新人プロジェクトリーダー『新米太郎』は、昨年に引き続き、自身のプロジェクト管理をこなしつつ、プロジェクトマネジメントスキルを磨くべく、日々奮闘しているようだ。
今日は、プロジェクトマネジメントスキルを向上させるため、「プロジェクト管理と研修の関係」について何やら先輩に聞きたい様子。
プロジェクト管理と研修の重要性
太郎:センパーイ!
私は、まだまだプロジェクト管理のスキルを磨いていきたいと思っているのですが、有益な「研修」のようなものってあるのでしょうか?それとも、そもそもプロジェクト管理のノウハウは研修で学ぶものではなく、実践を積み重ねて身に付ける他ないのでしょうか?
先輩:プロジェクト管理スキルの向上かぁ。
実践を積み重ねていくことはもちろん重要ではあるけど、実は「研修」も非常に重要なんだよ。社外のプロジェクト管理系の講習会に参加することはもちろん有益だよ。PMPの知識や一般的な管理手法など、学べることは沢山あると思う。
でも、まずは自分の会社で実施している「社内の研修」に参加して、PLに求められる責任や、やるべきこと、ルールについてきちんと理解する方が先かもしれないね。
会社が各役職者に対して求める業務、管理すべき事、守るべきルールを決めているし、それを理解してきちんと管理業務を遂行することが基本になるはずだ。
その基本を理解したうえで、社外セミナーなどで学んだノウハウを「応用」として活用できるならば、なおいいだろうね。
では、今日は、「社内におけるプロジェクト管理と研修の重要性」について少し話をしようか。
太郎:なるほど、まずは社内のルールを学ぶための研修ですね、ハイ、よろしくお願いします!
社内で実施される研修とは
先輩:自社で実施される研修には主に以下のようなものがあるよね。
もちろん、会社によってそれぞれだろうけど、うちの会社ではこのような研修が用意されているんだ。
管理職向け
- 部長研修
- マネージャー研修
新入社員向け
- ビジネス基礎研修
- 技術教育
- 業務知識
リーダー職向け
- 新任プロジェクトリーダー研修
- 若年層フォローアップ研修
その他
- プレゼンテーション研修
- リーダーシップ研修
- コミュニケーション研修
- チームビルディング研修
太郎:あぁ、社内研修って、まとめて見てみるとこんなにあるんですね。
先輩:そうなんだ。それぞれの役職や、スキルレベルに応じて受講が義務付けられている研修もあれば、希望すれば自由に受講できるものなど、結構色々とあるんだよ。
全部の研修を並べればもっと沢山あるんだけど、今日は代表的な研修に絞って話をするね。
先輩:それぞれの研修の主な対象者や、研修内容を簡単に確認してみようか。
そのうえで、太郎君にとって今必要な研修を受講するのがスキルアップに繋がるんじゃないかな。
太郎:はい、そうですね、まずはそれぞれの研修の内容を理解して、自分が参加すべきものを確認します。受講したはずの研修もあると思いますが、既に忘れてしまっているものもあると思います。
代表的な社内研修の概要
部長研修
【対象者】部長・室長
【内容】部長の役割を理解し、部を発展させるための意識、スキルを身につける。
取締役への最有力候補としての自覚をもって、当社の取締役に昇格するために何が必要かを考えるための研修。
先輩:部長研修は部門を発展させるために何が必要なのか、部長としてどう考えればいいのかを学ぶための研修だから、今の太郎君には該当しないね。
太郎:はい、まだまだ早すぎですね。
マネージャー研修
【対象者】マネージャー(ライン管理職)
【内容】ラインマネージャーとしての役割を理解し、チームのアクションプランを推進。
チームメンバの育成を行うためのマネジメント力向上を目的とした研修。
先輩:ここで対象としているマネージャーとは、プロジェクトのPMではなくて、ライン管理職のマネージャーを指しているんだ。
だから、チームメンバの育成や、リソースの調達、チーム予算の策定と達成など管理する対象が個々のプロジェクトではなく、チーム全体を管理する立場になる。
過去にプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーを経験し、個々の案件の売上やコストを理解したうえで、チーム(部)全体の売上等の達成を目指すことが責務になってくる。
そのためにも、部下を育てたり、ケアしたり、チーム全体の雰囲気づくりなどにも責任を負うような立場になるんだよ。
将来の部長候補でもあるから、部長に昇格するための修行と言ってもいいかもね。
太郎君も将来管理職を目指すならば、次のステップがここになるのかな。
