次世代ERPは従来のERPとどう違う?特徴や導入のメリット・デメリットを解説

 2022.10.24  株式会社システムインテグレータ

会社経営にはさまざまな業務が必要になり、各業務のためには従業員や資金などの資源が必要となります。各資源を一元的に管理して効率的な業務進行をおこなうために「ERP」というツールが活用されていますが、現在は新しい形のERPが広まりつつあります。従来とは別種のERPである「次世代ERP」を導入・活用することで、変化を続けるビジネス環境に適応できるでしょう。

この記事では、次世代ERPに関する基礎知識や従来型ERPと異なる点、メリット・デメリットや移行時のポイントを解説します。 

ERPのキホン~ERPの基礎からDXへの活用まで徹底解説~

次世代ERPとは

次世代ERPは従来のERPとどう違う?特徴や導入のメリット・デメリットを解説 1

ERPとは「企業資源計画」と訳される考え方やシステムのことで、企業経営に欠かせないヒト・モノ・カネ・情報を一元的に管理するものです。資源ごとにバラバラのシステムを使うよりも効率的に管理できるため、多くの会社で導入・運用されてきました。

このような従来のERPが基幹となる業務の統合管理を進めてきたのに対し、次世代ERPとは全業務を統合するのではなく、シンプルな構造のシステムを複数運用するという方式をとっています。

特に、次世代ERPの中でも有力な例としては「ポストモダンERP」が挙げられます。 

基本的なEPRの考え方についてはこちらのブログで詳しく解説しています。
ERPとは?意味や導入のメリット、基幹システムとの違いも解説 

ポストモダンERPとは

ポストモダンERPとは、ガートナー社が提唱した次世代ERPのあり方を表す言葉です。これは、単独のERPで広範囲の業務を管理せずに、分野ごとで適したシステムを導入・疎結合させることを目的としています。

ITの進歩によりビジネスの環境が急変する中で、従来と異なる新しいERPを活用できれば環境変化に適応しやすくなるでしょう。特に「DX」と呼ばれるビジネスのデジタル化への追随は重要で、各会社は新たな産業革命にもつながるとされるDXの推進を求められています。また、「2025年の崖」を乗り切るためにもDX化が必要とされており、DX化を推し進めるためにはポストモダンERPの導入が欠かせません。 

こちらの記事では、ポストモダンERPについて詳しく解説しています。併せてご覧ください。
「ポストモダンERP」とは?従来型ERPの課題や進化の必要性

失敗から学ぶERP導入プロジェクトの進め方
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従来のERPと次世代ERPの違い

次世代ERPは従来のERPとどう違う?特徴や導入のメリット・デメリットを解説 2

次世代ERPは、従来型ERPと比べて大きく異なる特徴を持っています。

1つのシステムに多数の業務で必要な機能をすべて搭載する従来型ERPに対して、次世代ERPは業務ごとに適したシステムを採用し、各種アプリケーションを連携させて利用します。会計業務や人事給与関連業務といった企業のコア業務と、業界特有の業務等を別システムで管理し、相互に機能を補う仕組みなのです。 

では、従来型ERP・次世代ERP双方の具体的な特徴について解説します。 

従来型ERPが持つ特徴と課題点

従来型のERPの特徴として、1つのシステムで基幹業務の実行に必要な機能をすべて備えていることが挙げられます。製造・物流・会計・人事など、あらゆる分野で求められる業務を1つのシステムでこなせるのです。また、同じシステムにすべてのデータが入っているため、各データを容易に連携させられる点もメリットといえるでしょう。

一方で従来型のERPには課題点もあります。すべての業務を1つのシステムに集約するため、システムの肥大化にともない、導入や移行のハードルが高くなったりシステムの更新に多くの負担が生じたりと、徐々にERPの運用コストが高くなっていくことが考えられます。新しいサービスへの乗り換えがしづらくなり、利用しているERPが時代遅れになるケースもあるでしょう。時代遅れのERPを使っていると他社よりも効率的な業務進行が難しくなるため、ビジネス上の不利にもつながりかねません。 

