生産管理とERPの関係から紐解く、個別受注生産にとっての成功とは

 2021.01.04  株式会社システムインテグレータ

個別受注生産の現場で生産管理が成功する場合と失敗する場合の違いはなんでしょうか?それは「生産管理ソフトとERPとの強固な連携」を行っているかどうかです。

本ブログでは、まず個別受注生産と見込生産の違いをあらためて振り返り、個別受注生産で発生する業務課題と生産管理ソフトによるソリューション例および問題点について解説し、最後に弊社がお勧めする生産管理ソリューションについてご紹介します。

個別受注生産と見込生産の違い

MTOとは、Make to Orderの略称で日本語では「個別受注生産」を意味します。身近な例としてはオーダーメイドスーツが挙げられます。消費者ごとに要望が異なるため、使用する材料(生地の色や種類)や作業の工程(内ポケット、ステッチ取り付けの有無)などが毎回異なることが大きな特徴です。メーカー側のメリットとしては、細かい要望を実現でき顧客満足度を高められます。デメリットとしては、個別の製品となるため既製品よりも価格が高く、納期が長くなることが挙げられます。

一方MTSとは、Make to Stockの略称で日本語では「見込生産」を意味します。身近な例としては既製品スーツが挙げられます。ある程度一般化された要望を元に製品の仕様・規格を決定し製造するのが特徴です。メーカー側のメリットとしては、低価格での販売と短納期での提供が挙げられます。デメリットとしては、細かい要望を実現できない、不良在庫のリスクを抱える点が挙げられます。

このように、個別受注生産と見込生産は消費者側のメリット、デメリットがそれぞれトレードオフの関係となっています。

以下の表は、個別受注生産と見込生産の違いを表しています。

 

個別受注生産 

見込生産 

英語表記 

Make to Order 

Make to Stock 

日本語表記 

個別受注生産 

見込生産 

例 

オーダーメイドスーツ  

既製品スーツ  

メーカーメリット 

顧客要望に細かく対応可 

在庫リスクが少ない 

低価格 

短納期 

メーカーデメリット 

高価格 

長納期 

在庫リスクがある 

消費者メリット 

要望を全て反映 

低価格 

短納期 

消費者デメリット 

高価格 

長納期 

要望が全て反映されてはいない 


個別受注生産で発生する業務課題

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個別受注生産を行う現場で発生し得る課題を、ロケット開発を例にしてご説明します。

受注ごとに工程が違うため、生産計画作成が難しい

ロケットの目的地によって、必要なブースターの数やロボットの種類は異なります。

  • ロケットA:月を目指すためブースターを3つと調査ロボットを2つ結合
  • ロケットB:火星を目指すためブースターを5つと掘削ロボットを3つ結合

このように目的地(プロジェクト)ごとに「何を」「どのような形で」「素材はどれにするか」「どうやって作るのか(工程)」が違います。受注ごとに工程が違うため、いつまでに何個ロケットを作成し、どれだけの人や材料が必要かを受注前に計画することは困難です。受注時に必要な資源や費用がいくらで納期はいつなのかを素早く判断する必要があります。

仕様変更が多く、他製品の製造に影響が出る。

月行きロケットを製造中にブースターの個数が2個から5個に変更となった場合、同じ工場で製造する予定だった火星行きロケットのブースター製造が遅れてしまいます。個別受注生産では仕様変更が多く、都度他製品への影響を確認する必要があります。

使用設備、部品、期間の変動が多いため、費用がわからない。

仕様変更が発生する度に、材料費や人件費が必要となります。材料を変更するといくら費用が発生するのか、人件費はどう変化するのか、予算に収まるのか。このような情報を瞬時に判断する必要があります。

生産管理ソフト導入による解決例

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個別受注生産で発生する課題を解決し、生産管理の効率化を実現できるツールが「生産管理ソフト」です。世の中には様々な生産管理ソフトが発売されていますが、主に下記3つの機能で課題解決に導きます。

製造番号管理

製造番号は1製品に対して1つの番号を設定し、受注→設計→製造→出荷→売上などの処理を行う時に使用します。

例えば、月行きのロケットを受注した場合に「MOONDRIVE01」という製造番号をこの受注に名付けたとします。

この後、「MOONDRIVE01」にドリル機能が追加されても、行き先が土星に変更されても「MOONDRIVE01」という製造番号で管理されます。製造番号のおかげで、仕様変更で新しく追加された材料費や人件費もすべて製造場号をキーにして計算することが可能です。

