【第12章】マイルストーンとは

 2017.04.27  株式会社システムインテグレータ

マイルストーンとは

マイルストーンとは「道しるべ」のことです。もともとは1マイル(≒1609m)ごとに置かれたストーン(石)を頼りにゴールへと進むためのものです。プロジェクト管理においてもプロジェクト成功というゴールに向けてチェックポイントを設け、目標設定通りにプロジェクトが進められているかを確認しながら進めていきます。マイルストーンの使い方は2つあります。1つは”目標”です。「内部レビュー」や「ユーザー向け説明会」、「リリース日」などプロジェクトを進行する上で、”この日までに終わらせなければならない”という目標として設定します。もう1つは検問です。「出荷判定」「工程完了チェック」などプロジェクトを進める際に確認作業を行うチェックポイントとして設定します。

実際のプロジェクトでは「マイルストーン」という汎用的な言葉ではなく、プロジェクトを遂行する上で設定される「リリース日」、「レビュー」や「工程完了時チェック」といった具体的な名称で呼ばれることが多いようです。ガントチャート上にマイルストーンを設定することで、プロジェクトにおける主要なポイントを一目でわかるようになります。マイルストーンを道しるべにしてプロジェクトを遂行できるのです。

また管理者がプロジェクトを俯瞰して管理する観点においても、マイルストーンは重要です。マイルストーンが予定通り実施できているかを判断するだけで、プロジェクトの状況をすぐに把握できます。

とはいっても、ガントチャート上にきちんとマイルストーンを設定しているプロジェクトは、実はそんなに多くありません。「マイルストーンをしっかりと定義して……」と言われてもマイルストーンのメリットが良く分かってないので、「ガントチャートでタスクをしっかり登録していますので大丈夫ですよ!」と反抗したくもなります。(そう反発したくなるのは私だけではないようです)。各タスクを予定通り終わらせれば、きちんとスケジュールは守られるので、わざわざマイルストーンを設定する必要性が感じられないのでしょう。

しかし、実際のところ、マイルストーンというチェックポイントがないとスケジュールがだらだらしがちです。チャートだけが並ぶガントチャートでは、どこか重要なポイントなのかがわかりません。チャート上にマイルストーンが置かれたとたん、急にガントチャートが生き生きと輝き、スケジュールの要点が目に飛び込んでくるのです。

マイルストーンは単なる置物ではなく、目標であり検問です。マイルストーンの効果的な使い方を覚えて、プロジェクトを成功に導きましょう。

マイルストーンの具体例

プロジェクトにおけるマイルストーンとは、どういったものがあるでしょうか。具体的なマイルストーンをあげてみます。

①出荷判定、納品判定

②工程完了時の品質保証チェック

③プロジェクト完了チェック

④工程内中間レビュー、中間フォロー

⑤納品日、リリース日

⑥キックオフ

⑦進捗会

⑧設計書レビュー(ユーザーレビュー、内部レビュー)

⑨顧客への訪問予定やヒアリング会実施

⑩反省会


このマイルストーンは、2つのタイプにわけられます。
1つは「リリース日」や「進捗会」、「レビュー」のように期日を明確にして決められた日程の管理を行う「道路標識タイプ」。こちらは”目標”としてのマイルストーンです。
もう1つは「出荷判定」や「工程完了時の品質保証チェック」のように出荷できる基準を満たしているか、次の工程に進んでも良いと判断できるレベルに達しているかを確認する「検問タイプ」です。  

1.png 図1:マイルストーンの具体例

マイルストーンの作り方1

tit1.pngガントチャート上で、顧客やメンバーと重要なポイントを共有したい場合、マイルストーンを使います。「図1:マイルストーンの具体例」における「道路標識タイプ」ではガントチャート上のどの地点で何を実施しなければならないかを明確にし、メンバーと共有します。ガントチャートはプロジェクトのスケジュール帳にあたりますから、目印となるもの、締め切りについてもガントチャートを活用して管理します。

「設計レビュー」で考えてみましょう。基本設計工程の期間が10/1~10/31だとします。設計レビューを10/24~10/25に実施する場合、図2のようにガントチャート上にマイルストーンを設定します。