太郎:なるほど、プロジェクトマネージャーではなく、ライン管理職のマネージャーになるとやはり持つべき業務や責任が大きく変わってくるんですね、だからこそ特別な研修が必要になるっていうことですね。僕はいつになるのかなぁ。
ビジネス基礎研修・技術教育・業務知識研修
【対象者】新入社員
【内容】新入社員向けのスタートアップ研修やOJT
ビジネスマンとしてのマナーやビジネス文書、コミュニケーション、プレゼン、基礎的なプログラミング技術、データベース、製品知識、業務知識を身につけるための研修。
先輩:まぁ、これは太郎君も新入社員の時に受講した研修だよね。
今となっては理解している内容だと思うので特に説明は省くね。
太郎:は、はい。入社した時にやりました。(少し自信ないところもあるけど・・・今は黙っとこ)
新任プロジェクトリーダー研修
【対象者】新任PL
【内容】プロジェクト管理の入門研修。
プロジェクトリーダー(PL)の役割や管理すべきことを理解するための研修。
OBPM活用術を学び、管理ルールを理解する。
過去の失敗プロジェクトを事例に、その問題点を読み解き、管理すべきポイントを身につける実践的な内容となっている。
先輩:これが、太郎君にとって有益になる研修の一つだね。
今プロジェクトリーダー(PL)をやっているということは、当時この研修を受講したことがあると思うけど、正直言って1度の研修だけで全て理解し、実践するなんてことはできないと僕は思っている。
だから、このような研修を受講して、その後実践し、成功と失敗を繰り返す中で繰り返しこのような研修で復習、おさらいをするっていうのも非常に有効なことだと思うよ。
太郎:なるほど、確かに以前受講したことを覚えています。
でも、当時はプロジェクトリーダーになりたてだったので、正直受講した内容はその場で理解していたつもりでも、いざ実践となったらその通りに行かなくて(涙)。
その後は他の先輩の真似をしたり、何となくプロジェクトリーダーをやっていたのかもしれません。「学び」、「実践して」、「振り返る」を繰り返すことで徐々に実践力を身に付けていくのがよさそうですね。
今なら、当時よりも深い学びになるかもしれないので、ぜひまた受講してみようと思います。
先輩:そうだね、良いと思うよ。
若年層フォローアップ研修
【対象者】若年層(3年~5年)、新任PL
【内容】入社からの振り返りと今後のキャリアパスの見直し。
これまでの成長を棚卸しして、今後の目標達成に向けたギャップを認識。
自身の不足スキルを理解し、今後それを解決するための方法まで落とし込む。
先輩:それから、太郎君にとっては、これも重要な研修だと思うよ。
普段、なかなか過去を振り返ったり、将来の自分を考える機会って少ないよね。
今がプロジェクトリーダーであるならば、これまでどのようなスキルを身につけて来たのか、将来どういう立場になっていきたいのか、そして、そのためには今後どのようなスキルを身につけて、何を乗り越えていくのか、そのための具体的な活動はどう考えればいいのか、という研修だ。ただ闇雲に日々の作業をこなすのと、目的意識をもって仕事をするのとでは1年後の自分が大きく変わってくるものさ。
太郎:うーん、そうですね。
例えば、僕が将来ラインマネージャーになりたいと思っているならば、あと何年でどのようなスキルを身につける必要があるとか、そのために今考えることとか、中長期を見据えた目標や活動計画を立てることが大切だってことですよね。
そういうことって一人で考えるのはとても難しいと思っているので、研修を受講することで、これまでの経験を棚卸して、第三者からの指摘、足りてないスキルなどを改めて認識するのが大切ってことっすね。深いっす!これも受講します!
その他
【対象者】新任PL、PL(希望者)
【内容】それぞれのテーマに合った専門的研修。
自身が身につけ(強化し)たい研修テーマへの自由参加。
先輩:まぁ、この辺の研修については自分にとって必要だと思ったものに自由参加すればいいんだけど、受講判断をするためにも、さっき話をした、これからの自分にとってどういったスキル強化が必要なのかを理解している必要があるよね。
ただ研修があるからって、端から端までただ参加してもなかなか身に付くものでもない。やっぱり、目的意識をもって必要な研修に参加するのがいろんな意味で「効率的」だと思うよ。
太郎:はい、そうですね、今の自分に足りないスキルや、将来目指すべきものを理解してそれに必要な研修を選択するのが、時間の節約にもなるし、目的意識があるからこそしっかりと身になる時間にすることができるってことですね。
ということは、社外の研修に参加するっていうことも、視点は同じと思っていいんですよね?
