第十二回目のテーマは「プロジェクトの品質管理」です。品質管理についてお話をさせて頂きます。品質管理で、具体的に思い浮かべるものは、テストです。テストを中心に「計画的な品質管理」について考えていきます。
従来の品質管理
まずは、従来の品質管理の方法について考えていきます。当然ですが対象のプロジェクトをもとにどのような環境でのテストが必要なのか、どのようなテストを行うべきなのかを検討し、どのようなテストを実施するのかをまとめてテスト計画書を作成します。その計画書に従ってテストを実施していく方法が従来のやり方です。
但し、テスト計画書を作成する人は経験をもとにテスト計画書を作成していますが、それを見ながらテストしている人は、「どこまでやったら品質がOKなのか」疑問を持ちながらテストを実施しているのが実態です。
「テストしてバグを出すだけ」と思いながら実施している人もいるでしょう。反対に「バグを発見してコーディングの誤りを発見した」と安心しているメンバーもいます。
計画的な品質管理を行うことで品質管理の基準と実施計画を策定することはできないでしょうか。4つのポイントで克服できると考えます。
計画的な品質管理
計画的な品質管理の方法を説明します。
(1)品質基準を作成(ドメイン毎にテンプレートを持ち、プロジェクトで引用・設定)
テスト計画書を作成する時に自分だけの経験に頼らず、他の人の経験もドメインという考えを用いて、利用し類似したプロジェクトの経験を生かす方法です。(ドメインについては、第六回のプロジェクト管理の標準化を参照)
(2)テストの実施予定数を計画し、実施実績数との対比を実施
テストの実施予定数もドメインを元に求めることが可能です。類似したプロジェクトとプロジェクトの規模から実施予定数を求め実施実績数と比較します。
(3)障害の摘出予定数を計画し、摘出実績数との対比を実施
ドメインを利用して摘出実績率を求めます。それに(2)で求めたテストの実施予定数を乗算して、摘出予定数を求めます。後は、テストを行いながら、摘出実績と摘出予定数を比較していきます。
(4)障害の発生原因別の摘出数を時系列で集計
最終的には、障害を原因別に時系列で集計できれば、その結果をドメインに反映させれば、次回の類似したプロジェクトで今回の経験が生かされます。
統合システムの必要性
プロジェクトのノウハウを蓄積するには、いろいろな武器になるものが必要です。連載を続けていろいろなものが出てきましたが、やはりプロジェクト管理ツールは「統合システム」である必要性を感じます。パーソナルなツールは小回りは利きますが、勝手な方法に走り出し、収集がつかなくなります。また、今まで経験したプロジェクトのノウハウを次のプロジェクトリーダーに伝えることが困難です。
会社としてプロジェクト管理を強化したければ、「統合システム」の重要性を見直すべきです。
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