2.png 図2:マイルストーン「設計レビュー」の設定

マイルストーンを置くことでどのような恩恵を受けられるか考えてみましょう。

①重要なTODO事項を顧客と共有 
チームメンバーや顧客に対して「基本設計工程」の終盤の時期にレビューがあることをガントチャート上でアピールできます。例えば、このマイルストーンが日程通りに実施されないとスケジュールが遅れますので協力してくださいね。と捉えていただきます。

②重要な目標点をメンバーで共有
・プロジェクトメンバーは、設計レビューの日程をガントチャート上で確認でき、リミットを意識できます。この日までには間に合わせてくださいね。と締め切りを明確にしましょう。

管理者が重要マターがきちんと実施されているか把握
管理者がマイルストーンの実施状況を確認することで、 適切な時期にアウトプットやレビューを実施しているか判断できます。マイルストーンの実施/未実施の確認、実施内容のチェックなどにより、プロジェクトが順調に遂行できているかどうかをパッと確認できます。

このようにガントチャート上でマイルストーンという重要なイベントを示すことで、プロジェクト関係者(ステークホルダー)に合意をとり、共に進めることができます。

マイルストーンを実施した場合、チャート上のマイルストーンも完了にします。この際、マイルストーンの色や形を変更すれば一目で未完了かどうかわかります。OBPMではレビューを行った場合に、色や形を変えるのに加えて、下の図のようにレビュー実施登録画面により結果をマイルストーンと関連付けすることもできますので、レビュー内容も共有できます。

3.png

マイルストーンの作り方2

tit2.png

もう1つの検問タイプのマイルストーンとはどういったものでしょうか。
当社で行っている「工程完了時の品質保証チェック」の実施方法を例として紹介しましょう。
品質保証チェックは、品質管理担当といったプロジェクトチームメンバー以外の第3者によってプロジェクトが適切に遂行されているかチェックするものです。あらかじめ、下図の「品質基準設定」のように工程ごとの標準チェックリストを用意しておき、それをプロジェクトに合わせてモディファイしたものを使います。全てOKであれば、次の作業(工程)に進んで良いですよという判断になります。もしも、NG項目があれば内容を精査した上で対処方法を決め、後日、対応が行われた上で再チェックします。


4.png
これらは工程完了時だけではなく、これから実施する作業について何をしなければならないか予め理解する役割も果たします。次の工程で実施する品質保証に対する取り組みを、こうしたマイルストーンによりチームで共有するのです。共有した上で各自が作業を進めるので、作業に対して品質を作りこむことが実現できるのです。

品質は、完成したものを検査することに目が行きがちですが、実は品質を作りこむことの方がもっと重要です。そして品質を作りこむには、工程完了ポイントにマイルストーンをおいて、どのような品質チェックを行うかの目標を定めて共有することが必要なのです。

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3者がマイルストーンごとに客観的判断に加わる仕組みは効果的です。先日、ある品質担当者が 「プロジェクトがうまく回らないようになると私を避けます!避けられてもプロジェクトをサポートしチェックするのが品質担当の仕事です。うまくいくプロジェクトのリーダーはいつも品質担当に協力的です。」と言っていました。これを聞いてちょっと衝撃を受けました。私は
これを聞いてから、品質チェックを嫌がらず、レビューで指摘された項目は素直に対応するように心がけるようになりました。

小心者な私は検問を受ける際は、何も悪いことをしていなくてもちょっとドキドキするのですが、検問を実施している警察官のおかげで安心して堂々と前へ進めると思うのです。 一般的にマイルストーンは「道標」と呼ばれていますが、「検問タイプ」のマイルストーンの重要性も理解していただければと思います。

OBPMとマイルストーン管理

OBPMは、ガントチャートのマイルストーンを単なる置き石としないという考えにもとづいています。マイルストーンの実施/未実施で色や形を変えたり、マイルストーンと品質レビューを結びつけたり、マイルストーンと成果物レビューを結び付けたりできます。また、ドメインという機能で工程ごとの品質レビューの標準化を行うこともできます。さらにマイルストーン一覧により、各マイルストーンの実施(達成)状況を一目で把握することもできます。 


ガントチャートの単なる置き石にせず、レビューと紐づけて 組織的にマイルストーンを管理することで、その組織の成果物品質が決まるのではないでしょうか。

(株式会社システムインテグレータ 羽佐田奈津美) 


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