プロジェクト管理の「項目」
今回は、プロジェクト管理における「項目」についてのお話です。
「項目」といっても、PMBOK体系における知識エリアやプロセスで区分けされる管理項目のことではなく、もっと具体的な、プロジェクト管理上の入力項目や表示項目といったレベルの「項目」のことです。
そう、このブログのメインタイトル「プロジェクト管理は現場で起きているんだ!」に則し、現場で実際にやりとりされている「項目」のことについて書いてみます。
「項目? 何だかプロジェクト管理のテーマとしては大した話ではなさそうだなぁ」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。「項目」はプロジェクト管理の肝でもあるのです。
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プロジェクト管理の「項目」が解れば業務が解る
例えば、ある会社のプロジェクト管理がどうなっているのか、現状どうしているのか、今後どうしたいのか、を知る必要があったとしましょう。
その時、まず聞くべき質問は次の3つです。
・プロジェクト初期計画書にはどのような「項目」がありますか?
・プロジェクト状況報告書にはどのような「項目」がありますか?
・プロジェクト完了報告書にはどのような「項目」がありますか?
そしてそれらを次のように掘り下げていけば、その会社のプロジェクト管理業務が見えてきます。
・その「項目」の意味、定義は何ですか?
・その「項目」の元は何ですか? 用途は何ですか?
・どの「項目」が必須ですか? 重要度の軽重を教えてください。
・今はないけど必要な「項目」、あったら便利な「項目」は何ですか?
どうでしょう。「項目」はプロジェクト管理の肝、という気がしてきませんか?
プロジェクト管理に必要な項目と業務フロー
①プロジェクトの立ち上げ
まずは、具体的な目標を定め、プロジェクトを立ち上げます。
最終目標は数値を用いて測定可能にするとともに、期限も明確にしておく必要があります。仮に「なるべく早く終わらせる」のように定性的な目標だと、ゴールからの逆算ができず期限に遅れるリスクもあるからです。
また、最終目標とは別にマイルストーン(中間目標)をいくつか設定しておきましょう。マイルストーンがあれば長期的なプロジェクトでも進行状況を把握しやすくなるので、モチベーション維持にもつなげられます。
②企画・立案
明確なプロジェクトのゴールを策定したら、具体的な管理項目を設定します。必要な項目は以下の通りです。
- スコープ管理
- コスト管理
- スケジュール管理
- ステークホルダー管理
- コミュニケーション管理
- リスク管理
③実行結果・進捗確認
責任者は、各タスクの進捗状況を項目ごとに把握・管理する必要があります。
プロジェクト管理には多くの項目があるため、項目ごとに整理しなければ情報が入り混じり、混乱の原因となります。さらに、関連する情報は一か所に集約し、いつでも最新情報へアクセスできる体制を整えるべきです。また、仮にプロジェクト管理が計画通りに進行していない場合は、適宜タスクの担当者を変えるなどの柔軟な対応をしましょう。
④終結(振り返り・改善)
最後に、プロジェクト管理全体の振り返りと改善行動をします。
プロジェクト管理で出た課題と解決策を報告書に記載しておけば、次回以降のプロジェクトに生かす材料となります。そして、社員間でのコミュニケーションを図るためにも、振り返りのミーティングを設けるのも大切です。
以上のように、ひとつのプロジェクト管理に対して振り返りをすれば、良かった点や問題点が明確になり、より効果的な施策を示せるようになるのです。
プロジェクト管理を行う目的
プロジェクトを成功に導く
プロジェクト管理における最大の目的は、プロジェクトを成功に導くことです。
タスクを洗い出し、作業工程やスケジュールを明確にすれば「期限までにタスクが終わらない」心配がありません。加えて、最終目標とマイルストーンを設定することで、目標からの逆算がしやすくなるのでパフォーマンスも向上します。
また、社員のパフォーマンスが向上すれば、タスクへのモチベーションも上がりやすくなります。このような好循環が生まれることで、プロジェクトの成功へつながりやすくなります。
常に進捗状況を把握する
プロジェクト管理には、常に進捗状況を把握する目的もあります。
プロジェクト管理を行うことで「タスクがスケジュール通り進んでいるか」を瞬時に確かめられます。その結果、仮にタスクの進捗が遅れている場合でも、ほかのメンバーにタスクを振り分けるなどの柔軟な対応が可能になります。したがって、最新情報をリアルタイムで把握して適切な判断をするためにも、常にプロジェクトの進捗度合いに対してアンテナを張ることが大切です。
プロジェクト管理を成功させるためのポイントやコツ
プロジェクト全体を把握する
