BIM/CIMとは?意味やメリット、活用シーンを徹底解説

 2022.12.09  株式会社システムインテグレータ

DX推進に伴いIT化が急速に進む中、IT技術の活用による生産性向上と業務効率化は、建設業界にとっても急務の課題です。しかし実際のところ、自社の業務内容や方向性と導入するシステム選定に苦戦している企業の担当者は少なくありません。そこで有効なのが建設現場での生産性向上を図るBIM/CIMという手法です。

この記事では、BIM/CIMの概要や両者の違い、その活用シーンを中心に解説します。 

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BIM/CIMとは

3d design on laotop screen

BIM/CIM(Building / Construction Information Modeling,Management、ビムシム)とは、専用のCAD(コンピューターによる設計支援)で作成した3Dモデルを利用し、建設現場での生産管理システムの効率化・高度化を実現するためのワークフロー全体を指した言葉です。

BIM/CIMでは施工の準備段階である計画・調査・設計などの初期段階から、現場の施工・維持管理下までの一連の過程で3Dモデルに連携します。工程を一元管理するため、事業関係者間の情報共有をスムーズに行うことで、受発注者双方の業務効率化や高度化を図る狙いがあります。 

BIM/CIMは「i-Construction」の重要な要素

BIM/CIMは、ICT(情報通信技術)を測量・施工・検査などに活用するi-Construction(建設現場におけるICTの全面的な活用)のインフラ整備において、欠かすことのできない要素といえます。

i-Constructionの基礎知識や導入のポイントについての詳細は別記事で解説していますので、併せてご覧ください。
i-Constructionとは?推進の背景やメリットを基礎知識とともに紹介

BIMとは

BIMとは「Building Information Modeling」の略称です。前述したような3Dモデルを利用して生産性向上・業務効率化を図る一連の流れと、それを実現するためのシステムやツールを含んだ概念を指しています。

BIMで使用する3Dモデルは、従来のCADとは異なる専用の「3DCAD」によって作成されるものです。BIMの目的であるコスト管理や工数管理、効率的なワークフローを実現するため、3Dモデルには各構造の設計情報・素材・設備情報といった情報も付加されます。

付加情報により、製品の仕様に対する設計の精密な検討、シミュレーションによる施工および維持管理の検証のほか、生産性に影響する着工前の分析が容易になります。ちなみに日本国内では、主に規格化された建物を扱う建築業を対象としてBIMの概念が用いられますが、この概念が生まれたアメリカをはじめとする国外では、土木分野を含む建設業全般に対して広い意味で適用される概念であるのが特徴です。 

CIMとは

CIMとは「Construction Information Modeling」の略称を指します。日本国内におけるBIMは建築業に用いられる概念である一方、CIMは主に土木工事にも活用しようという日本独自の概念です。BIMは国土交通省が2010年頃から提唱した概念であるのに対し、CIMは2012年に同省が主に道路・電力・水力といったインフラ関係の土木業界向けに、“インフラ版BIM”として提唱してきた経緯があります。

国外では、CIMと同じような概念は「BIM for infrastructure」と呼ばれており、CIMもBIMと同様、3Dモデルによる生産性向上・業務効率化が目的です。なお、実際の導入にはシステム面などに違いが見られます。 

BIMとCIMの違い

BIMとCIMの主な違いは、3Dモデルへ付加される属性情報の内容です。BIMが取り扱う住宅やビルなどの建築物に関するデータは基本的に規格化されています。加える属性情報も、構造物の材質・設備情報といった建築物の規格に沿った情報が中心です。

対してCIMの対象は、規格化できないような橋梁・ダムなどの自然環境に囲まれたものとなります。BIMの概念をこれらの対象に当てはめる場合、BIMと同様の構造物に関する属性情報だけでなく、周辺の地形や地質などの自然環境条件をも含む幅広い情報を、3Dモデルに付加することが必要です。つまりCIMは「扱う属性情報の幅を用途に応じて広範化したBIMシステムに、日本で独自に呼称を与えた概念」というイメージになります。 

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BIM/CIMを導入するメリット

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実際にBIM/CIMを建築業・土木建設業のワークフローに導入することにより、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここでは、代表的な導入のメリットを4つ紹介します。 

生産性の向上

BIM/CIM導入の第1のメリットは、生産性の向上に大きく寄与する「フロントローディング」「コンカレントエンジニアリング」という2つの手法が可能になる点です。 

フロントローディング

フロントローディングとは、計画・調査・設計といった、事業プロセスの前段階から重点的に検討・照査を重ねる手法です。後半での仕様変更や、ミスによる手戻りといった工期短縮に悪影響を及ぼす要因を極力排除し、品質向上や工期短縮を図ります。

