KSFとは?重視される理由や効果的な分析方法を解説

 2023.07.12  株式会社システムインテグレータ

KSFは事業の目標達成に不可欠な、具体的な要素です。KSFがなぜ重要視されるのか、どういったメリットがあるのかを解説します。KGIやKPIとの違い、KSFの抽出・分析のための効果的なフレームワーク、KSF設定の成功例も紹介しています。

 

KSFとは

KSFとは企業が目標達成のために、どのような要素が必要かを具体的に表したものです。KSFは「Key Success Factor」の略で「重要成功要因」という意味です。

例えば、地域の名産品を使った料理を提供するレストランが、新規顧客を開拓しようとしているとしましょう。この場合の企業の目標(KGI)は「新規顧客を30%増やす」です。その場合のKSFは以下のような要素が考えられます。

  • 高品質な料理の提供
    地域の良質な食材の選定や料理技術の向上です。
  • 地域性とレストランの個性の強調
    地域の特徴や文化、店で味わえる地域のメニューなどをアピールし差別化を図ります。
  • 新規体験の提供
    美味しい食事、快適な店内環境を提供することです。

いずれも目標達成には不可欠な要素です。KSFを設定することで、市場での競争優位性を確立するために重要な戦略や活動を明確にでき、自社の目標や方向性が明らかになります。KSFはビジネスの成功のカギを握っています。

KGIとの違い

企業の目標にあたるものがKGI(Key Goal Indicator)で、「重要目標達成指標」という意味です。企業全体の利益増進、シェア拡大などの目標を具体的な数値で表したものです。

例えば、「来月の売上を1,000万円増加させる」「店舗数を前年比10%アップさせる」など、量を把握できて達成可能な目標値です。

KSFとKGIの違いは、KGIが企業全体の最終目標であるのに対し、KSFはKGIを達成するための要因です。KGIを達成するために何をすべきなのか、どういった要素が必要なのかを、より具体的に示すことがKSFです。

KPIとの違い

KPIは「Key Performance Indicator」の略で「重要業績評価指標」という意味です。

KGIが最終目標とすると、KPIはKGIを達成するための中間目標です。KPIも具体的な数値を設定します。

先に挙げたレストランの例では、KGIが「新規顧客を30%増やす」、KSFが「高品質な料理の提供」とすると、KPIは「調理のミスを5%以下に減らす」などが挙げられます。調理スタッフ一人ひとりに目標を設定すれば、さらなる達成度の向上が見込めます。

KPIはKGIを達成するために設定する、達成度を測るための指数です。

KSFが重要視される3つの理由

KGI・KPIだけでは達成できないメリットを導くために、次の3つの理由でKSFは重要です。

効率よく事業戦略を立てられる

KGIを設定しただけでは、現状認識ができていないため、目標達成までの距離感が把握できません。KSFを設定することで、現状から目標へ向かうための具体的な行動が見えてきます。

簡単にいうと、KSFが介在することで、現状と目標とのギャップを把握しやすくなります。無駄を省いた必要な行動が見えてくるため、効率のよい事業戦略を構築できます。

事業に一貫性を持たせられる

KSFを設定することによって得られる大きなメリットが、企業全体の一貫性・一体感です。

目標に向かって進むための行動・タスクが明確になると、事業全体に一貫性が生まれます。事業の一貫性は顧客や取引先からの信頼度や魅力度の向上にもつながります。

また、KSFによって中間目標(KPI)やタスクが明確になると、一人ひとりがやるべきことも明確になります。従業員によっては、目標達成に向けて具体的にどうしたらよいのかわからない人もいますが、KSFを設定することで行動の目的がわかりやすくなるからです。共通認識ができるとチームのコミュニケーションや意思決定がスムーズになり、従業員の間に一体感が生まれます。

マーケティングに役立てられる

現代社会において、顧客のニーズは多様化・複雑化するとともに、めまぐるしく変化しています。その中で顧客のニーズを把握し、それに合わせた商品やサービスを提供することで、顧客の満足度を高め、競合優位性を確保できます。

