プロジェクト管理とフレームワーク(Vol.15)

 2017.11.20  株式会社システムインテグレータ

プロジェクト管理における「フレームワーク」

世の中には様々な「フレームワーク」があります。「5W1H」「PDCA」のような基本的なものから、「3C分析」「SWOT分析」「PEST分析」「VRIO分析」等々。「フレームワーク」=「枠組み」を用いることで、漠然と考えていても進まない思考や情報を整理し、個人や組織の課題を解決するヒントを得易くするのが「フレームワーク」を使うメリットです。読者の皆様も何かしらの「フレームワーク」を使い、その効果を感じられたことがあるのではないでしょうか。

前述した「フレームワーク」はビジネスフレームワークと呼ばれるものですが、プロジェクト管理においても同様にPMBOKという代表的な「フレームワーク」があります。PMBOK詳細については弊社代表の梅田が書いた「プロジェクトマネジメント講座」に書かれていますので、是非そちらをご一読ください。

PMBOKはプロジェクトを成功に導くための「フレームワーク」なわけですが、導入すればプロジェクトは成功するのか。残念ながらそうではないようです。PMP資格者を多く抱える企業様でも依然失敗プロジェクトに悩まされています。それはPMBOKが概念的な要素が強く、ビジネスフレームワークほど、具体的な方法を示してくれていないからです。

弊社では、PMBOKに準拠したプロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM(OBPM)」を徹底活用することで、PMBOKの概念を、より実践的な「フレームワーク(枠組み)」として落とし込み、合理的なプロジェクト管理を実現しています。

 今回はOBPMの機能の一部をもとに、弊社で活用しているプロジェクト管理の「フレームワーク」をご紹介したいと思います。

OBPMの「フレームワーク」機能「ドメイン」

OBPMは現在150社の導入実績がある統合型のプロジェクト管理ツールです。8年前に弊社が開発・リリースし、弊社自身もヘビーユーザーとして利用し続け、プロジェクト管理業務改善に大きく役立てています。PMBOK準拠を名乗っているツールだけあって、機能は多岐に渡ります。品質(Q)工数原価(C)、進捗(D)はもちろんのこと、要員管理、コミュニケーション、リスク、課題等々、プロジェクト管理に必要な機能が一通り用意されています。その中でもOBPMの特徴的な機能の一つとして、「ドメイン」という機能があります。この「ドメイン機能」こそが、プロジェクト管理の「フレームワーク」にあたります。

「ドメイン機能」はプロジェクトのタイプごとに15項目のテンプレートを活用する機能です。

プロジェクト管理とフレームワーク(Vol.15) 1

OBPMドメイン機能画面

15の標準化項目の中で「フレームワーク」として特に有効なものをいくつかご紹介します。

<工程タスク成果物登録>

この標準化項目はその名の通りWBSWork Breakdown Structure)作成における「フレームワーク」です。プロジェクトタイプ毎に必ず発生する工程やタスク、またその中で作成する成果物、成果物に対するレビューのパターンを予め「フレームワーク」として用意しておくことで、プロジェクト計画時の考慮漏れを無くすと同時に計画にかかる無駄な時間を削減することが出来ます。PL経験の浅い人にとっては、プロジェクトの初期段階でどのレベルまで作業をブレイクダウンしておく必要があるのか、作成する成果物は何なのかなど、抜け漏れを無くすため思考を手助けしてくれます。

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工程タスク成果物登録画面

<品質基準登録>

この標準化項目は、プロジェクトの各工程毎に作業品質チェックや成果物チェックを実施する際のチェック基準の「フレームワーク」です。会社として最低限クリアしなければならない品質の基準、もしくはお客様毎に求められる品質の基準を予め「フレームワーク」として用意しておくことで、品質の向上を図ることが出来ます。人ごとにバラバラの基準で品質チェックを実施することを防げるのはもちろんのこと、先の<工程タスク成果物登録>同様に、PL経験の浅い人にとっては、考慮すべき品質保証のポイントを学習することが出来ます。

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品質基準登録画面

<リスク管理>

この標準化項目は、プロジェクトタイプ毎に必ず考慮しなければならないリスクをあげるための「フレームワーク」です。リスク考慮漏れによる後工程でのトラブルを防ぐために利用します。先の2つ同様に経験の浅いPL等にとっては、考慮すべきリスクを抜け漏れなくあげるうえで大きな効果を発揮します。

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リスク一覧画面

プロジェクト管理手法入門ガイド
プロジェクト管理ツール 比較ガイド

フレームワークのメリットとデメリット

繰り返しになりますが、「フレームワーク」を利用するメリットは、漠然と考えていても進まない思考や情報を整理し、個人や組織の課題を解決するヒントを得易くすることです。

ビジネスにおいてもプロジェクト管理においても同様の効果を期待できる「フレームワーク」ですが、当然ながらデメリットもあります。それは、「フレームワーク」に頼り過ぎてしまうことです。ビジネスフレームワークであれば、思考の観点漏れが起こる可能性があります。「フレームワーク」=「枠組み」で考えることが大前提となっているため、本当は他の観点でも考えなければならないのに、用意された「枠組み」内だけで考えてしまい、思考が制限されてしまうことがあります。

プロジェクト管理においてはPMBOKが観点を網羅していることもあり、ビジネスフレームワークのようなデメリットは起こりにくいですが、実践に寄り過ぎた細かい「フレームワーク」は自分の頭で考える機会を奪うことにもなります。「フレームワーク」にはそういったデメリットもあるという事を理解した上で利用することでより大きな効果を発揮出来ます。

まとめ

PMBOKはプロジェクト管理業務の改善のために導入すべき「フレームワーク」です。しかし、実践的「フレームワーク(枠組み)」に落とし込み効果を得るためには、ツールや体制を合わせて考えなければなりません。Excelやフリーのツールでも出来ることはありますが、当然ながら限界があります。かく言う弊社もOBPMを開発する9年前まではExcelをベースとした「PYRAMID(ピラミッド)」という「フレームワーク」でPMBOKに則ったプロジェクト管理を実現しようとしましたが、残念ながら上手く行きませんでした。

理由はExcelの自由度の高さによる標準化の限界と、集計や分析にかかるコストです。その反省から生まれたのが他でもなくOBPMです。現在では同じ悩みや課題を経験した150社を超える企業様にご活用頂き、プロジェクト管理業務改善に役立てて頂いています。

OBPMは今年3月より「エンジニアリング版」「ライト版 IT向け」「ライト版 製造業向け」の3製品が加わり、より多くの企業様のプロジェクト管理業務改善に向け進化を続けています。読者の皆様の企業でも一度導入を検討頂ければ幸いです。

プロジェクト管理全般について詳しくまとめた資料もご用意していますので、ぜひご活用ください。

プロジェクト管理ツール:OBPMイラスト図解でよくわかるガイド

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