第十六回目のテーマは「調達管理」です。社員、協力会社をどのように調達管理するのか。また、調達した結果得たノウハウの蓄積の方法について述べます。
変化する調達管理
IT業界にある「任せておけばいいや」という意識の甘さは最近徐々に改善されてきています。以前は、プライムとして受注した会社が下請けに出すと当然のようにプロジェクト管理が甘くなり、発注側が期待したレベルの成果物を納品する協力会社は稀でした。過去は知識や経験は発注側の方がはるかに豊富に持っていたのです。
しかし、今では協力会社側の方が力をつけています。特にITのスキルに関しては、発注側にスキルが足りないという状況でしょう。発注側は、このスキルの差を埋める努力が必要です。
また、会社の規模に関係なく、今では数人の社員と多くの協力会社のメンバーでプロジェクトを遂行することが増えています。結果として、社員はPMやPLに専念してITのスキルが不足します。その結果、協力会社の社員の方がITのスキルが高いことが頻繁に発生しています。
つまり、実作業に詳しくない人が実作業に詳しい人に発注するという構図ができています。自ら出来る仕事を協力会社に発注し、付加価値の高い仕事にシフトするのが本来の姿です。
もうひとつの壁
調達管理には、もう1つの壁が存在します。多くの会社では購買部門を通して調達を行います。購買部門を通すには理由があります。複数の協力会社から見積もりを取ってもっとも安い会社に発注することでコストを抑えることです。
但し、購買部門の方がITのスキルを持っていることは稀です。当然ですが購買部門に見積もり依頼している部門の意見も取り入れて最終的に契約する方法で対応している会社が多いようです。しかし、前述したように購買部門に見積もりを依頼している部門もITのスキルには弱くなっているのです。
最近の傾向
多くの会社で見られることですが、プロジェクトが成功裏に完了するとPMはその時に利用した協力会社の特定の社員を、次のプロジェクトでも採用しようとします。
協力会社の社員にとっても気心が知れたPMに自分を売り込み、次の仕事を得ようとします。この行為は、継続的な仕事を安定して得ることになり、協力会社そのものも、協力会社の社員も、PMも歓迎するものです。
こうなると、調達管理は協力会社の管理として見積もり価格で判断することより、協力会社の社員のスキルや経験まで管理する必要が出てきます。
前回と前々回で、要員管理を取り上げましたが、今まで社員に対する要員管理に重点を置いていたものを協力会社の一人一人の社員まで含めて行う必要があります。このように要員管理を行うことで、調達管理が初めてできるようになります。
統合化されたプロジェクト管理システムの必要性
調達管理を行うためには、協力会社の社員がプロジェクトを遂行中にスケジュールの予実や成果物をプロジェクト管理システムに入力し、それをPMが評価し、プロジェクトの実績として蓄積する必要があります。蓄積された情報は、要員管理にも利用することができますが、調達管理にも利用することができます。調達管理の一部を担う購買部門もプロジェクト管理システムを利用することで、今まで以上に購買業務が効率化させます。
このようなことを行うには、統合化されたプロジェクト管理システムが必要です。
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