ここ数年の間でDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進がなされており、国も2025年にデジタル化への対応が進まなければ大きな損失ができると見ています。その背景には人口減少によって人材リソースが少なくなることも原因だと言われており、少ない人材でも仕事の質を落とさないよう、デジタル化による業務効率化を目指す企業が増えているのです。
業務管理ツールであるERPも、デジタル化を推進するシステムと言えます。そして世界的にERPシステムのシェアを持っている企業の一つがOracle社です。
当記事では、Oracle社が提供するOracle NetSuiteとOracle Cloud ERPの特徴を解説し、比較材料として類似のクラウドERPについても詳しくご紹介します。
クラウドERPとは
Oracle社のERPはクラウドERPを採用しています。
クラウドERPとは、インターネット上にあるクラウド環境を利用して使うERPシステムのことです。専用のハード機器はいらないため工事が不要で、コスト的な導入のハードルは低くなり、なおかつ導入開始までが早いというのが特徴といえるでしょう。
またクラウドの中にも種類があります。
一つはパブリッククラウドです。複数のユーザーによって同じリソースを共有するパブリッククラウドの特徴は、何よりもコストがかからないことです。場合によっては他社からの干渉を受け、通信パフォーマンスが下がる可能性があります。
もう一つがプライベードクラウドといい、名前の通り自社専用(プライベート)のクラウドです。自社専用に構築する分、価格が高くなりますが他社の感傷を受けることがないので安心して使えます。
クラウドERPについて詳しくは以下の記事をご参照ください。
「Oracle社」について
今回ご紹介するOracle社は、アメリカに本拠を持つソフトウェア会社です。日本でOracle社の製品を使い、アフターサポート受ける際は日本オラクルが対応します。
世界的を代表するERPシステムOracle社以外には、WordやExcelでおなじみのMicrosoft社とERPの中でも人気の高いSAP社があげられます。
Microsoft社が提供するERP「Dynamics 365」は製造業において、SAP社やOracle社を上回るシェアを持っています。これは製造業界が、他の業界に比べてMicrosoftOfficeの導入をしている会社が多いため、親和性の高いERPが選ばれていると考えられています。
SAP社とOracle社は、製造業に特化せず業界全体としてみればMicrosoft社にも並び、3つの会社が世界のERPを牽引しています。
SAP社のERPについては別の記事で詳しく解説しているので、そちらの記事もご覧ください。Oracle社のERPは、詳しく解説されている記事が少ないので当記事にて詳しくご紹介していきます。
【参考記事】
SAP ERPとは?一般的なERPと特徴やメリット・デメリットを比較
Oracle NetSuite
まず一つ目はOracle NetSuiteです。
2016年にOracle社が急進クラウド企業だったNetSuiteの買収を行いました。NetSuiteは世界初インターネット上でビジネスアプリケーションを提供する企業として設立され、世界中24,000社の企業にERPをはじめとした統合アプリケーションを広めてきた企業です。
Oracle社とNetSuiteが統合したことにより、企業規模問わず幅広い業種に対応できるサービスが提供できるようになりました。
特徴
Oracle NetSuiteの特徴は、ERP・CRM(顧客関係管理)・EC(イーコマース)機能などが統合され一元管理できることにあります。管理した情報をネイティブビジネスインテリジェンスの機能によって、リアルタイムに分析することも可能です。
グローバル企業のためのグローバル経営管理、リソース管理、プロジェクトの会計、経費管理といったWebベースのプロフェッショナル・サービス・オートメーションの提供を行い、CRMやECとも統合されます。
オムニチャネルを実現するためのEC構築プラットフォームも備えているので、ユーザーはパーソナライズされた購入体験をすることが可能です。
さらに、NetSuiteはBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを搭載しているので、データの可視化および役割別に合わせたリアルタイムな分析状況を確認することができます。
このようにOracle NetSuiteは、世界中の大企業から中小企業まであらゆる企業に対応できる総合的なITソリューションシステムといえるでしょう。
導入価格
料金プランの詳細はOracle社へ問い合わせる必要があります。
導入費用についてはクラウド型なので、オンプレミス型に比べると同一システムを導入する際の費用は安くなりますが、機能が充実したERPの場合は想定以上の金額がかかる場合もありえます。
自分達が必要としている機能があるのかどうか、そう言った機能を必要とした場合に金額はどうなるのか、しっかりと確認するようにしましょう。
向いている業種
高い柔軟性を持っているので、業種の垣根を越えて様々な業種で導入することができるでしょう。ECとも連携されているのでネットショップを運営する小売業から、精度の高いBI機能・分析が可能なので広告代理店など、幅広い業種で活躍できます。
また、現場の従業員から経営に関係する責任者まで、どのような役割も持っている人にとっても役に立つでしょう。ERPシステムは企業の基幹業務を支えるシステムですから、向いていない業種というのはあまり考えられません。
向いている企業
前述したように大企業から中小企業まで、Oracle NetSuiteは活用することができます。多数のシステムを統合している同システムは、様々な企業が既存のシステムからの移行をさせているので、安心して導入することができるでしょう。
大企業であれば、恐らく既存のERPや独自のシステムを構築しているケースが多いと考えられます。しかしそのシステムは古くなり、メンテナンス費用がかかっているのが現状のようです。クラウドERPであるNetSuiteは全てがクラウドで提供されるので、システムの変更自体は無理難題なことではありません。そもそも古いシステムを採用している企業は、NetSuiteに限らず何らかのシステムへの変更も検討すべきかもしれません。
