プロジェクト組織(プロジェクトチーム)とは?一般的な組織との違い

 2018.08.15  株式会社システムインテグレータ

企業において、その業務を遂行するにあたっての組織編成の形態にはいくつか種類があります。プロジェクト型組織、機能型組織、マトリクス型組織と言葉だけでも聞いたことがあるという方は多いでしょう。

今回はこれらの組織が一般的な組織と何が違うのかご紹介します。

プロジェクト組織、機能型組織、マトリクス型組織

それではさっそくそれぞれの組織の概要と特徴をご紹介します。

プロジェクト組織

システム開発などのプロジェクトで最も多い組織形態です。プロジェクトごとに専門スキルを有した人材を各部門から招集し、一つのプロジェクトチームとして組織を形成します。プロジェクトが完了すればチームは解散し、各メンバーはそれぞれの部門に戻ったり別のプロジェクトに参画したりします。加えてプロジェクトマネージャー(プロジェクトリーダー)が配備され、その指示や意思決定に従ってプロジェクトを遂行するのが特徴です。

機能型組織

組織全体が持つ機能を部門ごとに分けて、プロジェクトに対して各部門から適切な人材を割り当てます。恒常的な業務を遂行する企業においては一般的な組織形態でしょう。プロジェクト組織のようにプロジェクト専門のチームを形成するものではないので、プロジェクトに適用するとそれぞれのプロジェクト間の独立性は自然と弱くなります。

マトリクス型組織

一般的な組織は機能別、事業別、地域別など1つの基準に従って各部門を形成します。マトリクス型組織ではそれに加えてもう1つの基準を取り入れ、2つの基準を組み合わせて部門が形成された組織のことです。

分かりやすく言うとプロジェクト組織と機能型組織を融合したものがマトリクス型組織になります。各人材は機能別部門に所属しながらもプロジェクトメンバーとしてプロジェクトに所属します。そのため、機能別部門での上司とプロジェトマネージャーという2人以上の上長を持つことになります。

このようにプロジェクトを扱う企業では、組織形態によって3つのカテゴリに分類できます。それぞれに概要と特徴が違えば、メリットデメリットもあります。

各組織のメリットとデメリット

ここでは各組織が持つメリットとデメリットをご紹介します。

プロジェクト組織

各部門からプロジェクトメンバーとなる人材を招集するプロジェクト組織は多くのメリットがあります。そのため多くの情報システム会社などはプロジェクト組織に該当します。最も大きなメリットは、環境の変化に柔軟かつ迅速に対応できることです。プロジェクトは基本的に途中での仕様変更などが発生しやすいことから、高い柔軟性が求められます。しかし、機能型組織やマトリクス型組織はその変更に対応しづらいという側面があるので、プロジェクトに最も適しているのがプロジェクト組織なのです。

その理由は、プロジェクトメンバーが一つの組織としてまとまることから一体感が生まれやすく、コミュニケーションも容易なためです。組織としての情報共有力が高まるので、メンバー全員が柔軟に行動できます。プロジェクトの目的が明確なことからメンバーのモチベーションが高まりやすいというのも一つの要因でしょう。

反対にデメリットは、個々のプロジェクトで管理を実行するため機能部門として蓄積された経験が生かされないことが多いのと、プロジェクト完了後の評価や処遇に不満感を持つことが多いということです。最も注意すべきデメリットは後者でしょう。

プロジェクトごとに組織を管理すると評価基準が曖昧だったり、プロジェクトマネージャーばかりに評価が集中してしまうことが少なくありません。そうした際に他のメンバーから反感を買う可能性が高く、その後のモチベーションに大きく影響します。

機能型組織

プロジェクトを多く走らせる企業に少ない機能型組織ですが、実はメリットが多くあります。第一に、機能部門別にプロジェクトをこなしていくため専門性の高い人材を育てやすいという点です。プロジェクト組織では各メンバーが自身のスキルに関係なく、幅広いタスクを任されることが少なくありません。そのため人材のスキルが広く浅くなるので、専門性の高いスキルを持った人材が育ちづらくなります。

もう一つのメリットは部門内で密なコミュニケーションが取れるという点です。プロジェクト成功にはコミュニケーションの円滑化が欠かせないという観点から考えれば、機能型組織はそれに適したものだと言えます。

デメリットとしてはプロジェクトにおける責任の所在が曖昧になりやすいことと、部門間での人員調整や情報共有に時間がかかりやすいという点でしょう。そのためプロジェクトに明確な指針を立てることが難しく、複数のプロジェクトを並行して遂行する場合などには適しません。

マトリクス型組織

マトリクス型組織は良くも悪くも、プロジェクト組織と機能型組織どちらの特徴も取り入れています。まずメリットは、各人材が機能部門に所属していながらもプロジェクトメンバーとして招集されるため、プロジェクトの独立性が高くなることです。これはプロジェクトの円滑な進行に欠かせない要素なので、機能型部門では実現できないメリットでしょう。

加えて機能部門にも所属しているため専門性の高いスキルを育てつつ、それをプロジェクトに活かせるというメリットがあります。メンバーは機能部門に所属しつつプロジェクトに参画するので、その専門性をプロジェクトに行かすようタスクバランスを考慮できるのも大きな利点です。

一見メリットの多いマトリクス型組織ですが、デメリットに関して十分な対策が必要です。それはマトリクス型組織では各人材が2つ以上の組織に所属するので、指揮系統が複雑になりやすいという点です。プロジェクトマネージャーの権限も強いですし、もちろん機能部門での上司の権限も強いでしょう。そのため、プロジェクトマネージャーはどの部門責任者よりも強い権限を持つ人が適任であり、指揮系統と優先順位をハッキリとさせることが大切です。

以上のように各組織にはメリットもあればデメリットもあります。プロジェクト組織や機能型組織ではリスクは少ないものの、企業にもたらすプラス影響も少ないでしょう。それに対してマトリクス型組織ではリスクこそ多いのですが、それらの対策をしっかりと立てることで多くのプラス影響を得ることもできます。ただしマトリクス型組織では企業のリソースが少ないと実現が難しいので注意しましょう。

どの組織にもプロジェクト管理ツールを

皆さんの企業ではプロジェクトの実行に際し、どの組織タイプを採用していますか?いずれの組織にもメリットデメリットはあるので、何がベストかは一概に決められないものです。ただし共通して言えることは、いずれの組織でもプロジェクト管理ツールを活用することで、より少ないリソースでもプロジェクト成功率を高められるということです。

当社システムインテグレータが提供するプロジェクト管理ツールの“SI Object Browser PM”は、プロジェクトマネジメントの世界基準であるPMBOK(Project Management Body of Knowledge)に準拠したITソリューションです。

PMBOKは10の知識エリアと5つのプロセス、それと3つのパートによって構成された、プロジェクトマネジメントの手法やノウハウを体系立てたガイドです。SI Object Browser PMはこのPMBOKに準拠し、プロジェクトを成功へと導くための機能やノウハウが詰まったITソリューションとなっています。

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