プロジェクト管理を強化していくうえでマニュアルを作成し、用意することは非常に重要です。
しかし、きちんとしたマニュアルを作成し、用意するにはそれなりの時間と労力が必要となります。それゆえに対応が遅れる、もしくは避けられる傾向にあります。
きちんとしたマニュアルを作成し、用意することがプロジェクト管理の強化にとってなぜ重要なのでしょうか。マニュアルを用意することによってプロジェクト管理の強化にもたらすメリットはあるのでしょうか。また、どのような点に留意して作成する必要があるのでしょうか。
今回は、マニュアルの重要性と作成する際のポイントについてご説明します。
マニュアル作成の重要性
みなさんはプロジェクト管理を強化するマニュアルと聞いてどのようなマニュアルをイメージするでしょうか。
よくあるマニュアルを挙げると以下のようなマニュアルが並びます。
- 操作手順書
- 運用ルール
- OBPMの利用フロー
- 業務運用フロー
- システム間のIFフロー
- 帳票類一覧
- 運用の新旧比較表
- 用語集
これらのマニュアルは、いわゆる運用マニュアルになります。
この運用マニュアルを作成する目的は、読み手にこちらの意図した通りに使用してもらうためです。
プロジェクト管理を強化するうえでも、管理手法を示したマニュアルを用意することでこちらの意図したプロジェクト管理に導くことが可能になります。
しかし、マニュアルを一から作成するとなると、それなりの時間と労力が必要となります。
また、マニュアルがなくても運用自体は開始できるためプロジェクト管理の強化に”必須”と言い切れない部分でもあります。
これらが相まってマニュアルがきちんと準備/整備されていない状態をよく目の当たりにします。
この状態で運用を進めると、定着が遅く、思うようにプロジェクト管理の強化が進みません。
なぜなら、プロジェクト管理をしている担当者の中で ”改善” がなされないからです。
事務局が担当者にむけてプロジェクト管理の強化を一生懸命にアナウンスしても、マニュアルがなく、すべて口頭によるアナウンスであれば担当者間の理解にギャップが生じます(また、10人いれば10人の理解が生まれます)。
その結果、担当者によって事務局としては意図していないプロジェクト管理の運用が行われます。
事務局によって再度口頭によるアナウンスとフォローが行われますが、これにより新たなギャップが生まれ、同じ事の繰り返し、負のスパイラルに陥ってしまいます。
しらみつぶしに根気よくアナウンスすることで徐々に定着に向かうことは可能です。ですがパフォーマンスがよいとは言えません。
そこでマニュアルを作成し、担当者の手元に用意しておくことで、マニュアルさえ見ればこちらの意図した通りに使用することができる環境を作ります。
それでも誤った使用をしている部分は、マニュアルから漏れている部分になります。
漏れている部分は定期的にマニュアルを更新し、担当者にアナウンスすることが必要です。
マニュアルを更新していくことで漏れをなくし、誤った使用の元凶を潰していきます。
これらを繰り返すことで担当者の中で改善が進み、事務局から前回と同じ指摘をされることが減っていきます。
同じ指摘をしなくて済むことで事務局が定期的にチェックする数、つまり手間が減ります。
相乗効果でプロジェクト管理の強化を効率的に定着させることが可能になります。
これらの理由からプロジェクト管理を強化していくにあたって、マニュアルを作成/更新していくことがプロジェクト管理強化の早道でもあり、重要なのです。
ここまでの話をすると必ず、マニュアルを作っても見ない担当者がいると言われる方がおられます。担当者がマニュアルを見ない理由は、見る労力とその見返り(効果)が見合っていないためです。
担当者からしたら、実務に追われている中でマニュアルを開いて読むという行為は時間がかかり、面倒に思えて不思議ではありません。
そんな心境でマニュアルを見たときに、冗長で分かりづらい、さらに欲しい情報が記載されていないとなれば「せっかくマニュアル読んだのに結局なにも分からない。読んだ時間を返せ!」となり、それ以降、マニュアルを見なくなります(これがマニュアル離れの元凶)。
ですから、マニュアルはただ用意して定期的に更新していけばいいという話ではありません。
見る人にとってそれだけ有益なものである必要があります。
