第十四回目のテーマは「要員管理」です。前回と同じテーマですが、今回は要員管理の中でも特にスキルと評価の管理についてお話をさせて頂きます。前回お話したようにマトリックス組織(異なる組織構造をミックスし、指揮命令系統を多次元的にデザインした組織)で会社を運営していく上で、スキルと評価の管理は非常に重要な管理対象です。
プロジェクトを遂行することによって、メンバーはスキルが向上し成長していくものです。メンバーの成長は当然ですが、会社そのものの成長にもつながります。どこの会社でも会社全体のスキルの向上を望んでいます。
また、評価は単純にこのプロジェクトを成功裏に完了したということだけではなく、プロジェクトの中でどのように活躍したか、具体的にどのようなスキルが身に付いたかなど厳密で客観的な評価が必要になります。評価はまた給与にも大きな影響を与えますので、モチベーションにもつながる重要なものです。
スキルと評価の管理
マトリクス組織はスキルと評価の管理は主にPMが行います。プロジェクトを実施しながら、スキルについては成長の度合いを見ながら管理して最終的にプロジェクトが完了した時点で、身に付いたスキルを登録します。
評価に関しては、プロジェクトへの貢献度などから評価を行います。
スキルと評価の課題
では、マトリックス組織でのスキルと評価の管理上の課題は、どのようなものがあるでしょうか。
前回の連載では、「マトリックス組織での課題」を3つ掲げました。その中の3つ目の課題(情報の多くはプロジェクトの実施時に入力されることです。プロジェクトを行いながらメンバーは多くの情報を入力しなければなりません。しかし、この入力を怠るとPMは当然ですが、部門長も情報を得ることができなくなります。)で危惧した事態が発生します。
メンバーは、進捗の状況はもとより成果物などもプロジェクトを推進しながら、PMに対して報告しなければなりません。これを怠ると身に付いたスキルやプロジェクトでの貢献度合いなど全くデータがない状態で、プロジェクトを終了することになります。
こうなると折角身につけたスキルもプロジェクトでの貢献も正確に評価されないことになります。
リソース管理の一元化の重要性
このようにメンバーもPMも部門長も困るような事態を防ぐには、統合されたプロジェクト管理ツールが必要です。メンバーがプロジェクトを遂行しながらスケジュールの予実を入力したり、成果物(具体的には要件定義書、設計書、テスト結果など)の評価を課題や問題管理として入力することで、スキルの成熟度やプロジェクトへの貢献を評価することができます。
前回もお話しましたが、マトリックス組織では自部門のメンバーを他部門のPMが評価したり、自部門のPMが他部門のメンバーを評価することが頻繁に発生します。このようなことを考えると主観的な管理はできなくなり、客観的な管理が求めら、それらのデータが統合システムで管理されている必要があります。
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