サステナビリティ経営とは?企業が取り組むメリットについて解説

 2024.07.29  株式会社システムインテグレータ

カーボンニュートラルの推進やSDGsへの取り組みなど、企業における社会的責任がますます重要視される中でサステナビリティ経営が注目されています。
企業が今後、社会的な責任が高まる中で持続可能な成長を実現するためにはこのサステナビリティ経営への取り組みが不可欠です。

本ブログでは、サステナビリティ経営とは何かについて、CSR、SDGs、ESGとの違いと合わせて解説し、具体的なメリットや進め方についてご紹介します。

サステナビリティ経営とは?定義や重要性

High rise apartments above Wetland Park in Hong Kong, China.

サステナビリティ経営とは、経済・社会・環境の三つの観点からバランスよく持続可能な状態を実現する経営のことを指します。

今は地球規模での環境問題が深刻化しており、消費者や投資家は企業に対して環境への配慮や社会課題への取り組みについても重視しつつあります。
そのため企業が持続可能な環境を確保しながら経営を行い、全体的な市場の安定化や資源の削減に努めることが求められているのです。

また、サステナビリティ経営を目指し、実際に変革をしていくことをSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)と言います。 

サステナビリティ経営が注目される背景

Two creative millenial small business owners working on social media strategy brainstorming using adhesive notes in windows

サステナビリティ経営が注目される背景は、環境問題の深刻化や、消費者ニーズの変化、企業の社会的責任への意識の高まりが挙げられます。それぞれ詳しく解説します。

深刻な環境への負荷

経済活動の拡大に伴い、温室効果ガスの排出や森林伐採、海洋汚染などが進行し、地球環境は危機的状況にあります。このような状況に対処するため、企業は環境負荷を最小限に抑えた、持続可能なビジネスモデルの構築を迫られています。

例えば、温室効果ガス削減の取り組みとして、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させて全体の排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの取り組みや、温室効果ガスの排出量より削減する量を多くするくらいメートポジティブという取り組みが例としてあげられます。

消費者ニーズの変化

サステナビリティ経営が注目される背景には、消費者ニーズの変化も重要な要因となっています。近年、環境や社会に配慮した商品やサービスを求める消費者が増加しています。特に若年層を中心に、持続可能性やエシカルな価値観を重視する傾向が強まっています。

企業は環境負荷の低減や社会的責任を果たす取り組みを強化しなければ、消費者の支持を得ることが難しくなっています。

社会的な責任の高まり

現在、企業は単に利益を追求するだけでなく、社会全体に対して責任を果たすことが求められるようになっています。そのため消費者や投資家、従業員といったステークホルダーは、環境保護、人権尊重、公正な労働条件の提供など、企業の社会的責任を重要視しています。

CSR、SDGs、ESGとの違い

team of successful business people having a meeting in executive sunlit office-Sep-15-2023-06-08-21-7035-AM

サステナビリティ経営に関連する用語として、CSRやSDGs、ESGといったキーワードが出てきます。それぞれの用語とサステナビリティ経営との違いについてご紹介します。 

CSRとの違い

CSR(corporate social responsibility)とは企業の社会責任を意味する言葉です。

CSRは特に社会への貢献という意味が強く、企業が自主的に行う地域貢献や環境保護などの取り組みを指します。CSRは主に社会貢献活動に焦点が当たりますが、サステナビリティは経営全体に関わる幅広い視点が特徴です。また、CSRは企業のイメージ向上が目的の一部ですが、サステナビリティは持続可能な成長を目指す経営上の取り組みとして捉えられます。 

SDGsとの違い

SDGsとは、国連がまとめた2030年までに実現すべき17の目標をまとめた、「持続可能な開発目標」のことです。これはグローバルな視点で環境や社会問題の解決を目的としています。

SDGsは世界全体が取り組む課題であり、企業もその達成に協力することが期待されます。「ジェンダー平等を実現しよう」や「気候変動に具体的な対策を」といった各目標に対して、達成目標や具体的な方法を示しています。サステナビリティをより具体化したものと考えるのが良いでしょう。そのため、サステナビリティ経営について考える際にはSDGsの観点も盛り込むと、より社会的な責任を果たせる取り組みにつながります。 

ESG経営との違い

ESG経営のESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を合わせた言葉で、この3つの観点を踏まえて環境や社会に配慮した経営を行うことをESG経営と言います。

