国産ERPパッケージ10選を比較!種類別に特徴・価格を解説

 2025.03.24  株式会社システムインテグレータ

国内のERP市場は引き続き成長傾向にあり、特に国産ERPパッケージは、日本独自の商習慣や法制度への対応力の高さから注目を集めています。さらに、最近ではクラウド対応やSaaS型への移行も進み、中堅・中小企業を中心に導入の裾野が広がっています。

とはいえ、ERPパッケージは製品ごとに対象企業規模や対応モジュール、提供形態(オンプレミス/クラウド)などが大きく異なるため、「どれを選べばいいか?」で悩みがちです。

本記事では、そんな疑問に応えるべく、2024年最新版の国産ERPパッケージ10製品を徹底比較。各製品の特徴、対応業種、価格帯、クラウド対応状況などを整理しながら、自社に最適なERPを選ぶためのヒントをお届けします。

日本のERPパッケージ市場の現状と背景

2023年度の日本国内のERPパッケージ市場は、前年比9.5%増の1,419億8,000万円に達し、引き続き堅調な成長を見せています(出典:株式会社矢野経済研究所)。

この成長の背景には、業務の効率化やDX推進に向けた企業のIT投資意欲の高まりがあり、とりわけERPパッケージの導入・リプレイス需要が活発化しています。

一方で、2024年以降はやや成長が鈍化する見込みです。主な要因としては以下の点が挙げられます

  • インボイス制度への対応が一巡した
  • 市場に新たなブレイクスルー(技術トレンド)が見られない
  • 一部ベンダーにおける人材リソースの逼迫

とはいえ、企業の間ではクラウド対応やSaaS型ERPへの関心が高まり続けており、ERP市場全体としては今後も安定した成長軌道を維持していくと予測されています。

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出展:株式会社矢野経済研究所:ERP市場動向に関する調査を実施(2024年)

2025年以降のERP市場展望とトレンド

2025年以降も、ERPパッケージ市場は堅調な成長を継続すると見込まれています。たとえ「2025年問題」や「時間外労働の上限規制」といった社会的課題が控えているとしても、短期的な市場への影響は限定的と考えられます。

むしろ、企業にとって業務の効率化・標準化は喫緊の課題であり、その実現手段としてのERPパッケージの重要性は今後さらに高まると予想されます。

特に近年では、中堅・中小企業におけるIT投資の活発化が目立っており、従来は大企業向けにERPを展開していた各社が、ターゲット層を中堅企業にも広げ始めています。

SaaS型ERPへのシフトが加速

  • GRANDIT社は2021年よりSaaS型の「GRANDIT miraimil」を提供開始
  • オービックビジネスコンサルタント社は2022年に「奉行VERP クラウド」をリリース
  • テラスカイ社は2023年に「mitocoERP」を提供開始
  • ビジネスエンジニアリング社(mcframe提供元)もSaaS版を発表

さらに、海外ベンダーであるSAP社も、「GROW with SAP」や「SAP S/4HANA Cloud」などのSaaS型ERPを中堅企業向けに展開するなど、クラウドファーストの流れが加速しています。

これらの動きを受け、今後はオンプレミスとクラウドのハイブリッド提供や、SaaS型ERPの機能拡充が一層進むと見られています。

【最新版】国産ERPパッケージ10製品の特徴と比較ポイント

現在、国内には数多くの国産ERPパッケージが存在しており、それぞれ異なる業種や企業規模に対応した特徴を持っています。

とくに中堅・中小企業向けには、初期コストを抑えられるSaaS型ERPや、法改正・商習慣に即応できる製品への関心が高まっています。

本章では、2025年版として選出した代表的な国産ERPパッケージ10製品について、以下のような観点で比較・整理しています:

  • 製品の主な対象企業(年商規模や業種特化)
  • 対応モジュール(会計、人事、販売、生産など)
  • 提供形態(クラウド/オンプレミス)と柔軟性
  • 初期費用・ランニングコストの目安
  • ユニークな強み・差別化ポイント

製品選定にあたって重要な比較軸を押さえつつ、自社にフィットするERPパッケージを検討するための判断材料として、ぜひご活用ください

国産ERPパッケージ10製品

  • GRANDIT
  • OBIC7
  • GLOVIA iZ
  • ProActive C4
  • EXPLANNER/Z
  • 奉行VERP
  • SMILE V
  • HUE
  • mcframe
  • スーパーカクテル

GRANDIT「大手企業にも対応する“進化系”国産ERP」

GRANDITは、国内11社によるコンソーシアム形式で開発された、日本独自の商習慣にフィットした国産ERPパッケージです。2004年のリリース以来、1,500社以上の企業に導入されており、特に年商100億円以上の中堅~大企業を中心に実績があります。

製造業や工事業、IT業界などの業種特化に対応しているほか、プロジェクト管理機能やSaaS提供(miraimil)など、柔軟な導入・運用形態が選べるのも特長です。オンプレミスとクラウドの両方に対応しており、企業のIT戦略に合わせた最適な運用が可能です。

