プロジェクトマネージャーや各メンバーが、プロジェクト管理を徹底して行うためには“プロジェクト管理ツール”が欠かせません。特に複数人の関係者が絡むようなプロジェクトでは管理が複雑になってしまうので、ツールに頼ることが円滑なプロジェクト進行のために大切だと言えます。
今回は、いまでプロジェクト管理ツールを取り入れていない企業やプロジェクトマネージャー、メンバーに向けて、ソフトウェア開発や製造業など様々なシーンで使えるフリーでのプロジェクト管理ツールをまとめました。
フリーのプロジェクト管理ツールまとめ資料の最後に「プロジェクト管理ツールOBPMまるわかりガイド」の資料ダウンロードのご案内が表示されます。フリーのツールを使用している企業の良い点や問題点が、ストーリー仕立てで記載されているので、とてもわかりやすい資料です。ぜひ参考にしてみてください。
プロジェクト管理について
プロジェクトを正確に効率良く進行させるためには、PMやPLによる適切なプロジェクト管理が重要なポイントです。
ここでは、プロジェクト管理の定義やポイントについてご紹介します。
プロジェクトの定義
「プロジェクト」は、ある目的を達成するための計画のことを指します。売上や納期などを設定し、それに向かって計画的に業務を進めます。
プロジェクトは社内に限らず、他社と協力して遂行するケースもあります。ほとんどの場合は、複数メンバーで取り組みますが、その中で、主導となり業務を進めるのがPM(プロジェクトマネージャー)やPL(プロジェクトリーダー)です。
PMは、プロジェクトの責任者であり、実際にチームをまとめて遂行するのは、PLの役割となっています。
プロジェクトそのものについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
プロジェクトとは?その意味とタスクとの違い
プロジェクト管理のポイント
ここからは、プロジェクト管理において、確実に理解しておきたい重要なポイントをご紹介します。
プロジェクト工程の細分化
プロジェクト工程をタスクごとに細分化することは、進捗状況を詳細に管理する際に役立ちます。
プロジェクトでは、タスクを段階的に処理していくことが基本です。細分化したタスクによって作業範囲が明確になり、いつまでに・どこまで完了させれば次の段階に進めるかの把握が容易になります。
プロジェクトを工程ごとに細分化することで、完了・未完了のタスクを即座に判別ができ、効率的な進捗管理を実現します。またプロジェクト管理においては優先順位をつけながら各タスクを処理していくことが重要ですが、細分化したタスクは優先順位の洗い出しにも効果を発揮します。
スケジュール管理の徹底
プロジェクトを率いるPLは、現在のプロジェクト進捗状況を常に管理しなければなりません。単に計画通りの進捗具合になっているかを確認するだけではなく、プロジェクトチームやメンバー単位で進捗状況を把握する必要があります。
スケジュール遅延につながる恐れがある場合には、正確な修正依頼を出すと共にプロジェクト全体で進捗状況を共有して、スケジュール管理の徹底を促します。
このとき、口頭の説明では誤解を生む場合もあるため、正確な情報はツールを利用して共有すべきでしょう。
予算管理の徹底
プロジェクトでは売上、経費、外注費、そして工数を予算として管理します。このうち、工数管理が予算管理において最も重要なポイントです。大規模プロジェクトのような正確な工数管理が困難になりがちな現場では、タスク完了ごとに速やかな工数入力を義務付ることが一般的です。
このとき、工工数管理が徹底されていないと、工数入力の方法がメンバーによって異なってしまいます。工数管理含めて予算管理の方法を厳格に定義することで、プロジェクトの赤字化を防ぎ生産性の向上へとつながります。
プロジェクト管理ついては以下の記事で詳細に解説しています。あわせてご覧ください。
プロジェクト管理とは?成功のポイントと効果的なツールの活用方法
プロジェクト管理ツールとは?
