プロジェクト管理 入門
先日、SI Object Browser PM(以下、OBPM)で『プロジェクト登録』を済ませた新人プロジェクトリーダー『新米太郎』は、先ほど担当営業の先輩と客先から戻ってきた。
営業:じゃぁ、太郎君、お客様要件の整理と、カスタマイズの見積をお願いするね。来週中にお願い。
太郎:はい、お任せください!(ビシッ)
先輩:よぉ、太郎、お帰り。今日はどうだった?プロジェクトリーダーとして初めて客先に行って来たんだろう?
太郎:はい、行ってきました。プロジェクトリーダーとしては初訪問で緊張していたんですけど、なんとなく雰囲気の柔らかい、いい感じのお客様でよかったです。
今、営業さんからカスタマイズ見積を依頼されて、来週までに作ることになりました。いよいよ、僕のプロジェクトがスタートするんだ!って感じがしてきました。
先輩:そうか、しっかりな。ところで、見積を作るっていうことだけど、どうやって作ろうと思っているんだい?
太郎:そ、それは、こんな感じかなぁ、と。(汗)
1.お客様要件を整理(一覧)にして
2.ざっくり、どれだけ費用が掛かるか計算して
3.こんなもんだろう!ってところで営業さんに情報提供をする
先輩:・・・・・。(無言)
太郎:せ、先輩、だ、ダメですか。
先輩:うむ。そのやり方・・・、相当大雑把だね。
「ざっくり」とか「こんなもんだろう」とか、そんな大雑把な考え方では、理論的で正確な見積なんか作れないだろう?
ある状況においては、経験則に基づいた「勘」も確かに大事だけれど、初めからそんなことではうまくいかないぞ。
見積の話だけではなく、今のうちから理論的にプロジェクトの進め方(プロセス)を理解してかないといけないね。
太郎:で、ですよねぇ。
PMBOK プロジェクトという言葉の定義
太郎:センパイ!今日、お時間よろしいでしょうか?
そもそも、プロジェクト管理の始まりから終わりまで、プロジェクト管理を理論的に進めるために意識すべきポイントなんかを教えて頂けないでしょうか。
先輩:お、さっそく来たな。よし、分かった。
今日は『新人プロジェクトリーダー新米太郎 プロジェクト管理 入門』っていうテーマで話をしよう。
太郎:はい!宜しくお願いします!!
先輩:太郎、まずは『プロジェクト管理 入門』というテーマだから、こういう質問からいくよ。太郎は、プロジェクト管理をするんだ!って言っているけれど、そもそもプロジェクトっていう言葉の『定義』を知っているかい?
太郎:プロジェクトの『定義』ですか、・・・定義・・・(汗)、『仕事』ってことですか?
先輩:・・・(ガックリ)
ああ、そんな感じなわけね。
(小声)ほんとに入門編から話をした方がよさそうだな。
先輩:うちのObject Browser PM(OBPM)は、プロジェクトマネジメント協会(PMI)が発行している、プロジェクトマネジメント知識体系ガイド『PMBOK』に準拠した、統合型プロジェクト管理ツールなのは知っているよね。
そのPMIが制定しているPMBOKの定義では、『プロジェクトとは、独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施する有期性のある業務のこと』とされているんだ。
太郎:へ~、い、いや、、な、なるほど...(汗)
先輩:・・・(分かってない返事だよな、これは)
太郎のために、少し噛み砕いて説明をすると、これまで世の中に存在したことのないものを、『独自のプロダクト、サービス、所産』と表現していて、プロジェクトとは、それを作り上げるための活動であり、『必ず開始と終了が明確になっている(有期性のある)業務』であると定義しているんだ。
太郎が答えた『仕事』であることに変わりはないけれど、初めにきちんと定義を覚えておくといいよ。
この定義にあてはめて考えると、『仕事』っていうのは、なんでもかんでも『プロジェクト』ではないということもわかるはずだ。独自性や有期性のない業務(繰り返し行う定常業務や、単一の流れ作業)、例えば『ルーチンワーク』などはプロジェクトとは言わないのも理解できるだろう。
先輩:それから、プロジェクトには必ず、『達成するべき明確な目的』があって、
その『目的を達成するために活動』し、『達成するために管理(マネジメント)する』んだ。目的のない業務なんてそもそもないんだから、これは分かるよね?
太郎:なるほど、PMBOKにはきちんと『プロジェクト』の定義があったんですね。
広く『仕事』っていうことではなくて、『明確な目的』を持って、『独自の』ものを作るための業務で、『開始と終了』が必ずあるっと、(メモメモ)。
そして、『プロジェクトの目的を達成するために活動・管理』をするのが、プロジェクトリーダーになった僕の役割ということなんですね。
良くわかりました。
PMBOKって使えない?