製品概要

  • 対象企業規模:年商100億円以上の中堅~大企業
  • 提供形態:オンプレミス/クラウド/SaaS(miraimil)
  • 主なモジュール:会計、債権債務、販売、在庫、製造、人事、給与、資産管理、経費、プロジェクト管理 など(計12モジュール)
  • 価格帯:販売・会計モジュール構成で約650万円~

GRANDIT製品ページ

OBIC7「27,000社超の導入実績を誇る堅実なERPパッケージ

OBIC7は、株式会社オービックが自社開発・直接販売で提供する国産ERPパッケージです。1997年のリリース以降、累計27,700社以上への導入実績があり、特に年商500億円以上の大企業での活用が多く見られます。

特長は、開発から導入・サポートまでを自社で一貫して提供する体制にあり、システムの安定性・サポート品質の高さに定評があります。オンプレミスとクラウドの両方に対応しており、自社の運用方針に応じて選択可能です。

製品概要

  • 対象企業規模:年商100億~500億円以上の中堅~大企業
  • 提供形態:オンプレミス/クラウド
  • 主なモジュール:財務・会計、人事・給与、就業、債権債務、固定資産、販売、購買、在庫、組立、生産管理 など
  • 価格帯:最小構成で約500万円~

OBIC7製品ページ

GLOVIA iZ「業種・業務に合わせて選べる柔軟な国産ERP

GLOVIA iZは、富士通が提供する国産ERPパッケージで、3,300社以上の導入実績を誇ります。最大の特長は、業種や業務規模に応じて選べる4つの製品ラインを用意している点です。

会計・人事・給与をはじめとした基幹業務の効率化だけでなく、グループ経営管理や連結会計などの高度なニーズにも対応可能。オンプレミス/クラウド両対応で、企業の成長やIT戦略に応じて柔軟な導入が行えます。

製品概要

  • 対象企業規模:中堅~大企業(業種・業務特性に応じて選択可)
  • 提供形態:オンプレミス/クラウド
  • 主なモジュール:会計、人事・給与、就業、販売、生産、経営管理、貿易
  • 製品ライン例:GLOVIA SUMMIT、GLOVIA smart、GLOVIA きらら など
  • 価格帯:最小構成で約500万円~

GLOVIA iZ製品ページ

ProActive C4「長期利用を見据えた“超寿命”クラウドERP

ProActive C4は、SCSK株式会社が提供する国産クラウドERPで、長年の実績を持つ「ProActive」シリーズを基にしたSaaS専用の次世代型ERPです。全シリーズで6,900社以上の導入実績があり、企業規模や業種を問わず広く利用されています。

最大の特長は、「超寿命ERP」というコンセプト。システムのバージョンアップやサービス停止のリスクを抑えながら、将来にわたって安心して使い続けられるクラウドERPとして、多くの企業から選ばれています。

製品概要

  • 対象企業規模:中堅~大企業
  • 提供形態:クラウド(SaaS専用)
  • 主なモジュール:会計、販売・購買・在庫管理、貿易管理、資産管理、人事、給与、勤怠、タレントマネジメント、個人番号管理 など(全18モジュール)
  • 価格帯:会計モジュール 月額19万円~(サブスクリプション型)

ProActive C4製品ページ

EXPLANNER/Z「50年超の実績を持つ信頼の国産ERP

EXPLANNER/Zは、NECが提供する長年の実績を持つ国産ERPパッケージで、EXPLANNERシリーズとしては累計3万本以上の導入実績があります。製造業を中心に、業務の標準化やグループ全体の最適化を目的とする企業に選ばれています。

オンプレミス・クラウドの両方に対応しており、特にオンプレミス環境では開発フレームワークの柔軟性により、自社業務にあわせたカスタマイズが可能。クラス呼出方式を採用しており、局所的な変更でもシステム全体への影響を抑えられる点が評価されています。

製品概要

  • 対象企業規模:中堅~大企業(特に製造業・グループ企業向け)
  • 提供形態:オンプレミス/クラウド
  • 主なモジュール:販売、債権・債務、貿易、財務会計、原価管理、生産管理
  • 価格帯:最小構成で約500万円~

EXPLANNER/Z製品ページ

奉行VERP「中堅・中小企業に圧倒的人気の国産ERP

奉行VERPは、オービックビジネスコンサルタント(OBC)が提供する国産ERPで、累計69万社以上の導入実績を誇る「奉行シリーズ」の上位版として位置付けられています。特に中堅・中小企業向けに設計されており、段階的な導入が可能なのが大きな特長です。

2022年にはクラウド対応の「奉行VERP クラウド」も登場し、より柔軟で拡張性のあるシステム環境を提供。外部サービスとのAPI連携にも対応しており、業務プロセスの自動化・効率化にも貢献します。全国に約3,000社のパートナーが存在し、サポート体制も充実しています。

製品概要

  • 対象企業規模:年商10~100億円前後の中堅・中小企業
  • 提供形態:オンプレミス/クラウド(奉行VERPクラウド)
  • 主なモジュール:販売、調達・在庫、債権、債務、会計、資産管理、人事、給与、勤怠
  • 価格帯:クラウド版で月額約60,000円〜(会計モジュール・10ユーザー構成)/オンプレ版:約140万円〜

