PMP資格とは?取得のメリットや合格・更新までの流れ、学習方法などご紹介

 2024.07.04  株式会社システムインテグレータ

ビジネスに関する資格には、基礎的なものからキャリアアップや独立を目指すのに役立つ専門性の高いものまでさまざまなものがあります。そのなかでも業界を問わず活用できる資格として近年注目を集めているのが「PMP(Project Management Professional)」です。

PMP資格はプロジェクトマネジメントに関する国際的に認知された資格です。業種や職種を問わずグローバルに通用するため多くの企業がPMP資格の取得を奨励しており、PMP試験を目指すビジネスパーソンの数は増加傾向にあります。

この記事では、PMP資格の概要や取得するメリット、試験の受験資格、取得までの流れ、試験の難易度、受験にかかる費用、そして合格に向けた学習方法について詳しく紹介します。

 

PMP資格とは

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PMPとはプロジェクト・マネジメント・プロフェッショナル(Project Management Professional)の略で、米国PMI(Project Management Institute)が認定する資格です。プロジェクトマネジメントに関する知識や理解度を高める目的で1984年に創設され、プロジェクトマネジメントの専門知識とスキルを証明する国際的に認知されています。PMPの資格保有者はプロジェクトマネジメントに関する体系的な知識を有しているとみなされます。

特に海外では、企業がプロジェクトを受注する際の要件となるケースも多く、プロジェクトマネジメントの分野で重要な資格とされています。実際、PMP資格取得者がいることが企業の信頼性を高め、競争力の強化にもつながります。

日本においてもエンジニアリングや建設、ITなど幅広い業界でPMP資格の重要性が認識されており、多くの企業がプロジェクトマネージャーの育成プロセスにPMP資格取得を組み込み、奨励しています。

プロジェクトマネジメントとは

プロジェクトマネジメントとは、納期や予算などの制約の中で、プロジェクトを予定通りに遂行し成功させるために計画を立て、人的リソースやQCD(進捗・品質・コスト)を管理することです。なお、プロジェクトは特定の期限が設定された業務全般を指します。

プロジェクトマネージャーは、プロジェクトの実務に直接は携わらず、プロジェクト全体を総合的に管理する役割を担います。そのため、人的リソースやQCDの管理だけでなく、リスクマネジメントやステークホルダーとのコミュニケーションなど、プロジェクトを総合的に管理するための幅広い視点と専門知識が必要です。

特に大規模なITシステムの導入プロジェクトなどでは、プロジェクトマネージャーが適切な計画と管理を行うことが、予算内での完了や品質の確保、納期の遵守を実現するカギにもなります。

プロジェクトマネジメントについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

【基礎を解説】プロジェクトマネジメントとは?必要な資格やスキルもご紹介

PMI(プロジェクトマネジメント協会)とは

PMIとは「Project Management Institute」の略で、プロジェクトマネジメントの標準化を目的として研究と普及を推進する国際的な非営利組織です。プロジェクトマネジメントの分野で最も権威のある組織の一つとして広く認知されています。米国のフィラデルフィアに本拠地を置き、世界120か国以上に支部を展開しています。

日本では1998年にPMI日本支部(PMIJ)が設置され、PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系)の普及・促進やPMP資格の認定、プロジェクトマネジメントに関する交流活動などを行っています。

PMBOK(プロジェクトマネジメント知識体系)とは

PMBOKは「Project Management Body of Knowledge」の略で、プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系的にまとめたガイドブックです。1987年にPMIが初めて「A Guide to the Project Management Body of Knowledge」というガイドブックを発表して以来、プロジェクトマネジメントの実質的な世界標準として世界各国で活用されています。

PMBOKは4年に1度のペースで改訂されています。2021年には最新版である第7版が発行され、現代のプロジェクトマネジメントに対応した内容が反映されました。PMBOKを活用することで、プロジェクトマネジメントの効果を高め、成功率を向上させることができます。

PMBOKについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

PMBOKとは?読み方や活用メリットは?基本を徹底解説

PMBOK7 変更点と第7版を読み解くポイントについて解説

PMPを取得するメリット

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PMPを取得するとさまざまなメリットを得られます。ここでは、7つの主なメリットをご紹介します。

