プロジェクト管理における工数管理のメリット(Vol.54)

 2019.07.08  株式会社システムインテグレータ

プロジェクト管理で重要な項目の一つに、採算管理をあげる企業は多いのではないでしょうか。
採算管理をするための原価には、仕入品や外注費用もありますが、一番重要なのはプロジェクトにかかわる社員の労務費です。一つのプロジェクトに専任していれば100%そのプロジェクトにかかった費用として計上すればいいですが、複数のプロジェクトを掛持ちしている社員も多くいます。どのプロジェクト対してどれだけ作業をしたのかを把握するためには工数管理がとても重要になります。

プロジェクト管理の工数管理とは?

工数管理は、勤怠時間に対してどのプロジェクトに作業をしたのか内訳時間を管理します。その日にどのプロジェクトに何時間作業したか実積登録します。また、工数は作業量・時間を表すので、例えば、あるプログラムを作成るのにどれくらいの作業量・時間(工数)がかかるのかを予定して、算出することにも利用します。
工数管理は、プロジェクトにおける採算管理以外にも、昨今話題となっている働き方改革に伴う社員の作業量・時間管理、負荷状況管理などを管理するために欠かせない重要な管理項目です。

プロジェクト管理の工数管理の重要性

プロジェクトリーダーは、プロジェクトで決めたWBS(詳細は、【第7章】WBSの目的とメリット:WBS とはをご参照ください)に対して、詳細スケジュールに落とします。タスクに対して作業期間はもちろんですが、どれくらいの作業を予定するのか、つまり計画工数(作業予定工数)を決めてプロジェクトメンバーをアサインします。これでプロジェクトに対しての工数予定が立ちます。
担当になったメンバーは、日々実施した作業に対して実積工数を入力します。本日時点や月末時点で計画工数に対して、実積工数がどのように推移しているのかを確認することができるので、プロジェクトリーダーは、プロジェクトの健康状態を把握して適切な処置が可能になります。
工数入力単位は、プロジェクトに対して入力する、プロジェクト配下の作業区分、工程単位に入力するなど企業によって様々です。少々大変かもしれませんが、プロジェクトリーダーが計画したWBSと同じタスク単位で入力することを推奨します。そうすれば、プロジェクト全体の工数予実を把握することはもちろんですが、タスクレベルでの工数の予定・実績を確認することができるので下記2点のメリットがあります。

メリット1

プロジェクトリーダー自身が、見積した作業予定工数(計画工数)に対しての振り返りをすることができます。次の見積り作成時に活かすことで精度を上げることにつながります。

メリット2

各メンバーは、計画工数と実積工数が見える化されているので、コスト意識を持つのはもちろんですが、ここを改善して作業しよう、こうすれば生産性が上がるのではないかといった効果も期待できます。

ここが一番重要ではないかと考えています。なぜなら、現場がしっかり工数入力をしてくれなければ正しい工数、工数管理は実現できません。現場が会社から言われているから仕方なく入力するといった姿勢では定着もせず、もしかすると適当に工数をつけてしまうかもしれません。
工数を入力することで見えてくる改善点や日々の作業工数から結果に結びつけば、それが工数にも表れるのでメンバーの成長やモチベーション向上にもつながります。

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メンバーの工数予実負荷状況がわかる

会社として社員の稼働を最適にすることは重要です。特定の人に負荷が集中することもよくないですし、空いている人が多い状況もよくありません。昨今働き方改革が話題となっているので、特に重要視している企業も増えています。
工数管理をしていなければ、定量的にメンバーの負荷状況を図ることができないので、一人一人の状況を伺い、「大丈夫です」「忙しいです」といった言葉を信用するほかありません。
それでは、プロジェクト管理はうまくいきません。
プロジェクト単位で計画工数を立てて、メンバーをアサインして、実積工数を登録すれば、他のプロジェクトと合わせて、負荷はどれくらいなのか、いつまで続くのか、負荷分散したほうがいいのではといったことをきちんと把握して対処することができます。空き状況もわかるので、うまくリソースマネージメントができれば、稼働率も高めて、不要な外注先を発注しなくても済みます。そのためにも、受注したプロジェクトだけではなく、見込み案件からのプロジェクトを登録して計画することが重要となります。

