プロジェクトマネジメントの資格 ~新人プロジェクトリーダー奮闘記~【プロジェクトは現場で起きているんだ!第35章】

 2018.08.13  株式会社システムインテグレータ

新人プロジェクトリーダー『新米太郎』は、先日プロジェクトリーダーに任命された。

プロジェクトリーダーとしての任務をこなしながら、少しづつマネジメントのことについて勉強をしていているようで、今日は資格取得のことについて先輩に相談しているようだ。

 

プロジェクトマネジメントの資格とは?

太郎:センパーイ!今日もアドバイスをお願いしまーす。
最近プロジェクトマネジメントのことを勉強していて、ふと思ったんですけど、プロジェクトマネジメントにも資格ってあるんですよね?
僕、基本情報技術者という資格は持っているんですけど、プロジェクトマネジメントの資格も取れるなら取っておこうかと考えているんです。
今日は、プロジェクトマネジメントにはどんな資格があって、どういうのを取得しておくといいのかを、お聞きしたいのですが、お願いできるでしょうか。

先輩:ああ、いいよ。プロジェクトマネジメントの資格だね。色々あるけど、自分でも調べてきたかい?

太郎:はい、少し調べてみたんですけど、どれがいいのかよく分からなくて迷ってます。
代表的な資格について、簡単に概要を教えてもらえると助かります。

プロジェクトマネジメントの資格 「PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)」

先輩:そうだなぁ、まずはPMP資格のことを話そうか。
PMPとは、「Project Management Professional」の略で、米国の非営利団体である「Project Management Institute (PMI)」が主催している資格のことだ。日本にはPMI日本支部というのがあるよ。
うちの会社のパッケージ:プロジェクト管理ツールObject Browser PM(OBPM)がPMBOK(Project Management Body of Knowledge)に準拠したツールであることは
知っているよね?

太郎:はい、それは知っています。
プロジェクト管理に関する知識を、10の知識エリア、5つのプロセスに分類したプロジェクト管理のノウハウですよね、OBPMはその構造にならったメニュー構成をしているんでしたね。

先輩:さすがにプロジェクトリーダーもやっているし、OBPMも使っているだけあるね。

太郎:えへ!

先輩:僕がPMPを最初に紹介する理由は、やはりPMBOKベースの試験というとこだね。
PMPの資格というのは、PMIが策定したPMBOKガイドに基づいて実施される試験だから、OBPMに通ずるものがあるってことになるね。
プロジェクトの立ち上げ、計画、実行、監視・管理、終結の範囲から出題され、4時間で200問の選択式(4者択一)コンピュータマークシートによる試験になる。PMBOKガイドに基づき、プロジェクトマネジメントに関する経験や教育、知識を測り、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナルとして相応しいかどうかの確認を目的として実施されるんだ。
ただし、これは法的な資格や免許ではなく、専門知識を有していることを証明するための国際認定資格となる。

太郎:そっか、OBPMはPMIが策定したPMBOK準拠で設計されているツールだから、同じPMIが実施しているPMPという資格を取っておくのがいいということですね。

先輩:ただ受験料は高額(405ドル~555ドル)だということと、資格を維持するためには、3年ごとに更新費がかかるのが辛いところかな。難易度はそれなりに高いようだね。合格率は60%程度かな。
それから、受験資格がだいぶ厳しく設定されているので、誰でも気軽に受験できないのも特徴だね。
大卒以上の場合は4,500時間以上の実務経験と、36か月のPM経験が必要になる。
それをクリアしたうえで、35時間のPM研修を受講して、初めてPMPを受験する
ことができるんだ。

太郎:え!?受験するために必要な基準があるんですか?36か月のPM経験って、僕、まだPLなりたてなので無理ってことですか?

先輩:うーん、そうかもね、あとで計算してみたらいいよ。試験申し込みの際にプロジェクトマネジメント経験証明の提出が求められるんだよ。そして、35時間の公式なPM研修というのは以下の機関が提供する講習が対象になる。
 ✓REP(PMI本部が認めた登録教育機関)
 ✓大学
 ✓PMI支部
 ✓企業内教育
 ✓Eラーニング
 ✓研修機関
研修名、研修場所、実施日、時間数、研修内容に関する資料を基に申請書に記入が必要だ。資料は後日の監査で必要になるので保管する必要もあるよ。

太郎:ひえ~、それかなりハードル高くないですかぁ!?

先輩:僕がこの資格を推すのにはもう一つ理由がある。

太郎:それは?

先輩:名刺にPMP取得者です!って記載することだね。

太郎:ああ、たまにいますね、名刺にPMPってマークがついている人!あれか!?

