プロジェクト管理を新しいビジネスに活かすためには?(Vol.62)

 2019.09.30  株式会社システムインテグレータ

デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)時代にビジネスは大きく変わってきています。トヨタ自動車:豊田社長は「勝つか負けるかではない。生きるか死ぬかだ!」と自動車業界のCASE・MaaS時代到来に向け、新しいビジネスへの投資アクセルを緩めません。

しかし、誰もやったことのないテクノロジーを新しいビジネスに変えていくためのプロジェクトマネジメントはどのように変わってきているのでしょうか?本ブログでは、プロジェクト管理を新しいビジネスに活かすための手法について考えてみました。

DXで起こる新しいビジネスを経営者はどう考えているのか?どうしたいか?

DXはAI、IoT、RPA、データ活用をビジネスに幅広く取り入れようとしており、自動車業界ではCASEやMaaSなどの新しい技術を使い、モビリティシフトが起こっています。サブスクリプションのような選ばれるクラウドのしくみで、顧客は新しい体験をしてから購買へ向かっていくケースも増えています。少し前になりますが、旅行:トリバゴ、フリマ:メルカリを「たかがスマホのアプリ」と思っていた同業会社が、一気に市場を取られてしまったことを思い出してください。アマゾンやEC事業者が、リアル店舗を閉鎖に追い込んでいる状況もそうです。新しいテクノロジーを使い、既存ビジネスを一気に変えてしまう、これらは「破壊的イノベーター」と呼ばれ、「破壊的テクノロジー」を使うことで、全く新しいアプローチで一気に市場を席捲してしまうのです。

このような全く新しい破壊的イノベーターを経営者はどう見ていて、どう考えているのでしょうか? 一言で表現するなら「脅威」と感じているでしょう。同じやり方ではダメだ!今のビジネスを壊してでも取り入れたい!と緊張感を持って、悩み、考えているのではないでしょうか。 しかし新しいテクノロジーを使った攻めのビジネスは「やってみなわからん!」世界です。 しかもスピード感を出して実行していくには、自社だけの‘自前主義’では難しくなってきています。従来の発想を変え、他社や異業種と組み、イノベーションを起こしていく必要があります。
これらを「オープンイノベーション」と言います。業界の垣根をとって他社と組み、なりふりかまわず異文化と連携して、オープンイノベーションでDXを実現していきたいと経営者は思っているのです。

新しいビジネスを前進させていくために、始めるプロジェクトとは?

このように自前主義にこだわらず、異業種と組んでオープンイノベーションを興していくには「検証するための立上げプロジェクト」から始めていきます。デジタル化のためにやるべきことは的が絞りにくいため、まずは実証実験的なプロジェクトを起こし、新しいテクノロジーがビジネスに使えるかどうか試してみよう!というわけです。これをPoC(Proof of Conceptの略、ピ-オーシーやポック)と呼ばれています。

例えば、製造業の異様検知システムは従来ルールベースの機械が入っており、そこで品質管理が行われています。もしAIを使えば不良品・良品をAIがどんどん学習するため、異常検知の精度が高まり、品質向上だけでなく、製造ラインの人員を減らせ、コスト削減につながるかもしれません。経営者はビジネスとしてこのように考えており、それを実現できるかどうか検証するためにPoCがスタートするのです。

PoCで注意しなければならないプロジェクトマネジメントのポイント その1

AIやIoTのような新しいテクノロジーでPoCを進めていく人は、やはり「IT系の人」がプロジェクトを担当することが多いでしょう。これまでのプロジェクトを担当するPM/PLはQCD(品質・コスト・進捗)を守ることが仕事であり、目的でした。QCDを守れば成功プロジェクトと呼ばれていたのです。これは非常に大事なことです。

ところがPoCにはQCDもありますが、まずはビジネスとして実現できるかどうかを経営者に早く報告することがプロジェクトの目的になります。もっと言うと新しいビジネスとして芽があることが実証できるなら、期間が延びてもいいし、コストが膨らんでもいいかもしれません。品質もまだ製品化する前段階なので、量産レベルの品質は求められません。PoCで重要なことは、何のために作るのか、期待値は何なのか、なぜ予算がついたのかなど、経営者の狙いを自分に問いながら進めていくことです。このように「言われた通りQCDを守りました」では成功と呼べず、「ビジネスとして、どのような結果が出ればいいのか」を経営者と共に考えていくことが、PoCでは重要になってくるのです。