先輩:うん、そうだね。特に社外の研修となれば、自社のルールとは異なる内容だから、このような基礎を身につけたうえで、他社ではどうやっているのか、自分が知らないやり方があるのか、それを社内に持ち帰った時、どのように応用していけば効率が良くなるのか、という感じでどんどん幅が広がるんだと思うよ。
社内研修の大切さ
先輩:ところで、このような社内研修が全くなかったとしたら、どうなると思う?
太郎:え?社内研修がなかったらですか?
先輩:そう、例えば、昨年までプロジェクトの一般メンバだったけど、結構優秀だったことから、今年はプロジェクトリーダーをやってもらおう、みたいな人選をするよね。
太郎:はい、そんな感じですね。
先輩:プロジェクトメンバの時代にどれだけ優秀であっても、プロジェクトリーダーになると、役割も責任も大きく変わってくるから、引き続き同じように優秀さを発揮できるとは限らないんだ。
だってそうだろう?リーダーとしてやるべきことや、守るべきルール、背負う義務なんてものは、どこからか学ばなければ知り得ないんだから。
プロジェクト管理の何たるかを知らない人に、「見様見真似」でやらせてみて、放置してたら、失敗して当たり前だと思わないかい?
太郎:なるほど、確かに、何を管理したらいいのかを知らずにやることになるんですね。
それは失敗する確率高そうですよね。
先輩:そう。それなのに、失敗したら怒ったり、叱ったり、期待外れだと諦めたりしたら、おかしいと思わないかい?
何も教育をしていない新任PLが成功する方が特別なことであって、普通の新任PLなら、失敗することが当然だと僕は思うんだ。
太郎:そうですね、先輩いいこと言いますね!
先輩:そういう理由もあって、うちの会社では、新任PLにはきちんと最初にプロジェクトリーダーとしての基礎教育をやることに決めたんだ。
それから、さっきも言ったように、一度研修を受けたからと言って実践できるわけではない。だから、新任PLの1年目は特に周りがしっかりとケアをするという体制も大切になってくるんだよ。
太郎:あぁ、それ、わかります!
私の最初のプロジェクトの時にも、沢山の先輩がサポートしてくれました。
あれがそういうことだったんですね。感謝です。
先輩:ということで、どんなに優秀な人に見えても、役割や責任など、役職が変わった時っていうのは、誰しもその時点では、その分野における新人だっていうことさ。
だからこそ、最初の基礎教育が重要になってくる。
それはプロジェクトリーダーに限ったことではなくて、ラインマネージャー然り、部長然りというわけさ。
基礎教育⇒実践⇒振り返り⇒不足を補う活動
この繰り返しが大切だと思う。
これを知ったうえで、社内研修でも社外研修でも、自分自身が有益だと思えば受講するといいんじゃないかな。きっと身に付くさ。
太郎:すごく理解できました。
私も、もう一度よく考えて、自分自身で有益だと思う研修を受講してみることにします。
プロジェクトリーダーに求められるスキル
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担当領域に関する知識
プロジェクトリーダーになった場合、エンジニアとしてチーム内で発生した課題を解決する高度な技術スキルが求められるシーンが増加します。自分のチームの担当領域における知識・スキルを深め、チームのメンバーを助けられるレベルに達することが必要です。
指導力
プロジェクトリーダーはチームの担当範囲に責任を持ち、評価対象となるのもチームの成果です。チームで成果を出すためには、チームメンバー全員が力を発揮することが近道となります。このため、プロジェクトリーダーはチームメンバー各々が活躍できるよう指導するスキルも求められます。
指導にはコーチング、ティーチングといった種類があり、必要に応じて使い分けます。
コーチングスキル
コーチングは相手に対し自発的な行動をうながす指導方法です。相手の持っている能力や自律的な行動を引き出し、成果に繋げます。プロジェクトリーダーにはメンバーにコーチングを行い、活躍と成長を促すコーチングスキルも必要となります。
ティーチングスキル
ティーチングは相手に知識やノウハウを伝える指導方法です。例えば、業務手順などは自主性を促すよりも、相手に理解できるようやり方を教えることが先決でしょう。このように、情報を相手に理解できるように伝えるティーチングスキルも指導力には含まれます。
ティーチングで情報を伝え、コーチングで引き出した能力、自律的な行動で成果に繋がるよう指導するという関係です。
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