~新人プロジェクトリーダー奮闘記 プロジェクト管理 ノート術~ (Vol.60)

 2019.08.20  株式会社システムインテグレータ

プロジェクトの様々な情報を記録するのは大変

新人プロジェクトリーダー『新米太郎』は、新たなプロジェクトのリーダーに任命された。先日、プロジェクトのキックオフを迎え、顧客との要件定義フェーズがスタートした。顧客要件をヒアリングしながら、課題を整理して解決策を模索している。
打合せで話をしたこと、課題の発生要因やその解決のプロセス、最終的な結論など、様々な情報を取りまとめることに必死になっているが、どうも情報の整理が苦手のようだ。

今日は、打合せのメモ取りや、まとめ方、後から過去の経緯などを探しやすい記録のテクニックを身につけるべく、先輩に相談しにきた。

太郎:センパーイ!先日プロジェクトがスタートして、今、要件定義をやっているんですけど、どうも私は情報のまとめ方や記録の取り方、残し方が苦手で、何かうまい方法はないものか悩んでいるんです。先輩はどうやってプロジェクトの打合せ記録や経緯、決定事項などを管理しているんですか?できたら、「ノート術」的なコツのようなものを教えて頂けないでしょうか。

先輩:ノート術? ああ、いいよ。
プロジェクトの情報の記録、まとめ方のコツかぁ、確かにみんな悩むところだよね。
プロジェクトを遂行する上で管理していく情報って、ほんとに大量にあると思う。
それらを全て記録していたのではとても大変だし、何が大切な情報で、何がいらない情報なのか、その切り分けもできていないようでは、後から読み返してみても、何のことやら、全く理解できない情報になってしまうだろうね。
そもそも、どういった経緯だったのか、過去の検討で複数の選択肢はあったのか、誰が最終結論を出したのか。後から利用できない情報であるならば、全くの無意味な記録(労力)になってしまうんだけど、結構あるあるだよねぇ。

太郎:はい、そうなんですよぉ。あれもこれも重要な情報に思えて、なかなか情報を破棄することができず、気づけばダラダラと書き溜めて、後から見ても全然役に立たないことが多いんです。
先輩は、どうやって記録を残して、どうやって情報を整理しているんですか?
後から、「あれ?これってどういった経緯で決まったんだっけ?」とか、「この結論は何が問題だったから課題に挙がって、結局誰が決断したんだっけ?」となった時に、うまく探し出せているんでしょうか?

先輩:まぁねぇ、私の場合は、結構探し出せてるかなぁ。
よし、今日は、私が実際にやっている「ノート術」を太郎君に伝授しよう。
人によって向き不向きもあるし、もっといいやり方もあるかもしれないけど、一例だと思って参考にしてみるといいよ。

太郎:はい、ありがとうございます!!

先輩:まず、太郎君はアナログ派?デジタル派?

太郎:ん?アナログ?デジタル?どういう意味ですか?

先輩:例えば、打合せに参加したとして、自分なりに打合せの内容を記録すると思うんだけど、ノートへ手書きするタイプか、パソコンで入力するタイプか?ってこと。

太郎:あー、そういうことですね、私は断然パソコンで入力するデジタル派です!

先輩:そっか、なら私と同じなので、これからする話がよく分かるかもしれないね。
決してアナログ派がいいとか、デジタル派がいいとか、そういった話ではなくて、デジタル派ならではのメリットやコツがあるから、そこんとこを押さえてくれればいいよ。

太郎:はい。

デジタル派のノート術

先輩:では、私流のデジタル派ノート術のポイントを話していこう。
例えば、今要件定義をやっていると思うけど、その工程の中で情報を記録するシーンを思い出してほしい。

  1. 打合せに臨む前の事前準備(社内打合せ、作戦会議)
  2. 打合せに向けた資料準備(キックオフ資料、要件一覧、課題一覧など)
  3. 打合せ出席(議事の記録、録音、課題の記録、解決の経緯、結論などの記録)
  4. 打合せ後(議事録の作成、課題一覧の整理、宿題事項の作業、社内検討会)
  5. 次回に向けて(1から繰り返し)

こんな作業に分けて考えた時、私が言うノート術が生きるのはここだ。
「1.社内打合せの記録」「3.打合せ出席時の記録(経緯、結論など)」
ようは、打合せなどで話をした内容を記録して、後で必要になった時に、その経緯や結論に至った流れ等を探し出せるようにする、メモのテクニックということ。

太郎:あー、打合せの記録ですね!はい!それ、知りたいっす。
自分も、打合せの記録はできる限り取るようにしています。後で議事録を書かないといけないので、議事録を書くために必要なメモとして取っています。
ですけど、後からそのメモを見ることってあまりないんです。見てもよく分からなくなっていることが多いので。

先輩:そうかぁ、せっかく記録は取っていても、後からあまり使えない情報になって しまっているんだね、それはもったいない。
今も打合せの記録を取る習慣があるのならば、ほんの少しのコツだけで、後からとっても役に立つ情報集にすることができるよ。それが私のノート術さ。

