経営統合とは?合併との違い、メリット・デメリットを詳しく解説

 2022.07.08  株式会社システムインテグレータ

「経営統合」という言葉をご存じでしょうか。更なる経営の合理化や規模の拡大、成長を目指すとき事業再編を検討しなければならないケースがあります。
その際、事業統合や合併、その他にも資本提携や業務提携などといった言葉が飛び交うことがありますが、一体これらの言葉は何を意味しているのでしょうか。

本記事では経営統合をテーマに、合併との違いやメリット・デメリットを詳しく解説します。 

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経営統合とは

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経営統合とは、2社以上の企業が共同で完全親会社を新設し、完全子会社として完全親会社の傘下に入ることです。それぞれの会社が保有する株式を全て完全親会社に移転させる「株式移転」というスキームによって成り立ちます。新設された完全親会社は株式を保有することを目的とする持株会社で、しばしばホールディングスを名乗ります。

また、経営統合自体もホールディングス化と呼ばれます。持株会社はこうして経営統合前の企業の株式を全て保有し、両社の事業活動を統制するのです。

株式移転では経営統合をする企業は互いに対等の立場であることが多いですが、対等ではない経営統合もあり得ます。経営統合する当事者の企業のうち、一方の経営状態が悪化していて、他方による救済を求めるための経営統合などのような場合が該当します。そうした場合、経営状態が悪化している企業のイメージを低下させずに会社や事業を救済するため、対等な経営統合の体裁をとることがあります。 

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経営統合と合併の違い

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経営統合と合併は、会社の数が減るのか増えるかの違いです。経営統合では統合前の企業はそれぞれ存続し、さらに持株会社が新設されるので会社は増えます。それに対し、合併の場合、吸収合併と新設合併の2つのパターンがありますが、どちらにしても会社は減ります。

新設合併では新設会社が合併する法人の全ての権利事業を継承し、合併の当事者である全ての法人は解散します。吸収合併の場合、存続する法人に吸収される法人の権利業務は吸収されます。当事者の各企業が残るのが経営統合で、なくなるのが合併です。

新設合併は、事業に許認可が必要な場合、新設会社が取得し直す必要が生じるため、合併では吸収合併を採用する場合が中心です。 

経営統合と資本提携、業務提携の違い

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複数企業間で経営資源の強化やシナジー効果の獲得を目指して行われる手段として、他に資本提携や業務提携といったものもあります。これらは各企業が独立性を保ったまま行われる点は経営統合と同じですが、経営統合より企業間の結びつきは弱いといえます。 

経営統合と資本提携の違い

資本提携は資本参加を伴う提携で、相手の経営権を左右しない範囲で行います。具体的な方法としては、提携を行う会社同士で相手の株式の一部を取得したり、新規に発行する株式を特定の第三者(この場合、資本提携の相手方)に割り当てる第三者割当増資を行ったりします。

新会社を設立する経営統合と比べてコストが低いのが特徴で、例えば株式を同額ずつ持ち合う場合などは、差し引きでコストはゼロです。

また、お互いに安定株主を手に入れられるという点もメリットに挙げられます。 

経営統合と業務提携の違い

業務提携は、資本の移動を伴わずに企業間で共同で事業をおこなうものです。通常、別会社であれば利害が対立したり競合したりするものですが、資金・技術・ノウハウ・人材といったリソースを出し合うことにより、シナジー効果を得て、単独で事業を行うより業績を拡大することを目指します。 

提携が行われる主たる分野としては生産・技術・販売の三つがあります。

生産提携では、生産工程や製造工程の一部を委託し、生産能力を強化することを目指します。製造委託契約の形式で提携を行うのが一般的で、生産提携には生産・製造する製品の品質管理・検収方法が重要な問題になります。提携相手の生産・製造設備であっても自社ブランドで販売する以上、欠陥品ができた際の対応ができなければ困るからです。

こうした生産提携のひとつとしてOEMがあります。このスキームでは、生産・製造を依頼する企業の製品をOEM先メーカーに委託して生産・製造する、あるいは、OEMメーカーの開発した製品を他社ブランドで販売するといったかたちをとります。 