奉行ソリューションページ

SMILE V「基幹業務×情報管理を統合する国産DXソリューション

SMILE Vは、株式会社OSKが提供する国産ERPで、基幹業務と情報系システムを一体化した「統合型DXプラットフォーム」として設計されています。販売管理・会計・人事給与といった基本業務に加え、ドキュメント管理やワークフロー機能も搭載しており、バックオフィスの業務効率化とペーパーレス化を支援します。

オンプレミス・クラウドの両方に対応し、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応も強化。特に中堅企業にとって、業務と情報管理を一元化できる点が大きな強みとなっています。

製品概要

  • 対象企業規模:中堅企業~業務管理を高度化したい企業
  • 提供形態:オンプレミス/クラウド
  • 主なモジュール:販売管理、会計、人事給与、購買、在庫、生産、CRM、ドキュメント管理、ワークフロー
  • 価格帯:非公開(要問い合わせ)

SMILE V ソリューションページ

HUE「業務とコミュニケーションを融合する大企業向けERP

HUEは、ワークスアプリケーションズが開発した大企業向けの国産ERPパッケージで、従来の業務システムに加え、グループウェア機能やドキュメント共有機能を標準搭載しているのが特長です。

会計・販売・人事などの基幹業務はもちろん、表計算やチャット、マニュアル閲覧といった日常業務の「すき間」までカバーすることで、業務と情報をひとつのシステム上に統合。ツールの切り替えや情報の分断を防ぎ、業務効率を飛躍的に向上させます。

また、各種マニュアルや業務手順をシステム内に組み込めるため、新人教育や属人化防止にも貢献します。

製品概要

  • 対象企業規模:大企業(従業員数1,000名以上など)
  • 提供形態:クラウド/オンプレミス(要確認)
  • 主なモジュール:販売、購買、原価、プロジェクト管理、財務会計、管理会計、資金管理、債権債務、不動産管理、経費精算、固定資産 など
  • 価格帯:数千万円〜(要個別見積)
HUE製品ページ

mcframe「製造業の“現場課題”に特化した国産ERP

mcframeは、ビジネスエンジニアリング株式会社が提供する、製造業向けに特化した国産ERPパッケージです。生産・在庫・原価などの業務に加え、品質管理やIoT連携、MES(製造実行システム)との統合といった、製造現場に密着した機能が充実しています。

また、近年ではCO₂排出量管理や環境配慮型の製品ラインアップも拡充されており、サステナビリティを重視する企業からの注目も高まっています。豊富な製造業の導入実績とノウハウを活かし、現場目線での業務改善を実現できるのが大きな強みです。

製品概要

  • 対象企業規模:中堅~大手の製造業(プロセス・組立問わず)
  • 提供形態:オンプレミス/クラウド(シリーズにより異なる)
  • 主なモジュール:生産管理、販売管理、購買管理、在庫管理、原価管理、品質管理、債権債務
  • 価格帯:最小構成で約3,000万円〜(導入規模により変動)

mcframe製品ページ

スーパーカクテル「食品業界に強みを持つ中堅・中小企業向けERP」

スーパーカクテルは、株式会社内田洋行が提供する、中堅・中小企業向けの国産ERPパッケージです。特に食品業界やプロセス型製造業での豊富な導入実績があり、業界特有の課題に即した機能を多数備えています。

販売・会計・生産・原価管理といった基幹業務の統合だけでなく、賞味期限・ロット・在庫トレーサビリティ管理など、食品業界に必要な細かな要件にも対応。また、オンプレミスとクラウドの両方に対応し、IT導入補助金の活用事例も豊富です。

製品概要

  • 対象企業規模:年商数億円〜100億円未満の中堅・中小企業
  • 提供形態:オンプレミス/クラウド
  • 主なモジュール:販売管理、会計、生産管理、原価管理、物流、在庫管理
  • 価格帯:最小構成で約300万円~

スーパーカクテルシリーズ製品ページ

自社に合ったERPを選ぶために製品選定のポイントまとめ

国産ERPパッケージは、日本独自の商習慣や制度にフィットした設計がなされており、法改正への対応や業務の柔軟なカスタマイズ性などにおいて、多くの企業にとって安心できる選択肢となっています。

また、昨今ではクラウド型・SaaS型への移行も進み、企業の成長ステージやIT戦略に応じた柔軟な導入が可能になっています。

ERPパッケージ選定においては、以下のポイントを重視することが重要です

  • 自社の業種・業務範囲にフィットしているか
  • 必要なモジュールや機能が揃っているか
  • クラウド対応や将来的なスケーラビリティは十分か
  • 初期費用・運用コストは予算に見合っているか
  • ベンダーの導入・保守サポート体制は信頼できるか

本記事でご紹介した10製品をはじめ、より詳細な比較情報をまとめたERP製品比較資料(13製品収録)も無料でご提供中です。

市場シェアやAI機能の有無、カスタマイズ性などを一覧で確認できますので、ERP導入を検討中の方はぜひご活用ください。

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※記載された国産ERPパッケージ製品の情報は、当社調査に基づき2025年1月時点の内容を反映しています。


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