Oracle Cloud ERP
Oracle Cloud ERP はERPソリューションプロバイダーであるOracle社が提供しているERPシステムです。信頼性の高い知見を提供するガートナー社マジック・クアドラントのリーダーとして認定されるなど、高い評価を得ています。
モジュールが豊富で、財務会計、購買、サプライチェーン管理など、コア機能から生産や物流まで全ての業務プロセスを網羅し機能します。クラウド型ERPとして柔軟性の高いシステムです。
マジック・クアドラントとは? マジック・クアドラント (英語: Magic Quadrant、MQ)は、ITコンサルティング会社のガートナーが発行している一連の市場調査レポートで、方向性、成熟度、参加者などの市場動向を示すために独自の定性的データ分析手法を用いている。 分析は特定のテクノロジー業界に対して行われ、1〜2年ごとに更新される。更新されたレポートが公開されると、前の版は「廃止」される。 |
特徴
OCI(Oracle クラウド インフラストラクチャ)と呼ばれる 安定したクラウド環境を持っています。オンプレミスなみの高性能コンピューティング能力を持っており、パフォーマンスも高く、どのような規模でも影響なく快適に使用できます。世界的な信頼を得ているクラウドERPはセキュリティ面も強力です。
Oracle NetSuite同様に様々な業務のデータを統合し管理できます。例えば、財務・会計管理や業務のプロジェクト管理、そしてリスク管理などです。一つのデータベースに統合することで分析もして有効的な活用ができるでしょう。
Oracle Cloud ERPの中に組み込まれたAIが分析情報を補完し、分析結果と過去の傾向に基づいて価値のある分析結果やKPI(目標達成に必要な過程を評価するための指標)を提供してくれます。
さらに従来のシステムの中でもスピーディーに導入できるでしょう。Oracle Cloud ERPはベストプラクティスを提供してくれるので、要件ごとに作り込むのではなくシステム構築、導入は短期間かつ低コストで行うことが可能です。
導入価格
Oracle Cloud ERPはSaaSによってサービスを提供していますので、ハードウェアは不要で設備にかかる費用は必要ありません。
ERPは企業の基幹業務を統合し分析を行うことで、経営判断を助けてくれるシステムです。よって、構築する内容によって料金は変動しますのでOracle NetSuite同様、詳しくは問い合わせましょう。
向いている業種
幅広い業種に対応可能です。業務プロセスを統合したい、これからの時代の変化にも柔軟に対応できる基幹管理システムが欲しいというのは、業種問わずに考えることでもあります。
あえて言うのであれば、特別、業務効率をせずともまわっているような少数で運用できるような店舗ビジネスであれば特に必要ないかもしれません。しかし、バックオフィス業務や基幹業務はどんな業種でも最適化したいと考えるものです。
業務の最適化が必要だと感じる業種では役に立つERPシステムになるでしょう。
向いている企業
大企業から中小企業まで幅広く対応できます。
これまで、何らかのERPシステムを活用していた企業から、初めて導入する企業まで必要規模に応じたシステムを構築することが可能です。
新たにグローバルな展開を視野に入れている会社も有益なシステムとなるでしょう。Oracle Cloud ERPは多くの国の法制度にも対応しているからです。
他のクラウドERPとの比較
最後はOracle社のクラウドERPに類似しているERPシステム2社をご紹介します。
それぞれに強みや特徴があるので、自社に適しているかどうかも考えつつ参考にご覧ください。
GRANDIT
11社以上のプライムパートナーからなるコンソーシアム方式で運営され、クラウドとオンプレミス、どちらも対応可能な国産のERPシステムです。様々な業種に対応でき、1,400社以上の導入実績も持っているので安心して導入できます。
その中でも特に製造・工事業に強く、見積・受注から保守サービスまでを一元管理することが可能です。必要な機能を段階的に追加していけるので初期費用を抑えられます。
Oracle社との大きな違いは純国産であるがゆえに、日本独自の商習慣にも強い点があげられます。コストを抑えながら、企業の成長に合わせ段階的にシステムもスケールアップしていきたい日本の企業におすすめです。
また、デモの依頼も可能なので、事前にシステム導入によるシミュレーションもできます。いきなり高額なERPシステムを導入するのは不安と思う場合も、しっかりと使い勝手を確かめてから導入可能です。
SAP
Microsoft社やOracle社と並ぶSAP社が提供しているERPシステムです。クラウド型とオンプレミス型があります。
大企業から中小企業まで対応でき、営業、生産、経理、経営の悩みを解決します。各セクションの情報を繋ぎ、良い相乗効果を作り企業の経営判断をサポートし、明確なゴールへと導いてくれるでしょう。
販売、在庫管理、財務、など広範囲に適応でき、急な変動にも対応可能な高い柔軟性を持ったERPです。SAP自体が完成された製品として世界的な信頼を得ており、安心して利用できるでしょう。様々な業務を一括して管理したい企業におすすめです。
導入時の初期費用が他のERPと比較し高額になりがちですが、その後の業務改善による効果により、導入企業の多くは長期的なコスト削減に繋がったという事例が多数あります。
まとめ
ご紹介したOracle社のERPだけでなく、GRANDITのように日本の商習慣に合わせた国産のERPも多数あります。
それぞれの公式サイトをご覧いただいてもわかるように、海外で作られたERPの機能は世界的にも評価され大変素晴らしいのですが、それが必ずしも自社に適合し導入後も使いやすいとは限りません。
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ERPを比較検討する上で考慮すべき基本的なポイントや、押さえておきたいポイントなどもまとめておりますので、ご検討にぜひお役立てください。
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