開発現場では、プロジェクトを進めるにあたり全体像を把握する目的でWBSがよく使われています。しかし人から教えてもらう機会は意外と少なく、前のものを参考になんとなく作成している方もいるでしょう。
そこで今回は、担当者が覚えておいて損をしないWBSの基礎知識と書き方のコツを紹介します。
WBSとは?
WBSとは、Work Breakdown Structureの頭文字をとったもので日本語では「作業分解構成図」と呼ばれるものです。管理で用いられる手法のひとつで、必要な作業や成果物を詳細に洗い出した一覧表を指します。
縦軸に作業内容、横軸に担当者、工数見積・実績、開始・終了日などを記入します。チームで全体像を把握する目的で作成し、作業単位で分割するものと、成果物単位で分割するものがあります。
WBSを作成するメリット
WBSを作成する一番のメリットは、やるべき作業が「見える化」される点です。
次に、全体の工数が把握できる点です。作業ごとに工数見積を行い、それを積み上げることで全体の工数が明らかになります。
最後に、やるべき作業と工数が把握できるので、作業計画が立てやすくなる点です。
例えば3か月後にイベントの特設サイトをオープンする場合を考えてみます。上司から「3か月後に特設サイトをオープンしてほしい」と言われた場合、何もないと一体どんな作業を行う必要があるのか、自分はどの作業を担当するのかがわからず、全体像が把握できません。
要件定義、サイト設計、デザイン、さらにその下位にあたる細かな作業へと行うべき作業を分割してWBSを作成することで、コーディングの複雑さや、誰が何を担当するのかといった内容を把握することができます。
全体像が把握できれば、そこから作業計画を立てられます。逆の言い方をすると、WBSを作成しないとスケジュールを立てることも困難になります。
WBSの作り方
作成するにあたっては、以下の3つの工程を行います。
タスクの洗い出し・分解
まずは、プロジェクトが完了するまでに必要な作業を洗い出すところから始まります。大分類から中分類、小分類とだんだん細かい作業まで落とし込んでいきます。
作業自体はプロジェクトマネージャーが行いますが、この段階で担当者に確認しながら進めていったほうが、見落としも減り今後のトラブル回避になります。
また、洗い出した作業は時間の見積もりも行っておきます。
できる限り漏れなく、重なりなく分割していくことがポイントです。
タスクの順序設定
作業内容を洗い出した後に行うのが、作業の順序を設定することです。順番に行うべき作業を並べて作業の流れを明らかにします。
ここでポイントとなるのが、作業同士の依存関係を明確にすることです。依存関係とは、前の作業が終わらないと次に進めない作業を指します。どんなに他の作業を早く終わらせても、依存関係がある前の作業が終わらないとスケジュールは短縮できません。そのため、どの作業が依存関係にあるのかを明示するようにします。
タスクの構造化
次にレベルが似た作業同士をまとめてツリー構造になるように並べます。同じレベルのタスクをまとめ、その下にまた同レベルのタスクをまとめて階層化させていくことを構造化と呼びます。
タスクを構造化することで、作業の抜け漏れを防止する役割があります。レベル感があまりばらばらにならないように気を付けましょう。
WBSを作成して工数見積や役割分担を行なった後はガントチャートでスケジュールを作成したのちに具体的な作業計画を立てていきます。
WBSを作成する際のコツ
では、WBSを作成する上で押さえておきたいポイントを3つご紹介します。
一つ目は、タスクを洗い出す時に抜け漏れをなくすことです。よく使われる言葉にMECE(ミーシー)というのがあります。これは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を取った言葉で「漏れなく、ダブりなく」という意味です。MECEを意識して作業をリストアップしましょう。
抜け漏れを防ぐためには、自分ひとりで行うのではなく、他のメンバーに意見を聞いたり、過去のプロジェクトを参考にしたりすることも有効です。特に自分が経験したことがない作業の洗い出しは見落としが多いものです。自社で保存している過去の作業履歴など使える情報はどんどん活用しましょう。
また、社内で共通のテンプレートを準備しておくと、何度もフォーマットを作る手間が軽減できます。
二つ目に、担当者を明確にすることです。誰が行うか不明なままスケジュールが立てられてしまうと、「誰かがやってくれるだろう」と全員が思ったまま、最終的に誰の手も回らない、といったトラブルにつながる可能性があります。
三つ目に、できる限り工数は正確に見積もることです。工数見積があいまいだと、そのあとのスケジューリングがおかしくなります。この段階できちんと工数を見積もることが、その後のスケジュール作成を失敗させないポイントです。
SI Object Browser PM(OBPM)でWBS作成を簡素化
WBS作成は、普段から利用している表計算ソフトのExcelを利用している企業が多く見られます。もちろんExcelでも作成可能ですが、手作業で行うとかなり負担が大きい作業です。このため、運用しているうちに共有や標準化の面で課題を感じて専門サービスを導入する企業も少なくありません。
Excelで管理する上で感じる課題とは、リアルタイムの状況が反映されない点や、修正するときに手間がかかる点、データベース管理できないため社内で集計や二次利用がしにくい点などがあります。また共通フォーマットを用意しても担当者ごとにカスタマイズしてしまうため、どうしてもバラツキが出てしまうなどの問題もあります。
統合型プロジェクト管理ツール「OBPM」なら、Excel運用で抱える課題を解決する機能が多数備わっています。プロジェクト全体のタスクや状況をメンバー間で共有できるほか、ガントチャート作成機能や自動レポート出力機能も備えているので担当者の管理負担を軽減できます。
Excel管理に限界を感じている方、より効率的に管理したい方は検討してみてください。
まとめ
WBS作成は、プロジェクトの全体像を把握し、メンバーの業務を円滑に進めるために欠かせない作業です。今回ご紹介した手順を参考にして一度タスクを洗い出してみると理解しやすくなります。
WBSについて詳しく解説する資料もご用意していますので、こちらもぜひご覧ください。
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