テンプレートを活用したプロジェクト管理(Vol.56)

 2019.07.22  株式会社システムインテグレータ

テンプレートを活用したプロジェクト管理とは?

このブログを読んでいる皆様は「テンプレート」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
干支のイラストが入った年賀状の定型デザインでしょうか、相手に失礼のない文章で構成されたビジネスメールの定型文でしょうか。

様々なコンテンツに対して「テンプレート」というものは存在します。
今回のブログでは、プロジェクト管理における「テンプレート」にはどのようなものがあるか、また、それらの活用方法を、弊社のプロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM(以下OBPM)」の機能を通して考察していきたいと思います。

プロジェクト管理における「テンプレート」の存在

まず、プロジェクト管理における「テンプレート」とはなにか、身近なものに例えて考えてみます。
3泊4日で行く沖縄旅行をイメージしてください。
昨今は旅行会社が様々なツアープランを用意していますが、ここでイメージするのは自分で全てを決めるフリープランです。

「初日はまず朝8時に羽田発の飛行機に乗って・・・」
「とりあえず、那覇近辺でソーキそばを食べたいな」
「2日目は初日とは違うホテルに泊まろう」
「念願の美ら海水族館に行くのは必須だけど、交通手段はどうしよう」
「パイナップルパークにも行きたいけど、時間もないし予算もオーバーかな」

想像するだけでもワクワクしてきますが、旅行は飛行機の手配や、宿泊するホテル、訪問する観光名所やご当地グルメ店など、最低でも事前に決めておかなければならない事も多いです。
旅行に慣れている人や、沖縄に行った事がある人であれば大したことではないかもしれませんが、あまり経験のない人にとっては、これらを0から決めていくのはとても大変な作業ですよね。

では、どのようにすればスムーズかつ、充実したプランを立てられるでしょうか?
1つの方法ですが、インターネットで以下のような検索をしてみてはいかがでしょうか。
“沖縄旅行 モデルプラン”

すると、以下のような結果がでました。

◆1日目
羽田空港→那覇空港→レンタカーショップ→○○亭で昼食→首里城→□□□ホテル
◆2日目
ホテル→美ら海水族館→○○そばで昼食→ビーチで海水浴→△△△ホテル
(以降は省略)

検索でHITしたモデルプランと全く同じプランを立てる必要はありませんが、モデルプランがあればイメージが膨らみ、これをベースにすれば、計画が立てやすくなることは一目瞭然です。

話は変わって、プロジェクト管理においても同じことがいえます。例えば新米プロジェクトリーダーが何も情報がないところからプロジェクトを立ち上げようと思ったら、とても大変ですよね。

しかし、プロジェクトのテンプレートが存在していれば、
・やるべき作業がある程度分かる
・作るべき成果物がある程度分かる
という状態からプロジェクトの立ち上げを行えるため、スムーズかつ、一定の水準で精度の高い計画を立てる事が可能になります。

次項からは、プロジェクト管理における「テンプレート」の活用例を、OBPMを通して具体的に解説していきます。

プロジェクト管理手法入門ガイド
プロジェクト管理ツール 比較ガイド

プロジェクトの作業や成果物をテンプレート化する

前述の通り、プロジェクト立ち上げ時に、やるべき作業や作るべき成果物がある程度分かっていれば、計画が立てやすくなるというメリットがあります。
OBPMでプロジェクト管理を行う際、「ドメイン」という機能を使えば、これらをテンプレート化したものを活用できます。

旅行を引き合いにすると、旅行の行先(沖縄?北海道?)によって、当然モデルプランは変わってきます。
プロジェクトにおいても、プロジェクトの特性毎にテンプレート群を「ドメイン」として用意しておくことが可能です。
イメージは、下記の画像の赤枠の通りです。

テンプレートを活用したプロジェクト管理(Vol.56) 1

ドメインの分け方は各ユーザー様の業務によって、様々です。
システムインテグレータ社では扱うパッケージによって、ドメインを分けています。

OBPMでプロジェクトを登録する際、上記のドメインを選択します。
これを行うことでドメイン内に定義されているテンプレートが、プロジェクトへ展開されます。

また、OBPMのドメインでテンプレート化できるものは、プロジェクトメンバの権限、作業進捗率、品質基準、リスクなど、いくつか種類があります。その中でも最も重要なのが、前述の通り、「作業と成果物のテンプレート」です。
OBPMではこれを「工程タスク成果物登録」というメニューに定義します。

