テレワークには時間や場所に縛られない柔軟な働き方ができるメリットがある反面、上司や同僚の目が気にならないため、さぼりやすくなるデメリットもあります。生産性が低下する恐れがあるため、テレワークの導入に踏みきれていない会社もあるかもしれません。
この記事では、テレワークで社員がさぼりやすい原因やその対策、テレワークでも社員のモチベーションを維持させるコツを解説します。テレワーク化が進んでいるIT業界で導入を検討中の方はもちろん、既に導入済みの企業にも役立つ内容です。
テレワークにおける「さぼり」の実態
テレワークをするとオフィスワークよりもさぼりやすいといわれていますが、実態はどうなのでしょうか。ここではテレワークに関するアンケート調査から、部下にあたる「テレワーカー」と上司にあたる「管理職」の実態を紹介します。
さぼりの経験がある人は7割以上
2020年10月にマイナビニュースが会員181人に対して行ったアンケート調査によると、「テレワーク中にさぼったことがある」と答えた方の割合は74%と非常に高い数字でした。そのうち「さぼったことが上司や同僚に発覚したことがある」と回答した方は32%で、半分弱の方が上司や同僚にさぼったことがばれた経験があるという結果です。
具体的なさぼりの内容は、「漫画を読んだりゲームをしたりしていた」「昼寝をしていた」といった業務と関係ないものや、「コーヒーブレイク」「お菓子を食べてしまった」といった会社によっては許容される内容とさまざまでした。中には「子供が泣いてしまったので面倒を見ていた」など、家庭事情が反映される回答も含まれています。
テレワークには在宅勤務以外にも、「サテライトオフィス勤務」「モバイル勤務」があります。特にカフェで勤務する場合では、外出ついでに他の個人的な用事を済ませてしまうケースが多い傾向です。
他にもテレワーク中のさぼりとして、「ネットサーフィン」「テレビやラジオをつけながらの仕事」「業務時間中の他会社の副業」などが挙げられます。
参考:テレワーク中にサボったらどんな処分がある? 対策について専門家が解説
管理職の約半数は部下の働きぶりが気になっている
リクルートマネージメントソリューションズが2020年3月26日~28日に実施したアンケート調査によると、「部下がさぼっていないか心配である」と回答した管理職はテレワーク経験者で56.9%、未経験者で56.2%といずれも半数を超える結果となっています。
また、株式会社ヌーラボが2020年10月5日~10月22日に実施した「テレワークと“サボり”の関係性に関するアンケート調査」では、「テレワーク時、チームメンバーや上司・部下などに対してサボっているのでは、と思ってしまう」という質問に対し、「よく思う」と回答した数が一番多かったのは50代以上の方でした。
しかし、管理職のうち「部下が自己管理の習慣をつける、いい機会だと思っている」と回答した方の割合が、テレワーク経験者で71.5%、未経験者でも61.4%と高い数字になった結果も見逃せません。この数字から分かることは、決して管理職がテレワークに否定的なわけでないということです。テレワークのように場所や環境が変わっても、部下がいつも通りに働けているか、気がかりなだけなのかもしれません。
参考:
温かく明快なコミュニケーションで、誰も孤立させないテレワークを
20代の2人に1人が「テレワーク時、サボっていると思われるストレス」を実感 – 調査結果:テレワークとサボりの関係性
なぜテレワーク中にさぼりが発生しやすいのか
テレワーク中にさぼりやすい理由はいくつかあります。特に、自宅勤務になれば家族とのやり取りが増え、家事や育児を任されるケースは珍しくありません。時には宅配業者の荷物を受け取るように頼まれる場合もあるでしょう。
一人暮らしの場合は、仕事のスペースとプライベートのスペースを分けられないことを理由に、さぼりやすくなる傾向があるようです。好きな時に私用のスマホに触れれば、業務がおろそかになりかねません。また、好きなゲームや漫画が近くにあれば、普段は真面目に仕事に取り組んでいる方でも誘惑に負けてしまうことがあるでしょう。
テレワークでさぼりやすくなるのは必ずしも本人だけの問題ではありません。管理者がオフィスワークではできていたマネジメントが行き届かなくなったり、仕事の全体像が見えにくくなったりする影響で、在宅勤務者がさぼりやすくなっている側面も少なからずあります。テレワーク中のさぼりにはある程度対策が可能です。
テレワーク中のさぼり対策とは
