プロジェクト管理の工数について
私たちは、OBPMを正しくご利用していただくためのパッケージ導入支援を行っています。OBPMの導入支援を開始する前に、パッケージ導入の目的や背景、プロジェクト管理上の課題をヒアリングしています。
その中で、プロジェクト管理の工数についてヒアリングを行うとよく「勤怠と一緒に作業工数を入力している」と回答をいただきます。
1日の総労働実績(時間)に合わせて差異が発生しないようプロジェクトの工数実績を入力しています。プロジェクトのメンバは、勤怠の時間に合わせ感覚で工数を振り分けていることが多いです。
勤怠と一緒に工数入力する殆どの目的は、月次で経理システムへプロジェクト工数を連携することです。月次締め処理で、プロジェクト原価を計算するための根拠として利用されます。
ただ、多くのお客様で抱えられている悩みは「プロジェクト工数予実の確認」と「メンバの作業負荷状況の把握」です。
感覚でプロジェクト工数実績を振り分けてしまうと実態が分からなくなってしまいます。
プロジェクト管理 エクセル工数管理の限界
エクセルは表計算ソフトとして代表格ですが、実は、プロジェクト管理、特にスケジュール管理では最強の威力を発揮します。
ただし、行数や列数が増えると重くて運用に耐えられない、メンバがマクロを壊して正しく集計されなくなったなど、PLはプロジェクト管理ではなく、エクセルマクロ管理に工数を取られることをよく耳にします。
また、プロジェクト単体の管理は良いのですが、メンバが抱えているその他プロジェクトのタスクやその作業負荷、今後の予定というものが共有できません。
OBPMは、「開発メンバアサイン状況」画面で解決できます。
検索条件を工夫することで、「部課要員の工数予実の確認」や、「要員が抱えているプロジェクトとその工数予実」を一発で確認することができます。
非効率管理からの脱却です。
プロジェクト管理 工数予実の確認
プロジェクトの開発工数の見積り方法には、FP法やCOCOMO IIなどがあります。これら手法で見積もった開発工数は、どのように管理されていくのでしょうか。
例えば、ウォーターフォールモデルの請負開発で考えてみます。
プロジェクトの開発準備を整えるため、WBSを洗い出します。開発工程をWBSの第1階層へ定義して、そこから成果物ベースに作業をブレークダウン(第2・3階層・・・)していきます。最下層の作業(タスク)については、個々に計画工数を設定していきます。
この時、見積りした開発工数をタスクの計画工数に設定していくのです。
次に、タスクの作業期間と計画工数をみながら、メンバをアサインしていきます。メンバは、プロジェクトが開始されたら、アサインされたタスクに対して、日々の作業進捗率(%)を入力していきます。
実績工数は、どのように管理するのが良いのでしょうか。これまでのような管理では、課題が解消されません。
可能であれば、タスクごとの計画工数に対して、作業進捗率(%)だけでなく、作業実績工数を管理すべきです。
そうすれば、タスクレベルでの工数の予定・実績を確認することができ、結果的にプロジェクト全体の工数予実を把握することができます。
また、PLは自身が見積りした計画工数の精度を確認することができます。メンバは、進捗実績だけでなく目標工数を意識し、最終的にプロジェクトのコスト意識を養っていくことにつながっていきます。
OBPMでは、「ガントチャート」画面より、最下層のタスクに対して、計画工数を入力することができます。これがアクティビティとなり、メンバは作業進捗率(%)を入力していくことができます。
工数実績については、「工数入力」画面より、自身がアサインされているプロジェクトとアクティビティとなっているタスクに対して工数入力を行うことができます。勤怠で入力した総労働時間も表示されるため、これまでの運用通り、差異を確認することができます。
また、「ガントチャート」画面では、タスクの予定工数と実績工数が表示されます。進捗実績(進捗率)より、生産性が計算され(作業の)終了予測日が表示されます。メンバへの工数意識や期限管理を促すことができます。
メンバの作業負荷状況の把握
先ほど触れましたが、OBPMには、部課要員や個別プロジェクトのメンバ負荷状況を確認する画面があります。
どの会社でも「できるメンバ」はいつも引っ張りダコで負荷状況が高いものです。ただ、その負荷がどのくらいのものなのか、過負荷状態がいつまで続くのか、きちんと把握しておく必要があります。
逆に、要員の工数空き状況も把握しておき、部門マネジメントができるよう可視化しておく必要があります。そのために、受注見込み段階におけるプロジェクトの見積り工数算出やメンバアサインを登録しておくことが重要となります。
プロジェクト管理はもちろんのこと部門マネジメントとしても工数は重要な管理指標となっています。
「開発メンバアサイン状況」画面は、部門やプロジェクトの視点での工数予実をリアルに表示することができます。ただし、きちんと現場が入力して運用することが大前提となります。
面倒臭がらず、しっかりとしたマネジメントを心がけていきましょう。
きちんと分析して次回へ活かそう
請負開発のプロジェクトでは、成果物を納品するとPLや初期段階から参画している一部の主要メンバのみ残り、殆どのメンバは解放され次のプロジェクトへアサインされていきます。
メンバは解放されると次プロジェクトの状況によりますが、なかなか一同揃うことがありません。全員が揃う必要はないかもしれませんが、主要メンバがいなくなる前に、今回のプロジェクトの振り返りを実施してほしいです。
プロジェクトの進め方やスケジュール、品質に関することはもちろんのこと、見積りした計画工数に対して、最終的にはどう着地したのか。PL自身が見積もった工数は、果たして正しかったのか。メンバはどのくらいの生産性をあげて対応することができたのか。
計画工数<実績工数の開きが大きいとするならば、その原因はどこにあったのか。うまくいったとするならば、そのポイントは何だったのか。
次回、同様のプロジェクト開発を行う場合、どこに気を付けるべきなのか。PLは自身で振り返りすることも大事ですが、できれば開発メンバ(主要メンバ)と共有して意見を出し合い、無理のない(無理強いしない)開発計画が立てられるよう、プロジェクト完了報告へ記入しておきましょう。
メンバは、意見を出しながら自身のプロジェクト活動を振り返り、良かったところと悪かったところを認識しておきましょう。与えられた計画工数に対して、どのくらいの生産性・工数実績で完了させることができたか。この感覚を忘れないよう気づきをメモしておくと、後々、自身がある程度の作業を任されるようになったときこの経験が活きてきます。
どの企業もプロジェクト赤字を出さないために、採算管理を中心にしっかりとしたプロジェクトマネジメントを行うことをPMの責務としています。PLは、見積りした工数に対して、計画通りに進捗を進め納品することを責務としています。
そのため工数管理は、プロジェクト管理の肝といっても過言ではありません。面倒と言わず、きちんと分析して次回へ活かす、成功プロジェクトをどんどん増やしていきましょう!
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