テンプレートを活用したプロジェクト管理(Vol.56) 2

上記画面の左側にやるべき作業(工程/タスク)、中央部分に作るべきもの(成果物)を定義します。プロジェクトリーダーはプロジェクト登録時にドメインから展開されたこのテンプレートをベースにプロジェクトの計画を立てていく、というのが一般的な立ち上げ手順の流れとなります。

このモデルプラン(テンプレート)があれば、旅行初心者(新米プロジェクトリーダー)でも、快適な旅の実現に向けての第1歩を踏み出せるのではないでしょうか。

プロジェクトの報告内容をテンプレート化する

プロジェクト管理におけるテンプレート活用事例をもう一つご紹介します。
各プロジェクトリーダーは、部門長やマネージャに対して週次や月次といった一定のタイミングでプロジェクトの進捗報告を行う、というのが一般的なプロジェクト管理の運用かと思います。

OBPMにおいても「進捗報告登録」という機能が存在します。
OBPMに入力した進捗率から自動計算される定量報告と、フリーフォーマットの定性報告を1画面で行う機能です。

システムインテグレータ社でも実際にOBPMを使ってプロジェクト管理を行っており、各プロジェクトのリーダーが週次で進捗報告を登録し、その内容を上長がチェックをするといった運用をしています。
運用当初はなかなか進捗報告をあげてくれないリーダーがいましたが、徐々に進捗報告をする運用が浸透してきて、良い流れになってきたと思っていたある日、進捗報告を確認する側の上長からこんな悩み事がでてきました。

「最近、進捗報告をみんなこまめに登録してくれるのは良いんだけど、数が増えてくると、みんな報告の書き方がバラバラで、確認するのが辛くなってきた・・・」

対策を検討した結果、進捗報告の周期に加えて定性報告の内容をテンプレート化するルールを追加することにしました。

以下がOBPMの「進捗報告登録」の画面です。
テンプレート化といってもあまり堅苦しくすると、再び進捗報告へのハードルが上がってしまうので、シンプルなテンプレートとしました。

テンプレートを活用したプロジェクト管理(Vol.56) 3

絶対に定性報告欄に記載してほしいカテゴリを【状況】、【進捗】、【品質】、【採算】と定義し、これをテンプレートとして、進捗報告をあげてもらうよう運用を変更しました。
上記画面の右側がOBPMの入力値によって自動計算された定量報告エリアとなります。
運用変更前は定量報告欄の残障害が大量にあるのにも関わらず、定性報告欄では障害に触れられていなかったり、定量報告欄にて進捗遅延が発生しているのにも関わらず、進捗〇になっている、といったような、ねじれ報告がしばしば見られました。

しかし、定性報告をテンプレート化したことで、各定量値の妥当性をカテゴリ毎に必ず明記するようになり、報告の精度が上がりました。
また、当初の悩みであったチェック者の確認のし辛さについても、報告形式を統一化することで解消されました。

報告内容を簡単にテンプレート化しただけという些細な処置ではありますが、大きな効果がでた実例です。みなさまが日々行っているプロジェクト管理のヒントに少しでもなれば嬉しく思います。

テンプレートを整えて健全なプロジェクト管理を

以上が、プロジェクト管理における「テンプレート」にはどのようなものがあるか、また、それらの活用方法についての解説でした。

「テンプレートを活用すればプロジェクト管理において、色々なメリットがあるのは分かったけど、あくまでそれって理想論にすぎず、そもそもテンプレートを作ることが大変じゃない?」と思われる方もいるかもしれません。
私は、最初はあまり欲張らず、最低限の情報のみ定義したテンプレートから始める、という考え方・進め方でも良いと思っています。

OBPMのドメインには既に進行または完了したプロジェクトから設定をフィードバックしてテンプレートに反映する機能も備えています。
優秀なプロジェクト管理ができているプロジェクトがあれば、その設定をドメインにフィードバックし、より高精度なテンプレートをを作成していくことができます。
つまり、テンプレートを育てていく、という考え方もあるということです。

最後にまた旅行の話に戻りますが、良いモデルプランがあれば、それをベースにして計画した旅行はきっと充実し、思い出にのこるイベントになると思います。
一方で、無計画で行き当たりばったりの旅行の方が楽しい!という側面もあります。そう考える人も多いはずです。
しかし、プロジェクトではそうはいきません。何のテンプレートも用意せずに突き進むと、最悪の場合、別の意味で思い出に残るイベントになってしまうリスクもあります。
テンプレートを整えて健全なプロジェクト管理を心掛けていきましょう。

プロジェクト管理ツール:OBPMイラスト図解でよくわかるガイド

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