「プロジェクト管理ツール」は、正確性の高い情報共有を可能にするツールです。正しく運用することで、プロジェクト進行の効率や生産性を向上に効果を発揮します。
ここでは、ツールを導入するメリットや、搭載機能をご紹介します。
プロジェクト管理ツールのメリット
プロジェクト管理ツールのメリットは、リアルタイムにプロジェクトの状況を把握可能にする点にあります。状況把握が即座に行えることにより、臨機応変な対応が実現するのです。
ここからは、プロジェクト管理ツールのメリットをより詳しくご紹介します。
プロジェクトの進捗状況の可視化
プロジェクト管理ツールによって、進捗状況が可視化できます。必要な作業工程を洗い出し、優先順位をつけて着実に仕事を進められるようになります。
しかし、単に進捗状況を可視化するだけではプロジェクト管理を効率化したとは言い切れません。進捗状況と工数・原価を同時に可視化して管理することが重要です。工数・原価管理をプロジェクト管理の中心に置いたツールでは、原価と進捗を同時に把握できます。
プロジェクト情報の一元管理
プロジェクトメンバーからの報告を一定のフォーマットで管理することによって、トラブルやミスのない、高精度な情報共有が実現します。
また、情報共有にタイムラグが発生しないメリットも大きく、プロジェクトメンバーが常に最新情報にアクセスできます。
プロジェクト管理ツールの機能
プロジェクト管理ツールに備わる下記のような機能が、プロジェクトの可視化や一元化をサポートします。
進捗管理機能
- ガントチャート
- スケジュール管理機能
- タイムライン
情報共有機能
- 掲示板機能
- wiki機能
- ファイル共有機能
コミュニケーション機能
- チャット機能
- メッセージ機能
- コメント機能
工数管理機能
- EVM予測機能
- 予実管理機能
- 工数予算設定機能
プロジェクト管理ツール導入の際には、上記のような機能がいかに自社プロジェクトにマッチするかどうかがポイントです。
プロジェクト管理ツールは、各ベンダーからさまざまな設計思想をもつツールが販売されているので、よく比較検討しましょう。
プロジェクト管理ツールの選び方
どんなに多機能だったとしても、自社に最適なツールでなければ、高い導入効果を得るどころか、かえってプロジェクト管理の効率を悪化させてしまう可能性があります。
ここからは、自社に最適なプロジェクト管理ツールを選ぶ際に意識したい基準をご紹介します。
クラウド型orオンプレミス型
プロジェクト管理ツールは、「クラウド型」と「オンプレミス型」に大別できます。
昨今は、導入・運用にかかるコストが安価なことなどから、クラウド型ツールが主流となっています。また、クラウド型はインターネットを介してクラウド上のシステムを利用します。保守・管理はベンダーによって行われ、利用者に負担が生じることはありません。
対するオンプレミス型は、自社拠点内やデータセンターでシステムを稼働させます。基本的には保守・管理が自社負担となるため、コストが高額になる傾向があります。
さらに、このような特徴から、クラウド型は小中規模プロジェクト向きで、オンプレミス型は大規模プロジェクト向きともされています。
操作性
プロジェクト管理ツールは、PMやPLだけでなく、多数のプロジェクトメンバーや関係者も利用するツールです。
従って、利用対象者が多いほど優れた操作性を備えていることが求められます。どんなに生産性を向上につながる機能であったとしても、使い勝手が悪ければ情報入力が疎かになってしまうでしょう。
高い導入効果を発揮するためには、機能を十分に活用できる操作性を備えていることがひとつの基準になります。
セキュリティ対策
セキュリティ対策は、クラウド型サービスを利用する場合において、特に重要視すべきポイントです。
先述の通り、クラウド型は社外で保守・管理が行われ、セキュリティ対策についてもベンダーやデータセンターによって実施される場合がほとんどです。
つまり、強固なセキュリティ体制にあるかは外部要因に依存します。プロジェクトのセキュリティ対策として、ツールに不正アクセスの遮断や暗号化通信が採用されているかは導入前に確認すべきポイントです。
言語環境
普及しているプロジェクト管理ツールは、日本製のツールもあれば、海外製のツールも多くあります。
海外製のツールは日本語にローカライズされていることがほとんどですが、一部未対応のツールもあります。入力の正確性を確保することが重要なプロジェクト管理ツールにおいては、プロジェクトチーム全員が等しく入力操作を行える体制の構築は必須です。
一部のメンバーだけが情報入力を行えないといった状況を避けるためにも、日本語に対応したツールを選択したほうがいいでしょう。
料金プラン
プロジェクト管理ツールは、個人向けタスク管理ツールから大規模プロジェクト向け統合管理ツールまでさまざまな形態が各ベンダーから販売されています。
自社の要件を満たす機能レベル、利用人数や同時接続人数に適した料金プランが各ベンダーから提供されていますが、無料で利用可能な「フリープラン」も多数提供されています。フリープランは利用可能人数や機能に制限があるケースがほとんどですが、有料版を利用する前に機能や操作性を確認する目的であれば十分な性能を有しています。
次章からはフリープランを提供しているプロジェクト管理ツールについてご紹介します。
有償のツールの比較についてはこちらの記事をご覧ください。
プロジェクト管理ツールおすすめ18選 無料から有料まで徹底比較
<クラウド型>無料で使えるプロジェクト管理ツール
ここからはフリープランの提供がある「クラウド型」のプロジェクト管理ツールをご紹介します。
Agilefant
「Agilefant」のソロプランは、フリーランサー向けのプランです。
プロジェクトメンバーを追加しない場合に限りますが、無料ですべての機能にアクセスできます。プロジェクト管理に必要なスケジュール管理などの基本機能に加えて、バックログに優先順位をつけ管理する機能が搭載されています。
また、プロジェクトにおける製品開発要求をバックログ機能で管理することで、見積もり精度の向上や工数管理をスムーズに実施することができます。
出典:https://www.agilefant.com/
Backlog
「Backlog」のフリープランは、1プロジェクト・10ユーザーまで利用可能です。
ガントチャートなど一部機能は制限されていますが、Subversion/Git機能やファイル共有機能はサポートされています。
ガントチャートなどの進捗管理機能を利用したい場合は、有料プランへのアップグレードが必要です。
また、有料プランのプラチナプラン・プレミアムプラン・スタンダードプラン・スタータープランの全プランで30日無料トライアルが利用可能です。
出典:http://www.backlog.jp/
Brabio!
