【第7章】WBSの目的とメリット:WBS とは

 2017.04.27  株式会社システムインテグレータ

WBSとは

WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)は、プロジェクト全体を細かな作業(Work)に分解(Breakdown)した構成図(Structure)です。プロジェクト全体でやるべき作業を洗い出す際にとても役立ちますので、「プロジェクト成功の鍵はWBSにあり」と心しておいてください。

簡単な例で説明します。ホームパーティにお客様を招いて10人分のカツサンドを作るとしましょう。奥さんも私も生まれて初めての手作りカツサンド作りです。張り切ってはいるのですが、なにぶん初めてなもので何から始めればいいかわかりません。そんなときに、どのような作業を行えばいいかを洗い出すのがWBSなのです。

図1は、マインドマップを使ってカツサンドの作り方をWBSで表したものです。このように作業を分解していくと、カツサンド作りは「材料を準備する」「下ごしらえをする」「調理する」という3つの大工程からなり、各工程でどのような作業(タスク)があるかが明確になります。

01.png図1:カツサンドの作り方のWBS

まめ知識】マインドマップとは

マインドマップ(Mind Map)とは、1970年代にトニー・ブザン氏が提唱した図解表現で、頭の中に漠然とある考えやアイデアを構造的にブレークダウンして明確にする技法です。

02-1.png

WBSの目的とメリット

プロジェクトの計画プロセスにおいて、WBSはとても重要です。WBSでタスクの洗い出しを行わない限り、そのプロジェクトはタスク漏れや作業の手順前後などにより失敗リスクが高まります。WBSを作成する目的とメリットについて、整理してみたいと思います。

① やるべき作業が明確化される
WBSの特徴は階層構造です。階層の違うタスクを思いつくまま並べるのと違って、トップダウン式にタスクを洗い出すので「あ、あれもそうだ」というふうにタスクが思いつき易いですし、頭の中もきちんと整理されます。
WBS展開により、何をすれば良いか、どんな作業をしなければならないかが具体化されるので、「あ、バターを常温にしておくのを忘れた」というような作業の漏れを防止することができます。

② スケジュールを組める
WBSでタスクを洗い出すことができれば、タスクをガントチャートに展開して手際の良い作業手順を組むことができます。例えば、図2はカツサンド作りを3つの工程と各工程におけるタスク洗い出し、これをにガントチャートに展開したものです。分解されたタスクの役割分担や作業手順が明確になって、初めてきちんとしたスケジュールが組めるようになるのです。

03.png図2:カツサンドを作る作業をガントチャートに展開

③ 役割を分担できる
タスク分解ができると、担当者を割り当てることができます。逆に言えば、タスクの分解が甘くて、“みんなでやる”というような決め方だと責任の所在があいまいになって遅延が発生します。
図2をご覧ください。材料を買う(買い出し)が私、家にある材料を出すのが奥さんというように決めることによって、この2つの作業を実は並列に行って工程を短くする余地が出てきます。よく、担当者があいまいな(未記入)ガントチャートを書いている人がいますが、担当者を決めないと厳密なタスクのスケジュール化はできないのです。

④ 工数見積が可能になる
「10人分のカツサンドを作るのにどれくらいの工数がかかる?」。それくらいの質問であれば、「だいたい2人時(2人で1時間)くらいかなぁ」と答えることができるでしょう。でも、100人分だったらどうでしょうか。今度は、どれくらいかかるかすぐには出てきません。
WBSでタスクを分割して、例えば「カツを揚げる」タスクは4枚揚げるのに4分だから100枚で100分、というように計算して、各タスクを積み上げて全体の工数が明らかになります。
このようにWBSでタスク分割ができて、初めて工数見積が可能となるのです。逆に言えば、タスクの分割があまい工数見積は、どんぶり勘定で誤差が大きいのです。

⑤ 進捗管理が可能になる。
図2の各タスクの真ん中の棒グラフは進捗を表しています。ここでは、調理する>カツを揚げる>というタスクの配下にある「溶き卵に付けてパン粉にまぶす」タスクが完了しており、「油できつね色に揚げる」タスクが50%まで完了しています。この2つのタスクの進捗状況によって、上位タスクである「カツを揚げる」が75%完了、さらに上位の「調理する」が22%完了という進捗状況になっているのが見て取れます。
このようにWBSによってタスクを分解したことによって、各タスクの進捗状況が明確になり、何が遅れているのかが一目瞭然となるのです。

⑥ スコープが明確になる
カツサンドを作るぞ! その言葉だけだと、どんなカツサンドができるのかはっきりしません。キャベツが入っているのかいないのか、からしやマヨネーズをつけるのか、ロースカツを買ってきて切るだけなのか、自分で揚げるのか…。
WBSによりタスク分割することによって、どんなカツサンドが作られるのかをプロジェクトメンバーやユーザーが共有することができます。WBSは、タスクの洗い出しと同時に、作業スコープとして何が計画されているのかを明確にする重要な役割を持つのです。

プロジェクト管理に関するお役立ち資料

WBS標準を持つ

WBSは、計画プロセスにおけるスコープ管理とスケジュール管理の要です。プロジェクトごとに一からWBSを考えて作るのはナンセンスです。料理にレシピがあるように、プロジェクトのタイプに応じたWBS標準が必要です。良いWBS標準を用意していないと、必ずタスク漏れやWBS展開不足が生じます。

プロジェクトタイプに応じたWBSの標準を持ち、各プロジェクトでその標準を利用し、定期的に標準WBSを見直す。簡単そうで、これができていない属人的なやり方のところが多いので気を付けましょう。

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WBSとOBPM

プロジェクトの計画プロセスにおいてWBSは非常に重要ですので「WBSでタスクをきちんと洗い出してください」と言うPMOは多いです。でも、そう言われても、各人のスキルと経験に依存するやり方ではうまくいくプロジェクトとうまくいかないプロジェクトが出てしまいます。
当社は、統合型プロジェクト管理システムOBPMを使って次の三段活用により、WBSからガントチャートのタスクに展開しています。
①WBS標準
プロジェクトのタイプ(ドメイン)ごとに、標準WBSを持つ
②スコープ定義
標準WBSをベースとして、タスクを洗い出して作業スコープを明確に定義する
③ガントチャート反映
定義した作業スコープをガントチャートに転記できる

PM7-3.jpg画面1:OBPMのスコープ登録画面でWBSを定義(三段活用の②)

統合管理ができないExcelでは、属人的プロジェクト管理の闇から抜け出せません。上記のようなワン・ツー・スリーの一連の流れで、タスクの洗い出しからスコープ計画、スケジュール計画が完全に行えるのです。

(株式会社システムインテグレータ代表取締役社長梅田弘之)

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