深刻化する環境問題や、人口問題やダイバーシティといった社会課題など、直面する多くの課題に対する取り組みが企業に対して求められています。また、現在は多くの投資家が、投資先の選定において企業のESGに対する取り組みを指標の一つとしています。

ESG経営もサステナビリティ経営も概念としては近しいですが、ESGはより具体的な行動指針という意味合いが強く、サステナビリティ経営はより広範な経営全体に影響する戦略的な取り組みと言えるでしょう。

サステナビリティ経営を評価する指標・基準

business-development

サステナビリティ経営を評価する指標・基準は、企業の持続可能性を可視化し、投資家などステークホルダーに対する情報開示を促す役割があります。

経営戦略に沿った目標設定、適切な指標による進捗管理、情報の公開・報告などによって、企業の信頼性向上につながります。

GRIスタンダードとは

GRIスタンダードとは、サステナビリティ報告に関する国際的なガイドラインで、環境・社会・経済の各項目における詳細な指標が定められています。1997年に米国ボストンで設立されたGRI(Global Reporting Initiative)という団体によってつくられました。 

GRIスタンダードは大きく「共通スタンダード」「項目別スタンダード」「セクター別スタンダード」の3つで構成されています。 

共通スタンダード:報告の原則やGRIスタンダードを利用する上でのルールなどが明記されている
セクター別スタンダード:該当する業種のスタンダードを選択して使用
項目別スタンダード:経済、環境、社会の3つの項目に分かれており、具体的な情報を報告するための枠組みを選択して使用

GRIスタンダードを活用することで、企業はESGへの取り組みをステークホルダーに対してわかりやすく伝えることができます。

サステナビリティ経営に取り組むメリット

Group of business people assembling jigsaw puzzle and represent team support and help concept-2

サステナビリティ経営に取り組むことで、社会や環境への課題解決はもちろん、企業のイメージ向上や評価向上など様々なメリットが得られます。ここでは得られるメリットについてご紹介します。

企業イメージの向上

サステナビリティ経営に取り組むことで、企業は社会的責任を果たす姿勢を示し、環境や社会への配慮を実践していることをアピールできます。これにより、消費者や取引先、投資家などからの信頼を獲得しやすくなります。特に、環境や社会問題に対する意識が高い若年層やエシカル消費を重視する層に対して、企業のイメージが向上し、ブランド価値向上や競争力の強化につながります。

投資家からの評価

サステナビリティ経営を実践する企業は、投資家から高い評価を受けることができます。企業が環境や社会に対する責任を果たすことで、投資家からの信頼が高まり、長期的な投資を呼び込むことが可能になります。

新たなビジネスチャンスの獲得

サステナビリティ経営を進めることで、新たなビジネスチャンスを創出する機会を得ることができます。

例えば環境に配慮した製品やサービス、再生可能エネルギーの利用、リサイクルや循環型経済の導入などに取り組むきっかけとなり、新しい市場や顧客層へのアプローチが可能になります。また、規制の強化や消費者ニーズの変化に対応することで、先行者利益を享受することができます。これにより、競争優位性を確立し、持続的な成長を実現することができます。

従業員のエンゲージメント向上

サステナビリティ経営は、従業員のエンゲージメント向上にも寄与します。企業が社会的責任を果たす姿勢を示すことで、従業員は自分の仕事に誇りを持ち、企業に対するロイヤルティが高まります。また、働きやすい職場環境や公正な労働条件の提供は、従業員のモチベーションや生産性を向上させます。従業員が企業のビジョンや価値観に共感し、積極的に貢献することで、企業全体のパフォーマンスが向上し、持続可能な成長を支える重要な要素となります。

これらのメリットにより、サステナビリティ経営は単なる環境保護や社会貢献の手段に留まらず、企業の競争力を強化し、長期的な成功を支える重要な戦略となります。

サステナビリティ経営を実現するためのステップ

back-office-3

サステナビリティ経営を成功させるためのステップについてご紹介します。

現状の評価と課題の特定

サステナビリティ経営の第一歩は、企業の現状を評価し、環境・社会・経済への影響を把握することです。内部および外部のステークホルダーからの意見も広く取り入れ、企業が直面する持続可能性に関連する課題を特定し、対応の優先順位を設定します。