少なくともマニュアルを見る労力≦その見返り(効果)の関係性になる必要があり、見やすさや求めている情報を記載するように心がける配慮が重要になります。
では、どのような点に気を付けてマニュアルを作成したらよいでしょうか。
次の章でご紹介します。
プロジェクト管理 マニュアル作成の4つのポイント
マニュアルを作成するうえでの大原則は、見やすい/読みやすい/迷わない の3つだと個人的に考えています。
それぞれ以下のような観点になります。
見やすい
視覚的な見やすさ(配色/文字サイズ/位置等)、イメージのしやすさ(図表等の分かりやすさ)
読みやすい
文章の読みやすさ(冗長な文ではなく、端的明瞭で頭にスッと入ってくること)
迷わない
抜け漏れなく手順等が明確に記載されていること
この大原則を踏まえて以下4つのポイントをご紹介します。
- ターゲットを明確にする
- 迷わないマニュアルにする
- 各マニュアルの関連性が分かるようにする
- 新旧の運用の違いが分かるようにする
1つ目の”ターゲットを明確にする”というのは、何を目的とし、だれのためのマニュアルなのかを明確にすることです。
漠然としたイメージのままマニュアルを作成すると、伝えたいことが散漫し、なにを書いているのか釈然としないマニュアルができあがります。
それを防ぐために、何を目的とし、だれのためのマニュアルなのかを事前に明確にしておくことが重要です。
たとえば操作手順書を作成する場合、操作手順のみを記載し、それ以外の関係ない説明は記載しないことが挙げられます。
また、手順書の中でも役割に応じたものであれば、役割ごとに操作手順書を分けることも挙げられます。
2つ目の”迷わないマニュアルにする”というのは、読み手がどうにでも解釈できる玉虫色のマニュアルを作らないということです。
操作手順書なのに操作手順が分からない手順書というのは存在します(冗談のような話ですが、、、)
はじめて見る人が困らないよう懇切丁寧に手順を記載する必要があります。
3つ目の”各マニュアルの関連性が分かるようにする”というのは、それぞれ独立しているマニュアルに対して関連をつけてあげることです。
たとえば、運用ルールを見てもこれがどの手順書に影響しているのか、直感的に分からないことが多いです。
そこで、「運用ルールの項番●●は、操作手順書の第XX章、運用フローの△△部分に該当する」
といったように関連している部分が分かるように明記することで理解が進みます。
最後の”新旧の運用の違いが分かるようにする”というのは、新たな運用を開始する前後でどのように変わるのか差分を整理しておくことです。
運用が変わると担当者は少なからず戸惑い、不安になります。
事務局としては、この点をしっかり説明し、フォローする必要がありますが説明不足などで対応が不十分になると担当者の不安は不満に変わり、定着離れを起こします。
これを防ぐためにもマニュアルを用意しておくことは重要です。
以上の4つのポイントを意識してマニュアルを作成してみましょう。
プロジェクト管理のマニュアル作成 最後に(まとめ)
いかがでしたでしょうか。 今回は、マニュアルの作成について重要性と作成する際のポイントをご紹介しました。 整理すると、
- マニュアルを更新していくことで同じ誤り(指摘)を減らすことができ、現場と事務局の相乗効果が見込まれる。その結果、定着が早くなる。
- マニュアルは、見る労力≦見返り(効果)の関係性になっている必要がある。
- マニュアルの大原則は、見やすい/読みやすい/迷わない の3つ
- 具体的な4つのポイントは以下
- ターゲットを明確にする
- 迷わないマニュアルにする
- 各マニュアルの関連性が分かるようにする
- 新旧の運用の違いが分かるようにする
以上を踏まえて担当者から使われる、現場になくてはならないマニュアルを目指しましょう。
最後に貴社のマニュアルはいかがでしょうか。
誰からも使われないマニュアル、更新されずに初版のままのマニュアルなどはありませんか?
作成後も記載漏れや不明確な部分を読み手の意見を取り入れて更新していくことが重要になります。
マニュアルを更新してプロジェクト管理向上を目指しましょう!
また、プロジェクト管理全般に関する資料もご用意していますので、ぜひご活用ください。
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