プログラマーやシステムエンジニアのキャリアアップ先として「プロジェクトマネージャー(PM)」を視野に入れている方は多いのではないでしょうか。現場で経験を積み、多くのプロジェクトに貢献するような働きをすれば、プロジェクトマネージャーとして活躍できるのも決して夢ではありません。
今回ご紹介するのは、エンジニアのキャリアとも深い関係のあるプロジェクトマネージャーに必要な資格についてです。「プロジェクトマネージャーに必要なのは資格よりも経験だ」とよく言いますが、本当にそうなのでしょうか?現在プロジェクトマネージャーを目指している方必見です!
プロジェクトマネージャーの仕事内容は?
プロジェクトマネージャーの一般的な仕事内容は次の通りです。
- クライアントを交えての企画会議
- システム開発目的の明確化
- 開発に必要な予算取り
- 開発に必要な納期決定
- 全体的な開発スケジュールを立てる
- プロジェクトに適した人材を選抜
- タスクを細かく整理する
- タスクを各人材に振り分ける
- 各タスクの進捗率を把握する
- 必要に応じて残業を支持する
- 問題への対処を決定する
- 進捗の状況に応じて増員や新しいタスクを指示する
- 物事に関する意思決定を行う
このように、プロジェクトマネージャーの仕事は多岐にわたりますが、大きく「準備」「管理」「意思決定」という3つのカテゴリに分類することができます。
プロジェクトに関する準備を整えるのも仕事のうちですし、管理は最も重要な仕事です。何か物事を決める際も意思決定もプロジェクトマネージャーの責任です。
「管理」とは何か?
ここでプロジェクトマネージャーにとっても最も重要な「管理」について、そのポイントをご紹介します。
「管理」と聞いてプラスなイメージをする方は少ないかと思います。たとえば「規則によって集団をコントロールする」や「圧力で押さえつける」といったことをイメージするのではないでしょうか。実際にプロジェクトマネージャーはプロジェクトを管理し、メンバーを管理し、自分自身をも管理しなければならない立場にあるため、どうしても「管理」という言葉にプラスのイメージを持てません。
しかし、各メンバーの進捗率を把握してプロジェクトが遅延しそうなら叱責することや、結果だけを報告させることでプロジェクトは円滑に進むのでしょうか?答えは当然「No」です。優れたプロジェクトマネージャーというのは「管理」という言葉に対し「メンバーの欠点を補いつつ、プロジェクトを円滑に進める」という意識を持っています。
たとえば「計画的に仕事をしろ」と当たり前のことで詰め寄るのではなく、各メンバーのタスクを書き留めてもらって計画的に仕事ができるためのアドバイスをして進捗率だけを聞いて安心するのではなく、裏に隠れているリスクなども把握するといった行動が大切です。
つまり「管理」とは、規則や主観でメンバーをコントロールしようとするのではなく、メンバーが仕事を遂行しやすいような環境を整えたり、欠点を補ったりしながら、それによって最終的にプロジェクトの円滑な進行を支えることに本質があると言えます。
プロジェクトマネージャーに必要なのは資格か、経験か
結論から言えばプロジェクトマネージャーになるために特別な資格は必要ではありません。資格がないとなれないという法律はなく、実際に最も重要視されるのは経験でしょう。プログラマーやシステムエンジニアとしてプロジェクトに携わり、数々の経験を経てプロジェクト全体を管理するマネージャーへとステップアップします。実際の仕事もそこまでの経験から得たスキルを発揮するので、資格よりも経験というのはやはり事実です。
では、資格はまったく不要かというとそうではありません。まずプロジェクトマネージャーに関する資格を整理していきましょう。
ITパスポート試験
ITを利活用するすべての社会人・学生が備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験。
プロジェクトマネージャー試験
情報処理技術者試験の中で最も難易度が高いとされている区分。IT技術だけでなく組織のマネジメントに関する設問が多く、試験は5時間にわたって開催されるため実務経験がないと合格が難しい試験です。
プロジェクト・マネジメント・プロフェッショナル(PMP)
PMI(Project Management Institute)本部が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格。PMBOK®(Project Management Body of Knowledge)ガイドにもとづいて実施され、受験者のプロジェクトマネジメントに関する経験、教育、知識を測り、プロフェッショナルとしての確認を目的として実施されます。世界的なキャリアを考えているのなら取得必須の資格です。
基本情報技術者試験
ITエンジニアとしてキャリアをスタートさせるにおいて欠かせない資格。基本的なIT知識や技術を身に付けている証明になるため、プロジェクトマネージャーにも取っておきたい資格です。
応用情報技術者試験
情報システムにおいて一般的な知識や技術を持つIT人材が、次のキャリアアップを目指すために取得する資格です。基本情報技術者試験よりも高度な設問が多く、資格を取得すると転職などに有利です。
TOEIC
少し毛色が異なりますが、「国際コミュニケーション英語能力テスト」のことで、英語を母国語としない人を対象に実施される英語コミュニケーション能力の資格です。昨今、情報システムでは海外企業と仕事をすることや、プロジェクトメンバーが多国籍になるというケースが多くあります。英語でのコミュニケーション能力を測るという意味では役に立つでしょう。
以上のように、プロジェクトマネージャーとして取得すると有利な資格はこんなにも存在します。もちろん、これらの資格を取得しなければプロジェクトマネージャーになれないというわけではありません。ただしこうした資格を取得しているということは、情報システムの知識や技術、組織のマネジメントなどを体系的に学ぶということなので、資格取得のための勉強を実際の現場で生かすこともできます。つまり自分自身のスキルアップとしてこれらの資格を取得する人も多いのです。
さらに、希望転職先によって特定の資格を取得していないと面接すらできないというケースも少なくありません。特に現段階で所属している企業よりも1ランク2ランク上の企業への転職を目指すのであれば、資格取得は必須と言えるでしょう。
プロジェクトマネージャーに欠かせない能力とは
プロジェクトマネージャーとして必要な能力は「提案力」「管理力」「コミュニケーション力」「理解力」「リーダーシップ力」の5つでしょう。
プロジェクトマネージャーはプロジェクトを管理するという立場でありながら、最もクライアントと接する機会が多い人材です。そのため企画開発における「提案力」やクライアントと良好な関係を築くための「コミュニケーション力」は欠かせません。
「管理力」に関しては言うまでもありませんが、メンバーの管理はもちろん自己管理の能力も強く求められます。「理解力」というのは、メンバーごとの意見を深く理解しそれに応じた対処をするというものです。プロジェクト全体を牽引する存在なので「リーダーシップ力」が当然欠かせないでしょう。
こうしてまとめるとプロジェクトリーダーには、知識や理論と、経験に基づく判断やコミュニケーションが必要であることがわかるでしょう。後者は資格で測れるものではないですが、経験則だけに頼らないためにも資格取得は決して無駄ではないということは言えるでしょう。
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