ビジョンと戦略の策定

企業は持続可能な未来を目指すための長期的なビジョンを設定し、具体的な目標と戦略を策定します。これには、環境保護、社会貢献、経済成長のバランスを考慮した方針が含まれます。全社的な合意を形成し、各部門や従業員が共通の目標に向かって協力する体制を整えます。これにより、企業全体が一体となって持続可能性を追求することが可能になります。

実行とモニタリング

策定された戦略に基づいて具体的な行動計画を立案・実行し、その進捗を定期的にモニタリングします。環境や社会への影響を測定し、成果を確認することで、計画の修正や改善が必要な箇所を特定します。透明性を確保するために、進捗状況や成果を定期的に報告し、ステークホルダーとの信頼関係を築きます。これにより、企業の持続可能性に関する取り組みの効果を最大化できます。

継続的な改善

サステナビリティ経営は一度の取り組みで終わるものではなく、継続的な改善が求められます。定期的に戦略と実行結果を見直し、新たな技術やビジネスモデルの導入を検討します。環境規制や市場の変化に柔軟に対応し、持続可能な成長を続けるために、企業は常に革新と適応を続ける必要があります。このプロセスを通じて、企業は長期的な競争力を維持し、社会的責任を果たすことができます。

サステナビリティ経営の取り組み事例

business documents on office tab-1

それではサステナビリティ経営の取り組みに成功した事例をご紹介します。

株式会社ラッシュジャパン

ラッシュジャパンはバスグッズやスキンケア製品を販売する企業で、環境に配慮したプロダクトづくりを徹底しています。同社は「環境問題をビジネスの中心として捉え、意思決定の際に必ず考慮する」という環境ポリシーを設定し、プラスチックゴミを生み出さない製品を開発しています。さらに、空き容器の回収とリサイクルを実施し、空き容器5つでフェイスマスク1枚と交換する取り組みも行っています。また、オフィスではプラスチックごみを排除し、自動販売機からペットボトルを除外してアルミ缶やビンに変更するなど、徹底した環境配慮を行っています。

LUSH(ラッシュ)環境ポリシー

株式会社ファミリーマート

ファミリーマートは、サステナビリティ経営の一環として、多様性と包摂性を重視した取り組みを行っています。LGBTQ支援を推進し、「『like Family』多様性をちからに。誰もが活き活きかがやく未来へ。」というミッションのもと、社内で正しい知識と理解を醸成し、安心・安全な職場環境を作り出しています。さらに、レインボーカラーの商品を展開し、売上の一部をNPO法人ReBitに寄付して教育現場での啓発活動を支援しています。また、同性パートナーを持つ社員に対しても、社内制度や福利厚生を利用できるよう制度を整えています。

株式会社ファミリーマート

オムロン株式会社

オムロンは、環境分野において持続可能な社会の実現に向けた取り組みを行っています。気候変動対策として、温室効果ガス排出量の削減を進め、排出量を管理しています。また、循環経済への移行を目指し、廃棄物の適正管理やリサイクルを推進。さらに、生物多様性の保護や水資源の有効活用に努めています。

仕入先と協働するグリーン調達も行い、サプライチェーン全体で環境への配慮を強化しています。

オムロン株式会社

まとめ

サステナビリティ経営を実践することで、企業は社会的責任を果たしながら競争力を強化し、長期的な成長を実現できます。

今後もサステナビリティ経営に取り組むことの重要性はますます高まるでしょう。まずは現状の評価と課題の特定から始めてみてください。

また、現状の確認をしたり取り組みの成果をモニタリングしたりするためにはデータを収集・確認できる基盤が整っていることが前提です。基盤が整っていない場合は、まずは基盤の整備から始めましょう。社内データの統合や活用について解説した資料がありますので、ぜひご覧ください。


RELATED POST関連記事


RECENT POST「経営戦略」の最新記事


経営戦略

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)解説|必要性やDXとの違い

経営戦略

CSV経営とは?事例と合わせてメリットを解説!

経営戦略

なぜESG経営が必要か?意味や、具体的な進め方、企業事例までを簡単に解説

経営戦略

パーパス経営とは?企業成功事例と合わせて取り組み方をご紹介

サステナビリティ経営とは?企業が取り組むメリットについて解説

GRANDIT TOPへ