次世代ERPならではの特徴

次世代ERPと従来型ERPの大きな違いは、1つのERPで管理する業務の範囲です。次世代ERPは、従来型のERPよりもシンプルで少ない範囲の業務を管理して、必要に応じて不足する機能をほかのアプリケーションと連携して補います。これによりERPのシステム自体は小規模で身軽になるため、更新や整備などを容易におこなえるのです。導入・運用時のコストも抑えられます。

加えて次世代ERPは、クラウドサービスを含め、他サービスとの連携を前提にしているためシステム全体の設計を柔軟にコントロールできます。各システムが独立しているため、一部のシステムだけを別のシステムに刷新するなどがやりやすくなり、新しいサービスの導入もスムーズに実施できるでしょう。

つまり、ビジネス環境の変化に合わせて新サービスを積極的に導入することが可能になり、会社として効率的な業務進行をおこないやすくなるのです。 

次世代ERPを導入するメリット・デメリット

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次世代ERPを導入する際には、主に2つのメリットと1つのデメリットが発生します。導入・運用できれば非常に大きな力になってくれますが、うまく活用するためにはある程度のスキルや知識が求められるでしょう。そのため、自社の状況とメリット・デメリットを見比べて、次世代ERPを活用できる環境が整備されているかどうかの判断が重要です。ここでは、次世代ERPに関するメリット・デメリットについて解説します。 

次世代ERPのメリット

次世代ERPには主に2つのメリットがあります。これらのメリットを活かすことで、会社として事業の効率化や低コスト化に取り組みやすくなるでしょう。次世代ERPの主なメリットは以下の通りです。 

低コストで運用できる

重厚長大な従来型ERPと比較すると、システムの運用を手軽に行えます。また、導入・整備・更新などに高いコストがかからないためコストの削減はもちろん、ERP運用以外の分野に多くのリソースを割けるようになります。会社としての成長につながる攻めの分野へと注力することで、より早く会社を成長させられるでしょう。 

ビジネス環境を変化させやすい

次世代ERPでは、自社がビジネスをおこなう環境を積極的に変化させられます。ほかのシステムを積極的に導入・連携させていく関係上、最新のサービスなどを導入して新しく効率的な環境を容易に整備できるのです。 

次世代ERPのデメリット

次世代ERPにはデメリットも存在します。大きなデメリットとして、導入時に次世代ERPや各種システムへの理解度やスキルなどを求められる点が挙げられます。

次世代ERPは1つのシステムを導入するのではなく、複数のシステムを導入・連携させる仕組みです。そのため、必要となる機能を踏まえて導入すべきシステムを選択していく必要があります。具体的には、標準化していかなくてはならない中核業務と、それだけでは不足している業務や、業界や業種に特化した業務との切り分けを行います。切り分けがうまくできないと逆にシステムを複雑化させる恐れもあるため、客観的な視点からERPの構成を決められるだけのIT戦略スキルが必要なのです。中長期的な視点で戦略を立てられるように努めましょう。 

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次世代ERPへ移行する際のポイント

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社内のERPを一新して次世代ERPに移行する際は、あらかじめ意識しておくべきポイントがあります。移行する手法や最適なERPの構成などを考えて、最大効率で運用できるよう工夫しましょう。また、ERPの移行と同時に業務改善も行えればより効果的です。ここでは、次世代ERPへの移行時に意識すべきポイントを4つ紹介します。 

2つの移行手法

次世代ERPを含めて、ERPを一新するためには「再構築」「コンバージョン」という方法があります。再構築はシステムを1から組みなおす方法、一方コンバージョンは1から作らず機械的に単純移行する方法で、バージョンアップに近い感覚です。

再構築する場合システムを完全に新しく組みなおすため、DX推進など新体制の構築はおこないやすくなります。しかし、金銭的・時間的に大きなコストがかかり失敗時のリスクも大きくなるので注意が必要です。

コンバージョンは、比較的コストを抑えつつERPを移行できます。デメリットとして、以前のERPが部分的に残るため、従来のデータ構造や不要なデータなども継承されます。これらが足かせになってしまうと次世代ERPの機能を十分に生かせなくなるかもしれません。

