プロジェクトマネジメント講座

【第1章】PMBOKを理解しよう:PMBOK とは

  • 2017.04.27
  • 株式会社システムインテグレータ
【第1章】PMBOKを理解しよう:PMBOK とは

PMBOKとは

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)とは、プロジェクトマネジメントに関するノウハウや手法を体系立ててまとめたものです。1987年にアメリカの非営利団体PMIが「A Guide to the Project Management Body of Knowledge」というガイドブックで発表してから徐々に知られるようになり、今ではプロジェクトマネジメントの世界標準(事実上の標準)として世界各国に浸透しています。内容は4年に1度くらいのペースで改訂され、今の最新版は2013年に発行された第5版となっています。

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PMIとは

PMBOK を作成したPMI(Project Management Institute)は、アメリカに本部があります。日本では1998年にPMI日本支部(PMIJ)が設置されており、PMBOKの普及促進やPMPという資格の認定、交流などを行っています。

PMPとは

PMP(Project Management Professional)とは、PMI本部が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。PMP試験は、PMBOKガイドにもとづいて実施されており、プロジェクトマネジメントに関する一定水準のスキルを有することをPMIが資格認定します。
PMP資格の特徴は、単なるプロジェクトマネジメントの知識だけでなく、取り組み方や経験など実務的な内容を重視しているところです。また、1回取って終わりと言うものではなく、一定期間ごとにCCR(Continuing Certification Requirements:継続認定要件)と呼ばれるプログラムの履行が義務付けられます。それは3年ごとにPDU(Professional Development Units)という単位を60ポイント以上取得するというもので、これをパスしないと認定を抹消されます。PDUは、教育プログラムの受講や専門的な記事の執筆や講演活動などによって認められます。つまり、認定取得後もずっとプロジェクトマネジメントに関わっている必要があるという実務重視の考え方があるのです。

PMBOKの意義

PMBOKの意義は、大きく2つあると考えています。1つは「プロジェクトマネジメントを初めて体系化したこと」です。これまではプロジェクト管理と言っても、その言葉の示す範囲や内容はバラバラでした。ある人はスケジュール管理をイメージし、ある人は原価管理を重点的に考えるというように、プロジェクト管理とはという命題に対しての明確な答えがない状況でした。PMBOKは、このように各人各様のものだったプロジェクト管理を10の管理エリアと5つのプロセスに整理し、体系立ててくれました。そのおかげで、その後のプロジェクトマネジメントの発展に大きく役立つ基礎ができていると思います。

もう1つは、「プロセスをマネジメントする」という考え方の重要性を押し出したことです。従来のプロジェクトマネジメントは、製造業で昔から謳われているQCD管理が中心でした。QCDはプロジェクト管理の3要素とも呼ばれており、Quality(品質)、Cost(原価)、Delivery(納期)という3つのゴールを定め、その目標に向かってプロジェクトをコントロールするというものです。しかし、ゴールだけを目指してもなかなかうまく行きません。目標を達成するためには、そこに至るプロセスも対象としてコントロールする必要があります。そのような考えに基づいて、PMBOKではスコープ管理、リスク管理、要員管理、コミュニケーション管理、調達管理なども明確なコントロール対象としているのです。これらはプロジェクトの最終目標ではないのですが、最終目標であるQCDを実現するためにはきちんと管理する必要があるのです。

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PMBOKの知識管理体系

下図はPMBPKにおける知識管理体系を立体的に表したものです。PMBOKは、プロジェクト管理に関する知識を10の知識エリアに分類し、書類棚を並べたような引出しに整理しています。この書棚は、縦10段、横5段、奥行き3段の構造で、それぞれのボックスの中にプロジェクト管理に関する知識・ノウハウが入っています。

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・10の知識エリア

縦はプロジェクトマネジメントに関する知識エリアです。プロジェクトの最終目的であるQ(品質管理)、C(原価管理)、D(スケジュール管理)に加えて、そこにいたるまでのプロセスとして「スコープ管理」、「要員管理」、「コミュニケーション管理」、「リスク管理」、「調達管理」、「ステークホルダー管理」という6項目を追加し、さらに全体をトータルに管理する「統合管理」を含めた10の知識エリアで構成されています。