このように、受注から売上まですべての処理を管理するために製造番号管理を行います。

工程・手順の標準化管理

工程・手順の標準化とは、ある部品を作成するときの工程や手順をあらかじめ決めておくことです。個別受注生産の場合でも、使用する部品や作業手順は共通したものを利用する場合が多いです。

例えば、月行きロケットと火星行きロケットのブースターやコックピットの座席は同じものを使います。

共通で使用する部品を効率的に製造するために、工程や手順をあらかじめ決めておきます。座席の製造は、①椅子の骨組みを鋳造→②クッションの組み込み→③検査という工程で8時間かけて製造します。

クッションの組み込みは、①椅子の骨組みを台座にセット→②クッションを仮止め→③特殊金具で本締めという手順で2時間かけて行います。

このように工程や手順をあらかじめ決めておくことで、ミスを防ぎ、全体の納期を計画しやすくなります。

進捗の管理

進捗の管理とは、全体の計画でどれだけ完成したかを確認することです。

例えば、月行きロケットを製造する場合、完成予定が8年後となっていると、現在のペースで製造し続けて間に合うのかどうかを判断することは容易ではありません。そこで、日々の製造実績を管理することで全体のうち何%完成していて、残りどれくらいの期間で完成するかを予測することができます。

よくある生産管理ソフトの問題点

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前述でご紹介したとおり、生産管理ソフトは個別受注生産で発生する課題を解決できる機能は持っていますが、実際に現場で使用する際には、下記のような問題が発生することがあります。

見込生産で製造した製品を、個別受注生産の部品として使用することができない

見込生産で製造した部品を在庫しておき、2年後に個別受注生産の部品として使用する場合に対応できない製品があります。

原因としては、見込生産で製造した部品を在庫した時点でシステム的には製造完了となってしまうからです

ERPとの連携機能が不足していて、工場の家賃配賦など細かい原価計算を行うことができない

生産管理システムの多くはERP(「会計業務」「人事業務」「生産業務」「物流業務」「販売業務」などを管理する基幹システム)と連携できます。しかし、単純につなぐだけでは、原価を正しく計算することができません。

システムを導入する際に莫大な連携開発費用が発生し、連携の項目が少し追加される度にシステムの改修が必要となります。

GRANDIT生産管理ソリューションで解決!

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上図はGRANDIT生産管理ソリューションのシステム概要図です。計画、調達、生産、販売、据付・設置アフターサービスまでを統合サポートした、国内製造業向け統合型ERPになります。

GRANDIT生産管理ソリューションでは、共通品(半製品)までを見込生産で製造し、在庫として管理することができます。受注のタイミングで共通品(半製品)を引当ながら、個別受注生産で完成品を作り上げるようなハイブリッド生産にも対応します。

また、ERPをベースに生産機能群を開発しているため、製造原価を細かく計算することができるのも特長の一つです。生産管理ソフトでは難しい、工場の家賃配賦ルールを細かく決めて製造原価として計算することなども標準機能で対応可能です。

バックオフィス業務改善ならシステムインテグレータ

多くの企業で人手不足が大きな課題となっていますが、バックオフィス業務にはいまだに属人化した作業やアナログ業務が残っており、企業の成長と発展を阻む大きな壁となっています。
バックオフィスの業務プロセスを最適化することで、コスト削減や属人化の防止だけでなく企業全体の生産性向上にもつながります。
当社はERPをはじめとする情報システムの豊富な導入実績をもとに、お客様一人ひとりのニーズに合わせた最適な改善策を提案します。業務の洗い出しや問題点の整理など、導入前の課題整理からお手伝いさせていただきます。
バックオフィス業務にお悩みをお持ちの方は、お気軽に株式会社システムインテグレータまでご連絡ください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。GRANDIT生産管理ソリューションは個別受注生産の製造業ライフサイクル全体をサポートします。どのように生産管理システムを構築すればよいか困られている方は、ぜひ一度弊社へご連絡ください。皆様のお力になれることを楽しみにお待ちしております。


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