プロジェクトや日常業務に活かせる

まず、PMP資格はプロジェクトや日常業務に直接生かせます。PMPは、プロジェクトマネジメントに関する体系的な知識を備えていることを証明する資格です。資格取得の過程で学ぶチームマネジメントのスキルは、チームを管理する立場にある方にとって非常に有用です。

さらに、PMP資格は業界を問わずさまざまな企業で活用できるため、幅広い業界での活躍が期待できます。

スキルアップにつながる

PMP資格を取得することで、プロジェクトマネジメントを体系的に学び、個人のスキルアップが期待できます。学んだ知識をチームで共有することで、チーム全体のプロジェクトマネジメントスキルが向上し、実務の効率も上がります。

また個人のスキルアップによってプロジェクトマネジメントがスムーズになれば、社内や顧客からの信頼性が向上します。プロジェクトの進行にも好影響を与えることに加え、スキルアップしていくことでモチベーション向上も図れるでしょう。

キャリアアップにつながる

PMP資格はキャリアアップにも大いに役立ちます。日本ではプロジェクトマネージャー不足が深刻なため、PMP資格を持つことで人材不足に悩む企業からの需要が高まります。PMPを所有していればキャリアアップや転職にも有利に働く可能性が広がるでしょう。

PMPの資格は国際的に認知されているため、外資系企業への転職にも有利です。

そのため、資格を取得していれば外資系企業に転職する際に有利になるでしょう。PMP資格を雇用条件の一つとして挙げている外資系企業も多いため、プロジェクトマネージャーとしてのキャリアを築くためには非常に有用です。

人的ネットワークが広がる

PMP資格を取得することにより、人的ネットワークを広げることができます。PMPの受験には公式な研修への参加が必須条件となっており、資格取得後も継続的な学習のために勉強会やセミナーへの参加も求められます。こうした場は、共通の目標や価値観を持つ人と交流し、同じ課題について取り組むなかで仲間意識が生まれやすい環境になっています。

また、PMP資格取得者によるSNSでのコミュニティも活発で、情報交換が盛んに行われています。このように、PMP資格は新たな人的ネットワークを構築する機会になるでしょう。

PMP試験の受験資格

PMP試験を受けるためには、「プロジェクトマネジメントの実務経験」と「公式な研修プログラムの受講」という2つの条件を満たす必要があります。学歴によって実務経験の期間が異なるため、よく確認しましょう。

条件1.プロジェクトマネジメントの実務経験

PMP試験を受験するには、プロジェクトのリーダーとして実務経験を積む必要があります。求められる実務経験の期間は最終学歴によって分かれるため、しっかりと確認しましょう。

学歴 実務経験
中等教育卒業(高校卒業、準学士号または海外の同等資格) 5年/60か月以上にわたる、一意かつ 重複しないプロジェクトマネジメントの実務経験
年制大学卒業(学士号または海外の同等資格) 3年/36か月以上にわたる、一意かつ 重複しないプロジェクトマネジメントの実務経験
GAC認定プログラム*による学士号 取得または大学院卒業(学士号もしくは修士号、または海外の同等資格) 2年/24か月以上にわたる、一意かつ 重複しないプロジェクトマネジメントの実務経験

※参考「プロジェクトマネジメント・ プロフェッショナル(PMP)® 試験内容の概要」

条件2.プロジェクトマネジメントの研修の受講

PMP試験の受験資格には、CAPM資格*の保有者を除いて、正式なプロジェクトマネジメント教育を35時間以上受講していることも含まれます。受験申請書に、研修名や研修を受けた場所、研修日や時間数などを記入する必要があります。

対象となるのは、PMI 本部が認定した教育パートナー「API(Authorized Training Partner)」が提供する研修プログラムです。APIはPMIの公式サイトに掲載されています。なおPMI支部のミーティングや自習は、プロジェクトマネジメントの研修としてみなされません。

* CAPM資格:プロジェクトチームのメンバー、新人のプロジェクトマネジャー、大学生、大学院生を対象として、プロフェッショナルとしてのプロジェクトマネジメントに関する経験や知識などをはかる試験。CAMPは「Certified Associate in Project Management」の略。

