本記事では、SAP2027年問題の概要と具体的な対応策を紹介します。今後も安定した基幹業務を維持したい方は、ぜひご一読ください。
SAP2027年問題とは
まずは、SAP2027年問題について簡単に解説します。SAP2027年問題とは、「SAP ERPシステムのサポートが、2027年に終了する問題」のことです。もともと2025年でしたが、期日が延長されて2027年になりました。これにより、2,000社にものぼるSAP導入企業に影響が出ると言われています。
サポート切れで問題となるのは、主に以下の3つです。
- デザインや機能のアップデートがなくなる
- 法規制の変更などに対応するパッチ提供もなくなる
- システム障害などで、業務が止まってしまう可能性がある
使い勝手だけでなく、法規制上の対応ができなくなるのは厳しいところです。さらに、システム障害が発生してしまった場合、サポート対応がありません。このような理由により、SAPを導入している企業は対策を迫られています。
では、どのように対策をすれば良いのでしょうか。次に、SAP2027年問題の対応策について解説します。
SAP2027年問題の対応策
SAP2027年問題の対応策は、大きく分けて3つあります。それぞれメリット・デメリットがあるので、1つずつ詳しく解説します。
1. 既存のSAP ERPを継続利用
最も手間がかからないのが、「SAP ERPシステムを継続して利用する方法」です。さきほどサポート切れによる影響をお伝えしましたが、SAP ERPシステムが急に利用できなくなったり、セキュリティリスクがいきなり高くなったりするわけではありません。
そのためすぐに移行せずに、既存のSAP ERPシステムを継続利用するのも1つの手です。ただし、障害が起こってシステムが使えなくなると、データが確認できなくなってしまう可能性はあります。
このとき、サポートがないため打つ手がなくなってしまいます。そのため、なるべく早めにサポートのある「SAP S/4 HANA」にアップデートするのがおすすめです。
2. SAP S/4 HANAへのバージョンアップ
より高性能なSAPを利用するなら、「SAP S/4 HANAへのバージョンアップ」がおすすめです。SAP S/4 HANAは、高速データベースを利用した最新のSAPシステムのことです。SAP ERPシステムのサービス終了後は、こちらが多く取り扱われるようになるでしょう。
SAP S/4 HANAの大きな特徴は、これまで問題となっていた「リアルタイム性の問題」を解決できることです。リアルタイム性の問題とは、IFRS(国際会計基準)や法改正の対応によりデータが肥大化した影響で、SAPシステムがリアルタイムに情報更新できなかった問題を指します。
SAP S/4 HANAには、高速データ処理機能が追加されているので、リアルタイムに明細データの分析が可能です。その結果、利益率などのシミュレーションがしやすくなり、経営判断に大いに役立ちます。
また、以下のような特徴もあります。
- SAPの最新ソリューションを利用可能
- 移行サービス「コンバージョン」を利用し、SAP ERPシステムを丸々移行できる
3. SAP ERPから他のERPへの切り替え
他のERPシステムへ切り替えるのも1つの手です。SAP以外にも、ERPシステムはたくさんあります。既にSAPを導入していると、他のERPシステムを調べるきっかけはあまりありません。しかし一度調べてみると、自社に最適なERPシステムが見つかる可能性もあります。
たとえば「クラウド型ERPシステム」であれば、自社にサーバーやネットワーク環境などを用意しなくても、簡単に導入できます。企業によっては、SAPよりも業務効率化や経費削減につながることもあるので、検討してはいかがでしょうか。
上記3つの方法で、もっとも多くの人が選択すると予想されるのが、SAP S/4HANAへの移行です。そこで次に、SAP S/4HANAに移行するメリットや課題について見ていきましょう。
そのままの移行はメリットが多い一方で課題も…
SAP S/4HANAへの移行は、以下のようにメリットが多いです。
- メリット1:最新のSAPソリューションを利用でき、サポート期間も長い
- メリット2:「コンバージョン」サービスを利用し、SAP ERPをそのまま移行できる
- メリット3:高速なデータベースを利用できるため、リアルタイム性を担保できる
一方で、以下のような課題もあります。
- 課題1:SAP S/4HANAの移行や運用に、より専門的な知識や経験が必要。SAP S/4HANAに詳しいSAP技術者が、新たに必要となる可能性がある。
- 課題2:SAP S/4HANAを基盤とした、システム設計・運用などが必要。業務に合わせて開発したアドオンが、SAP S/4HANAで利用できない可能性がある
これらを考慮した上でSAP S/4HANAの移行準備を進めるのは、時間がかかります。そこで代替案の1つとして、SAP以外のERPシステムへの移行があります。
SAPからの移行を検討している方におすすめのERP3選
SAPから移行ERPへの移行を考えている方に向けて、おすすめのERPシステムを3つ紹介します。それぞれの特徴や強みを見てみましょう。
GRANDIT
GRANDITは、さまざまな業種業態で利用可能な次世代ERPシステムです。具体的な特徴は、以下の5つです。
- AWSやAzureなどのクラウド環境にシステム構築が可能
- 段階的に機能を追加できる「カスタマイズ性」の高さ
- 従来のシステムとの連携も可能な柔軟性
- 1,200社以上の導入実績があり、パートナー企業は70社以上
- 年商1,000億円を超える大企業でも、導入実績多数あり
特に、従来のシステムと連携できるカスタマイズ性が魅力です。段階的にGRANDITに移行できるため、移行にかかる工数や費用を抑えられます。
さらに、コーディングをせずに画面や帳票の開発が可能な「コーディングレス開発ツール for GRANDIT」を利用すれば、カスタマイズ、アドオン開発に関わる工数を大幅に削減することもできます。
また、実際のGRANDIT画面を操作しながら、一般的な業務プロセスを確認頂き、GRANDITの操作性や特長などを体感できる「ハンズオンセミナー」も月1で開催しております。一度参加してみてはいかがでしょうか。
GRANDITのお問い合わせは「こちら」
Microsoft Dynamics 365
Microsoft Dynamics 365(マイクロソフト ダイナミクス 365)とは、Microsoft社が開発したERPシステムです。具体的な特徴は、以下の4つです。
- 導入実績が85,000社以上のERPシステム
- Excel、WordなどのOfficeシステムと簡単に連携できる
- 業務に必要な情報を、AIがリアルタイムで提供してくれる
- コカコーラ、テスラ、ユニセフなど、世界的に有名な企業の導入実績がある
Officeと連携しやすいため、レポートなどが容易に作れます。また、海外を含めた導入実績が多いのも魅力の1つです。
ジョブマネ
ジョブマネは、中小・ベンチャー企業向けのERPシステムです。具体的な特徴は、以下の3つです。
- プロジェクトごとに、スケジュール・工数・売上などを一元管理できる
- クラウド型のERPシステムで、導入しやすい
- 以下の条件であれば、無料で利用可能
- 利用人数:10人まで
- データ容量:1GBまで
- 顧客数:10社まで
- 見積書作成数:10件まで
20人を超えた場合は要相談となりますが、20人までなら月額5万円で導入できます。中小・ベンチャーなどの企業規模であれば、導入のメリットが多いのでおすすめです。
まとめ
SAP2027年問題により、企業はSAPシステムの更新を迫られています。これを機に業務効率化・経費削減などを考えるのも1つの手です。システム更新やリプレイスにお悩みの方はぜひお気軽にシステムインテグレータまでご相談ください。安定した基幹業務の維持実現のためのお手伝いをさせていただきます。