技術提携では、他社が持っている技術資源を自社の技術開発や製造、販売などに活用します。技術提携にはライセンス契約と共同研究開発契約という2つの形式があります。

ライセンス契約は自社の持つ技術を一定の範囲で他社が自由に使うことを許諾する契約です。共同研究開発契約は、特定の技術や製品の開発を提携する複数社で分担・協力して取り組むものです。 

販売提携では、販売に関連する要素の強化・拡充を目的とした業務提携です。他社が有しているブランド力や販売チャネル、販売に必要な人材などの販売資源を活用します。 

経営統合のメリット

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続いて、経営統合には具体的にどのようなメリットがあるかについて、主な5点を解説します。 

業務システムや制度の統合が必要ない

経営統合では統合を行うそれぞれの企業は存続します。そのため、それぞれの完全子会社は今まで通りの自社の人事・評価制度と業務システムで事業を運営すれば問題ありません。

しかし、合併の場合は、異なる人事・評価制度と業務システムを持った会社同士が一つの会社になる以上、制度とシステムの統合が直ちに問題になります。

また、合併にはコストや統合にともなう従業員間の心理的な抵抗感が、従業員間の摩擦や意欲の低下を招くといったリスクがあります。

一方、経営統合の場合はそれぞれの法人格も維持されるため心理的な抵抗は受けにくいことから、合併の場合のようなリスクは原則的にありません。 

共倒れリスクの回避

合併では1社だけが存続するので、その1社が損失を出せば当然その会社全体に打撃となります。

しかし、経営統合では、持株会社傘下の各完全子会社はあくまで個々に独立しているので、傘下のいずれかの1社が事業で大きな損失を出しても、他の事業会社の事業は基本的に影響を受けません。このように、リスク分散が図れるのは大きなメリットと言えるでしょう。 

コーポレートガバナンスの向上

コーポレートガバナンスとは、ステークホルダーが企業の運営を監視し統制する仕組みをいいます。経営統合すると各事業会社の株式100%を持株会社が保有します。それによって、各事業会社はそれぞれの事業の実務に専念し、持株会社がグループ全体を見渡した事業のかじ取りをすることができるようになるのです。 

企業の体質改善

経営統合により、各事業会社はそれぞれの事業の実務的な管理に役割が集約される一方、株式を保有する持株会社がグループ全体の経営を担うことで、経営と業務管理が分離します。この分離により、持株会社の意思決定が迅速化したり、グループ全体最適を意識した戦略的意思決定に集中できたりといった効果を生み、経営資源の効率的な利用と意思決定の迅速化が進むようになります。 

人材育成につながる

経営統合がなされると、統合前の各会社はホールディングス傘下の子会社となり、その中には事業形態が近い会社が複数生まれることもあります。そうした場合にグループ内での競争がおこる場合がありますが、健全な競争であればそれがグループ全体としての事業やサービスの質の向上につながり、その中から、優秀な人材が生まれてくる可能性があります。

経営統合のデメリット

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経営統合ももちろん良いことづくめではありません。デメリットについても見ていきましょう。 

子会社同士の連携が難しい

経営統合ではグループ内の各子会社は独立した法人格を維持したままです。そのため、なかには重複したり、競合したりする事業分野をもつ会社が複数生まれることもあり得ます。そのため、子会社間で軋轢が生まれるなど、コミュニケーション不足からグループ全体として最適ではない事業運営が生じることもあり得ます。 

かんたんにはシナジー効果は生まれない

同じグループ傘下に入ったとはいえ、各子会社はあくまで別法人格を維持したままです。そのため意識的に取り組まない限り、組織間のシナジー効果は生まれにくいでしょう。 

コスト削減が難しい

グループ内の各子会社が独立したままなので、各企業間に部門や機能の重複が生まれます。

合併であれば、特に間接部門の統合によって全体としてのコスト削減を見込めますが、経営統合では、場合によっては間接部門が肥大化するなどのように、グループ全体としては組織がスリム化せず、コスト面でのメリットが得られないこともあります。 

