第七回のテーマは「経営者の視点から見たプロジェクト管理」です。工事進行基準などに代表される会計基準など、最近はPMもPLも経営者のことを意識したプロジェクト管理が必要だと思います。今回は経営者の立場に立って、経営者はプロジェクト管理をどのように利用しているかを考えます。
経営者から見たプロジェクト
経営者は、どのようにプロジェクトを見ているでしょうか。PMからの情報として、はじめに各プロジェクト毎の採算が予実で報告されます。そこで、赤字になっているプロジェクトについては、赤字になった原因は何か。原因の分析を行い対策を講じます。ここまでは、PMからの情報に頼ることになります。
これらの情報から赤字プロジェクトの傾向を分析して共通の課題を見出します。例えば、特定の部門に赤字のプロジェクトが集中していないか、特定のPMに赤字プロジェクトが集中していないかなど、傾向の分析をしながら赤字プロジェクトのトラッキングとコントロールを行います。ここで対策として講じたものはナレッジシステムに蓄積され、今後実施されるプロジェクトに利用されることになります。
経営者としてはここから、四半期毎の着地点、半期の着地点、今期の着地点を想定します。経営者にとって一番興味があるのは、この着地点とプロジェクトの収益の傾向です。
経営者にとってプロジェクト管理とは
では、どうすれば着地点と傾向を正確に把握できるでしょうか。1つ1つのプロジェクトを詳細に見ていくわけには行きません。「束ねて見る」ことが重要です。束ねてみることで傾向が分析できるようになります。よって、束ねる切り口が工夫できる仕組みが重要になってきます。部門毎、PM毎は当然ですが、前回の第六回の「プロジェクト管理の標準化」で出てきた「ドメイン」という考え方で束ねることが出来ると「ERPシステム」の開発プロジェクトで赤字が多いとか、「ECサイト構築」では収益が良いなど、経営者にとって貴重な情報をもたらすことが出来るでしょう。
来期の収益を改善する
経営者は、中長期的に物事を見て判断します。今期の売上や利益の確保も重要ですが、来期に繰越すプロジェクトや来期に向けた受注残も気になることです。また、収益の良いプロジェクトの受注に向けた要員計画、具体的には要員の確保や教育などを実施しなければなりません。このような判断もPMが報告するプロジェクトの情報がベースになっています。
経営者から見れば、このような情報を適切に報告してくれるPMこそ、頼りになるPMと言えます。また、このような仕組みが全社的に揃っていることが最終的には重要です。
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