PMIとは?用語の意味や重要性、手法などをわかりやすく解説

 2023.02.27  株式会社システムインテグレータ

M&Aを成功させるにあたって鍵となるのが、M&Aのプロセスにおける「PMI」という作業です。M&Aが成功するかどうかはPMIがうまく行えたかによって大きく左右されるため、M&AにおいてPMIは重要性が高い作業として挙げられます。

この記事ではPMIについて、PMIが重要視される理由とPMIの実施プロセス、そしてPMIの主な手法についてご紹介します。 

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PMIとは

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PMIとは「Post Merger Integration」の略称で、M&Aのあとの統合効果を最大化するために行う作業を指す用語です。M&Aによる相乗効果はPMIをうまく行えたか否かによって大きく左右されるため、M&Aのプロセスにおいて最も重要な作業であるとされます。

PMIは大きく分けて経営統合・業務統合・意識統合の3段階で行われます。企業文化の違いをいかに統合するかが、PMIにおける最も重要なテーマです。 

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PMIはなぜ重要なのか

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M&Aによる統合が行われたあとは企業全体が混乱しがちで、業務上の重大なミスやシステムの障害などが起こりやすくなります。混乱しやすい状況下で対策をうまく取れないと従業員の辞職や顧客離れ、内部対立の発生などにつながります。会社として業績も悪化するでしょう。

PMIを実施する際はM&Aの初期段階から統合を阻害する要因について事前に検証して、検証結果をもとにして統合後の組織管理を行います。そのため、PMIはM&A後の統合効果を最大化するための手段として重要です。 

PMIのメリット

具体的なPMIのメリットには以下のようなものがあります。 

リスクの事前回避

PMIの策定を効果的に進められれば、M&Aのあとに発生しうる問題やリスクが見えてきます。各種問題・リスクを予測して事前に対応を取り、問題発生を防止できます。 

組織の成長を促す

PMIを推進する過程で、自社の成長・存続におけるM&Aの必要性を把握できます。他社との比較によって自社の良い点・悪い点も見えるようになり、会社経営上の将来的な視野が広がります。 

相乗効果の最大化

M&Aの主な目的は企業価値の向上にあります。売り手と買い手双方の企業がうまく相乗効果を生み出しながら、M&A以前よりも高い利益を計上して継続的に企業価値の向上を目指します。M&Aの目的を理解したうえでPMIを効果的に行えれば、M&A以前から短期的・中長期的なビジョンを抱けて相乗効果を最大限に受けられます。 

企業文化・風土の違いに対応できる

M&A実施後の重要なポイントは、異なる企業文化をどのように統合するかという点です。

業務の運営方法や人事評価制度の仕組みなども異なるため、これらに考慮して統合を進めなければ組織内で摩擦が起き、統合をうまく進められない可能性があります。企業文化に考慮したPMIの実施が必要です。

M&Aの難しい点や課題

経営者がM&Aを進める場合、知っておくべき課題がいくつかあります。M&Aによってさまざまなシナジー効果を得ることができますが、そのためには徹底した準備が必要です。準備を怠ってしまうと想定した効果を得られないだけでなく、損失につながってしまう場合もあります。

統合による混乱が起きる

2つの組織が1つに統合されることで、業務の運営方法が変わったりシステムを統一しなければいけなかったりと業務上の調整すべき問題が多く、経営上の混乱を招きやすくなります。

また、取引条件が見直されることで、従来の取引先との関係に影響が出る場合もあります。現在の顧客に対して混乱を避けられるように、丁寧な連絡などを徹底しましょう。

従業員の不安や反感が起きる

取引先との関係性について注意深く対応して、従業員へのフォローを後回しにしてしまうケースがあります。経営の体制が変わることで雇用条件や人事評価制度も変わり、従業員も不安や反感を抱く場合があります。従業員のモチベーション低下や、場合によっては離職増加にもつながってしまうため、従業員に対するフォローも重要です。

想定していた効果を得られない場合がある

M&Aは多くの手続きが必要で、準備にも時間がかかります。売り手は希望どおりの売却先が見つかるとは限らず、買い手も多くの買収費用が必要となります。

また、上記で解説したような顧客関係で問題が起きたり、従業員の離職が起きたりすることで、想定していた売上増加やコスト削減といった効果を得られない場合があります。

リスクはなくせませんが、M&Aには徹底した準備が必要です。

PMIが失敗するケースとは

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M&Aの実施後は企業が大きく混乱します。PMIがうまくいかないと、従業員の離職を招いたり取引先と関係が悪くなったりするなどの問題が発生します。以下でPMIが失敗するケースをご紹介します。 

デューデリジェンスの不足

デューデリジェンス(Due Diligence、 DD)とは、M&Aを実施する際にM&A対象について詳しく調査することを指します。このデューデリジェンスが不足していることも、PMIが失敗する要因の一つです。

デューデリジェンスは人事や法務などの分野でも行う必要があります。すでにある人事制度や労使関係をしっかり把握して条件をすり合わせないと、従業員の不満を招いて人材流出につながるためです。

