第十五回目のテーマは「リスク管理」です。プロジェクトについて回る厄介なものです。PMBOKで詳細に定義されています。全体像を把握すると同時に具体的なリスクへの対応方法について述べます。
PMBOKにおけるリスク管理の位置づけ
ここでPMBOKのリスク管理の位置づけを整理したいと思います。PMBOKでは、5個の基本的なプロセスグループと、9個のナレッジエリア(知識領域、分野)に分類されています。
①5個のプロセスグループは以下である。
- プロジェクトの立ち上げ(イニシャライズ)
- プロジェクトの計画(プランニング)
- プロジェクトの実行(エグゼキューティング)
- プロジェクトのコントロール(コントロールとモニタリング)
- プロジェクトの終了(クロージング)
②9個のナレッジエリアとは以下である。
- 統合管理
- スコープ管理
- 時間管理(スケジュール管理)
- コスト管理
- 品質管理
- 人的資源管理
- コミュニケーション管理
- リスク管理
- 調達管理
具体的なリスク管理
敢えてPMBOKにおけるリスク管理の位置づけを示したのは、具体的なイメージを 掴むことが苦手な方が多いからです。PMBOKのナレッジエリアを念頭におきながら、リスク例をあげ、具体的な管理方法を提示します。
具体的なリスクの対応方法
具体的なリスクを再確認するために上の表に示しました。定性的なリスクと定量的なリスクに分けて対応方法を示します。
①定性的なリスク
リスクの発生確率と影響度を評価し、分析や対処のためにリスクの優先順位付けを行う 識別したリスクに対するリスク発生確率を考慮した優先順位やリスク発生時のプロジェクトの影響度を計算する コスト、スケジュール、スコープ、品質などのプロジェクト制約条件に対するリスク影響度を計算する プロジェクトを遂行中も新たなリスクが認識されないか監視する
②定量的なリスク
識別したリスクがプロジェクトに対して与える影響を数値的に分析する プロジェクトの要求に実質的にも影響をもたらすことから、「定性的リスク」によって高い優先順位を付けられたリスクに対して実行する リスク事象の影響を分析し、それらのリスクに対して数値により優先順位を付ける プロジェクトを遂行中も新たなリスクが認識されないか監視する
リスクの一元管理
リスク管理では、プロジェクトを遂行中も新たなリスクが認識されないか監視することを求められます。大抵の失敗プロジェクトはリスク管理のこの点が原因で失敗しています。リスク管理の一番の盲点は、このプロジェクトを遂行中も新たなリスクを認識してメンバーやPMの間で上で述べた方法で管理し情報共有することがもっとも重要なことです。
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