自分のノートと、成果物とは異なるもの

先輩:まず、きちんと理解しておいてほしいのは、プロジェクトで作成する成果物(議事録、課題一覧、要件定義書、見積書、機能一覧などなど)と、自分のノートに記録する内容、目的は全く別なものだということ。
それは、プロジェクトにおける成果物に記載する内容というのは、経緯やら悩み事やら、いつ、誰がどういった発言で出た結論であるとか、そのような途中経過を書くことは少ないと思うんだ。
簡潔に、要件⇒解決方法、課題⇒結論 で書くよね。
議事録についても、決定事項しか記録しない場合が多い。(場合によっては、発言を時系列で記録するケースもなくはないが)
ところが、後からなぜ、その課題の解決方法がこうなったのか?と疑問に思った時、成果物をいくら探してもその経緯を見つけるのは困難だろう。(成果物には結論しか書かれていないため)
いつ課題解決の打合せをしたのか、微かでも記憶があれば、その近辺の議事録を漁って、記録を見つけられるかもしれないが、見つかったらラッキーであって何時間漁っても辿り着けない場合が多いんじゃないかなぁ?

太郎:そうです!打合せの中でどういった経緯でその結論に至ったのか、それを探せないことが多いです。録音していたとしても、全部を聞き直すわけにもいかないので結局諦めることが多いです。

先輩:だから、私のノート術というのは、特に「打合せで会話をした内容を記録する」「書き方を統一することで、後から検索を容易にする」点を一番重要視している。
まぁ、過去の経緯を探す必要がなければ、使わない情報かもしれないけれど、いざとなった時には、一発で探し出せるという、すごい情報集を作るテクニックだ。

太郎:ぜひ、マスターしたいっす!

ノート術には記録のルールが大事

先輩:大層なことを話したけど、実はそれほど難しいことでもない。
コツさえつかめばあとは、自分なりにやりやすく工夫していくといいよ。

先輩:まず、下の例のように、書き方のベースや自分なりのルールをしっかりと決めることが大事になる。
例えば、こんなような記載の例で説明しようか。

■2019/8/15(木) 要件定義1回目(ユーザ:高橋、田中 SI社:小林、近藤)
★外注費管理に関する課題打合せ
  ・一括外注(発注)に関する運用方針の検討
   【課題】新システムにおける購買業務の流れを再確認する
      現状は営業が発注入力をしているが業務負荷が高いため分散したい。
   【結論】ベンダ見積入手のタイミングで、営業事務がシステムへ入力(高橋)
        ⇒営業事務という役割を新たに検討する
        ⇒ベンダ見積は営業が入手
        ⇒ベンダ見積を営業事務へ手渡し(またはメール)し、依頼する。
        ⇒営業事務はあくまでも第三者的立場で機械的にインプットする。
  ・工数委託に関する運用方針の検討
    【課題】・・・・
    【結論】・・・・

要件定義1回目の打合せを実施した際の、私のノートの記録の一部なんだけど、この記録の中で、私なりに書き方のルールを決めているんだ。

  1. プロジェクトごとに単一のテキストメモを作成し、全てを記録する。
  2. 「■で見出しを書き、年月日と、出席者を記録する」
  3. 「★で記載する行には、打合せのテーマを書く」
  4. 「【課題】、【結論】などは、墨付きカッコで囲ってマーキングする
  5. 「⇒で会話の経緯や議論のポイントを記録する」
  6. 「記載する文章や単語は省略せずに後で検索キーにヒットさせる前提で正式名称でちゃんと書く」
  7. 「可能な範囲で、提案者、決定者を記録する」

重要と考えているルールとしてはこのくらいだろうか。
これ以外にも、メモ帳の機能をうまく使って、見出しの色とか、課題の色なんかを変えて、目立つようにしたりもしてるね。

太郎:え?これって、僕が書くメモとそれほど変わりがないような気もしますけど。。。

先輩:ん?そうだよ⁉ だから、難しいことじゃないって言ったよね。
書き方や使ってるツールは特別ではなくて、記録のルールが明確だっていう点が重要なんだよ。自分流の書き方として全ての記録が統一された書き方だから、後で検索しようとしたときに、「自分ならこう記録してるはずだ、このキーワードで記録されているはずだ」で検索にヒットさせることができるんだよ。

太郎:なるほどぉ、自分流の書き方ルールを決めることによって、自分ならこう記録しているはずだから、って検索ができるっていうわけですね。
なんか、聞けば当たり前のように思えますけど、確かに、自分には書き方のルールって、あまり意識がないですね。

先輩:そう、自分しか書かないメモなんだから、自分流の書き方ルールを決めるっていうのが1つめのポイントだね。(ノート術①)

先輩:まだまだポイントがあるので、説明していくよ。
2つ目のポイント(ノート術②)は、打合せの後で、必ず自分のメモを全てチェックすること。打合せ中にはどうしてもきちんとルール通りに記録するのが困難な状況も当然あるから、その時間内はとにかく記録することに専念して、必ず後でルール通りにきちんと整理して書き直しをすることだ。
意外とこれがみんなできてないことが多くて、だから後で使えない一時的メモになってしまうんだ。
もちろん、打合せの後には「議事録」を書くことになるし、書くためのネタとして記録したメモを使うわけなんだけど、議事録を書き終えたことで満足して、自分のメモを放置していないかい?(議事録ができたら用済み的な)
私がさっき、「成果物と自分のノートとは別物」と言ったの覚えてるかい?