デューデリジェンスの実行によって、知られていなかった新しい事実が発覚するケースは少なくありません。しかし、デューデリジェンスの実行経験が浅いと細かい内容を見落とす恐れもあります。デューデリジェンスの実行には高額の費用がかかりますが、費用を節約するために自社内部のスタッフが行うとPMI失敗の原因になりがちです。

デューデリジェンスを行わずに進めたりおざなりな進め方をしたりすると、時間が経ってから都合の悪い事実が判明して対処しきれなくなる可能性もあります。買い手側は事前の調査に時間とコストを惜しまずかけましょう。 

準備不足

PMIを実施する準備はM&Aを公表する前から進めておく必要があります。M&Aの公表後に始めるのでは遅く、十分な準備ができない可能性があります。M&Aのあとに行われる各部門の業務統合・システム統合・制度改革などは数日程度では完了できません。

そのため、PMIは「計画」が最も重要な段階といえます。M&Aがなされたあとすぐに実行できるように、M&Aを検討している段階からPMIを行う準備をしておきましょう。 

簿外債務

簿外債務とは、何らかの理由で帳簿や貸借対照表に記載されていない債務のことです。本来であれば買い手側は貸借対照表に記載されている負債を勘案して買収の検討ができますが、簿外債務があるとそれができません。
簿外債務は起こりうることですが、M&Aを行う場合は企業の信頼性にも影響します。M&Aを行う前に簿外債務について洗い出すことで企業の健全性を示すことができます。

契約書や価額設定が曖昧

M&Aは頻繁に行うものではないため、経営者の知識が不足している場合があります。本来であれば経営権の譲渡の方法や引継ぎの進め方など、様々なことを詳細に決めておかなければなりませんが、知識がなく曖昧にしておくとPMIが失敗してしまいます。
買収・売却価格も適正に設定しておかなければ、買収の場合など投資対効果が悪くなってしまう場合もあります。専門家に相談をしたり、書類についてはチェックをしてもらったりすると良いでしょう。

PMIのプロセス

PMIとは?重要な理由と実施プロセス、おもな手法を解説 3

PMIを行うためには以下でご紹介するようなプロセスについて把握しておくことをおすすめします。各種のプロセスに沿ってPMIを実施すればM&Aを成功させやすくなるでしょう。 

統合方針の策定

最初に統合の方針や手順を定めます。M&Aの対象企業を自社あるいは自社グループに統合するスケジュールや、統合のために用いる手順などを検討します。業界における競争環境やデューデリジェンスで検出された事項、従業員の感情などをトータルで判断して方針を決定します。

経営統合の枠組みには以下の3種類があります。 

連邦型統合

対象企業を子会社の状態で残して、できるだけ経営の自主性を維持します。 

支配型統合

対象企業を子会社として残しつつ、経営には自社が積極的に関与します。 

吸収型統合

吸収合併や吸収分割、事業譲渡などの手段で対象企業を自社に吸収して、企業の一体化を図ります。 

統合計画の策定

統合方針の策定後にランディングプランを策定します。ランディングプランとはクロージング(M&Aにおける経営権の移転手続き)から数ヶ月以内に行うべき総合計画のことです。

その後、クロージングからおおよそ3ヶ月~6ヶ月以内に行うべき作業を実行計画に落とし込みます。

このとき、売り手側だけでなく買い手側での作業も含めた計算が必要です。検討領域は多岐にわたりますが、特に事業面と管理面の見直しを重視します。

事業面では管理費・販管費の見直しや、原材料費など原価の見直しを行います。管理面では主に各種規程や組織の見直し、人事・労務面の変更、経理・財務・庶務などの見直しが行われます。あわせて企業間でのコミュニケーションも推進されます。 

100日プランの策定

策定した方針や計画などを具体的な100日プランに落とし込みます。

100日プランとは売り手企業の中期事業計画のことで、通常はクロージングから100日間で策定されます。M&Aにおいては中長期的な経営効果が要求されるため、発生する中期的課題を100日プランの策定で整理することが大切です。M&Aをきっかけに自社グループの経営を見直す際には特に有効とされます。

PMIはランディングプランや100日プランに沿って実施されます。こうしたプロジェクトでは、PMIによる成果をマネジメントによってモニタリング・測定しなくてはなりません。アクションプランを細かく決めて進捗状況を管理しましょう。相乗効果の実現など具体的な目標だけでなく数値化できない目標に対しても、KPIを設定して達成状況の定期的なモニタリングをすることが重要です。 

PMIのおもな手法

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PMIはM&Aによる「経営統合」「業務統合」「意識統合」の円滑な進行を目的に行われます。時間的な成約があるなかで、統合に取り組む順番や統合の時期などを決める必要があります。

以下でPMIの主な手法についてご紹介します。 

経営体制や組織の統合

M&Aによる経営統合ののちに、企業組織の再編方法やその後の企業としてのあり方などについて検討します。また、意思決定のプロセスと伝達方法、意思決定機関のあり方や情報伝達の仕組みなどについても検討を行います。