PMP資格の受験から更新までの流れ

PMP資格は、一度取得したらCCR(Continuing Certification Requirements Program)というプログラムで60PDU(勉強時間を表す単位)以上を取得し、3年ごとに資格更新の手続きをする必要がなります。

資格試験の受験から更新までの流れは以下のとおりです。

  1. PMIが認定した公式の研修プログラムを35時間以上受講する
  2. PMIのWebサイトでアカウントを作成する
  3. PMIのWebサイトから受験申請を行う
  4. PMIからメールを受信後、受験料を支払う
  5. 試験を予約する
  6. 試験を受け、その場で結果を確認する
  7. 合格後は3年以内にCCRに従事する
  8. 合格後3年以内に資格更新の手続きをする

PMP試験の難易度

PMP試験はコンピュータによる知識試験です。制限時間は230分で、180問の選択問題が出題されます。このなかにはスコアに影響しない予備問題5問が含まれるため、実際に採点されるのは175問です。

合格基準や合格率は公開されていません。一般的に、合格には60~70%の正答率が必要といわれており、高得点が取りにくく難易度が高い試験とされています。

PMPの受験にかかる費用

PMPの受験にかかる費用は、大きく分けて「35時間の研修費用」「受験費用」「テキスト代」の3つです。PMI会員は会員特典としてテキスト代や受験費用に割引価格が適用されるため、費用を多少抑えることができます。

なお、2024年7月時点のPMI会費は以下のとおりです。

  • 本部年会費:139ドル
  • 支部年会費:50ドル
    ※本部Student Memberの支部年会費は10ドル

研修費用

研修の受講費用は受講方法によって異なり、座学(教室で行われる研修)とeラーニングの2種類があります。研修費用の相場は以下のとおりです。

  • 座学:50,000~100,000円
  • eラーニング:20,000~45,000円

受験費用

受験費用は、PMI会員と非会員で異なります。

  • PMI会員:405ドル(再受験は275ドル)
  • PMI非会員:575ドル(再受験は375ドル)

テキスト代

公式のPMBOKガイドからほかの出版社が出している試験対策本など、必要に応じて試験対策に使うテキスト代がかかります。

PMI日本支部が監訳した『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド(PMBOKガイド)第7版+プロジェクトマネジメント標準』の非会員価格は税込11,990円です。

PMP試験に向けた学習方法

PMP試験に向けた学習方法は、主に「書籍で独学」と「スクールや教材で勉強」の2種類です。

書籍などで独学する

書籍での独学は、スクールに通うより費用を安く抑えられ、自分のペースで学習できるのがメリットです。独学で対策する場合、PMIが発行している「PMBOKガイド」の活用が合格への近道といえるでしょう。670ページほどの分厚い書籍ですが、電子書籍版もリリースされており、タブレットやスマートフォンで外出先でも気軽に勉強できます。

しかし、参考書は1回読み込んだ程度で理解できる内容ではありません。PMBOKガイドを完全に理解できるレベルに達するまで、繰り返し読み込む必要があります。PMP資格に準拠した問題集を繰り返し解き、問題集は最低でも3周はしておきたいところです。

PMP資格試験は選択式のため、問題集を繰り返すことで傾向が分かり、自分の苦手分野を把握できます。苦手分野が分かったら、PMBOKガイドをよく読み込み、該当する部分のインプットを重点的に行いましょう。

スクールや通信教材を利用する

スクールや通信教材を使った勉強も選択肢の一つです。PMI資格の試験を熟知したスクール講師と一緒に学習できるため、分からない点があればすぐに聞いて解消でき、独学よりも効率的で効果的に学べます。費用はやや高額ですが、合格率を上げたい方におすすめの勉強方法です。

まとめ

PMPの資格は、プロジェクトマネジメントに関する体系的な知識を身に付けた証です。資格を取得することにより、プロジェクトマネジメント業務がよりスムーズになります。また、チーム内で知識を共有することにより、チームのスキルアップにもつながる効果が期待できます。

近年、プロジェクトマネジメントスキルの需要が高まっている一方で、その強化も課題となっています。プロジェクトマネジメントについてまとめた資料もご用意していますので、併せてぜひご覧ください。


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