新型コロナウイルス(COVID-19)の影響もあり、リモートワークが急速に企業に普及しました。この先、徐々に新型コロナウイルスが終息に向かって行ったとしても新たな働き方として定着するのは間違いありません。プロジェクトも従来のやり方ではなく、リモートワークに対応した進め方や管理が必要になります。
プロジェクトメンバーも従来通りの生産性を確保していかないといけないですし、管理者はコミュニケーションがとりにくい中でプロジェクトメンバーの状況を把握しつつ、採算や進捗などのプロジェクト管理をしなければなりません。リモートワークになってからプロジェクト管理を見直しする企業も多いのではないでしょうか。
そこで本ブログでは、リモートワークでのプロジェクト管理のポイントや弊社のプロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM (以下、OBPM)」を使った弊社の取組などを紹介します。
リモートワークとは?
まず本題に入る前に皆さんに聞きたいと思います。
リモートワークとテレワークの違いは何でしょうか?
そんなのわかりますとおっしゃる方もいるかもしれませんが、ほとんどの方が違いを理解されていないのではないでしょうか。私も社内の数人に聞いたところ答えられた人は1人もいませんでした。正直私も調べるまでわかりませんでした。
結論からお伝えすると、違いはほとんどありません。一つ言えるのが定義されているかされていないかになります。テレワークは、日本テレワーク協会が「情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義していて、1970年代から自治体や省庁、大企業で主に利用されてきました。弊社も2017年総務省主催「テレワーク先駆者百選」に選ばれております。
テレワークには、在宅勤務、モバイルワーク、施設利用型テレワークの3つがあります。在宅勤務といっているのはテレワークの種類なのです。
リモートワークですが、定義は特になくremote(遠く)+work(働く)という意味でテレワークと意味は変わりません。こちらは、IT企業やフリーランスの方が主に利用しています。
テレワークやリモートワークも同じ意味なので状況に応じて利用すれば問題ありません。本ブログでは、弊社もIT企業なのでリモートワークで書きたいと思います。
リモートワークで見えてきたプロジェクト管理の課題
プロジェクト管理については、従来から課題を抱える企業が多く下記のようなことをよく聞きます。
- 突然赤字や進捗遅延が発覚する
- ○○さんでないとわからないなど属人化している
- メンバーの負荷状況がわからない
- 社内に報告するための集計作業に時間がかかる
ほんの一例ですが、昨今働き方改革や生産性向上、同一労働同一賃金などにより労働環境は変化しています。何とか従来の方法で管理できていたかもしれませんが、ここに新型コロナウイルスによりリモートワークでの作業が余儀なくされることで、上記に加えて
- メンバーの精神的・身体的状況がわかりにくい
- コミュニケーションがとりにくい
- 生産性が下がってしまう
- コスト超過、進捗遅延、品質低下のリスク
などが加わりました。特にリモートワークにおけるプロジェクトのコミュニケーションに関する課題は多くの企業から聞きます。今までは同じ場所に一緒にいるので、メンバーの様子や表情を確認することもできましたし、気になれば会話やMTGを開いて状況を確認することができました。
リモートワークでもWEB会議、電話、メールなどでコミュニケーションはできますが、対面でしか感じ取れないことも多いというのがリモートワークでのプロジェクト管理の重要なポイントの一つだと思います。
リモートワークでのプロジェクト管理の課題を解決するためにも早急に現場だけではなく組織としてリモートワークに対応したプロジェクト管理を強化する必要性がでてきました。
リモートワークで押さえるべきプロジェクト管理のポイント
リモートワークでプロジェクト管理を成功に導くために押さえておくべきポイントを弊社の事例を交えてご紹介します。
プロジェクトの見える化
リモートワークだからこそ状況を共有して見えるようにしなければなりません。個人のローカルでの管理やメール添付などのやり方では状況把握が難しくプロジェクト管理はうまくいきません。
例えば、全社統一のツールで管理することで見える化する、スケジュールを細かく登録して共有する、チャットを活用してメンバーで共有するなどを実施して問題発生時の早期解決・対応の為にも各プロジェクトはもちろんですが全社でプロジェクトの見える化を進めることが重要です。