顧客のニーズを把握するためにはマーケティングが不可欠であり、それ抜きではどのような事業目標も達成不可能です。大量のモノやサービスが溢れる時代なので顧客の基本的なニーズは満たされつつありますが、それだけに他社との差別化が欠かせません。

他社との競争に勝ち抜くためには、綿密なマーケティング戦略を打って顧客のニーズを把握しなくてはなりません。KSFを設定することで、マーケティング戦略が具体的になるため、より綿密なマーケティングを実施できます。

KSF設定に効果的な分析方法

KSFを導くための主な分析方法には「3C分析」「5F分析」「SWOT分析」の3つがあります。

3C分析

3C分析とは、以下の3要素から分析を行い、自社が優位性を確立するために必要な要因を把握するためのフレームワークです。

  • Customer(顧客):ターゲット層や顧客ニーズに関する要素
  • Competitor(競合他社):競合他社の現状を捉えるための要素
  • Company(自社):自社の現状把握 長所・弱点・市場からの評価などの要素

この3点からKSFを分析すると、必要かつ充分なKSFの要素を設定できます。

5F分析

5F分析は自社を取り巻く5つの脅威となる要因を分析することです。5Fの「F」は「Force」で「力・勢力」といった意味です。

  • 業界内の競合:競合他社との力関係、競争が激化する要因
  • 売り手:売り手(サプライヤー)との交渉関係、価格が高騰する原因
  • 買い手:買い手(顧客)との交渉関係、価格が低下する原因
  • 代替品:自社製品の代わりになる製品の脅威
  • 新規参入:新規他社の参入や、法改正・技術革新などの脅威

5Fを分析することによって、業界全体を見据えたKSFを設定できます。

SWOT分析

SWOT分析は自社の内部要因と外部要因を以下の4つに分類し、分析するフレームワークです。

  • S(Strength)強み:自社の強み
  • W(Weakness)弱み:自社の弱み
  • O(Opportunity)機会:自社にとってチャンスとなる機会
  • T(Threat)脅威:自社にとっての脅威

先に外部要因である「機会」と「脅威」を分析し、その上で自社の「強み」と「弱み」を分析します。

KSFの各要素をSWOT分析し、さらに、S・W・O・Tをクロス分析することによって、競合と差別化できるKSFを設定できます。自社の置かれている状況や成功のために必要な要素が明らかになります。

KSFの設定例

具体的な例として、紙おむつ製造企業A社の事例を紹介します。

A社では、紙おむつの顧客ニーズは「低価格」であるとして、KSFを「低価格化」としました。紙おむつを利用する顧客層は20代・30代を中心とした子どものいる世帯です。世帯年収が高くないケースも多いため、顧客のニーズは低価格にすることだと考えました。

品質を落とさずに価格だけを下げることに成功すると、A社の市場シェアは一気に7.7%(1カ月経過後)上昇しました。

製品に対する利用者の思いや世帯年収などを分析した結果、A社では的確なKSFを設定できました。

A社の場合、他に以下のようなKSFが考えられます。

  • 紙おむつの品質・性能の向上
  • 廃棄する際の環境への配慮
  • リサイクル可能な素材の追及

KSFをもれなく抽出するのは簡単ではありませんが、目標達成のためには重要なことです。

まとめ

KSFは企業が成功するために必要な要素を明確にしたものです。事業に一貫性を持たせ、効率的に事業戦略を策定するために欠かせません。綿密なマーケティング戦略も打ち出せます。有効なKSFを抽出するために、3C分析や5F分析などのフレームワークを活用しましょう。

ひとつひとつのKSFを実行していくために、業務の効率化・プロジェクト管理は不可欠です。システムインテグレータでは、企業が持つさまざまな問題の解決方法を提示しています。

プロジェクト管理に関する詳しい資料もご用意していますので、ぜひご活用ください。


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