先輩:そう、PMPは国際資格にあたるのでITコンサルタントなんかの名刺にはPMPを記載してる人が多いみたいだ。
この後紹介するけど、IPAが主催するプロジェクトマネージャの資格もPMPに匹敵する資格なんだけど、名刺に記載するのは国際資格であるPMPっていう人が多いみたいだね。

太郎:何故なんでしょう?匹敵する資格なら記載してもいいと思うんですけど?

先輩:うん、IPAのプロジェクトマネージャ試験の方が合格率も低く、難易度は高いようなんだけど、両方の資格を持ってる人はPMPをアピールする傾向にあるみたいなんだ。とはいえ、一方で、営業効果のあるアピール資格ランキングではIPAプロジェクトマネージャがTOPになってるという情報サイトもあるから、あくまでもウワサ程度と思った方がいいかもしれないね。
両方持っている人なら、自分の価値観で選択するだろうけど、片方しか持っていなければ、選択の余地もないしね。

先輩:まぁ、僕はPMP推しなんで、PMPを名刺に載せたいと思っているんだ。
いくつか理由をあげると、一つは「実務能力」をアピールできることかな。
先ほども話した通り、受験するだけでもクリアしなければならいハードルがあるのがPMPの資格なんだ。だから、試験勉強だけ必死にやって得た資格とは違って、3年~5年以上の実務経験の証明にもなるっていうことだね。それを維持し、継続してるっていうのもアピールポイントだと思う。

太郎:ああ、そうですよね!実務経験があって初めて受験できるんですからね、なるほど。

先輩:もう一つの理由は、国際資格っていう響きがかっこいいじゃん!?そういう理由で、僕個人としてはPMPという肩書が欲しいかな。

太郎:…あ、はい、カッコイイからね、そうっすね。

プロジェクトマネジメントの資格 「プロジェクトマネージャ試験(PM)」

先輩:次に挙げるのが、プロジェクトマネージャ試験(PM)だね。
これは、IPA(情報処理推進機構)が主催する試験で、太郎君が持っている情報処理 技術者試験制度の一種になるね。IPA自体が有名だから、知名度は高い試験だと思うよ。

太郎:はい、はい、僕が調べたのもこの資格です。

先輩:この試験も、難易度は高いと思うよ。

先輩:試験時間は全部で300分、多肢選択式(四肢択一)と記述式の両方があるんだ。
平成29年の実績では、合格率13.1%ってんだから難しいんだろうね。この試験は年に1度だけ春に開催されるから、チャンスも少ないことや、PMP試験と違って、受験資格がないので誰でも受験できる点が、PMPより合格率が低い理由なんだと思うよ。受験料が5,100円という安さは助かるよね。

太郎:なるほど、合格率が低い理由にはそういう背景もあるってことなんですね。
ただ、僕にはどっちもハードルが高そうなんで、もう一つくらい別の資格はないでしょうか?

プロジェクトマネジメントの資格 「P2M」

先輩:では、最後にもう一つ紹介するのはP2Mだ。
P2Mとは、Project & Program Managementと言って、PMBOKなどで整理されたプロジェクトマネジメントの仕組みに、プログラムマネジメントを加えた日本発祥の考え方のことだ。プロジェクトというのは個別に固有の期間をもつ活動の単位だけど、プログラムマネジメントというのは、複数のプロジェクトを連携・統括して、継続的に成果を達成するために実施するものになる。
前の2つの試験と違って、P2Mにはレベルに応じて以下のような資格の種類があるんだ。
PMS(中級)レベルから受験してみるのもいいかもしれないね。合格率は83%とのことだ。

資格 資格名称 試験形態 受験資格 受験費用 レベル
PMC

プロジェクトマネジメント・コーディネータ

Project Management Coordinator

50問四肢択一

75分

PMC講習受講終了者

(学歴・実務経験問わない)
15,000円 基礎
PMS

プロジェクトマネジメント・スペシャリスト

Project Management Specialist

100問

150分
学歴・実務経験問わない 35,000円 中級
PMR

プロジェクトマネジャー・レジスタード

Project Manager Registered
論文・面談・ワークショップ等

PMS資格3年以上の

PM実務経験
200,000円 応用

太郎:なるほど、ざっと紹介いただいただけでもPMP、PM、P2Mという試験があるんですね。
この中で、今の僕に受験できるものはPMとP2M(PMC、PMS)ということになるわけですね。

先輩:そうなるね。どう?受けてみるかい?

太郎:…。はい、すぐには無理かもしれませんけど、今のプロジェクトで実務経験を積みながら勉強を続けて、資格取得を目指してみようと思います。

先輩:そうか、がんばれよ!

太郎:ところで、先輩はどんな資格をお持ちなんですか?

先輩:さーてと、じゃ、帰るわ。

太郎:…。先輩、資格…持ってないのか。


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