弊社では、統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM (以下、OBPM)」を利用しています。原価・採算、進捗、要員、課題、リスクなどプロジェクト管理に必要な機能が網羅されています。全プロジェクトがOBPMに登録されているので、各プロジェクトメンバーはOBPMに情報を登録すれば、PM/PLが情報を確認できますし、部門長は自部門、経営層は全社の状況も確認することが可能です。コスト超過や進捗遅延プロジェクトに対してアラート機能もあるので早々のリカバリーも可能です。工数の予実管理もできるので各メンバーの負荷状況や稼働率、生産性も把握できます。
コミュニケーションを活発に行う
リモートワークでは、場所、時間、距離などの制約がなく自由度の高い仕事が可能になります。しかし、コミュニケーションはメールやチャットなどの文字が中心になりがちです。誤解が生じたり、説明の手間が増えたり、連携が難しくなったりという事態が起こり、プロジェクト管理が難しくなります。また、在宅業務での業務環境やストレスも把握しにくいのでメンバーの精神面や体調面を確認するのが難しくなります。
解決するためには、よりコミュニケーションを活発に行うことが大切です。例えば、オンラインミーティングを実施する、業務の始業・終了の連絡を行う、朝礼や夕礼など5分MTGを実施するなど、プロジェクトによって適当な頻度は異なりますが、定期的にメンバーとコミュニケーションをとることでリモートワークでの疎外感を少なくし、連帯感の強化につながります。
弊社では、プロジェクト週報をOBPMで行います。定量情報と定性情報の両面で報告を行います。定量情報は各メンバーが日々入力している情報が集まっているので、集計の手間もありません。また、個人日報機能もありますので、各メンバーとコミュニケーションを取り精神面のフォローを行います。質問・回答管理機能もあるので、メンバーでコミュニケーションを取ることもできます。ステータスで絞り込みもできるのでとても便利です。
OBPM以外のTeamsやSharePointなども利用したコミュニケーションを実施してプロジェクト管理を強化しています。
プロジェクト管理の標準化
リモートワークでもプロジェクトでは、予算と進捗を意識しつつ、生産性を高め、品質も確保していかなければなりません。属人化していては、リモートワークではまさにブラックボックス状態となりプロジェクト管理もうまくいきません。ここで重要なのは、プロジェクト管理を標準化することです。
例えば、部門や製品ごとに標準のWBSを作成する、リスクチェックシートを整備する、レビュー項目を定めるなどすることで、特定のできるPM/PLに頼ることなく組織でプロジェクト管理を強化することを目指す必要があります。
OBPMでは、ドメインという標準化機能があります。WBSや進捗率、リスク項目、品質レビュー項目など17項目を開発手法や製品、顧客などに応じてテンプレート化することができます。弊社はドメインを常にブラッシュアップしています。ドメインを活用することにより、リモートワークでもテンプレートに従って計画を進められるので、余計な工数を増やすことなくプロジェクト管理を実現しています。
リモートワークで押さえるべきプロジェクト管理のポイント さいごに
いかがでしたでしょうか。
リモートワークだからプロジェクト管理を強化しないといけないといったこともありますが、今後取り組んでいかないといけないことも多かったと思います。
弊社でも一部拠点は3月後半からリモートワークとなっていましたが、緊急事態宣言が出た4月から完全リモートワークとなりました。4月後半に全社員にアンケートを実施したところ、プロジェクト管理はOBPMというみんなで1つのシステム上で管理できることで便利だという回答が多く上がりました。モニターがないので大変、子供がいて集中できない、ネット環境が整っていないなどの意見もありましたが、多くの社員が通常業務と同じ業務効率・生産性を確保していると回答しています。今実施するともっと向上していることは間違いありません。
リモートワークが急速に普及したことで、今まさにいろいろな取り組みを実施している企業も多いと思います。
社会や社員の状況も変わりますので、適宜確認・ヒアリングしながら、ルールや環境の整備、改善を実施して自社にもっとも適したプロジェクト管理を強化することが重要です。
リモートワークで押さえるべきプロジェクト管理のポイントであげた3つをまずは意識してできるところから取り組んでいただけると嬉しく思います。
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