現在、日本国内には300万社を超える会社が存在し、各社さまざまな事業に取り組んでいます。大企業から中小企業まで、あらゆる組織形態がありますが、会社を大きく分類すると株式会社・合同会社・合名会社・合資会社・有限会社の5つに分けられます。そしてこれらの中には親会社・子会社・関連会社などの関係を築き、グループ経営という形で事業を展開している会社も多くあります。
今回の記事では、このグループ経営に焦点を当て、メリット・デメリットや課題点、そして成功のポイントなどを詳しくご紹介します。
現在グループ化の影響で何らかの課題を抱えてしまっている方や、今後自社のグループ化を検討している方、またその予定がある方はぜひ参考にしてください。
グループ経営とは
そもそもグループ経営とは、親会社、子会社、関連会社の意思決定を統一し、大規模組織であるかのように経営を行う手段を指します。つまり、統一した経営哲学によって会社を動かすことをグループ経営と呼びます。
従来は親会社と子会社や関連会社で、それぞれ経営を行っていました。しかしグループ経営によって意思決定を統一することで、親会社・子会社間で意思統一したブランドイメージを生み出すことも可能となります。
統一したブランドをニュースリリースなどでアピールしていくことで、組織力の強化やブランディングに大きく貢献するでしょう。そして何より、サプライチェーンマネジメントも実現でき、協力して企業活動を実行できます。
子会社・グループ会社・関連会社との違い
グループ経営において頻繁に名前が挙がる子会社・グループ会社・関連会社ですが、それぞれどういった違いがあるのでしょうか。これらを簡単にまとめると「子会社=50%以上の株を保有されている会社」「関連会社=20%以上の株を保有されている会社」「グループ会社≒親会社・子会社・関連会社を全てまとめた会社」と分類することができます。
また、これら3つの区分をさらに細分化した組織もあります。それぞれの組織を要約した表は以下の通りです。
子会社
50%以上の株を親会社に保有されている会社。
完全子会社
子会社の中でも100%の議決権を親会社が保有している会社。
連結子会社
連結決算の対象となる子会社。現在ほとんどの子会社が連結対象となっている。
非連結子会社
子会社の中でも連結対象外の子会社。経営や財務への重要性の観点などから外れることを容認される場合が多い。
関連会社
子会社でなくとも、親会社が実質的な影響力を保有している会社。
持分法適用会社
連結決算上、持分法の適用対象となる関連会社。
関係会社
親会社・子会社・関連会社を含めた関係性のある会社全体の総称。
グループ会社
法的にはグループ会社という呼び方はなく、関係会社の類義語として用いられることが多い。
このように、同じ子会社・関連会社であっても親会社に株をどれだけ保有されているか、事業にどれだけ影響を及ぼしているかによって名前も変わります。
グループ経営の課題点
グループ経営の課題は、グローバルに事業展開する会社が増加していることと切っても切れない関係にあります。日本国内のグループ企業の把握に努める一方、海外を拠点とするグループ企業の事情を正確に把握できていなかったり、意思疎通に齟齬が生じて本社の意向がうまく伝達されていなかったりといった悩みを抱えているケースも少なくありません。
現在の国内市場では、推進事業ごとにそれぞれ管理が行われているケースが一般的と言えます。一方で、諸外国では事業を軸にするのではなく、地域を軸にして事業を管理するケースが一般的です。
日本と同じように事業を主軸にして管理できれば効率的ですが、言語や現地における働き方の違いなど、コミュニケーションが困難であるが故に、このような管理体制のズレが生じてしまうと言えるでしょう。
グループ経営のメリット
ここまではグループ経営が組織として抱える課題についてご紹介しました。
ここからはグループ経営の事業におけるメリット・デメリットについて解説していきます。まず本章ではメリットを4点ご紹介します。
効率的な経営活動の実現
グループ経営の場合、親会社が事業理念に基づき、グループ全体の意思決定を行い、各事業は子会社や関連会社など各社が行うなど、役割分担を明確にすることができます。
役割を明確にすることで、子会社は自社の事業に集中して取り組むことができ、親会社はグループ全体の方向性を決定できるため、効率的な運営をスピード感をもって進められます。
ビジネスには素早い判断が求められるシーンも多いため、可能な限り早めに方向性を決めて動くことが熾烈な争いを勝ち抜く鍵となります。グループ経営を上手く機能させられれば、意思決定のスピードという観点から見た場合は適していると言えるでしょう。
リスクの分散
グループ化することによってリスクを分散できることもグループ経営ならではの強みです。
同じグループであったとしても、子会社や関連会社は独立した法人です。1社の業績が悪化した場合や損失を出してしまった際には、その事業と関係ない子会社・関連会社が受ける被害を最小限に留めることができるでしょう。
また運送業や飲食業などにおいては、認可が降りている事業で業務停止命令を受けてしまうと、連鎖的に他事業も停止しなくてはなりません。グループ経営では、こういったリスクも分散化によって回避することができます。
事業に合った働き方の実現
人事制度や雇用形態、労働条件などは事業によって異なります。グループ経営の場合、事業や業種ごとに会社を構えることが可能なため、にマッチした人事制度や労働条件を柔軟に採用しやすくなります。そのため事業内容に応じた最適な労働環境を提供できるため、社員のモチベーションアップに繋がったり、事業に適した採用制度でより優秀なリソースを確保できる可能性が高まるのです。
