グリーントランスフォーメーション(GX)とは?意味や企業の取り組み事例について解説

 2024.05.22  株式会社システムインテグレータ

脱炭素社会を目指すために欠かせない取り組みとして注目されているのがグリーントランスフォーメーション(GX)です。化石エネルギーを中心とした社会構造から、クリーンエネルギー中心の社会構造に転換していくための取り組みのことです。

本記事では、GXとは何かについて、カーボンニュートラルとの関連性や政府が推進している政策などと併せて解説します。

グリーントランスフォーメーション(GX)とは

Children reading books at park against trees and meadow in the park

グリーントランスフォーメーション(GX)とは、環境負荷を最小限に抑えながら経済成長を実現する取り組みのことです。企業や国家が炭素排出量を削減し、カーボンニュートラルな社会を目指すために、エネルギーの効率化や再生可能エネルギーの導入などの地球環境に配慮した経営や事業展開を行っていくことでクリーンエネルギーを中心とした社会構造を目指します。

日本や世界の企業は、政府や関連機関からの支援を受けながらGXを推進しており、今後ますます注目が集まる分野となっています。

カーボンニュートラルとの関係

カーボンニュートラルは、「全体で温室効果ガス排出量をゼロにする」という意味で、GXの取り組みの一つです。す。ゼロにするというのは、温室効果ガスの排出量から吸収量と除去量を差し引き、合計を実質的にゼロにするという意味です。同様に、気候変動に対する取り組みに「ネットゼロ」という単語もあります。こちらも温室効果ガスの排出量を正味ゼロにするという意味で、カーボンニュートラルとほぼ同じ意味で使用されます。 

関連記事:カーボンニュートラルとは?取り組みの必要性と企業のメリット、日本の事例を解説

SDGsとの関連

SDGs(持続可能な開発目標)とは、2015年に国連が採択した、2030年までに達成を目指す17の国際目標です。これらの目標は、貧困の撲滅、健康の増進、教育の普及、ジェンダー平等、環境保護など、幅広い分野での持続可能な発展を目指しています。

17の目標のうち、「7.エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」「13.気候変動に具体的な対策を」などについては特にGXの推進が必要とされています。

SX・DXとの違い

似た用語としてSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)DX(デジタルトランスフォーメーション) というものがあります。

SXは企業が利益追求だけでなく持続可能性も重視し、これらを両立させる「持続可能な企業」を目指して変革することを指します。環境保護と経済成長の両立を目指し、再生可能エネルギーの導入や脱炭素化を推進する取り組みなので、SXを実現する取り組みの一つとしてGXも存在しているといえます。

DXは、テクノロジーによって人々の暮らしをさまざまな視点から良い方向に変化させる取り組みです。狭義では、企業がデジタル技術とビジネスモデルを用いて競争優位性を確立するための変革を意味する場合もあります。これらの取り組みは相互に補完し合っています。 

GXが必要とされる背景

Close up view of the hands of a group of people giving a thumbs up gesture of approval an success with their hands raised against a blank green chalkboard with copyspace

GXが必要とされる背景には、近年の異常気象の増加や地球温暖化などの気候変動が挙げられます。地球温暖化の原因には二酸化炭素やメタンといった温室効果ガスの増加が挙げられますが、特に二酸化炭素は化石燃料を使用する際に大量に発生します。 

気候変動は自然環境だけでなく、経済や社会にも深刻な影響を及ぼします。例えば、農業や水資源に対する影響により、食料供給の不安定化や地価の変動が引き起こされることがあります。また、気候変動による異常気象は、洪水や熱波といった災害を頻発させ、人々の健康や生活に直接的な被害をもたらします。これにより、医療費の増加やインフラの損傷など、経済的な負担も増大します。 

持続可能な未来を築くためには、GXの取り組みが不可欠であり、これにより地球環境の保全と経済の持続可能な発展が可能となります。 

日本政府が推進するGX関連政策

日本政府はグリーントランスフォーメーション(GX)を推進する政策を実施しており、企業や産業のカーボンニュートラルを目指す取り組みを支援しています。環境問題やエネルギー問題に対応するため、再生可能エネルギーの普及や炭素排出の削減など、様々な分野で施策が進められています。さらに、経済成長や雇用の創出を目指し、グリーンビジネスの発展を促す政策も展開されています。

GX実行会議

GX実行会議は、GX推進施策の具体的な取り組みや成果を検討する場として設けられています。実行会議には、関係省庁や企業、研究者などが参加し、各分野の課題や抱える問題を共有し、適切な施策や対策を構築していくことを目指しています。また、会議を通じて連携が強化され、世界的な競争力を持つグリーン産業の創出や、環境問題の解決に向けた国内外での協力が促進されることが期待されています。

