プロジェクトが成功するか失敗するか、それはプロジェクト管理にある様々な課題を解決できるかどうかにかかっていると言えます。そのためプロジェクトマネージャーは、プロジェクトに関する様々な課題を的確に捉えて、それらを解決するための策を講じなければなりません
今回ご紹介するのは“失敗しないプロジェクトのためにできること”です。皆さんが関わっているプロジェクトは果たして成功へと向かっているでしょうか?
失敗するプロジェクトの傾向
日経 xTECH(クロステック)の専門誌「日経コンピューター」では、2003年と2008年、それと2018年の計3回にわたってプロジェクトの成功率に関わる調査(プロジェクト失敗の理由、15年前から変わらず)を行っています。
結論から言うと15年間でプロジェクトの成功率は上がっており、プロジェクトに成功する企業が増えています。ただしそれでも成功率は52.8%なので、現在でも半数近い企業がプロジェクトに失敗したと感じています。
失敗するプロジェクトにはある特定のパターンが潜んでいることが少なくありません。まずはそのパターンを確認していきましょう。
1. プロジェクトのタスクをこなすことよりも、問題を解決するための話し合いの方が長い
システムの仕様がなかなか決まらない状態でプロジェクトを開始したり、途中の仕様変更や考慮漏れが多く起こった際に頻繁に対策会議を開催しいなければならないという状態です。プロジェクトでは当然のことながら、タスクに費やす時間が短いほどプロジェクト完了に時間がかかります。
対策会議が多くてタスクが進まないと残業が多くなり、頭が働かなくなることでさらに別の問題を引き起こす。非常に悪循環なパターンであり、かつありがちなパターンです。
2. 関係者間のコミュニケーションが不足していて効率良く情報共有ができていない
プロジェクトが成功するか否かは関係者間のコミュニケーションが円滑に取れているか、というところが大きいでしょう。情報共有が迅速かつ適切にできていれば、プロジェクトの進捗ははかどりますしちょっとした問題もすぐに解決できます。しかし実際は、コミュニケーションが十分に取れていないプロジェクトが多いようです。
キーマンズネットが調査した「プロジェクト管理ツールの導入状況(プロジェクト管理ツールの導入状況)」によれば、プロジェクト失敗経験者の46.8%はコミュニケーション不足に原因があったとしています。
3. プロジェクトがスタートしてかなりの時間が経ったにもかかわらず進捗が少ない
プロジェクトがスタートしたしばらく経過しても、なかなか進捗が上がらないという状況では次のような原因が考えらえます。
- 採用した技術に関する人材が不足していて教育に時間がかかっている
- 構成したプロジェクトチームがプロジェクトの性質に合っていない
- 仕様がなかなか決まらない
- プロダクトバックログが無い
- 共通化を目指しすぎて汎用ライブラリに関係無いものばかり作っている
4. プロジェクトに絡む政治要因が多い
政治要因が多い組織では、プロジェクトによって開発したシステムにもその要因が大きく反映されます。
ある部門同士が不仲だったり、役員同士が主導権の握りあいをしていたり、そうした政治要因はシステムに反映されてしまい、結果として役に立たないシステムが完成してしまいます。
5. プロジェクト成功の定義が不明確でシステム開発自体が目的化している
たとえばECサイトを構築するプロジェクトにて、6ヵ月の納期と1,000万円の予算があった場合、その納期と予算をギリギリまで使って良いECサイトを構築しようというプロジェクトが少なくありません。しかし、それはECサイト構築の目的とは言えません。
ECサイトを構築する目的はそれによって売上を立て、利益を得ることです。ECサイトはあくまでその目的を達成するための“手段”であり、ECサイト構築自体が目的化してしまうと本質を見失います。
このようにシステム開発自体がプロジェクトの目的になっているケースは少なくありません。
6. 全体的にリスクマネジメントに対する関心が低く簡単な問題が回避できない
プロジェクトに悪影響を与える要素を予測して、それを回避するためのリスクマネジメントはプロジェクトリーダーだけが持つべきスキルではありません。プロジェクトに関わるチーム全体がリスクマネジメントに関心を示し、簡単な問題は回避しないと先に説明した悪循環に陥ってしまうでしょう。
7. 外部コンサルタントが自身のニーズを満たすために行動している
プロジェクトにて外部コンサルタントが中心的役割を担っている場合、その外部コンサルタントが自身のニーズを満たすために行動している可能性があります。それは「新しい技術や製品をこのプロジェクトで試してみたい」というニーズです。
新しい技術や製品を試すことは決して悪くはないのですが、外部コンサルタントの利己的な感情が入るとそれが原因で問題が起こったりもします。
8. 当初想定したリリース日を延期したにもかかわらず新しいリリース日が明確になっていない
プロジェクト計画を立てた際に想定していたリリース日を延期することはよくあることです。それ自体が問題なのではなく、問題は延期したにもかかわらず新しいリリース日を決定していないことです。特にウォーターフォール型のプロジェクトに多く、進捗やプロジェクト全体を把握できていないので危険な状態です。
9. コントロールが難しい項目は放置状態になっている
プロジェクトの中にはプロジェクトマネージャーがコントロールできない管理項目もあります。それが顧客や委託先企業です。これらの管理項目はコントロールがきかないことを理解してプロジェクト計画を立てないと、後々大きな遅延に発展する可能性が高いでしょう。
10. 各所に分散しているプロジェクト情報を統合できず管理効率が悪い
プロジェクトにて情報とは常に分散しています。それぞれの情報は意思決定を行う上で欠かせないものなので、分散している情報を一つに集約することが大切です。しかし、情報集約の基盤が整っていないと情報は分散したままなので、意思決定までに時間がかかる結果としてプロジェクトが遅延します。
プロジェクトを失敗させないために
ここまで10個のプロジェクト失敗パターンをご紹介しましたが、実際にはもっと多くの失敗パターンが存在するでしょう。では、これらを踏まえた上でプロジェクトを失敗させないためには何をすればよいのでしょうか?その答えの一つが「プロジェクト管理ツールの活用」です。
プロジェクト管理ツールとはプロジェクトの失敗につながるかもしれない要因を管理するための機能や、関係者間のコミュニケーション促進および情報の集約といった機能によってプロジェクトの成功を支援するためのITソリューションです。プロジェクトマネージャー1人の力では難しい課題解決も、プロジェクト管理ツールがあれば効率良く課題を管理して解決に向けて対策を取ることができます。
プロジェクトの失敗を回避したい、赤字プロジェクトを撲滅したいといったニーズを持つ方は、この機会にプロジェクト管理ツールの導入をご検討ください。
また、プロジェクト管理力強化につながるポイントをまとめた資料もご用意していますので、こちらもぜひご活用ください。
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