ソフトウェア開発やシステムインテグレーション、製造などあらゆる業種の現場では、プロジェクト単位で業務を行なっており、それらすべてのプロジェクトは、品質と納期を保ちながらプロジェクトを完遂させることを目標にしています。
そして、そのプロジェクトに関わる人員や関係者が増えるほど、高い品質が求められるほど、そして、利益を追求するほどプロジェクトを管理するための「プロジェクト管理ツール」が必要不可欠になります。
しかし、そのプロジェクト管理ツールには、さまざまな製品が存在しており結局のところどの製品を選べば良いのだろう?と迷われている人も多いでしょう。
実は、プロジェクト管理ツールの選定には押さえておきたいポイントが7つあります。それらのポイントを押さえつつ、自社要件を満たしたプロジェクト管理ツールを選べば、自社にフィットする製品を導入することができるでしょう。
そのポイントとは何か?今回は、気になるプロジェクト管理ツールの選定ポイントを紹介します。
プロジェクト管理ツール選定で絶対押さえておきたいポイント
PMBOK対応
PMBOK(Project Management Body of Knowledge)とは、プロジェクト管理に関するノウハウや手法を、体系立ててまとめたものです。1987年にアメリカの非営利団体PMI(Project Management Institute)が発表したガイドブック「A Guide to the Project Management Body of Knowledge」により、徐々に世界で浸透していきました。
日本国内でも同様に一般化されつつあり、現在ではプロジェクト管理の“教本”として、多くの企業がPMBOKの準拠を目指しています。
PMBOKへ準拠する目的は2つあります。一つ目は、プロジェクト管理に関わるリーダーやメンバー、すべての人が共通認識のもとプロジェクト管理を行うためです。
プロジェクト管理の現場では、ある人はスケジュール管理をイメージし、ある人は原価管理を重点的に考えるというように、「プロジェクト管理とは」という命題に対して、置かれている立場によって回答は異なります。
PMBOKは人によって曖昧に理解されていたプロジェクト管理を、10の管理エリアと5つのブロックに分けて体系立ててくれています。これにより、共通認識のもとプロジェクト全体の管理を推進していくことができます。
二つ目の目的は、ソフトウェア開発・製造業において重要な“QCD”に至るまでのプロセスを管理することです。Q(クオリティ 品質)、C(コスト 原価)、D(デリバリー 納期)という3つのプロジェクト管理指標は、それだけを管理して達成できるものではありません。
そこに至るまでのプロセスも管理し、進捗を確認しながらプロジェクトをコントロールしていく必要があります。
PMBOKではスコープ管理、リスク管理、要員管理、コミュニケーション管理、調達管理も管理対象と、最終目標であるQCDの達成をサポートします。
少々長い説明になりましたが、プロジェクト管理ツールを選ぶ上で押さえておきたい第1のポイントは、製品自体がPMBOKに準拠していることです。システム化によって自動でPMBOKの概念を導入することができれば、組織全体のプロジェクト管理の質を向上させることができるようになります。
クラウド対応
今、多くの企業でITソリューションの導入を検討する際に、クラウドを検討しています。クラウドを採用する理由の多くが短期導入やコスト削減を重視していることでしょう。
そして、同様にプロジェクト管理ツールを選定する際もクラウド対応しているのかを確認すると良いでしょう。
クラウド対応したプロジェクト管理ツールを選定する理由は、短期導入やコスト削減という以外にも “働き方改革”に対応する企業が多い実情があります。
次世代のプロジェクト管理を実現するためには、プロジェクトリーダーやメンバーが、時間や場所を意識せずに、プロジェクト管理ツールを利用できる環境を整える必要があります。地理的に分散して単一のプロジェクトを遂行する場合やグローバル企業の場合、メンバーが常駐するような場合にはクラウド対応でいつでも、どこからでもプロジェクト管理が行われる必要があります。
その答えがクラウド対応であり、クラウドによってWeb上でプロジェクト管理ツールを利用できれば、これまでになくプロジェクト管理を円滑に促進することができます。
ERP連携
プロジェクト管理を徹底し、プロジェクトを成功へと導くために原価管理並びに収支管理は欠かせません。プロジェクトの成功は質の高いアウトプットをスケジュール通りに終わらせることに加えて、プロジェクトを介して利益を得ることです。そのためには、プロジェクト単位の原価管理並びに収支管理を行う必要があります。
また、マネジメント層であれば、そのプロジェクトでいくら儲かっているのか、赤字プロジェクトはないのか?など経営データを意識するものです。
しかし、プロジェクト管理ツールのみで収支のすべてを可視化することは難しい実情があります。
なぜなら財務会計データや経費データ、給与データは、他のシステムで管理されているケースがほとんどだからです。
そこで重視したいのが“ERP連携”です。
ERP(統合基幹業務システム)とプロジェクト管理ツールを連携することで、組織全体のプロジェクト原価やプロジェクト収支を正確に管理することができます。2つのソリューションを連携させることでプロジェクトを管理できれば、プロジェクトごとに経営への貢献度を図ることが可能になるのです。
複数プロジェクト管理
組織には、複数のプロジェクトが横断的に存在しています。企業がプロジェクト管理ツールを導入する理由のには、「人に依存しないプロジェクト品質の確保」や「プロジェクトの状態の見える化」があります。
この目的を達成するためには、プロジェクト管理ツールでは複数のプロジェクトを総合的に管理する必要があるのです。
しかし、複数のプロジェクト管理を実現できる製品はそう多くありません。製品選定時はこのポイントも入念にチェックし、複数プロジェクトを管理できる製品を選びましょう。
システムの使いやすさ
プロジェクト管理ツールでは、プロジェクトを複数の要素を分けて管理できることはもちろんのこと、システムとしての使いやすさも非常に重要です。プロジェクトチーム全体が使用するシステムであるため、使いやすくなければ、現場に定着することはあません。
システムの使いやすさを見極めるためには、やはり実際に使用してみるのが一番です。従ってプロジェクト管理ツール選定時は、デモやトライアルを利用できるものにしましょう。
実際に使用することで使いやすさを確認し、自社にとって最適なプロジェクト管理ツールを選ぶことができます。
リスケが簡単にできる進捗管理
進捗管理はいつでもどこでも、好きなときに行える製品がベストです。そうした意味でもクラウド対応は必須だと言えます。また、リスケが簡単にできる進捗管理機能も大切です。予測やシュミレーションができたり、直感で操作できるインターフェースを備えていれば、進捗管理をスムーズに行うことができます。
チームがまとまるコミュニケーション管理
プロジェクト管理が失敗に終わる原因の一つとして、コミュニケーションが円滑に行えなかったという問題が往々にしてあります。プロジェクトチーム全体のコミュニケーションが円滑にまとまることができなければ、プロジェクト管理ツールとして導入する意味はないかもしれません。
例えばプロジェクトメンバー間のQ&Aをメールで管理するのではなく、データベースで管理することで、チーム全体のコミュニケーション力や知識の底上げを高めることができます。課題の残件管理や、対応状況のフォローなど、プロジェクトメンバーのコミュニケーションをサポートする機能を重視しましょう。
まとめ
以上、プロジェクト管理ツール選定において、絶対押さえておきたいポイントを紹介しました。
これら7つのポイントに加えて、自社独自の要件(定着化のための支援メニューなど)をプラスすることで、最適なプロジェクト管理ツール選びが実現します。
プロジェクト管理ツール選定の際は今回紹介したポイントや自社独自要件を徹底しましょう。
ツール比較の詳しい資料もご用意していますので、こちらもぜひご活用ください。
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