グループ経営のデメリット
事業の幅が広がる、働き方改革につながる、M&A対策になるといったメリットがある一方、グループ経営には次のようなデメリットも存在します。
グループ間での対立
グループ経営の場合、様々な事業会社が傘下に配置されます。事業会社によっては経営方針が異なったり、そもそも対立するビジネスが存在したりといった場合がありますが、グループ会社は親会社の方針に従わなければなりません。
親会社の方針に対して賛同する事業者や反対する事業者が存在することで、グループ間での対立が生まれたり協力関係をうまく築けないといったデメリットが生じてしまいます。
体制の複雑化
グループ会社は様々なビジネスに分かれているため、親会社が利用しているシステムを流用すると使いづらかったり、利用料が高額になってしまう場合があります。もちろんグループの垣根を越えて業務が重複することもあります。全体のシステムの最適化を考えなければ不要なコストが膨らんでしまうでしょう。
子会社の設立時は、運営や維持方法を可能な限りシンプルにし、バックオフィス業務のコストを抑えるための対策を立てましょう。
必要な人材の増加
先ほどお話ししたように、グループ経営のメリットの一つに社長・役員などのポジションを増やしやすいことがあります。しかし裏を返せば、増加したポジションの数だけ必要な人材も増えるというデメリットが生まれます。子会社とはいえ、経営に直接携われる人材となるとキャリア・スキルも重要となるため、採用や幹部候補育成にも時間とコストがかかってしまいます。
つまりは、経営者レベルの業務が可能な人材確保への見通しが無ければグループ経営は避けるべきだと言えるでしょう。
グループ経営を成功させるポイント
それでは、グループ経営を成功に導くにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは、基幹系システムであるERPパッケージの導入を進める方法についてご紹介します。
ERPパッケージによるグループ経営成功のポイントを4つほど見ていきましょう。
迅速な経営判断と業務効率化に貢献
ERPパッケージを導入することによって、グループの経営状況を包括的かつスピーディに把握できるため、意思決定もより迅速に行えるようになります。
グループ化に際した連結決算やその他会計情報の修正作業も、システムを統合することで自動化が可能です。集計作業に時間を割く必要が無くなり、連結決算を効率化できるでしょう。
さらに、これまで各子会社が担っていたマスタ管理を本社で統一するなどの取り組みも有効です。その後も一元管理し続けられ、バックオフィスの業務最適化にも大きく貢献するでしょう。
基盤共通化により経営分析の精度向上に寄与
これまで統一性がなかった判断基準も、パッケージ導入によって常に同じ基準でデータを集計できるようになります。グループ企業を含め、横断的に情報を扱えるようになるでしょう。
こうした体系が築けると、経営状況を正確に把握でき、社員数や時間などのバランスから収益性・安全性・活動性などの指標も迅速に把握できます。
運営コストの大幅カット
グループ会社それぞれがシステムを選定・運用すると、会社ごとに運用コストがかかるだけでなく、別システムの場合は必要な情報の集計にも大きな工数がかかってしまいます。
そのためグループ会社ごとにバラバラのシステムを採用するよりも、全体で連携できるシステムを採用したほうが、運用コストや工数を引き下げるといったメリットを得られます。
バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ
多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
バックオフィスの業務プロセスを最適化することで、コスト削減や属人化の防止だけでなく企業全体の生産性向上にもつながります。
当社はERPをはじめとする情報システムの豊富な導入実績をもとに、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な改善策を提案します。業務の洗い出しや問題点の整理など、導入前の課題整理からお手伝いさせていただきます。
バックオフィス業務にお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社システムインテグレータまでご連絡ください。
まとめ
今回はグループ経営の種類(子会社・グループ会社・関連会社)の、それぞれの立場を整理した上で、経営のメリット・デメリット、ERPパッケージの導入による経営成功のポイントなどをご紹介しました。特にグローバル化が激化する昨今は、海外展開を視野に入れた日系企業が増え、それと同時に親会社・子会社間の意思疎通の大切さと方法が改めて問われています。
グループ経営を行う場合、システムを統合することで情報をグループ全体で共有できたり、意思疎通の迅速化につながり事業戦略を立てやすくなったりといったメリットがあります。ERPパッケージを検討する際は、グループ経営に対応しており、他システムとの連携が可能など、シナジー効果が得られ拡張性が高いものを選択すると良いでしょう。ERP導入のポイントをまとめた資料がありますので、こちらもぜひご覧ください。
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