PoCで注意しなければならないプロジェクトマネジメントのポイント その2

PoCの目的を達成したいけど、社内に誰も知見者がいない・・・ということはよくあります。DXの知見者がいないので、プロジェクトメンバーは試行錯誤しながら自ら学び・実践していくわけですが、思い通りに開発は進みません。自社技術で行き詰まってしまうからです。そうならないようにPoCの計画段階で、自社の他部門、社外ベンダー、スタートアップ企業と連携をしていかないと、オープンイノベーションのプロジェクトは目的を達成できません。つまりプロジェクトの内側だけでなく外側(自社の他部門、社外ベンダー、スタートアップ企業など)をマネジメントする力=リーダーシップが、とても必要になってくるのです。

リーダーシップはみなさまの立場や部門によっても変わってきます。例えばR&D部門、IT部門、ITベンダーで、それぞれを横断する複数プロジェクトになると、発揮するリーダーシップの力のかけ方が変わってくるはずです。そこに内側・外側の経営者、業務部門、IT部門、ベンダーやサブライヤーなど、プロジェクトの果たす役割から様々なステークホルダーが登場します。このように単一プロジェクト、単一ステークホルダーから、複数プロジェクト、複数ステークホルダーが当たり前になってきており、ビジネス視点でプロジェクトを考えなければならない時代になってきているのです。

新しいビジネスで必要とされるプロジェクト管理のフレームワークとは?

そのためにもっと上位概念の戦略ビジネス、テクニカル、組織の壁を超えるリーダーシップが必要になってくると言われています。つまり一般社団法人PMI日本法人がプロジェクトマネジメントの実務ガイドとして提唱してきた‘PMBOK’のテクニカルマネジメントだけでは、これからの時代、DXを実現していくためには足らないということなのです。

それらを実現するためのフレームワークに「タレントトライアングル」が脚光を浴びています。 PMIが提唱している新しい考え方ですが、大きく3つの領域から構成されます。

タレントトライアングル

  • テクニカル・プロジェクトマネジメント
  • リーダーシップ
  • 戦略的ビジネスマネジメント

このフレームワークにはビジネスに直結するPoCのようなプロジェクトをうまくマネジメントする技術的なスキル、チームをまとめ上げるリーダーシップ、業務知識や分析のために必要なビジネス関連のスキルが詳しく記載されています。PMBOKのやり方も重要ですし、以前からあった上位概念:プログラムマネジメントや、ベネフィッツマネジメント(BRM)も重要です。

しかし前述したような背景から、新しいイノベーションを起こすためには、新しいフレームワークや新しいやり方が必要になってきているということをPMIは気づいたのです。本ブログでは詳しく記載しませんが、タレントトライアングルは非常によい考え方ですので、新しいビジネスのプロジェクト管理として取り入れてみてください。(一般社団法人PMI日本法人編著 タレントトライアングル 評言社から1,800円(税別)で出版中。とてもためになる本です!)

まとめ プロジェクト管理を新しいビジネスに活かすためには?

DX時代に入り、日本を取り巻く環境は大きく変わってきています。秩序、ルール、安定志向、成功体験、前例踏襲、技術根性論、年功序列、終身雇用、序列社会、新卒一括採用などがこれまでの強みだった日本企業ですが、今では経営の足かせになってきているのも事実です。企業は生き物です。「生きるか死ぬか」という局面を迎えている会社はあるはずです。そのためにも新しいビジネス・イノベーションにチャレンジしていかなくてはなりません。そしてそれはITなくしてはできないですし、ITの人は、変革を支える新しい役割を求められているのです。
考えてみてください。経営・マネジメント・現場・データの4つの視点が持てるのはIT部門だけなんです。新しいビジネスはIT部門のPM/PLが上記のようなフレームワークを持ち、理論武装して、経営者と一緒にビジネス視点で考えて、プロジェクトを進めていくべきなのです。

従来の既存システムは問題なく動いているので何も困っていないという人は必ず社内にいます。変革プロジェクトには必ず敵はいます。しかし一方で変えたいと思っている人もいます。
PM/PLが経営者や内側・外側を巻き込んで成功に導くことが、これからの新しいビジネスに必要なプロジェクト管理ではないでしょうか?

我流のやり方から、体系化された枠組みを学ぶために、外に出て交流する、発信することも大事でしょう。タレントマネジメントのような新しいフレームワークを習得して、外部と連携構築を増やし、みなさんが破壊する側にまわってみましょう。

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