クリティカルパス法を使ったプロジェクト管理とは?
わたしはOBPM(Object Browser PM)の導入支援サービスを始めてもう何年も経ちますが、担当したお客様において、クリティカルパス法 (CPM: Critical Path Method)を使ってスケジュール管理・プロジェクト管理を行っているということを未だ聞いたことがありません。
ですが、クリティカルパス法はプロジェクト管理の教科書であり、お手本なのです。
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)においても、クリティカルパスを用いたスケジュール・ネットワーク図を使って、全てのアクティビティの理論的な最早開始日(ES)と最早終了日(EF)、最遅開始日(LS)、最遅終了日(LF)を求めると示しています。
なぜ?クリティカルパスを使ってプロジェクト管理していないのでしょうか?
クリティカルパスを使わないプロジェクト管理、現場の実態とは?
IT業界特有なのかもしれませんが、事実クリティカルパスを使わなくても、プロジェクト管理ができているプロジェクトはたくさんあります。
進捗遅延が大きくなったプロジェクトは、最遅開始日や最遅終了日を計算しなくてもきちんとスケジュールの見直しができています。
また、納期遅延が発生することなく納品できています。
なぜ?クリティカルパスを使わなくてもプロジェクト管理ができているのでしょうか?
社内へヒアリングをかけてみました。そこで分かったことは、
- タスクごとに日数と工数見積を行うが、最初からぎりぎりで線引きするのではなく、バッファを考慮したスケジュールを作成している。(バッファとなる日数を加味してスケジュールを作成している)
もしくは、納期を実際の納品期限より少し手前において、スケジュールを作成している。
不測の事態が発生したとしてもある程度のスケジュール調整が利くようしている。(図1) - 幾つかのタスクにおいて進捗遅延が発生し始めたら、作業遅れ状況を確認して、現実的なスケジュールに引き直している。
その際、何が原因で作業が遅れているのか。ボトルネックは何か。解消するためにはどうしたら良いか。担当者ときちんと会話して明確にしている。(図2)
その後、対策を講じるためのスケジュール見直しを行っている。
クリティカルとなるタスクを探す・管理するというより、課題やリスク管理をしっかりとやるようにしている。 - タスクや工程が遅れているからと言って全く先に進められないということにはならない。
納期に合わせてタスクの組替えを工夫することで何とか納期厳守でプロジェクトを立て直すようにしている。
遅れ日数や遅れ工数、終了予測日をOBPMで確認しながら、スケジュールの見直しを行っている(図2)
なるほど。。。
クリティカルパスではないですが、クリティカルチェーンを用いたスケジュール管理や課題管理、リスク管理をしっかり行うことでプロジェクト管理をしていたことが分かりました。
クリティカルパスでプロジェクト管理することのメリット
実際クリティカルパスを用いてプロジェクトを管理すると、次のようなメリットがあると言われています。
プロジェクト全体へ影響を与える重要なタスクが明確になる。
タスクはどれも重要で遅れてはいけないものですが、その中でも最も重要なタスクが明確になる。
スケジュールを短縮させるためのタスクが明確になる。
クリティカルな一連のタスク(クリティカルパス)が明確になることで、それらタスクを計画した日数より早く終えることでプロジェクト全体スケジュールに余裕が生まれ、スケジュール短縮に役立てることができる。
効率的なスケジュール管理ができる。
プロジェクト全体で必要となる作業日数と工数を如何に効率よく進めることができるか明確になる。
クリティカルパスをプロジェクト管理で活用する
今後、もっとAI技術が進んだなら、クリティカルパスを用いたスケジュールが自動的に作成され、進捗状況を見ながら自動的にアラートがあがったり、スケジュールの引き直しをしてくれるようなツールやAIを使ったサービスが現れるかもしれません。
本来はAIに甘んじることなく、しっかりとプロジェクト管理することがPLの腕の見せ所なのですが、いつも人手不足といわれているIT業界ではあり得るかもしれませんね。
ですが、重要なのは、何が原因でスケジュールに遅れが発生しているのか。ボトルネックは何か。課題をいち早く見つけ対策を講じていくことが大切であるとわかりました。
これは、AIではなく、現場のPMやPLしかできませんよね。
泥臭いとかスマートでないと言われるかもしれませんが、ここはサボって良いところではないですよね。
また、難易度の高いプロジェクトをしっかり管理して、プロジェクトを成功させることこそがPLの評価、大きな成長につながります。
今回、クリティカルパスを用いたスケジュール管理についてふれましたが、感覚的にできていることをこうやってある理論に基づくことでもっと精度があがり、多角的な視点でプロジェクト管理できるような気がしませんか。
便利なプロジェクト管理技法としてクリティカルパスを活用して、成功プロジェクトを増やしていきましょう!
なお、プロジェクト管理力強化につながるポイントをまとめた資料もご用意していますので、こちらもぜひご活用ください。
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