テレワーク中のさぼりには3つの対策が効果的です。特にツールの導入は即効性があり、テレワークのさぼりで多い課題の解決にも役に立ちます。ここでは、テレワーク中のさぼり対策を3つ紹介します。
コミュニケーションを積極的にとる
リモートワークはそれぞれが違う場所で勤務するため、よりコミュニケーションの重要性が増します。テレワーク中のコミュニケーションを円滑にするには、「Web会議ツール」「チャットツール」「1on1ミーティング」の活用がおすすめです。
・Web会議ツールの活用
複数人で同時に顔を見ながら話せるため、普段のミーティングや会議だけでなく、社員間のコミュニケーションの一環として雑談をするのに最適です。
・チャットツールの活用
メールのように定型文による挨拶が不要になり、スピーディーかつ堅苦しくないやり取りができます。
・1on1ミーティングの実施
上司と部下が1対1で対話を行う1on1ミーティングでは、部下の現状や悩みについて上司が話を聞き、部下の能力の発揮や成長促進につながるよう導きます。
コミュニケーションツールを導入すれば、リモートワークのさぼり防止に役立つだけでなく、お互いの不安やストレスを打ち明けやすくなるといったメリットが得られます。リモートワークでコミュニケーション不足を実感している方は、ぜひ各種ツールの導入を検討してみましょう。
働き方の見直し
リモートワークで変更になるのは勤務場所だけとは限りません。勤務時間や仕事のプロセスが大幅に変更になる場合は働き方を根本から見直し、評価基準を変更するのが有効です。リモートワークに合った勤務制度を検討している方は、「ジョブ型雇用」または「成果主義」の採用を検討してみましょう。
・ジョブ型雇用
業務範囲を明確にした上でその職務に適した人材の採用を行う制度です。業務成果に対して給与報酬が決定する仕組みのため、さぼりの抑制に効果的です。
・成果主義
業務の成果や成績が評価に直結する制度で、業務量や質を維持する必要があるため、テレワーカーのモチベーションが低下しづらくなります。
ジョブ型雇用や成果主義は制度自体の見直しが必要なため、すぐに取り入れるのが難しい場合もあります。テレワークの働き方を少しでも見直したい方には、「進捗報告のルール化」がおすすめです。タスク管理ツールの使用やExcelのフォーマットでの進捗管理を行ってみましょう。
進捗報告のルール化では、「管理が行き過ぎたものにならないようにすること」「一人ずつの業務内容と期限を明確化すること」の2点に注意が必要です。評価制度が定まっていない場合や、仕事の納期が可視化されていない場合は、さぼりにつながるケースが多い傾向にあります。進捗報告のルール化を行う際は上記の点に注意しながら、業務指示の改善を行うと良いでしょう。
管理・監視ツールの導入
社員が勤務時間中にさぼっていたにもかかわらず、時間外労働をしていたとなると会社にとっては損失です。このようなテレワーク中の勤怠の課題を解決するには、勤怠管理ツールの導入がおすすめです。勤怠管理ツールは、勤怠時間が正確に記録できたり給与システムと連携できたりするものを選びましょう。他にも、作業状況のスクリーンショットが残せる機能や離着席の申告が行える機能があると、社員のさぼり対策に効果的です。
勤怠管理ツールにも監視に役立つ機能が備わっている場合もありますが、あくまで出退勤の管理がメインとなります。もう少し踏み込んだ監視を行いたい場合は、別のツールや手法の導入を検討しましょう。テレワークの主な監視方法は以下の5つです。
・アクセス監視
業務に関係のないサイトにアクセスしていないか確認するためのツール
・URLフィルタリングの活用
有害なサイトへのアクセスを制限することで情報漏洩の防止にも役立つツール
・利用アプリの監視
業務に必要なWordやExcelの稼働状況が一目で分かるツール
・在籍確認
Webカメラを起動して実際に仕事をしているか確かめるツール
・キーロガーの監視
業務上ふさわしくない単語を使用していないか判断できるツール
社員のストレスになるようなさぼり対策は逆効果
テレワーカーへの管理や監視を行う方法についてご紹介しましたが、一方で過度に厳しい監視は社員のモチベーション低下につながるおそれがあります。
過度な管理・監視に当たるのは、PCの画面を共有したりマウスの動作を確認したりする機能などです。過度な監視ツールの使用は、社員にとって「表面上の働きぶりを確認される=自分がさぼっていると疑われている」と感じてしまい、社員のモチベーションの低下を招く恐れがあります。テレワークのさぼり対策を行う際は、行き過ぎた管理・監視にならないよう十分に気を付けましょう。