ひとつの項目を管理するのに集中しすぎると、全体像が掴めなくなり最終的なゴールへの道筋を見失う恐れがあります。そのため、あらかじめプロジェクトの全体像を把握してから、各タスクの詳細や予算を整理しておくことが大切です。
また、メンバーのスキルとタスク難易度が乖離するのを防ぐためにも、メンバーと活発にコミュニケーションをとり、性格や能力を把握してからタスクをアサインしましょう。
業務の工程を細分化する
プロジェクトは多くの業務から成り立っているため、一度にすべてのタスクを完了するのは難しいケースもあります。しかし、業務工程を細分化すればやるべきことがより明確になるので、長期のプロジェクトでも目標を見失う心配がありません。また、各タスクの進捗状況も確かめやすくなることから、万が一タスクが遅れていても迅速な判断ができます。
自社に合った予算を見積もる
ステークホルダー管理を行う
情報共有やバージョンの管理を忘れない
プロジェクト管理の「項目」へのツールのアプローチ
プロジェクト管理の肝である「項目」は、プロジェクト管理ツールにとっても肝になります。どの「項目」を標準で用意し、個別の要件に合わせるための柔軟性をどうするのか、その辺りがツールの悩みどころです。
特に悩ましい柔軟性については、次の2つのアプローチが考えられます。
・標準項目にないけど必要な項目は追加できるようにする。
・標準項目にあるけど不要な項目は削除できるようにする。
OBPMではその2つのアプローチを、いくつかの重要機能において実装しています。
必要な項目を追加できる「汎用項目」
初期のOBPMには「必要な項目を追加できる」という機能はありませんでした。しかし導入事例が増えていくにつれ、各社に個別の重要項目が多様にあることを理解し、柔軟性をもって応えるべきと判断しました。そして「汎用項目」という名の機能として実装しています。
2019年3月現在の最新バージョン(5.5.0)では、次の5つの画面機能において「汎用項目」が用意されています。
・「プロジェクト登録」画面
・「障害登録」画面
・「課題登録」画面
・「リスク登録」画面
・「質問・回答登録」画面
「汎用項目」の画面イメージ
「汎用項目マスタ設定」画面で、追加する項目の選択と、属性の定義を行います。
利用する画面ではこのように表示され、入力することができます。
追加した項目は、OBPMからデータを出力する「汎用データ出力」機能においても出力、保存することができます。
出力データは「Excel形式」「CSV形式」等で保存できますので、プロジェクトデータの分析・統計や、外部システムへのデータ連携の場面においても、追加した項目を標準の項目と同じように扱うことができます。
OBPMではこのようなアプローチで、「標準項目にないけど必要な項目は追加できるようにする」という柔軟性を持たせております。
それでは次に「必要な項目は追加」とは逆の、「不要な項目は削除」についてのアプローチを見ていきましょう。
不要な項目を削除できる「ガントチャート項目」
OBPMでは、進捗管理の要として「ガントチャート」画面を利用します。進捗管理といえば原価管理と並び、プロジェクト管理における肝中の肝です。進捗管理だけに特化したツールが作られるほど、世の需要は高く、またその使い方や管理の仕方は多様でもあります。
OBPMの「ガントチャート」画面は、進捗の推移が「EVMグラフ化」できることを前提に設計され、そのための要素項目はひと通り標準の画面項目として用意されています。しかし会社によっては必ずしも全ての項目が必要ではなく、またその着眼点や焦点も各社で異なるケースがあります。その個別要件に対応するため「ガントチャート」画面では、「不要な項目は削除できる」という2つ目のアプローチを採っています。
「ガントチャート項目」の画面イメージ
「ガントチャート項目設定」画面で、利用する項目の選択を行います。
「ガントチャート」画面では、チェックを付けた項目だけが表示されます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
「項目はプロジェクト管理の肝」であることを判っていただけましたでしょうか。
もし今、御社のプロジェクト管理がうまくいっていない、あるいはもっと向上させたい、という気持ちがおありでしたら、一度、次のように自問してみてはいかがでしょうか。
・プロジェクト初期計画ではどのような「項目」が必要か?
・プロジェクト状況報告ではどのような「項目」が必要か?
・プロジェクト完了報告ではどのような「項目」が必要か?
たかが「項目」ですが、改めて見直してみることで、皆様のプロジェクト管理がより良くなるためのひとつの手掛かりになれば幸いです。
以上、現場からのお話でした。
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