「Brabio!」のフリープランでは、プロジェクト作成数無制限、5ユーザー、データ容量50MBまで利用可能です。
Brabioは、ガントチャート制作に特化したクラウドツールです。ガントチャート作成編集が直感的な操作で行えるためPCスキルに自信が無い場合や、脱Excelを目指したい場合に最適でしょう。
複数の小規模プロジェクトを横断的に管理する際など、ガントチャートを軸にした管理によってプロジェクトの効率化を実現可能です。
出典:http://brabio.jp/
Jooto
「Jooto」の無料プランは、5ユーザー、データ上限100MB(1ファイル上限10MB)まで利用できます。なお、基本機能は無料プランでも全て利用可能です。
ただし、データエクスポートや行動履歴は過去30日分までです。Jootoはタスク管理に特化したインターフェースを備え、簡単な操作でタスク作成と変更を行うことができます。
クラウド型なので情報はオンラインを介して更新され、端末やOSに左右されることなくいつでも・どこでもツールを使用したプロジェクト管理が実現します。
出典:https://www.jooto.com/
Planio
「Planio」のBronzeプランは、無料で1プロジェクト、2ユーザー、データ上限2GBまで利用できます。
Planioは海外でも知名度の高いオープンソースのプロジェクト管理ツール「Redmine」に改良を加えたツールです。RedmineのUIを改良し、誰でも簡単にプロジェクト管理を行うことができる操作性が魅力といえます。
Redmineの導入ハードルは高いものの、利用してみたいという場合にはおすすめでしょう。
出典:https://planio.farend.jp/contents/free/
Producteev
「Producteev」は、無料で全機能が制限無く利用可能なタスクマネジメント、タスクコラボレーションツールです。
Producteevは海外製で日本語対応はしていませんが、洗練されたUIが特徴的なツールです。外部サービスと連携機能も備わっており、Googleカレンダーなどと連携させることで従来のスケジュール管理のプロセスを変更することなく、スムーズにProducteevでのプロジェクト管理に移行できます。
出典:https://www.producteev.com/
Todoist
「Todoist」は、無料で5アクティブプロジェクト、1プロジェクトあたり5人、データ上限5MBまで利用可能です。
個人利用からビジネス利用まで、幅広く利用されている汎用性に優れたタスクマネージャーです。誰でもタスク管理表を簡単に作成でき、あらゆる端末からいつでも・どこでもタスク管理を可能にします。
豊富にテンプレートが用意されているため、すぐにでもタスク管理に活かすことができる点もポイントでしょう。
出典:https://ja.todoist.com/
Todous
「Todous」は、3ユーザー、データ上限50MBまで無料利用可能です。
ひと目でタスク状況を把握できるグローバルUIデザインが採用され、2012年にはグッドデザイン賞を受賞しています。PCからスマートフォンまであらゆる端末に最適化され、Google カレンダーとの連携などで高い利便性を発揮します。
出典:http://todous.jp/
Trello
「Trello」のFREEプランは、全ての機能が無制限で利用可能なタスク管理ツールです。人数制限などもなく、個人利用からチーム利用まで幅広い用途が特徴です。
なお、SlackやGoogle Driveなど外部サービスと連携強化させたい場合は、有料プランBusiness Classへのアップグレードが必要になります。
Trelloはタスクを管理に特化しており、複雑なタスク管理でもTrelloボードとリスト、カードといった機能でチーム内で正確に情報共有できる点が魅力でしょう。
出典:https://trello.com/
Wrike
「Wrike」の無料プランは、ユーザー数に制限なく、カンバン方式のタスク管理機能を利用できます。
無料プランでもGoogle Driveなどの外部サービスと連携が可能ですが、進捗管理をサポートするガントチャートやダッシュボードなどの機能は、一部制限されています。
Wrikeはタスク、スケジュール、チャートなどをひとつの画面にまとめて表示することができ、タスクにカスタマイズしたステータスを設定して管理することもできます。
出典:https://www.wrike.com/ja/
