WIPボードとは?メリット・デメリットや作り方を解説

 2023.07.12  株式会社システムインテグレータ

各従業員のマネジメントやサポートを的確に行うためには、効果的なタスク管理の実施が必要です。本記事では、タスク管理を助けるITツール「WIPボード(カンバンボード)」について詳しく解説します。WIPボードの概要をはじめ、メリットとデメリット、効果的な運用方法まで分かりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

 

WIPボード(カンバンボード)とは

WIPボード(Work In Progress ボード)は、カンバンボードとも呼ばれ、タスク管理に活用されるITツールのひとつです。もともとはトヨタが工場で作業の進捗状況などを「かんばん」と称した生産指示標に書いてチームで共有していたことに由来していますが、現在ではITツールに姿を変えて活用されるようになりました。

WIPボード上で可視化されたボード上で、「未着手(To-Do)」「作業中(Doing)」「完了(Done)」などのカテゴリーごとに作業項目を整理し、作業の進捗にあわせて情報を更新できます。このような一連のプロセスによって各作業項目が一目で確認でき、現在どの作業が未着手/進行中/完了済みであるのかという進捗状況も把握することが可能です。

WIPボードのメリット

では、実際にWIPボードを使用するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

自分の作業を可視化できる

まず、自分の作業の進行状況を一目で把握できる点が大きなメリットです。これにより、それぞれのタスクの種類や進捗状況が明確になり、作業に漏れが生じるリスクを減らせます。また、重複した作業を統合したり省いたりすることも容易に行えるため、無駄な作業を減らすことにつながります。このように、作業者自身が現在どの作業を行えば良いのか、手持ちの作業をいつまでに完了すれば良いのか、といったことを即座に把握できるため、計画的かつ効率的に仕事をこなしやすくなります。

だれにどんなタスクが割り振られているか分かる

次に、チーム全体の作業状況の把握が容易になる点が挙げられます。プロジェクトごとに誰に何を振っているかを明示的に把握できるため、全体の作業バランスを可視化できます。これによってプロジェクトを立ててチームで動く時でも、各自の作業内容をしっかりと把握して仕事の割り振りをすることが可能です。また、誰に仕事が集中しているか、誰の仕事が遅れているか、といったことも認識しやすくなるため、サポートもしやすくなります。

計画性のある業務ができる

WIPボードを活用することで、作業に綿密な計画性を持たせやすくなることもメリットのひとつです。策定した全体スケジュールをWIPボード上に反映し、それに基づいてタスクを割り当てることで、業務が効率化できます。
作業の進捗状況をリアルタイムに可視化できる特長により、作業に予定外の遅れなどが出た場合でも即座にその状況を察知し、早期にヘルプや計画の修正といった対処を行えます。また、計画性のある作業ではWIPボードとPDCAを組み合わせることで、ミスや反省点などを次の改善へとつなげやすくするサイクルを作れることも利点です。

WIPボードのデメリット

他方で、WIPボードがもたらす効果は限定的なものであり、いくつかの欠点があることも否定できません。以下では、WIPボードのデメリットについて解説します。

タスクの重要度がわからない

WIPボードは全体の進捗状況などを可視化する用途には適していますが、各タスクの重要性や内容などを詳細に把握することには向いていません。例えば「重要だけど急ぎではないタスク」と「重要かつ急ぎのタスク」などを厳密に区別することが難しくなります。そのため、WIPボードの運用に依存しすぎることで優先順位の高いタスクが見過ごされてしまうような事態が生じるかもしれません。

重要度に応じてタスクを色分けするなどの工夫も考えられますが、あまり細かい運用ルールを定めると現場の負担が増したり、運用上の混乱を招いたりする恐れがあるため注意が必要です。そのため、限界があることを理解した上で複数のツールと併用しながら利用することが重要です。

長期的なスケジュールの管理に向かない

WIPボードは一般的に短期間で達成可能なタスクの進捗を管理するために使用されるものです。したがって、長期的なスケジュール管理に使用しようとすると、タスクが多くなりすぎてボード全体が見づらくなる可能性があります。

また、期間の長いタスクはずっと「作業中」のカテゴリーに留まったままになり、実際にどこまで進んでいるのかが不明瞭になりがちです。そのため、長期的なプロジェクトを管理するには、他のプロジェクト管理ツールなどと使い分ける必要があります。

現場に負担がかかる

WIPボードを運用するには、現場の協力が欠かせません。WIPボードを効果的に運用するには、それぞれの担当者が作業状況に変化が出たらすぐにツールへ反映するなどして、情報を常に最新の状態に保つ必要があります。このように、タスクの追加・移動・削除などを日々の業務の中でこなすことは地味に手間がかかるため、ストレスのもとになりがちです。

作業そのものに集中したい人や自分のペースで自由に作業したい人、コミュニケーションが苦手な人などからすれば、タスク管理を個人ではなくチーム単位で行おうとすること自体が苦痛に感じるかもしれません。そうした人にとっては、たとえ善意であったとしても、周囲が自身の進捗状況を定期的にチェックし、時には手を出そうとしてくることは、ありがた迷惑と捉えられてしまいます。

WIPボードの作り方を3ステップで解説

ここからは、新規にWIPボードを作成する方法を3つのステップに分けて解説します。

ステップ1:ステージを作成する

初めに、WIPボードを構成するステージを作成します。ステージとは、「未着手(To Do)」「作業中(Doing)」「完了(Done)」など、作業を進捗状況ごとに分類するためのステータスを意味します。上記の3ステージ以外にも、チームやプロジェクトなどに応じて「テスト」「確認」などのステージが必要になるかもしれません。これらのステージを設定することで、タスクの進行状況を一目で把握することが可能になります。

ステップ2:タスクを作成する

次にボード上で管理する各作業項目(タスク)を作成します。タスクは可能な限り最小単位に分割することがコツです。これにより、各従業員が何の作業をしているのかがすぐに把握できるようになります。

各作業項目を同じ程度の粒度でそろえるためには、統一的なルール作りをすることが効果的です。また、先述のようにWIPボードでは各作業項目に詳しい内容などを反映することは難しいですが、色や大きさなどの視覚的効果で表現するといった工夫が可能です。

ステップ3:タスクをステージ間で移動させる

最後に、進捗状況にあわせて各タスクを対応するステージに配置・移動させてWIPボードの運用を開始します。この際、作業中のタスクが多くなりすぎないように注意が必要です。

あまり多くのタスクが作業中に集中していると、作業が停滞しがちになり、待ち時間などのボトルネックが生じやすくなります。そのため、一度に「進行中」のステージにおけるタスクは3つまでに制限するなど、上限を設けるといったルールを整備することをおすすめします。

まとめ

WIPボードは、タスクの進捗状況を可視化するツールです。その効果を最大限に引き出すためには、WIPボードの特性を理解し、適切に運用することが求められます。

プロジェクト管理手法についてまとめた資料もご用意していますので、こちらもぜひご活用ください。


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