太郎:はい、覚えてます。

先輩:議事録はプロジェクトの成果物だから、当然作るんだけど、議事録に記録するものは テーマと結果、課題など、双方で取り決めた記録方式、内容で書くものだよね。
そうすると、自分自身で残しておきたい情報を載せられない場合が多いと思う。
(それが、事の発端とか、経緯、打合せで出た別案、右往左往した事情など)
だから、私のノート術というのは、議事録など、プロジェクトの成果物とは全く別物と考え、自分が残しておきたい情報を全て記録として残し、自分流のルールで書くことによって、後で探しやすい情報集になるっていうこと。

先輩:そのためにも、議事録を作ったらメモはどうでもいいというのではなく、自分の メモも、打合せが終わったらしっかりとルールに則って書き直しをしておくことが重要なことなんだ。やってないでしょ?

太郎:。。。はい。やってません。議事録書いて終わりです。

先輩:例えて言うならば、議事録を書く予定がない打合せがあって、2週間後位に突然、あの時の議事録を書いてくれないか?と求められた場合に、自分のメモを見れば後からでも議事録を書ける位の内容で記録できていたら大したものだと思うよ。

太郎:ひえ~、そんな精度で書くってことですかぁ?もう立派な作品じゃないっすか⁉

先輩:最初は大変だと思うよ。いきなりその精度で書こうとは思わずに、それが目標だと思って、まずはルールを作って、ちゃんと書き方を正して、少しずつ続けてみることだね。
私の場合は、打合せの翌日は必ず最初に自分のメモを清書することから始める。それをすることで、不要な情報を排除して、モヤっとしてる点もあらためて理解することもできるし、頭を整理できる。それから、議事録や課題記録等の作業に着手するね。その方が理解も深まっていて、作業効率が良くなるから。

太郎:な、なるほどー、メモを清書するのが大変な作業に思えてましたけど、そのあとの 作業効率を考えると、結構メリットがあるんですね。

先輩:3つ目のポイント(ノート術③)は、「自分のノートにコピペはしないこと」だ。

太郎:コピペ?ですか?

先輩:そう。例えば、打合せで自分が進行役をやってる場合、なかなか記録も取るのが困難になってくる。そのため、メンバに記録を取らせることもよくあることだ。
その場合に、翌日、ノートを清書するにしても、メンバが記録したメモをベースに自分のメモに写すわけだ。
その際、デジタル派であるがゆえ、他人の文章をそのままコピペで張り付けたらダメだってこと。

太郎:え?ダメなんですか?

先輩:ああ、ダメだ。
自分のメモに対して、他人の文章をコピペするのは絶対やめた方がいい。
最初にも言ったけど、自分流のルールに則って記録したメモだからこそ、後で容易に目的のキーワードを検索することができるという点が肝なんだ。
だから、他人の文章を張り付けてしまった時点で、ルールから逸脱してしまう。それと、コピペでは一切頭に入らないし、記憶にも残らない。
大変だけど、ちゃんと自分なりの理解で、自分の文章でメモに記録するからこそ、後で、「あー、そういえばこの件はメモに記録してあるはずだ」と思い出せるんだ。

太郎:なるほどぉ、深いっすね!

先輩:どう?これが私のノート術だ。 少し参考になったかな?

<ノート術>

  1. 自分流の書き方ルールを決める。
  2. 殴り書きでなく、必ず毎回きちんと清書する。
  3. 他人の文章をコピーせず、きちんと自分の理解と文章で記録する。

いま取っているメモにも、このような考え方をもって記録すれば、必ず後から役立つ情報集になるはずさ。
アナログ派(手帳などの手書き)であっても、自分なりにこのようなルールを決めて効率よく管理してる人も沢山いるんだよ。(文字の色とか、付箋とか、仕事によってノートを分けるとか)

太郎:ありがとうございます。
ルールを決めて、ちゃんと清書したメモとして残すことをこれからやってみようと思います!

先輩:あ、そうそう、最後にもう一つだけ。
太郎君は「ブラインドタッチ」はもちろんできると思うけど、人が話をする速度でタイピングはできるのかい?

太郎:え、はい?ブ、ブラインドタッチっすか?
で、、、できます。 けど、人が話をする速度というのはちょっと。。。

先輩:こればっかりは努力しないとね。
デジタル派というからには、キーボードの入力速度や精度についてもこだわるとより効率よくメモを取ることができるよ。
より早く、正確に、打合せの最中でもきちんと記録ができるようになれば、清書する時間の節約にもなるからね。
頑張んなさい。

太郎:はい。そっちの腕も磨きます!
ありがとうございました。

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