買い手企業・売り手企業の双方が、可能な限り多くの従業員から賛同を得られる組織・体制を作り上げなくてはなりません。簡単ではありませんが重要な工程です。買い手企業と売り手企業双方の相乗効果を最大限に発揮して、経営統合前よりも高い利益を計上できるように努め、継続的な企業価値を向上させていきましょう。 

制度の統合

人事・法務・総務のような制度面での統合も必要です。報酬の制度・人事の評価制度・退職金制度などは、経営統合したあとから格差が生まれないように注意しましょう。基本的に、従業員のモチベーションと人件費の負担増を考慮したうえで検討します。

また、M&Aによって社内環境が変化するため、新しい環境にも柔軟に対応できる人材の育成を行えるような研修制度の構築も必要です。その他、企業内の経営状態を把握する管理会計の統合や外部に向けた財務会計の構築も求められます。 

事業の精査

事業統合時に得られる相乗効果の大きさを考慮して、注力すべき事業を選択・集中します。

また、新規部門の創設や得られたデータを元にした事業展開の立案、現行業務の計画や両社間の資材仕入先の分析などを実行します。

製品やサービスを扱ううえで、重複する部分の廃止やスケールメリットの追求なども重要です。事業の精査は相乗効果の獲得に直結するPMIといえます。 

取引先の精査

各企業が持っている取引先の精査も重要なPMIの手法です。「M&Aを行う企業が同業の場合、共通して購入しているものを一種類に統一する」のような見直しが該当します。 

業務システム・管理体制の統合

調達や販売に使うシステムの統合や、管理部門の統合についても検討しましょう。注意点として、ITに関連するシステムの統合には多くの費用が発生するだけでなく、業務への影響範囲も大きくなります。IT関連システムの導入時期は慎重に検討する必要があります。

業務への影響を考慮して、得られる効果と発生する費用を比較したうえで統合時期と範囲を決定しましょう。ITシステムの導入をできるだけ早めに行うことができれば、従業員の生産性を向上させられるため、企業としての利益につながります。 

業績評価制度の見直し・改善

計画したとおりに経営統合の効果が表れているか否かを測定・分析できる仕組みの整備もPMIの手法の一つです。マネジメントサイクルの導入やKPI(重要業績評価指標)の設定により定期的な観測を行って、PDCAサイクルを回していくことが求められます。

KPIの設定は職種や事業の内容などによって変化します。業務目標に適したKPIを設定し、マネジメントサイクルを適切に回していけばさらなる利益を生み出せるようになるでしょう。 

PMIを成功させるポイント

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PMIを成功させるには「M&Aによる相乗効果により組織が成長できるか」という点が最も重要です。組織の成長を実現するためには机上の議論だけにとどめてはいけません。統合する両社の状況を勘案して「成功させるにはどうしたら良いのか」という視点を常に持つことが大切です。

PMIを成功させるには、PMIの方向性を定めることも重要です。企業価値の増加を考えて「どの領域に対しての変革を重視するか」という方向性と実行するスピードを定めます。そのうえで、経営ビジョンや将来の構想を売り手・買い手双方の経営幹部や幹部職員同士が共有します。認識を共有した状態で十分なコミュニケーションを取ることが求められます。

また、適切なスピードでのPMI実行も重要です。実行スピードが速すぎると現場の従業員がついていけなくなり、仕事のモチベーション低下や現場オペレーションの混乱などが発生しえます。PMIの実行スピードは組織の能力や現状をしっかりと把握したうえで定める必要があります。

さらに、従業員がPMIを理解して納得することも重要なポイントです。従業員のPMI理解を深めるためには経営陣のスタンスが影響します。経営陣が摩擦や衝突を恐れないスタンスを見せて、成功させるための強い意識を従業員に伝えなくてはなりません。売り手側の同じファンクションの幹部と摩擦や衝突を恐れずに議論を続けることも大切です。議論のなかでコミュニケーションを深めていき、PMIの精度を上げることにつながります。

もし予想していないような課題に衝突したときは元の計画から柔軟に対応しましょう。課題に優先順位をつけながら進めていくことも成功のポイントです。 

バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ

多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
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まとめ

PMIはM&Aにおいて非常に重要な視点です。今回の記事では、PMIの重要性やメリット、実施のプロセス、おもな手法についてご紹介しました。

PMIの手法の部分でもお伝えしましたが、M&Aにおいてはシステムの統合も大きな課題となります。もし利用しているシステムがまったく違う場合には、ERPパッケージへの乗り換えも検討しましょう。

ERPとは基幹系情報システムのことを指します。ERPは企業経営の基本となる資源要素である「ヒト・モノ・カネ・情報」を適切に分配して有効活用するシステムです。現在では、特に情報を一元管理できる点が大きなメリットとみなされます。

ERPなら、企業内部に点在する情報を一ヶ所に集約することで、その情報を元に企業の置かれている状況を正確かつタイムリーに把握できます。現在の正確な状況は経営戦略に活かせる有力な情報です。また、ERPは情報の集約や現状把握以外の方法でも活用できます。ITを活用して業務を効率化したり、システムを連携させてスピード化を実現したりといったことも可能です。

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