なお、再構築・コンバージョンを選ぶ際には、現行ERPの状態をもとに考えましょう。コンパクトな作りで最大限に効果を発揮できていればコンバージョンが有効です。一方、システムが複雑化・肥大化しているならば再構築したほうがすっきりさせられます。 

既存環境の問題点を整理する

次世代ERPを導入する場合は、既存環境の問題点を整理しましょう。具体的には、自社が業務上・経営上で抱えている問題を洗い出した上で、それらの問題が解決された理想的な状態を考えます。理想的なERPの姿がはっきり見えれば、ERPに求めるべき機能もわかりやすくなります。

またERPにおいては、必要な機能の選定も重要です。自社で必要な業務を整理して、標準化しやすい中核業務と柔軟性が求められる業務に切り分けます。なお、中核業務には会計・人事給与などが含まれており、柔軟性が必要な業務は成長分野や業界特有の機能などが該当します。

加えてシステムの分離によって、発生しうるデータ連携のタイムラグにも注意しましょう。ERP導入後に「タイムラグで満足に業務進行ができなくなった」という事態を起こさないためにも、事前の確認が必要です。 

最適な構成を検討する

自社が抱えている問題点を整理したら、次世代ERPをより効率良く機能させられるような構成を考えます。会社全体をより効果的に管理するために、社内にある各企業資源の状態を可視化しましょう。資源状態の可視化は経営層からの視点が不可欠です。

また、IT分野からの視点も活用しましょう。次世代ERPの構成を検討する際には、現在主流になりつつあるクラウドサービスの利用検討も必要です。従来のERPはオンプレミス型が主流でしたが、現在はコスト面や柔軟性に優れた多くのクラウドERPソリューションも展開されています。一方で、業務によってはオンプレミス型と組み合わせた方が良い場面もあるため、適材適所を心がけてクラウドサービスを活用しましょう。

なお、会社の構造によっては「2層ERP」を利用する選択肢もあります。中核を担うコアERPとサブのERPを組み合わせて運用する形態で、本社のコアERPと支社のサブERPをクラウド連携させます。自社のグループ全体で経営データの収集・連携を容易におこなえるため、世界規模で展開している会社でも効率良く管理可能です。また、2層ERPは海外だけでなく国内のみの展開でも役立ちます。将来的な環境変化に備えるためにも、複数のオフィスを構える会社は積極的に2層ERPの導入を検討してみてください。 

移行時に並行して業務改善を進める

次世代ERPに移行する場合、移行作業と同時に業務改善にも取り組みましょう。ERPの大きな目的は業務改善・効率化にあるため、ERPが関与しない部分の改善もおこなえればさらにERPの効果を大きくできます。DX推進の一助にもなりますので、ERPの一新と合わせて社内の大幅な改革も検討しましょう。

業務改善には「QCD」という考え方が重要です。「Quality(品質)」「Cost(予算)」「Delivery(納期)」の頭文字をまとめた言葉で、会社の生産活動で考えるべき3要素を総称しています。顧客が求めるQCDを満たせれば顧客満足度や商品の価値を高められて、ビジネスを成功させやすくなるでしょう。ERPの移行と合わせてQCDの向上を目的に行動して、会社全体の大規模な改善が大切です。 

まとめ

この記事では、次世代ERPについての概要や従来型ERPとの違い、メリット・デメリットや移行時のポイントなどを解説しました。会社経営を長期的に健全化させるためには業務の効率化や最新ビジネス手法の導入などが欠かせず、そのために次世代ERPの導入が重要です。ERPを導入・効率的に運用して、より良いビジネスにつなげましょう。

会社を取り巻くビジネスの環境は世界規模で変化し続けており、都度変化に対応していかないと時代遅れになりかねません。しかし、次世代ERPを活用できればビジネス環境や業務内容の変化に柔軟な対応を取りやすくなり、最先端のビジネスを展開し続けられるでしょう。

ERPの基本について解説した資料もご用意しておりますので、ERPの基本をおさらいしたい方はぜひご覧ください。

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