みんなでガント.com
「みんなでガント.com」は、一部機能が制限されますが、30日間無料で利用可能です。
会員登録不要でガントチャートの作成と編集が可能なのは、ポイントでしょう。そのため、チームやグループと共有してすぐに進捗管理に利用することができます。
複数のプロジェクトのガントチャートを一元管理することで、横断的な管理を実現できる点がメリットです。また、ネットワークは高度に暗号化され、社内や自宅からでも安心しサービスにアクセスできます。
出典:http://minna-de-gantt.com/
<インストール型>無料で使えるプロジェクト管理ツール
ここからは、無料で使えるインストール型のプロジェクト管理ツールをご紹介します。
GanttProject
「GanttProject」は、機能制限なくガントチャートを作成可能なオープンソースのプロジェクト管理用フリーソフトです。
フリーソフトでありながらも、プロジェクト管理ツールに必要なガントチャート作成、スケジュール管理、タスク管理などの基本機能を備えている、汎用性に優れたJava製のソフトウェアです。
出典:https://ja.osdn.net/projects/sfnet_ganttproject/
OpenProj
「OpenProj」は、Microsoft Projectの代替となるフリーソフトウェアです。
OpenProjはMicrosoft Projectと同レベルの機能性や操作性を備え、Microsoft Projectとの互換性もあるため既存のプロジェクトファイルを編集することが可能です。ガントチャートやパートチャートを利用した相互運用で効率的なプロジェクト管理を実施することができます。
出典:https://ja.osdn.net/projects/sfnet_openproj/
ProjectLibre
「ProjectLibre」も、OpenProjと同様にMicrosoft Projectの代替となるオープンソースソフトウェアです。
ProjectLibreは、全世界200カ国で250万ダウンロードされた実績がある、信頼性の高いプロジェクト管理ツールです。Microsoft Projectの各ファイル形式の互換性が保持されており、無駄のないUIでプロジェクト管理をスムーズに行えます。
出典:https://ja.osdn.net/projects/sfnet_projectlibre/
TaMa.5 Free
「TaMa.5 Free」は、一部機能に制限がありますが、ガントチャートやToDoリストの作成といった基本機能を無料で利用できます。
操作性と理解しやすさが優先された設計となっており、プロジェクト管理ツールの入門に適しています。
ただ、Excel形式やCSV形式での書き出しは無料プランでは対応しておらず、業務用のProfessional版へのアップグレードが必要です。
出典:https://www.netsphere.jp/tama/
がんすけ
「がんすけ」は、ガントチャート作成・編集に特化したフリーウェアです。
シンプルなマウス操作で、チャートの配置を行いスケジュールの管理や変更を行うことができます。スケジュール表示期間をワンクリックで切り替え可能など、短期から長期まで複数の視点からプロジェクト管理をサポートする機能が搭載。
また、機能強化版「がんすけ2」ではToDoリストやCSV出力といった業務効率化をサポートする機能が追加されています。
出典:http://www.gansuke.com/
ここまで、さまざまなフリーで使えるプロジェクト管理ツールをご紹介しました。一部機能制限されているものもありましたが、プロジェクト管理ツールの機能や操作性を確かめる目的では十分といえるでしょう。
まとめ
今回ご紹介したフリーで利用可能なプロジェクト管理ツールの多くは、試用版や個人利用を想定したものであることがわかります。
そのため、ガントチャートなどのプロジェクト管理において重要な機能が制限されているツールもありました。数人で実施するプロジェクトでは問題にならないかもしれませんが、プロジェクト規模が拡大したときにフリー版ではプロジェクトのコントロールが難しくなる可能性には注意すべきでしょう。
また、全社で横断的に情報を活用したい場合には利用人数に制限があるツールは実用的ではありません。プロジェクトを円滑に進めて確実に成功させるためには、全社で利用可能なツールを導入してみましょう。
- カテゴリ:
- 比較