合併のメリット・デメリット

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経営統合に対比して合併にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。 

合併のメリット

合併では複数の企業が一つの企業になります。そのため、業務提携と同じように生産・技術・販売のリソースが持ち寄られて、シナジー効果を生むことがあります。

また、仕入れの共通化によるコストの低減・拠点の統廃合・間接部門の縮小といったコスト削減の効果も見込めるでしょう。

合併後の存続企業、ないし新企業は1つの会社として考えれば、事業規模は単純に拡大します。また、合併する両社の販路や顧客層が持ち寄られることによる売上の拡大も見込めるかもしれません。 

合併のデメリット

合併では複数の企業が一つになります。そのため、合併後の経営を一つにまとめていく作業が必要になり、その負荷が本来の事業運営の足を引っ張る懸念があります。また、経営層だけでなく社員層においても、吸収合併の場合は特に、吸収されて消滅する方の企業の元従業員たちのモチベーションの低下や反感を生むこともあるでしょう。さらに、一つの企業としての一体感や企業文化の醸成に失敗すると、旧会社ごとに派閥化して社内の協調が損なわれたり、事業運営の足かせになったりします。

その他にも、顧客や取引先にも反感を抱かれる可能性もあります。こうした反感を放置すると顧客離れを生み、従業員のモチベーションの低下や重要人物の離職、サービスの低下などにつながり、事業上のマイナスとなります。消費者との接点で運用しているシステムの統合を行う場合は特に、システム障害が消費者サービスの悪化に直結するため、合併は大きなリスクを孕んでしまうでしょう。 

経営統合や合併で重要となるPMIとは

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経営統合、あるいは合併を行う際に、よく「PMI」の概念が話題に上がります。PMIとは「Post Merger Integration」の略称で、経営統合や合併後の統合プロセスを指すものです。

経営統合や合併を行った場合、もともと異なる企業が同一のグループ傘下に入ったり一つの会社になったりするわけですから、グループとして統一された経営方針の確立・企業文化の融合・取引先の共有・コスト削減といった課題に対応しなければなりません。合併や経営統合には何らかのシナジー効果が想定されているものですが、その成否はPMIの成否にかかっているといって過言ではありません。

PMIでは主に以下のような計画をたて、実施します。

  • どのような手順、どの程度のスピード感で統合を進めていくか。
  • 組織の規定や人事労務面など、統合によって発生する制度やシステムなどの変更。
  • M&Aの効果をはかるための中長期事業計画の策定。

事前にこのようなPMIをしっかりと計画することで、M&Aによる効果を最大限まで引き出すことができます。

PMIが経営統合や合併後の企業にとってどのような意味があるのか、詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。

PMIとは?重要な理由と実施プロセス、おもな手法を解説

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まとめ

合併や経営統合は経営資源の強化やシナジー効果の獲得を目指して行われる手法ですが、合併や経営統合後のPMIの成否が、合併や経営統合の成果が上がるか否かを左右するといって差し支えありません。

経営統合では統合前の会社がそれぞれ存続するため、シナジー効果が生まれづらいことはよく指摘されるところです。それだけに、PMIにおいて統合の効果を実現するために、何をどの様な手順・方法で統合するのか十分に検討し、実行する必要があります。

その過程で生じる企業の経営資源の再配置や組織変更を管理するためには、柔軟な改修に対応できるERPが力となるでしょう。 

当社が提供するWeb-ERP「GRANDIT」は、単に基幹業務にだけ対応するのではなく、複数企業による共同利用を支援するマルチカンパニー機能や、組織変更の管理機能、内部統制対応、経営分析などの幅広い機能に対応し、柔軟に機能を追加できます。そのため、システムの柔軟な拡張により、経営統合や合併の実施に伴う経営課題に対応することも可能です。

また、ノーコード/ローコード開発ツールである「コーディングレス開発ツール for GRANDIT」により、エンドユーザーでも簡単に追加機能を開発することができます。既存機能やモジュールでは手が届かないニーズにも、自在に寄り添って迅速に満たすことができるでしょう。

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