先輩:ところで、プロジェクト管理では、Q(品質管理)C(コスト管理)D(スケジュール管理)が大切だということは知っているね。
太郎:はい!QCD、大事なことです。(その位は知ってるさ)
先輩:QCDを管理するということは、プロジェクトの最終目標である、『Q:良い品質で』『C:利益を出し』『D:納期を守る』ということに繋がるんだけど、PMBOKでは、そこに至るまでの過程として『スコープ管理』『要員管理』『コミュニケーション管理』『リスク管理』『調達管理』『ステークホルダー管理』 を追加し、全体を管理する『統合管理』を含めた10個の知識エリアで構成されているんだ。更には、その10個の知識エリアを『立上』『計画』『実行』『監視・管理』『終結』という5つのプロセス群でマトリックスの様に構成し、それぞれのエリアおいて、何を作成し、何を管理すべきかということが定義されているものなんだ。
太郎:あったまいいですよねぇ!これを考えた人。
じゃ、基本的にはPMBOKに書かれている管理方法でプロジェクトを管理していけば大筋間違いではないっていうことになるんですね。
先輩:うーん、実はそうではないっていうことが、今回の話のポイントなんだよね。
PMBOKは、プロジェクトマネジメント体系として整理された世界レベルのノウハウだし、その知識を学び、理解するためのバイブルとして利用することはいいんだけれど、実際の現場では、そのまま使えるものではないとも言われているんだ。
それはなぜかわかるかい?
太郎:ええ?何でですか?
プロジェクトマネジメントのバイブルであるならば、その通りマネして管理できるものではないんですか?
先輩:うん、実はそこが重要なことなんだよね。
バイブル的存在のPMBOKというのは、あくまでも『知識集』であって、現場が具体的に使える方法やツールにまで落とされていないから、そのままでは使えないっていうこと。
それから、PMBOKが想定するプロジェクトマネジメントの規模は、結構大きなプロジェクトだとも言われている。
例えば、プロジェクトメンバ:200人~、期間は3年~のような大規模プロジェクトを想定した管理体系を、数人・数ヶ月規模のプロジェクトに頑張って当てはめようとすること自体ナンセンスだし、無駄な管理コストが発生してしまうことは目に見えているよね。簡単に言えば、理解して使わないと無駄な管理になる危険があるっていうこと。
だから、PMBOKの標準的な知識体系というのは、そのまま使うようなものではなく、個々のプロジェクトの性質に合わせて最適化することが大切なんだ。
そのために、PMBOKの知識をうまく取り込んだOBPMのような、実際の現場で使いやすいツールを利用して、初めてPMBOKのノウハウをうまく使うことができるということになるんだ。
太郎:なるほど、有名な管理手法だからといって、なんでもかんでもそれに則ってやればいいっていうものではないということなんですね。(それは知らなかった)
OBPMのドメインは生きたノウハウ
太郎:OBPMでは、大中小規模や、扱う商品、部門別のドメインが準備できるようになっているのは、個々のプロジェクトの性質に合わせて管理すべきプロセスを最適化する前提があるってことですね。
先輩:そうそう、分かってきたじゃない!
もう一つ付け加えるならば、OBPMのドメインはプロジェクト管理プロセスの『雛形』という役割を持っているから、それぞれの性質に合わせてカスタマイズしておくことで、個々のプロジェクトでやるべき基本的な情報をいくつも準備しておくことができるんだ。
代表的な情報として挙げるならば、
・『WBS』の雛形が登録できるので、プロジェクトの性質に応じた基本的な作業工程がわかる。
・『成果物』が記載されているので、各プロセスでどんなものを作るのかを知ることができる。
・『リスク管理』では、プロジェクトのリスクになりえる情報が記載されているので、あらかじめリスクを意識しておくことができる。
このようなドメインに登録されるノウハウというのは、世間一般的な情報でもなければ、PMBOKの標準的な知識集でもない、うちの会社の、実際の業務経験から積み上げた、『生きたノウハウ』なので、新人プロジェクトリーダーにとってはとてもいい教材と言えるね。
太郎:OBPMってスゲーや。
先輩:太郎、新人プロジェクトリーダーの今だから、こういう基本的な情報もしっかりと勉強して、理論的に物事を考えて行けるようになろうね。
太郎:はい、やる気は人一倍あるんですけど、自分、まだまだっすね、もっと勉強します!
先輩:そういえば、来週中に見積を作るんだろう?
見積を作るのも、きちんと理論があって作っていかないといけないからね。OBPMには見積に関するノウハウもドメイン管理できるようになっているから、また時間があれば教えてあげるよ。
太郎:マジっすか!?ありがとうございます。
・・・で、できれば来週に間に合うように教えて頂けないでしょうか?(汗汗)
先輩:はい、はい、わかったよ、今度も生中1杯でいいよ。
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