エンジニアリング・工事業におけるシステムのあるべき姿とは?

 2020.04.13  株式会社システムインテグレータ

プラント工事、設備工事のような工事業における業務特性とその業務特性に合わせた基幹システムとはどのようなものなのでしょうか。
ネット検索で「工事業 システム」と検索をすると多くのシステム製品が表示されますが、具体的に工事業において検討すべきシステムの姿とはどのようなものでしょうか。

今回は、工事業における業務特性や課題をあらためて整理し、その上で工事業における基幹システムとして求められる姿を考えていきたいと思います。

工事業の管理業務特性

まず、工事業における管理業務の特性を整理してみます。

プロジェクトや工事番号ごとの管理

工事業においては、物件(工事)をプロジェクトや工事番号をキーにして工事に関わる各種情報を管理します。また、このプロジェクト、工事番号単位で物件ごとの採算状況や業務進捗を管理します。

物件(工事)ごとの原価計算、予実管理

物件(工事)ごとに原価見積、実行予算を作成します。そしてこれに基づき受注金額、売上金額における予算実績管理を行います。
また、工期の長い物件では月次単位での予実状況を管理していくこともあります。

ヒューマンリソースと部材の調達

物件(工事)ごとに投入するヒューマンリソース(社内、社外)の管理、調達をします。
ヒューマンリソースごとに単価を設定し、これの積み上げによる労務費管理を行います。また、物件(工事)に対して投入できるヒューマンリソースを空き状況や保有資格などにより調整することもあります。工事に使用される調達部材は工事に紐づき工事原価として計上されます。

建設業法による記録、届出

建設業法に基づき書類(帳簿、帳簿の添付書類、営業に関する図書)には記録と保存期間が定められており、これを適切に管理する必要があります。建設業許可、更新においては建設業法第3条に基づく申請、許可が必要となります。

工事業の業務課題

上述のような業務特性をもつ工事業においてどのような業務課題があるかここでは具体的に記載していきます。

物件(工事)ごとの採算、予実管理が煩雑

物件(工事)ごとに予算に対する実績、採算情報を管理しますが、管理に必要な情報を集約、整理することに多くの時間と手間がかかってしまう。

物件ごとの原価管理に手間がかかる

物件に紐づき日々発生する各種原価の情報を物件ごとに集約、集計するのに手間がかかります。結果として原価情報を適時把握することができず、物件の採算、予実を正確に捉えて業務遂行をすることができなくなってしまう。

業界特性業務への対応が不十分

例えば、工事進行基準での売上計上処理ひとつをとっても、売上計上金額の算定をすることに労力がかかってしまう。また、物件ごとに紐づく作業者(リソース)の管理が煩雑になってしまう。

工事業におけるシステム導入の実態

このような業務特性、業務課題をもつ工事業にて導入されているシステムの実情について触れていきたいと思います。実際に工事業のお客様にお伺いしてお話をお聞きすると、システムを介した業務特性、業務課題に対応できる仕組みがうまく運用されていない状況も多いようです。

実態① 業務ごとに個別のシステムがバラバラに動いている。

業務や部門ごとにシステムが個別に構築され、これらがバラバラに動いているために、部門や業務ごとに個別最適化されたシステムを運用している状況があるようです。

そのため、業務データはシステムごとに管理され、業務間のデータが連携されず一つの取引データを二重、三重でそれぞれのシステムに入力するなどの非効率な業務処理が発生します。
また、業務間のデータはリアルタイムではなく、バッチ処理等にて連携がされるため、実績データを集約するまでにタイムラグが発生してしまいます。そのため、物件ごとの予実や採算情報を適時把握することができず、場合によっては月次単位でしか予実、採算が分からないといった状況が発生してしまいます。

実態② 会計システムですべての原価管理をしている。

原価管理をすべて会計システムにあるデータに基づき行っているため、予実、採算の状況が会計システムを締めないと分からないという状況が発生します。そのため、物件ごとの原価進捗や予実管理を適時行うことができなくなってしまいます。

実態③ 工事進行基準に対応していない

導入しているシステムが古く、工事進行基準に対応していないため、進行基準での売上、仕入計上をシステムの外で行っているという会社もあります。そのため原価進捗データをシステムから出力、集計し伝票計上処理をするなどの業務に時間を割くこととなり、非効率な状況が発生してしまいます。

工事業界の業務要件とシステム要件

工事業界の業務要件に対して、システムとして対応されるべき要件には以下のようなものがあります。これらのシステム要件をどのように実現するかについてはシステム導入時に検討されるべきです。

業務要件 システム要件
物件(プロジェクト)別の損益管理、予実管理
  • 物件ごとに一意のコード(工事番号、プロジェクトコード)を採番し、各種データを集約管理
  • プロジェクト別に予算、実績を管理し、損益情報を適時管理
見積、受注、手配、工事完了までの業務を一気通貫で管理
  • 業務個別ではなく、物件に関わる業務処理を一元的に管理
  • 二重入力など非効率なシステム処理を排除
  • 業務データのリアルタイム性を確保
予算と実績の収支着地見込を適時把握
  • 物件実行予算の変更管理と、変更時には当初と最新の予算に対する実績を管理できる仕組み
工事進行基準への対応
  • 原価進捗をシステムで管理し、進行基準売上の自動計上処理
  • 会計システムへのデータ連携
アフターサービス(保守、メンテナンス等)への対応
  • 工事完了後の保守や定期メンテナンスなどの継続契約情報を管理
  • 伝票計上処理業務の簡素化(定額自動計上処理など)

バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ

多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
バックオフィスの業務プロセスを最適化することで、コスト削減や属人化の防止だけでなく企業全体の生産性向上にもつながります。
当社はERPをはじめとする情報システムの豊富な導入実績をもとに、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な改善策を提案します。業務の洗い出しや問題点の整理など、導入前の課題整理からお手伝いさせていただきます。
バックオフィス業務にお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社システムインテグレータまでご連絡ください。

工事業のお客様へ当社のご提案

当社ではGRANDITという業務統合型のERPパッケージを展開しています。このGRANDITには以下のような特長があり、工事業のお客様に適用できるERPパッケージとなっています。

統合型ERPとして

業務効率の向上

完全統合型のERPをベースとしてシステム、業務統合をすることで業務間のデータは原則リアルタイムで連携されます。そのためデータの二重入力などの負荷を軽減できます。

管理精度の向上

業務データはシステムごとに散在せず、統合データベースで一元的に管理されます。
統合データベースを活用してデータの集計、分析等を効率的に行うことができます。

統制管理レベルの向上

ERPパッケージをベースにして業務全体の処理プロセスを全社で統一することができます。これにより業務処理統制を効かせた業務設計、運用が可能となります。

工事業に特化したシステム機能

工事に関わる業務を統合管理

GRANDITは工事に関わる一連の業務を一気通貫で管理することができます。
物件(工事)管理に特化した各種機能(実行予算管理、工事別採算管理、リソース管理等)を業務統合システムとして提供することができます。

アフターサービスへの対応も可能

工事完了後の保守、定期メンテナンスまでの管理機能をERPとして統合し、統一システム基盤として構築することが可能です。

工事業のお客様において基幹システムの見直しをご検討の際にはお気軽にお問い合わせください。なお、エンジニアリング・工事業向けソリューションの詳細についてはこちらをご参照ください。


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