第三回のテーマは「プロジェクトの可視化」です。PMの経験者はプロジェクトの可視化の重要性は理解していると思います。今回は、「プロジェクトの可視化の変化」について、説明しています。
今までの可視化
数年前のプロジェクトの可視化は、かなり限定されたものでした。主に2つのケースを意識して実施していました。
1つ目のケースは、上司またはPMOにプロジェクトの状況を報告する。これはプロジェクトの進捗状況の確認のために、品質、コスト、スケジュールをわかり易く可視化してフェーズの完了時にレビューを受け承認を得る。どちらかと言えば、PMがプロジェクト管理を行っていることをアピールしながら、課題点の洗い出しの分析や対策を論理的に、実施していることを上司やPMOに納得させるための可視化です。この時にグラフなどを駆使するとレビューが通り易いものです。2つ目のケースは、プロジェクトメンバーの管理のための可視化です。例えばコーディング単体テスト時のスケージュールの遅れの原因分析のために、メンバーのコーディング能力を可視化するようなものです。PMの方は経験があると思いますが、メンバーのコーディングの生産性と不具合発生数から、メンバーの特性(コーディングのスピードや品質)を分析して評価したことはあるでしょう。このようなものが2つ目のケースになります。
現在の可視化に求められるもの
では、現在のプロジェクト求められる可視化とはどのようなものでしょうか。この連載の第一回「工事進行基準」では、工事進行基準を実現させるためには、全社の協力が必要であると述べました。社内の他部門との協力が必要であること。また、第二回「PMBOK」では、QCDの管理からPMBOKの管理に替わると言うことは多くの部門と連携することが必要であると述べました。
この2つの変化を考えると、従来の「プロジェクトのための可視化」ではなく「経営のための可視化」が必要になります。「経営のための可視化」とは、各プロジェクトの最終的な採算が予測できること(PMBOKをご存知の方には、EVMと言ったほうが分かり易いかも知れません)やプロジェクトを束ねることで、今年度の会社としての着地点がわかるような可視化のことです。
経営のための可視化
「経営のための可視化」について、もう少し考えてみたいと思います。経営のための可視化のステックボルダーは、だれになるでしょう。従来の上司やPMOも含みますが、それ以外の経営層、他部門(経理、人事、購買)などを意識する必要が出ていきます。当然ですが経営層は会社の業績管理が重要です。他部門の方も各部門での管理(例えば、人事部門ではメンバーの評価と昇給、購買部門では協力会社のメンバーの評価と月額単価)は業務に直結します。また、工事進行基準を採用するのであれば、毎月の締めの処理も重要になります。
さて、これだけの作業を一人のPMが実施することが可能でしょうか。
PMBOKに準拠したツールの導入
そろそろ、表計算ソフトやスケジュール管理とリソースだけの管理ツールから卒業してPMBOKに準拠したツールを導入しないと「経営のための可視化」が実現できないのではありませんか。今年の4月から施工された工事進行基準に対応することもツールは不可欠です。
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