工数管理から分析できるメリット

プロジェクト管理の工数管理がうまくできていればできれば、工数情報をベースに様々な分析が可能になります。下記に一例を挙げます。

メリット1

稼働率がわかります。作業工数のうち、稼働プロジェクト(例:お客様からお金をもらっているPJ)、非稼働プロジェクト(例:社内会議、営業支援など)それぞれ分けて工数管理をすることで、稼働状況を把握することができます。
例えば、Aさんが1日8時間のうち、稼働プロジェクトに6時間、非稼働プロジェクト2時間とすると、その日の稼働率は、75%になります。個人、課、部、全社単位で管理することで無駄や業務の偏りを把握して見直しを行います。

メリット2

あるお客様のプロジェクトは利益率が悪い、工数がかかりすぎているといったことの原因を分析したい場合、工数管理をしていれば、工数を甘くみているのではないか、工数は妥当だが指摘が多いので余計な管理工数が発生しているからか、といった分析ができます。次回からの見積には工数を見直して提示することが可能になります。

メリット3

入力した工数や進捗を元にEVMグラフでプロジェクトの健康状態をチェックすることができます。EVMは、Earned Value Management(アーンド・バリュー・マネージメント)の略です。プロジェクトが計画した通りに進んでいるかを、期間ごとの計画値(PV)、出来高(EV)、実績値(AC)の積み上げ折れ線グラフ表示によって管理する手法です。計画値と、出来高や実績値を比較することによりスケジュール差異やコスト差異が一目で把握できます。EVMについての詳細は、【第12章】EVMはプロジェクト状況の健康診断書:EVMとはを参照ください。

プロジェクト管理の工数管理を、Excelでやってはいけない

重要な管理項目でありながら、Excelで工数管理している企業が多く散見されます。
Excelは、簡単に表が作成できるうえに誰でも利用している優れたソフトです。その反面、変更があったときに表を整えるのが大変だったり、標準テンプレート化したにも関わらず変更ができるので標準ではなくなったり、間違ってデータを削除してしまったりなど手間や不都合がたびたび発生してしまいます。
工数管理のExcelを管理するための工数も必要になってしまうのでとても非効率です。
やはり少し費用をかけても、プロジェクト管理における重要な項目ですから、システム導入する必要はあると感じます。
少しご紹介となりますが、弊社のプロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM」は、プロジェクト管理標準のPMBOKに準拠し、採算管理・進捗管理・要員管理・品質管理などプロジェクト管理に必要な機能を統合したプロジェクト管理ツールになっています。
もちろん工数管理もできるので、メンバーの負荷状況やスケジュール管理と合わせた工数予実管理も実現できます。また、様々な機能と連動しているので、工数と単価をかけ合わせてプロジェクトの採算を見る、課題、障害にかかった工数も把握することができます。

プロジェクト管理における工数管理のメリット(Vol.54) 1

プロジェクト管理における工数管理のメリット(Vol.54) 2

工数管理を定着させてプロジェクト管理を成功に導くことこそ、最大のメリット

工数管理で重要なのは、工数の見える化です。経営層・部門長・メンバー問わず全社がプロジェクトや仕事を効率的に進めやすくなります。管理者の為に入力していると思われないように、現場のメンバーに対しても工数管理をするメリットを共有して、全社で工数管理に対しての意欲を高めることで、工数の精度が増して、プロジェクト管理に対する様々な分析や対策ができるので成功プロジェクトも増えていくと思います。
まずはできる部分からプロジェクト管理に重要な工数管理を考えてみてはいかがでしょうか。

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