テレワークは本来、社員のQOLや生産性の向上に寄与する働き方です。また、テレワークには多様な人材の雇用や採用、コスト削減など、会社側にも多くのメリットがあります。在宅勤務をこれから始める会社では既存制度の見直しが欠かせませんが、監視に偏り過ぎない仕組み作りも重要です。「監視」ではなく「管理」に重きを置いたツールの採用を意識しましょう。
なお、社員のモチベーションが気になる方向けに、モチベーションを上げるのに役立つ記事もご用意しております。併せてご覧ください。
社員のモチベーションを向上させる効果的な施策とは?低下の要因と対策を解説
プロジェクトの管理体制を整えてさぼりを防止
テレワークのさぼり対策にはコミュニケーションを積極的に取ったり、働き方を見直したりする方法が効果的です。一方で、管理・監視ツールの使用には社員のモチベーションを下げてしまうリスクも伴います。この際には、プロジェクトの管理体制を整える方法が有効です。プロジェクトの状況がリアルタイムに可視化される仕組みがあると、プロとしてしっかりタスクを実行する意識につながります。
ただし、リモートワークだからといって、プロジェクト管理のために、普段の報告に加えて新しい報告フォーマットを求められてもモチベーションも生産性も下がります。プロジェクト管理専用のツールを使うことで、ムダな報告共有を減らし、生産性を上げながらチームおよび自身のマネジメントを行うことができます。
そうしたプロジェクトの管理にはOBPM Neoがおすすめです。
プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」で対策
プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」は、リモートワーク時代のプロジェクト管理に最適なクラウドサービスです。OBPM Neoではプロジェクトの「見える化」と「一元化」の両方が実現できるため、プロジェクト管理の課題でも多い「品質管理」や「進捗管理」の改善が期待できます。
OBPM Neoのおもな特徴は以下の3点です。
・PMBOKに準拠した世界初のプロジェクト管理ツール
プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法が体型化されているため、誰でも効率的な管理が可能です。
・組織のプロジェクト管理力の向上
プロジェクト管理の標準化が行え、蓄積されたデータの分析により組織のプロジェクト管理レベルの向上も期待できます。
・「脱Excel」の実現
これまでExcel中心で管理していたものやバラバラに管理していたものを一括管理でき、プロジェクトの可視化にもつながります。
実際にOBPM Neoを導入すれば情報をリアルタイムで共有できるだけでなく、プロジェクトデータの蓄積や分析、外部システムとのエコシステム連携も可能です。海外拠点と共同で作業をする必要がある場合でも多言語対応なので利用しやすい点もメリットです。OBPM Neoで業務の効率化が図れるのはもちろん、DX時代に必要なプロジェクト管理も適切に行えるようになります。他にも、業務上のストレスやコミュニケーション不足が減れば、上司と部下の間での不安が解消されます。OBPM Neoは、テレワークのさぼり防止にも効果的なプロジェクト管理ツールです。
まとめ
テレワークは、新型コロナウイルスの感染防止を目的にさまざまな職種で導入されている働き方で、特にIT・インターネット業界で積極的に実施されています。テレワークなら場所や時間に縛られずに働ける反面、周囲からの目がない分さぼりやすくなってしまう傾向です。
テレワーク中にさぼってしまう要因の一つには、上司・部下間や同僚とのコミュニケーション不足が挙げられます。他にも、日々の業務の進捗管理があいまいであるために、モチベーションが下がってしまうケースも考えられるでしょう。コミュニケーションの取り方や働き方をテレワーク仕様に改善するには、ツールや制度の見直しを行うことが大切です。ただし、監視機能が強過ぎると社員のストレスの原因になるため、監視の強化ではなく自分が自分をマネジメントしやすい仕組みや環境を整えることが重要です。
リモートワーク時代のプロジェクト管理には、クラウドサービスの「OBPM Neo」が適しています。プロジェクト管理の課題の解決や本ブログで紹介したような、リモートワーク特有の課題の解決に役立ちます。
プロジェクト管理に関する詳しい資料もご用意していますので、ぜひご活用ください。
- カテゴリ:
- キーワード: