業務を細分化することで各業務の優先順位も決めやすくなります。業務の境界をはっきりと定めて、「同時進行できる業務」「順序だてて進めなければならない業務」などを整理しましょう。どの業務を「いつ」「誰が」開始・完了したか把握できれば、進捗管理も容易に行えます。

チャートや図表などを使用して可視化する

業務の「見える化」も欠かせません。業務が複雑化していると状況の把握が困難です。また、整理されていない状態で進捗管理を行おうとすると、現場が逆に混乱してしまう恐れもあります。そのため、チャートや図表などを使用して、業務内容を視覚的に把握できるように工夫しましょう。進捗の正確な把握や共有も行えるため、認識のずれから生じるトラブルを回避できます。

なお、業務の「見える化」には「ガントチャート」が多く用いられます。ガントチャートはプロジェクトを細分化して、全体の流れや進捗状況を一目で把握できることが特徴です。

定期的な進捗報告を行う

チーム内で定期的に集まり、それぞれの進捗を報告し合うことも大切です。こまめに進捗状況を共有しておけば問題発生時にも迅速な対応が可能です。特に、複数人がかかわるプロジェクトでは状況が刻々と変化するため、認識のずれが生じないようにこまめに擦り合わせを行う必要があります。

進捗報告は、会議以外にもチャットツールや管理表、ビデオ会議などでも有効です。現在は働き方改革や新型コロナウイルス感染症などの影響によりリモートワークを行う場面も少なくありません。そのため、ITツールなどを用いて細かな情報も共有できる環境を整備することも大切です。

業務遂行の責任者を決める

複数人のチームでもスムーズにプロジェクトを進められるように、業務遂行の責任者を決めておきましょう。責任者がいないと各従業員の業務状況を管理できず、進捗管理を適切に行えません。

責任者は基本的にプロジェクトの責任者が担当しますが、ほかの人から選ぶ場合は管理能力やメンバーからの信頼性などを重視して選びます。その他、過去に近い内容のプロジェクト・業務を担当した経験がある人物も責任者に適しています。

進捗率や進捗管理の定義をあらかじめ決める

進捗を適切に管理するには、あらかじめチーム内で進捗率の定義を定めておく必要があります。

人によって進捗率の決定基準が異なると、同じ進捗率でも実際の進み具合の認識が大きく異なります。そのため、進捗率の認識のずれがあると納期間近になって「一部の業務が間に合わない」ということにもなりかねません。

チーム内で進捗率の定義を統一する際には、成果物を基準にすることをおすすめします。進捗率100%を成果物が完成した状態として、成果物の完成形からみてできあがっている割合を進捗率とします。たとえば、10ページの書類を作る場合は6ページ完成して進捗率60%、1万行のプログラムを作る場合は4,000行完成して進捗率40%などと考えましょう。

コミュニケーションがとりやすい雰囲気の良いチームを作る

チーム内の雰囲気作りも欠かせません。メンバー同士の仲が悪いとコミュニケーションを取りづらくなり、不明点やミスなどの解決も難しくなります。ミスをそのままにしておけば、さらなるトラブルを引き起こすこともあるでしょう。

チーム内の雰囲気を良好に保つには、ミスのフォローや声かけなどが大切です。全体をまとめる管理責任者がメンバーに笑顔で接して、気軽に話しやすい雰囲気を作りましょう。また、メンバーがミスしたときはきつく責め立てず、ミスが発生した原因の究明や対処法などを話し合うことも大切です。

進捗管理ツールを使う

進捗管理にかかわるITツールを導入すれば、進捗管理を効率的に行えます。ツールには、情報共有やデータ管理などさまざまな機能が搭載されています。なかでも、進捗状況を把握しやすいチャート機能や情報共有に便利なチャット機能などを使えるものがおすすめです。

また、ITツールの利用は、業務の増加・複雑化にも対応しています。進捗管理を効果的に行うには、運用ルールの制定も重要ですが、業務の増加や複雑化に伴いルールに沿った運用が難しいこともあるかもしれません。各自の進捗情報を連携できるITツールでは、業務が肥大化してもルールを保持した運用が可能です。

進捗管理でありがちな失敗とは

進捗管理は適切に行えれば大きな効果を発揮しますが、うまく進められず失敗するケースも少なくありません。進捗管理に失敗する原因はさまざまなものが考えられますが、主な原因として以下の3種類が考えられます。

作業の優先順位がつけられていない

作業の優先順位が正しくつけられていなければ、効果的な進捗管理ができません。プロジェクトのなかには、順序だてて進めなければいけないものも多くあります。そのため、優先度を定めて進めていかないと、プロジェクト全体の進行に支障が生じるでしょう。

まずは、プロジェクト全体を幅広く見て取り組む順序を考えましょう。目の前の取り組みやすい業務から始めていけません。全体のスケジュールを組んだら、どの業務をいつ進めるか明確にして、作業を始めましょう。

情報共有ができていない

メンバー同士での情報共有ができていない場合も、進捗管理の成功率が下がります。責任者とメンバーの間では共有できていてもメンバー間での共有ができていないと、認識がずれていたり取り組む業務が重複したりします。いずれも作業効率の悪化につながるため、解決のために手を尽くさなくてはなりません。

このような状況は、大規模なプロジェクトやリモートワークの実施者がいる場合に問題が起こりやすいため、遠隔で業務を行う際はチーム内での共有頻度を増やしましょう。

正確な作業量を把握できていない

自分たちが進めるべき作業の量を正確に把握できておらず、進捗管理が適切に行えないケースもあります。大きなプロジェクトでは、全体の作業量の把握が難しいこともあるでしょう。そのため、業務を進めている中で「想定していた作業量よりも多くの作業が必要だ」と気付くことも少なくありません。そうなれば業務の進捗状況を把握するだけで手一杯になってしまい、業務の遅れや問題点などの把握、対処が遅れてしまう可能性があります。

また、難しい業務や複雑な情報共有体制では、業務進行の状況報告がおろそかになりやすく、報告内容を責任者が見逃してしまうこともあります。リアルタイムでの情報更新が難しくなると、適切な進捗管理が行いづらくなるでしょう。

進捗管理に便利なITツールとは

進捗管理を適切に行う方法の1つが、ITツールの導入です。現在では多くのツールが提供されており、それぞれに異なる特徴や強みがあります。自社の事情を考えて最適なツールを利用できれば、効果的な進捗管理を行えるでしょう。

この章では進捗管理に役立つITツールとして、大きく「タスク管理ツール」「プロジェクト管理ツール」の2種類を紹介します。

タスク管理ツール

タスク管理ツールとは進捗管理(タスク管理)を効果的に行えるよう設計されたツールで、進捗管理において有用な機能を多数利用できます。

基本機能はさまざまで、前述した「ガントチャート化機能」もその一つです。細かいスケジュールでも視覚的にわかりやすくなり、メンバー同士の業務把握もしやすくなります。

そのほか、バラバラの業務をリスト化する「to doリスト作成機能」やプロジェクトメンバー同士で連絡を取り合える「情報共有機能」、業務開始日時・締め切り日の通知を行う「通知機能」などもあります。また、「検索機能」では、ツール導入後にやり取りしたデータをサーバー上で保存し必要なデータを検索可能です。さらに、これらツールを連携させる機能もあるため、個々で使用するより効率的にタスク管理が行えます。

なお、多くのタスク管理ツールは、パソコンだけでなくスマートフォンでも使用できるため、時間・場所を問わずツールを利用できます。また、個人の業務を他メンバーに共有できることから、複数人での業務も円滑に行えるうえ、各メンバーに合わせた柔軟な対応も可能です。

関連記事:
タスク管理ツールとは?用途、目的に合わせたおすすめツールをご紹介

プロジェクト管理ツール

タスク管理ツールに類似するツールに「プロジェクト管理ツール」も存在します。タスク管理ツールは主に自分の業務を管理する目的で使われますが、プロジェクト管理ツールは全体の業務計画を把握・管理する目的で使用されます。

なお、プロジェクト管理ツールには、ガントチャート機能を使えるツールが多く、メンバーそれぞれの業務を把握したり、スムーズな業務進行を行ったりするのに有効です。

進捗管理ツールについては以下の記事でも詳しく紹介しております。合わせてご確認ください。
進捗管理ツールとは?導入時のメリットや選び方のポイント、おすすめツールを徹底解説

まとめ

この記事では、進捗管理の概要や必要性、適切に行うコツや発生しやすい失敗原因、管理に役立つITツールなどについて解説しました。進捗管理はプロジェクトを滞りなく進めるために欠かせない作業です。また、冒頭で触れたIT企業の例のように、進捗管理は品質とも関連しているため企業の業績アップを図ることにもつながるでしょう。

進捗管理は「WBS」や「ガントチャート」を利用するなど、直感的かつ抜け・漏れなく進捗管理を行う方法があります。進捗管理のポイントをまとめた資料もご用意していますので、こちらもぜひご活用ください。


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