BIM/CIMの活用によって、鉄筋干渉照査や構造物の取り合い(納まり)を設計段階から3Dモデルで立体的に把握できるため、施工における精度が向上し、設計ミスや干渉が原因となるような手戻りの防止に効果的です。施工段階に進んでからも仮設工法や施工手順の検討・確認をしやすく、こちらの工程でも手戻り防止の効果が期待できます。 

コンカレントエンジニアリング

コンカレントエンジニアリングとは、同案件内の複数の事業・作業を同時進行によりプロセス全体を高速化する手法です。この手法の実現には、情報共有を密にした関係者同士の連携が不可欠ですが、そのツールとしてBIM/CIMを活用する方式になります。

BIM/CIMモデルを活用するメリットは、さまざまな情報を、3Dモデルと付随した属性情報として一元的に整理できる点です。従来は、段階ごとに図面作成・施工計画・景観検討を検討してきました。しかし、これらの各プロセスを並行して検討できるだけでなく、各関係者も横断して効率的に検討を進めていくことが可能です。結果として、工期全体を短縮する効果が期待できるでしょう。 

関係者間での情報共有や合意形成が容易に

コンカレントエンジニアリングの項でも触れたように、BIM/CIMは関係者間での情報共有や合意形成のツールとしての側面があります。実際の施工にあたっては、地域住民・土地の所有者・自治体の関係者といった多数のステークホルダーが関与しているため、建設業界で使われる「関係者」は、プロセスが後半に進むほど増加する傾向にあるのが特徴です。

関係者の増加と比例して、事業プロセス進行後の計画変更や修正を硬直化させるリスクが高まる点も考慮しなければなりません。円滑な合意形成を継続するためにも、関係者間の情報共有を重視することが必要です。

BIM/CIMによるシミュレーションモデルの活用により、正確で視覚的にも分かりやすい説明を各関係者と提示・共有できます。計画変更や修正の情報共有をBIM/CIMのデータベース上で行うことで、常に最新情報を関係者間で共有できるため、対応の迅速化にもつながります。 

シミュレーションに活用できる

BIM/CIMツールの代表的な強みは、各種環境要因を加味したシミュレーションも比較的容易に実行できる点です。従来、構造物の経年劣化や空調・風・照明などのシミュレーションは、構造解析の専門家への分析依頼により行われてきました。しかし、専門家に外注することで依頼にかかる時間や依頼料といったコストが課題となっていたのです。

BIM/CIMツールの導入により、ツールの使用方法さえ分かれば専門家でなくともシミュレーションを実行できます。必ずしも外注する必要はないため、設計段階に発生するコストダウンや、環境要因を加味しないことが原因となる設計ミスの防止に効果を発揮します。 

設計管理にかかるコストの削減

BIM/CIMツールによる設計段階でのコストダウン効果は、シミュレーションが容易に行える点だけにとどまりません。BIM/CIMツールでは、入力した全データが共有・連携されています。そのため、どこかのデータにミスがあったとしても、従来のように後段階の図面やデータを全て手作業で修正していく必要はなく、工数自体も大幅に削減できるでしょう。

設計段階ならばともかく、施工段階で修正が必要になった場合の工数やコストの増加は計り知れません。BIM/CIMツールの導入により、修正が必要となるリスクを限りなく抑えられ、再設計・修正による工期大幅延長のリスク低減も期待できます。 

BIM/CIMの活用シーン

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これまで、BIM/CIMの概要やメリットについて紹介しました。ではBIM/CIMは、具体的にどのような場面で活用されるのでしょうか。ここからは、一連の施行工程におけるBIM/CIMの活用シーンを、「設計」「施工」「維持管理」の3段階に分けて解説します。 

設計

設計段階では、BIM/CIM活用により合意形成に関わる地元住民への説明や関係者協議、建材の数量算出が容易になります。また、設計照査の品質・効率向上にも役立ちます。従来の2D図面では、視覚的に分かりにくい鉄筋配置の干渉照査には膨大な時間を要していました。一方BIM/CIMモデルを活用することで、過密配筋部の複雑な鉄筋干渉も視覚的に表現できるようになるのです。

視覚化によって確認が容易となることで、ミスが減るだけでなく、経験の浅い技術者でも精度の高い照査を行いやすくなります。照査の品質自体が向上すると、照査作業にかかる手間そのものを短縮できるのです。支障物件との取り合いという点でも、BIM/CIMモデルを活用すれば確認がスムーズに行えます。

これまで設計段階での確認が難しく、現地確認で問題が発覚するケースの多かった既設構造物や電柱などとの取り合いですが、これらの問題も解決できるでしょう。また、取り合いにかかる作業の手戻り減少や、支障物件所有者との協議および合意形成の迅速化も期待できます。 

