SAPライセンス体系から見るERPライセンス体系の流れ

 2019.03.25  株式会社システムインテグレータ

欧米に端を発したシェアリングエコノミーの流れの中で、日本企業のニーズも「所有」から「利用」へと変化しています。こうした流れを受けて、企業向けの基幹システムであるERPの提供も「買取型」から「サブスクリプション型」へと変わってきています。本記事ではSAPのライセンス体系を取り上げ、企業における基幹システムの利用方法を考えていきます。

そもそもSAPとは?

SAPとは独SAP社が提供しているERPのことで、会計や財務管理、販売、購買、在庫管理、生産管理、人事管理など、多岐にわたる業務を効率的に遂行できるように設計されています。

ERPシステムとしては世界シェアのトップクラスに位置しており、日本国内でも多くの企業が活用しています。

SAPについてはこちらの記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
SAPとは?ドイツ発ERPの特徴や導入のポイントを解説

「所有」から「利用」へ

企業では、ビジネス環境が常に変わり続ける中で、数年かけて構築した基幹システムに対して環境変化に対応すべく追加開発し続けることは、費用面、人的リソース面からも厳しい状況となっています。こういった状況の中で「早く、安く」導入できる月額方式にて利用する「サブスクリプション型」がIT業界以外の多くの分野においても大きな成長をし続けています。
但し、長く利用したい顧客では「サブスクリプション型」は、「買取型」より費用が高くつくこととなり、また、アドオンを多く入れている場合は、「サブスクリプション型」がいつも最新の機能を利用できるという利点を享受することができなくなります。利用を検討する際には、こういった特徴を理解してから選択することが必要となります。

「買取型」

ERPが誕生してから、主流となっている利用形態が「買取型」です。
SAP ERPやSAP Business Suiteのライセンスも初期一括型のライセンスフィーを支払う「買取型」であり、オンプレミスでの搭載を基本としています。 
但し、この際のライセンス費用方式は少し複雑となっています。ソフトウェア本体と利用ユーザ数という2つの体系を組み合わせてライセンス費用の算出を行っています。

ソフトウェアコンポーネント

利用するソフトウェアコンポーネントの種類(例:ロジ系だとSD,MM,PP)を基本として、従業員数、データベース、年間の調達数/請求書数等も考慮してソフトウェアコンポーネントのライセンス費用が算出されます。

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利用ユーザ数

ソフトウェアコンポーネントを利用するユーザ数によるライセンス体系となっています。ユーザライセンスには、開発者や従業員など数十種類があり、それぞれのタイプにより利用できる権限が異なるようです。

これら2つのライセンス体系を組み合わせて、「買取型」の全体費用が算出されるため、顧客からはSAPライセンスに対して、不透明であるとの感想が多くなっているようです。

「サブスクリプション型」

こうした「買取型」に対して、サービスを「利用」するモデルとして登場したのが、「サブスクリプション型」になります。 SAP S/4HANA等では、ライセンスの初期費用が不要で、サポート費用込みの月額利用料金方式となります。導入企業側では、運用の手間も少なくなり、必要なくなれば解約できるというメリットがあります。「サブスクリプション型」の搭載環境としては、クラウドが基本となります。
「サブスクリプション型」は、一般的に3~5年間の契約が多いようです。

当初は中小企業で主に利用されていた「サブスクリプション型」ですが、安価で短期間導入ができるというメリットから、中堅企業でのERPによる基幹システムの有力な選択肢となりつつあります。

「従量課金型」

SAPでは、「サブスクリプション型」に加えて、新たな「従量課金型」のサービスを展開しています。SAPのパブリッククラウド内のコンポーネントを利用する際に、利用したリソース分(実際に利用した利用者人数等)のみの費用を支払うタイプの「従量課金型」のサービスです。

但し、利用できるサービスは人材管理であるSAP Fieldglassや調達購買のSAP Aribaのみに限定されているようです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
サービス化する経済に合わせて、基幹システムであるERPの提供も「買取型」から「サブスクリプション型」「従量課金型」に大きな変化をしつつあります。
国産ERPであるGRANDITにおいても、企業の利用形態に合わせてライセンスを「サブスクリプション型」を含む形で提供をいたしております。
その他、ERPに関するお悩みなどあれば、システムインテグレータにおまかせください。


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