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・5つのプロセス

横はプロジェクトの最初から最後までの流れを「立ち上げ」、「計画」、「実行」、「監視・管理」、「終結」という5つのプロセスに分割したものです。知識エリアとのマトリクスにより、どのプロセスで何を作成・管理すべきかということが定義されています。

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・3つのパート

知識エリアとプロセスの交わる引出しには奥行きがあり、「入力」、「ツールと実践技法」、「出力」という3つのパートに分かれています。つまり、「何をもとにして、どんなツールを使ってどんな風に、何を作成するか」という内容が定義されているのです。

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PMBOKの限界

PMBOKはあくまでもプロジェクトマネジメントのBody of Knowledge(知識集)です。プロジェクトマネジメントを学び、理解するためのバイブルではありますが、過大評価してはなりません。PMBOKの限界をきちんと理解した上で、あくまでもプロジェクトマネジメントの基礎知識を整理するという目的で活用しましょう。
PMBOKの限界は、主に2つあります。1つは、あくまでも知識集なのでそのまま現場では使えないということです。現場で使うにはツールが必要です。PMBOKを理解した上で効率的なプロジェクトマネジメントツールを活用するというアプローチが求められるのです。
勘違いし易いのですが、ここで言うツールとは書かれていることを忠実に実行するツールではありません。知識集をそのままExcelなどで実施できるようにしても、現場で使うツールとしては非効率過ぎてそっぽを向かれます。PMBOKを把握した上で、もっと実践的・効率的なツールが必要とされるのです。
2つ目は、PMBOKはあくまでも1つのプロジェクトをマネジメントすることに焦点を絞っていることです。企業では通常複数のプロジェクトが平行して走っており、それらを串刺しにチェックしたり、束ねて集計してみたりすることが必要になります。企業におけるプロジェクト管理力向上という点に関しては、PMBOKでは触れていないのです。

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PMBOKをどのように活用するか

PMBOKは実践的な手段ではありませんし、具体的な方法を示してくれるわけでもありません。組織のプロジェクトマネジメントを強化してゆくためには、PMBOKとは別に実践的かつ具体的な手法やツールを独自で用意する必要があるのです。では、PMBOKはどのように活用すればいいのでしょうか。それとも役に立たないものなのでしょうか。
PMBOKの整理されたノウハウ、知識は、世界レベルの生きたノウハウです。プロジェクトマネジメントの学び、理解する上で、それを使わない手はありません。プロジェクトマネジメントの教育カリキュラムを制定する際、またはプロジェクトマネジメントを強化するための具体的手段を考える際には、PMBOKの体系を意識してみてください。
なお、PMBOK自体を理解するには原本である「A Guide to the Project Management Body of Knowledge」は私はあまりお勧めしません。バイブル的なものに付きがちな無味乾燥で面白くない記述内容になっているからです。自分たちの組織に活かそうという目的であれば、基本を抑えれば十分ですので、市販の本で読みやすそうな解説書を買って読んだ方が良いと思います。

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PMBOKとOBPM

OBPMは、PMBOKの10の知識エリアを統合して全てカバーした世界初のプロジェクトマネジメントシステムです。画面1のように品質管理、原価管理、スケジュール管理、スコープ管理などの関連性をデータ中心に統合し、これらをフルサポートしていることにより「プロジェクトマネジメントのERP」とも呼ばれています。
PMBOKの体系を反映しながら、現場の合理化・効率化を追求した専用システムなので、誰でもプロジェクトマネジメントの基本に則って効率的に管理できるようになっています。

capture1.png画面1:OBPMのメニュー画面

株式会社システムインテグレータ 代表取締役社長 梅田弘之)

プロジェクト管理ツール:「EVM・PMBPK・マイルトーン」が学べるガイド

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