「ポストモダンERP」とは?従来型ERPの課題や進化の必要性

 2021.05.28  株式会社システムインテグレータ

ポストモダンERPとは、全ての業務を統合した従来型のERPから、コアとなる領域だけでERPを構築し、その他の機能的に不足する部分については適材適所にクラウドサービスで補完していくERPの形態になります。

ERP自体は身軽にしておくことで機動性が高まり、サーバーの運用負担の削減や、時代の変化に合わせたシステムの運用が可能になります。

本稿では、従来型のERPとポストモダンERPを比較し、従来型の抱える課題をポストモダンERPがどのように解決できるのか、また実際に取り入れる方法などについて解説してきます。 

ERPのタイプとその課題

Top view of successful businessman standing near the entrance of labyrinth

日本企業で現在導入されているERP(基幹システム)には、大きく2つの種類あります。「完全統合型」と「コンポーネント型」です。

古くから導入され、長い期間カスタマイズが加えられたそれらのレガシーな基幹システムは、DX(デジタルトラスフォーメーション)の推進を阻害するいくつかの問題を抱えているといわれています。

DXとは、経済産業省の「DX推進指標(※)」によると「データやデジタル技術を使い、顧客視点で新たな価値を創出していくこと」とされおり、そのためにビジネスモデル、企業文化などの企業活動の根本部分の変革が必要とされています。

その具体的な方法として、モノ同士がインターネットを介してつながるIoTや、AIが考えられますが、それらは手段であり、あくまでも目的は顧客への提供価値を創出させるという点を認識する必要があります。

しかし、老朽化や複雑化、ブラックボックス化している既存の基幹システム(レガシーシステム)があることで、本来DXの推進に投資したいIT予算と人的資産の多くが、老朽システムの保守・運用に使われてしまっているという実態があります。

DXの推進は、日本経済にとって至上命題となっているほど重要なもので、経済産業省の報告によると、DXの普及が実現できなかった場合、2025年からの5年間で年間12兆円、合計60兆円の経済損失を生むと懸念されています。

つまり、DX推進を阻害するレガシーな基幹システムのリプレイスは、日本経済にとっても最重要の課題と捉えられるレベルの問題であるといえるでしょう。

では、そのレガシーな基幹システムはどのような構成になっていることが多いか、具体的に見ていきます。

※1「DX推進指標」とそのガイダンス|経済産業省

※2 経済産業省DXレポート

モノリシック型ERP

モノリシックとは、一枚岩的という意味があり、単一的で完全統合された、そのシステムで全てが完結するようなERPのことです。

モノリシック型ERPの特徴は、1つのパッケージで必要なすべての業務システムをカバーできるという点が挙げられます。そのシステム内で業務が完結するというメリットがありますが、多機能で大規模なシステムが多く、バージョンアップ、バックアップ、メンテナンスなどの管理や改修などには手間がかかってしまう傾向があります。そのためビジネスの求めるスピードに対応しづらいという点が課題です。

特に古くに導入されたモノリシック型ERPは、今では当たり前の他のシステムとのAPI連携などに適しておらず、外部のサービスであれば格安で実現できる機能であっても、自社システムに実装するとなると高額な追加開発費用が必要になるというケースは少なくありません。 

コンポーネント型ERP

コンポーネント型ERPは、必要な業務システムを選択し、組み合わせて導入できるタイプのERPを指します。

事業規模の変化や、業務内容の変化に合わせ、ある程度カスタマイズができるという特徴で、中小企業で導入されているケースが多いです。

しかし、一見柔軟性があるシステムのように見えますが、モノリシック型と同様に、古い基幹システムで運用している場合は、最新のサービスとの連携が難しく、とくに近年広く普及してきているクラウドサービスとの連携が難しい場合もあります。

また、カスタマイズの自由度が高いという点が、逆に問題となるケースもあります。必要な機能を追加していくと、同じような機能が重複して存在するということが起こってしまうのです。その場合はどちらの機能を使用するか見極める必要があります。

また、事業規模や業務内容の変化で、今まで使用していた機能を使わなくなったもの、新たに導入した機能などが入り交じり、システム構造自体が複雑化、運用の負担が増加する懸念もあるのです。

これらの旧来型のERPの課題を解決する最新のERPとして、「ポストモダンERP」が注目されています。

では、どのようなERPなのか、次章で詳しく見ていきましょう。 

「ポストモダンERP」とは?

Two creative millenial small business owners working on social media strategy brainstorming using adhesive notes in windows

モノリシック型のERPは業務領域全体を幅広くカバーするもの、コンポーネント型は業務領域の概念を外した自由度の高いものとご説明しました。対し、ポストモダンERPはコンポーネント型に近いシステムであり、コンポーネント型のいい部分を抽出しているようなものになります。

具体的には、コアな業務領域に絞ってERPを再構築し、それだけでは機能的に不足する場合は、適材適所にクラウドサービスなどを駆使して補完していくシステム形態になります。

ERP自体は身軽にしておくことで機動性が高まり、バージョンアップやメンテナンスなどの運用負担を減らすことができます。

また、システムの構造自体をシンプルにすることで、カスタマイズによる複雑化、形骸化、ブラックボックス化などを抑えることができるという特徴もあります。

基幹システム自体のOSも新しいものになるため、クラウドサービスとの連動も可能である場合が増え、新しいサービスの導入など柔軟に変化に対応できるようになるでしょう。 

従来のERPの課題

従来型のERPは、企業の業務の仕組みを円滑に無駄なく回すために、統合する、まとめることに比重の置かれたシステムです。

その弊害として、システムをがっちりと固めすぎたために、または導入から時間がたち過ぎたために、新しいサービスを取り入れづらくなっているという課題があります。

新しいサービスは、導入することでより効率的で効果的な仕組み作りや働き方に貢献してくれますが、その効果を享受できず、システムが時代に乗り遅れることで、働き方や仕組みも従来のやり方のままになってしまいます。