施工

施工段階においては、特に工事関係者に向けた安全教育・安全管理、設計変更などにBIM/CIMを活用できます。施工計画を協議する際、2D図面を用いた従来の検討では施工場面ごとの時間的表現が難しく、施工手順の確認は非効率でした。施行過程にBIM/CIMモデルを用いると、煩雑な施工手順であっても関係者にも分かりやすく3Dで可視化できます。情報や問題が整理されることで、円滑な合意形成や迅速な施工が行えるでしょう。

万が一、やむを得ない設計変更が必要になっても、数量算出にはBIM/CIMモデルが有用といえます。BIM/CIMモデルは現場のデータを即時フィードバックできるため、短時間で必要な数量を導き出せるのです。結果として、工事出来高の把握や発注者への報告資料作成の手間を大幅に省力化でき、設計変更に伴う修正ミスを防止できます。 

維持管理

施工後の維持管理に注目すると、BIM/CIMが活用するシーンは点検箇所の把握、点検実施時の必要資料参照、補修方針の検討、点検作業の効率化など多岐にわたります。あらかじめBIM/CIMモデルに損傷しやすい箇所・補修履歴情報などを関連づけておくと、必要な時に重要点検箇所の位置や構造を容易に把握できます。

従来の維持管理業務では、構造物の台帳・竣工図面、点検補修記録といった各参照資料を、紙媒体や電子データなど異なる形式でバラバラに管理・保管することが常態化していました。そのため、いざ補修が必要になっても点検履歴・補修履歴の確認に必要な過去データがすぐに入手できず、補修作業に時間がかかってしまうケースもありました。

情報がデジタル化され一元管理されているBIM/CIMツールでは、必要な資料を現場で即時検索・参照できます。これによって、過去データを入手するためにかかる無駄な時間を省けるので、維持管理作業全体の効率化が可能となるのです。 

BIM/CIMの課題と今後

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新型コロナウイルスによるリモートワークの拡大などの背景もあり、国土交通省からの要請で、2023年までに小規模を除いた公共工事でのBIM/CIMの導入が求められています。このような見通しから、大手ゼネコンや建築コンサルにおいて、メリットの大きいBIM/CIMの利用が急速に広まっている状況です。しかし、これまでなじみがなかったBIM/CIMを導入するには、考慮しなければならない課題もいくつかあります。

例えば、BIM/CIMツールも多数あり、対象となる現場や関係者の数などで向いているツールなども異なります。そのため自社の業務内容やステークホルダーの数と照らし合わせてシステム選びを行う難易度が高いという課題があります。BIM/CIMツールは、使う主体や対象とする建築物の違いにより設備・構造・建築などの種類があります。また、3Dモデルのデータ形式は独自形式や国際標準形式など多岐にわたるため、社内だけで導入するシステムを判断することは容易でなく、自社の専門分野やステークホルダーとの連携も考慮する必要があるでしょう。

また、部分的なプロセスだけでなく工程全体を管理可能なツール選びが難しいという課題もあります。BIM/CIMでコスト削減・生産効率向上を果たすには、全プロセス下で3Dモデルの連携が欠かせません。施工段階に注目しても施工段階だけで活用できるツールではなく、一連の過程において共通のフォーマットを使用して前後の設計・維持管理工程と連携できるツールを選ぶ必要があるのです。

近年ではBIM/CIMの導入のみならず、業界大手を皮切りに会社全体としてのDX(デジタルトランスフォーメーション)が推進される傾向にあります。BIM/CIMツールをDX化推進の一要素として捉え、基幹システムのクラウド化、AIやドローンの活用といったDX化の進捗状況も勘案することが大切です。社内の一部の部署に限らず、社内全体が連携して属性情報や3Dデータを活用できるようなシステム環境の整備は、より重視されていくでしょう。 

なお、建設DX推進の詳細については、以下の記事でも解説しています。併せてご覧ください。
建設DXとは?推進のメリットや使われる技術など基礎知識を徹底解説 

参考:令和5年度のBIM/CIM原則適⽤に向けた進め⽅|国土交通省 

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まとめ

BIM/CIMを使えば、建設業の各工程における生産性向上・業務効率化が可能です。これらを効果的に実現してくれるツールであると同時に、建設DX推進においても重要な手段として位置づけられています。

さまざまな業界で人手不足は深刻化しており、建設業や製造業においてもDX推進による生産性向上が重視されていることから、今後ますますBIM/CIMの導入・活用は進んでいくでしょう。

当社では製造業などのDXに関する資料を複数ご用意しております。「製造業DX推進の3つのステップとDX成功の4つのポイント」では、製造業DXを推進する際のステップと重要なポイントをまとめております。こちらも併せてご覧ください。 

製造業DX推進の3つのステップとDX成功の4つのポイント

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