GXリーグ

GXリーグは、GXを目指す企業や団体が参加するプラットフォームです。GXリーグでは、メンバー間で情報交換や協力が行われ、新たなビジネスチャンスや技術開発が進められます。さらに、政府や自治体と連携し、具体的な事業やプロジェクトを創出することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献しています。

GX推進戦略の基本方針と重要施策

2023年5月に、エネルギー政策の方向性を定めた「GX推進法」が成立しました。このGX推進法に基づいて定められたのがGX推進戦略です。基本方針としてカーボンニュートラル社会を実現するための具体的な施策や目標が設定されています。これには、再生可能エネルギーの導入拡大や、省エネ推進だけでなく、GXに向けた研究開発の推進などが含まれます。

出典:脱炭素成長型経済構造移行推進戦略【GX推進戦略】の概要

企業がGXに取り組むメリットとポイント

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企業がGX活動に取り組むメリットについて3つご紹介します。 

助成金などの優遇

国や地方自治体は、環境に配慮した事業活動を支援するために助成金や税制優遇を用意しています。GXに取り組む企業は、これらの制度を活用することで、新たな事業や設備投資を進めやすくなります。また、国際的な取り組みに参画することで、海外市場での競争力を向上させることが期待できます。 

企業イメージの向上

GXに取り組むことにより、企業は環境への配慮をアピールできます。これにより、消費者や投資家からの評価が高まり、企業価値が向上することが期待できます。また、従業員の意識向上や、優れた人材の獲得にもつながります。 

コスト削減の可能性

環境配慮型の事業活動によって、エネルギー消費の削減や廃棄物処理コストの低減など、コスト削減の効果も期待できます。また、リースやルール制度の活用により、原材料コストの削減やリスクの軽減も可能となります。 

GXに取り組む企業は、これらのメリットを享受することで、持続的な成長が促進されます。これを機に、ぜひGXへの取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。

GX取り組み事例

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実際に日本企業が行っているGXの取り組みについて事例をご紹介します。

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社は、「トヨタ環境チャレンジ2050」という地球環境に関する包括的な取り組みを策定、推進しています。カーボンニュートラルに関する投資も加速させており、この目標に基づいて2050年までにカーボンニュートラルの達成を目指しています。 

トヨタは、ハイブリッド車(HEV)やバッテリー電気自動車(BEV)など多様な電動車のラインナップを揃え、実用的かつ持続可能な移動手段の提供を目指しています。また、燃料分野においても、水素エンジン車の開発に積極的に取り組んでいます。 

さらに、トヨタはGXリーグに参画しており、産官学連携による持続可能な社会の実現に貢献しています。

ENEOSホールディングス株式会社

ENEOSホールディングス株式会社は、カーボンニュートラル基本計画のもと、2040年度までに自社排出分のカーボンニュートラル実現を目指しています。同社の第2次中期環境経営計画では、「低炭素社会への貢献」「循環型社会への貢献」「環境保全への貢献」の3つを重点テーマに掲げ、CO2削減や3Rの推進など具体的な対策を実施しています。 

さらに、ENEOSグループは、GX実行会議の構成員としてGX実行に向けた施策の検討を行い、GXリーグにも参画して積極的な提言を行っています。

NTTグループ

NTTグループは、「NTT Green Innovation toward 2040」という環境エネルギービジョンに基づき、2040年度までに自社排出分の温室効果ガスに加え、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量を含めたカーボンニュートラルの実現を目指しています。この目標達成に向け、再生可能エネルギーの活用や低消費電力技術の導入を推進しています。

また、2023年12月にはGX取り組み強化に向けた新たなソリューションブランド「NTT G×Inno(エヌティティ ジーノ)」を立ち上げました。NTTグループがGXの取り組みで得たノウハウや実績を活かしたGXソリューションの創出により、社会全体のカーボンニュートラルに貢献を目指します。

GX実現のためのデジタル活用ならシステムインテグレータにおまかせ 

GX実現には、デジタル技術を活用し、DXを推進することが不可欠です。例えば、温室効果ガスの削減には、サプライチェーン全体で二酸化炭素排出量などの情報を正確に収集し、見える化できる仕組みが必要です。こうしたGX・DX推進に関するお悩みがございましたら、お気軽にシステムインテグレータまでご連絡ください。

まとめ

GXは化石燃料中心の社会からクリーンエネルギー中心の社会構造への転換を目指す取り組みです。環境負荷を最小限に抑えながら経済成長を実現し、カーボンニュートラルな社会を目指します。これにはエネルギーの効率化や再生可能エネルギーの導入が含まれます。企業や国家は政府の支援を受けつつGXを推進しており、持続可能な社会の実現に向けた重要な分野として注目されています。

GX推進によって社会課題解決だけでなく、企業にとってもイメージ向上やコスト面のメリットが得られます。GXへの取り組みに欠かせない

DXの進め方についてまとめた資料をご用意してありますので、ぜひご覧ください。 


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