プロジェクト管理ツールに必要とされるAI(人工知能)とは?【プロジェクトは現場で起きているんだ!第55章】

 2019.07.17  株式会社システムインテグレータ

ビジネス(BtoB)で活用されるAI(人工知能)とは?

ビジネス(BtoB)でAI(人工知能)の活用事例が増えてきました。2012年にGoogleが猫を認識するAI(人工知能)を発表して以来、約7年、やっとビジネス(BtoB)で利用できるレベルになってきたと言えます。ビジネスレベルで実践的なAIには、「モノにしたいAI」と「モノにできるAI」の大きく2つあります。
1)自然言語理解AI
2)画像認識AI
その他にも音声認識やテキスト分析などもありますが、現在はこの2つのAI機能の事例が驚異的な勢いで増えています。ではどのような実践的な事例があるのか見ていきましょう。

ビジネス(BtoB)で活用されるAI(人工知能)「自然言語理解機能のAI」と「画像認識機能のAI」

1)自然言語理解機能のAI(人工知能)

様々なデータを学習して、正しい方向に導くための答えを出してくれる機能です。つまり人間の判断をサポートしてくれる「予測」を行ってくれる機能が自然言語理解の良さです。

<自然言語理解機能 活用事例>
・不動産鑑定士よりも評価額を速く導き出すAIサービス
不動産の価値を計算するための、土地や建物の広さや相場、市場分析や地域分析を瞬時に行い、評価額を算出するAI機能です。最終的には不動産鑑定士が評価額を決定しますが、不動産鑑定士が行った場合は1時間、AIは5分で算出します。ルールベースの機械学習とブラックボックスのディープラーニングを組み合わせた自然言語理解機能の組み合わせが非常に合っていると感じます。
その他にもAIアシスタントや秘書的なサポートをしてくれる自然言語理解機能などもありますが、まだそのレベルはビジネス(BtoB)で使えるモノになっていないと思います。学生レベルに例えるなら小学生か、それ以下と言えます。予測するAIは非常に欲しい機能ですし、モノにしたいAIであることは間違いありません。しかし自然言語理解機能の現在のレベルや学習データの整備の課題など、まだまだ予測してくれるAIは難しく、ビジネス(BtoB)でモノになるのは先のようです。

2)画像認識機能のAI(人工知能)

画像認識は、様々な画像を学習することで、正しい画像を導き出し、品質を向上させることのできるAI機能です。現時点では自然言語理解機能よりもビジネスシーンで多く活用されています。

<画像認識機能 活用事例>
・中古車査定AIサービス
中古車の年式や型式の学習だけでなく、外観のキズやへこみを画像認識で学習することで、人間が行う中古車査定にかかっている時間を大幅に短縮し、品質向上につなげています。

・製造業:製品の外観検査・異常検知AIサービス
ルールベースの外観検査・異常検知システムよりも、製品の良品・不良品をAIで学習させることで、画像認識機能により大幅な品質向上と、目視をしている人件費の削減につながります。
その他にも工事現場の外観検査、顔の画像認識によるセキュリティ機能など、画像認識機能のAI(人工知能)の方が、ビジネス(BtoB)では圧倒的に事例が多いことが現状です。つまり「モノにできるAI」と言えるのではないでしょうか?

プロジェクト管理ツールで必要とされるAI(人工知能)とは?

画像認識を使ったビジネス(BtoB)での活用事例が多いことがわかりましたが、プロジェクト管理ツールの分野ではどのようなAIが必要とされているのでしょうか?
1)自然言語理解機能AI(人工知能)を使った場合
「予測」ができるわけですから、「このままいくと赤字になってしまうプロジェクトを予測してほしい」「計画段階で成功率を算出してほしい」など、「これからのプロジェクトについて予測・予知してアドバイスしてほしい!」とよく言われます。しかし自然言語理解機能はまだ小学生レベルですし、そもそも会社の中にこのような予測ができる学習データがありません。
成功したプロジェクトや失敗したプロジェクトの「自社」の過去データや、クラウドで収集した「他社」の過去データがあれば、まだ実現可能かもしれませんが、まだまだこのような段階にいけるのは先だと思います。しかし「あったらいいな!欲しいAI機能」であることは間違いありません。私も欲しいですし、この機能があれば、プロジェクト管理ツール:OBPMは爆発的に売れるな!」と強く思います。(笑)

2)画像認識機能AI(人工知能)を使った場合
画像認識の強みとは「非構造化データ」を「構造化データ」に変えることです。非構造化データとは製品の画像や、人間の顔、手書きで書いた文字や絵などを指します。それらをAIの力でデータに変えてしまうことで、ビジネスで活用できることが画像認識機能の大きなポイントです。ではプロジェクト管理で構造化データに変えたいもの、つまりプロジェクト管理で非構造化データとはどんなものがあるでしょうか?

プロジェクト管理ツールで画像認識機能 AI(人工知能)の活用事例

画像認識機能により、非構造化データを構造化データに変えたい、プロジェクトマネジメントで登場してくるシーンにはどんなものがあるでしょう。

1)Excelで管理されている工数・原価管理、品質管理のデータ
各個人やチームでフォーマットがバラバラに管理されているため、統一したデータにしてほしいという要望であれば理解できます。しかしこれらはすでに「構造化されているデータ」であり、画像認識AI機能を使う必要はありません。

2)Excelで記載されたガントチャート
これもExcelであるため、構造化されたデータです。しかし工数・原価管理や品質管理データと比べ、数値によるデータだけでなく、ガントチャートというチャートの画像があるため、そこだけは画像認識AIで構造化データにすることはニーズがあるかもしれません。
現在、構造化データ化されているガントチャートツールは、マイクロソフト社のMSプロジェクトがもっともポピュラーであり、MSプロジェクトのファイル形式であれば、ガントチャートにデータを読み取ることができます。しかしExcelのガントチャートを構造化データにすることは難しいため、画像認識AI機能を使うと面白いかもしれません。

3)すでにシステム開発されていて、あとでシステム設計書を作成する場合
プロジェクト管理には成果物管理を行うシーンはたくさんあります。その中で一番時間がかかる成果物は、基本設計書や詳細設計書の「画面レイアウト定義」などのシステム画面に関する成果物です。例えば、すでに何年も利用している老朽化してたレガシーシステムに対し、熟練者が退職するためにシステム設計書を整備したい場合や、アジャイル開発でシステム開発を先行しておこなったため、あとで基本設計書や詳細設計書を作成したい場合もあります。このようなシステム画面を画像にすることで、画像認識AI機能で読み込むことができます。「まず非構造化データがあって、それを構造化データに変えることはAIの強み」の画像認識AIの概念にも合っています。


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