この従来型のERPというのが、まさにモノリシック型ERPであり、柔軟性や時代の流れに対応しづらいという面で、1章で紹介されたような多くの課題があります。

次世代型のERPであるポストモダンERPは、コンポーネント型の進化版のようなイメージであり、柔軟に新しいサービスと連携することができ、ERPに紐づく機能自体も最新のものにアップデートしていくことができます。

ポストモダンERPの必要性

ポストモダンERPは、モノリシック型の課題をどのように解決できるのでしょうか。その部分について、掘り下げて見ていきましょう。

まず、モノリシック型のERPはオンプレミス型である場合がほとんどですが、ポストモダンERPは基本的にクラウド型のシステムです。

オンプレミス型を使うようなハイブリット型であっても、ERPの機能自体は小さく機動性や柔軟性が高いため、モノリシック型のようにハイスペックな機能を持ち合わせているがため、サーバーのメンテナンスや運用にかかるコストは大幅に削減することができます。

また、新しいサービスやシステム、機能を柔軟に取り入れることが難しいというモノリシックク型の課題も、ポストモダンERPにすることで解決することができます。

ポストモダンERPはシステム自体が新しく、または他のシステムと柔軟につながる前提で仕組みが作られているため、臨機応変に必要な機能を追加するなどの、システムの全体設計自体をコントロールしやすくなっています。

時代の変化に、柔軟に対応していくことができるERPであるといえるでしょう。 

ポストモダンERPを実現するには?

Portrait of a happy young woman sitting on the city stairs and using laptop computer outdoors

では、実際にどのようにポストモダンERPを実現すればいいのでしょうか。

具体的な実現方法を解説していきます。

ポストモダンERPを実現する上で、参考になる「HOOFモデル」というモデルがあります。

4文字のアルファベットの頭文字をとった名称で、「ハイブリッド(H)」「オンプレミス(O)」「アウトソーシング(O)」「フリップ(F)」がそれぞれの言葉になり、ERPのバリエーションを表しています。

ハイブリッドとは、オンプレミスとクラウドのERPを組み合わせるという概念で、採用する企業は増加しています。

オンプレミスとは、モノリシック型に代表されるような統合的に業務システムを固めて一部の周辺業務をクラウドサービスに置き換えるといった方法で、ハイブリッドと合わせてこの考え方を採用する企業は増えており、どちらも従来型の考え方がベースになっていると言えます。。

この2つはこれまでも採用されてきたERPの導入方法ですが、残りの2つは今までの概念とは違った形のERPの導入方法です。

アウトソーシングは、ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)を利用し、サービス事業者が提供するERPサービスの利用者として導入する方法です。ERP導入の期待する効果の1つとして、業務効率化によるコストダウンがあります。そのコストダウンの仕組みを自社内に構築するのではなく、効率的なオペレーションが確立されている他社にアウトソースすることで、期待する効果を得るという発想です。

なくてはならない基幹業務ではあるものの、自社の競争優位性を高めるために必要なノウハウが詰まったコアな業務でなければ、こういった考え方を採用するのも一つの考え方です。 

最後のフリップは、クラウドシステムを最優先に取り入れる形のモデルで、ハイブリッドとは異なり、データの記録等の部分もクラウドシステムに移管するような、クラウドERPを前提とした、クラウドERPファーストと言えるモデルです。クラウドERP自体は普及が進んでいますが、かつてメインフレーム時代に構築された大規模な基幹システムのクラウドERPへの移行はまだ始まったばかりです。ですが、これから大規模な基幹システムのクラウド移行は進んでいくでしょう。現状の普及状況で見ると、ハイブリット型が無難な選択と考えられますが、時代を先取り、アウトソーシング、フリップモデルでのポストモダンERPの推進も、実現性と効果は高いと考えられるでしょう。 

ポストモダンERPの実現ポイント

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ポストモダンERPの実現方法をHOOFモデルに沿って解説しましたが、実現するためのポイントをもう1つつけ加えると、スリム化かつパッケージ化されたERPを導入するということです。

業種によって多少異なりますが、一般的に企業の業務の基盤となるのは、会計や人事労務、販売や調達、在庫や原価管理などです。

これらの中から自社にとって基盤となる業務を中心に、パッケージ化されたERPを選ぶことが、ポストモダン化、すなわちERPのスリム化につながっていきます。

そのような「コアERP」をクラウド化することで、基幹システム自体が常に最新の環境を手に入れられやすくなります。

 純国産ERPパッケージ「GRANDIT」

ポストモダンERPを実現するためのパッケージ化されたERP「GRANDIT」は、クラウド型の中堅・大企業向け完全統合型ERPです。

業務適応力とシンプル仕様のバランスを保持しており、経理、販売、在庫、製造、人事、資産管理、などの合計10モジュールにより構成。基本となる基幹業務を網羅したモジュールで構成されていますが、組み合わせは自由に変えていただくことが可能です。

基本モジュールに加えて業種に特化したモジュールを独自開発しており、さまざまな業種への適用範囲を拡張しています。

大手企業を始めとして、多く企業に導入いただいています。 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

ポストモダンERPについて、従来のERPと比較しながらご紹介しました。

いずれの場合でも、自社の業種・業態に沿ったEPRを選択することが肝要になります。

弊社では、ERP選択の参考になる、国産ERPパッケージの比較表などもご用意しています。「EPR選定や見直しを予定しているが、選定方法がわからない」ということがあったら、無料でダウンロードいただけるので、ぜひ資料をご参考ください。

 

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