システム開発におけるリスク管理の方法とは?対策法を知って適切なリスクヘッジを

 2023.01.11  株式会社システムインテグレータ

システム開発の領域には技術的リスクや金銭的リスクなど、さまざまな危険要因が潜んでいます。プロジェクトを完遂するためには、こうしたリスクを最小化するマネジメント手法やソリューションの導入が必要です。本記事では、システム開発の領域に潜む危険要因の種類や、具体的なリスク管理の手法について解説します。 

そもそもリスクとは

企業経営の領域には「純粋リスク」と「投機的リスク」という2種類のリスクが存在します。純粋リスクとは、自然災害や労働災害といった企業に損失のみをもたらすリスクを指す概念です。投機的リスクは新規事業の創出や為替の変動、新商品の開発などの利益と損失の二面性をもつリスクを意味します。システム開発は投機的リスクを含む事業活動であり、プロジェクトを成功へと導くためには各プロセスに潜む危険要因を特定し、適切な対策を講じなくてはなりません。 
 
そこで重要な役割を担うのが、「PMBOKProject Management Body of Knowledge)」です。PMBOKはプロジェクト管理を体系化した世界標準のマネジメント手法です。その重要事項のひとつがリスク管理であり、PMBOKではリスクを「少なくともひとつのプロジェクト目標に影響を与える不確実な事象」、または「プロジェクトにプラスの影響を与える可能性のある不確実なもの」と定義しています。 
 
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システム開発に潜む4つのリスク

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PMBOKにおけるリスク管理の重要課題は「リスクの特定」です。PMBOKではプロジェクトの進行を阻害し得るリスクを把握し、定性的・定量的な分析を通じてリスク対応計画を策定します。したがって、システム開発におけるリスクをコントロールするためには、まず具体的な危険要因を特定するステップが必要です。システム開発の領域に潜む主なリスクとして以下の4つが挙げられます。 

  • 金銭的リスク
  • 納期リスク
  • 品質リスク
  • 技術リスク 

金銭的リスク:開発費が膨らんでしまう

金銭的リスクとは、プロジェクトの進展に伴って見積額よりも開発費が肥大化するリスクを指します。システム開発は顧客に見積書を提出し、同意を得た上でプロジェクトに着手するのが一般的です。しかし、仕様の変更や機能の拡張、障害の発生などにより開発工数が増大し、当初の見積額を大幅に超えてしまうケースが少なくありません。金銭的リスクはクライアントとの信用問題に発展しかねないため、開発工程の定量的な管理や見積額の精度向上、設計前の入念なヒアリングといった施策が求められます。 

納期リスク:スケジュール通りに納品できなくなってしまう

納期リスクは、予定されていた期日に製品やサービスを納品できなくなるリスクです。システム開発のプロジェクトが当初の予定通りに進むケースは極めて稀であり、多くの場合は何かしらの問題や障害が発生します。たとえば、要求事項や詳細設計などの変更、プロジェクトメンバーの休業、自然災害の発生などによってプロジェクトの遅延を招いてしまう事例は少なくありません。納期の遅延によってクライアントの利益が逸失した場合、損害賠償請求の対象となる可能性があり、先述した金銭的リスクの要因にもなります。 
 
品質リスク:希望と異なるシステムを開発してしまう

品質リスクとは、開発したシステムがクライアントの提示する要件を満たせないリスクを指します。品質リスクを招く要因のひとつは、クライアントとのコミュニケーション不足です。発注側と受注側の認識に齟齬があると、システムに必須となる機能要件を満たせていなかったり、非機能要件に実装漏れがあったりといった事態を招く要因となりかねません。クライアントの要求事項を満たせない場合、自社の信用失墜につながるのはもちろん、金銭的リスクと納期リスクの引き金となるため、優先的に回避すべきリスクです。 
 
技術リスク:システムに不具合が発生してしまう

技術リスクは、自社の技術的な問題によってシステムの開発が困難なケースに直面するリスクです。たとえば、開発途中でシステムの動作性に問題が発覚したままバグが解消しない、納品後にシステムの不具合が発生し、クライアントの要求事項を満たせないといったリスクが該当します。ヒアリングの段階では開発可能と見積もったものの、仕様や設計が複雑すぎたために自社の技術力では実装が困難となり、システム開発のプロジェクトそのものが頓挫してしまうケースも少なくありません。 

リスク管理の方法

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事業活動においてリスクマネジメントは重要な経営課題のひとつです。システム開発におけるリスクをコントロールするためには、以下に挙げる3つの要素を意識する必要があります。 

【金銭的リスク・納期リスク】受発注間で綿密な打ち合わせをする 

システム開発においてコストの増大を招く要因のひとつは、仕様の変更や機能の追加、粗雑なスケジュール管理などによる納期の遅延です。したがって、金銭リスクや納期リスクを回避するためには、初期の打ち合わせ段階で綿密な計画を立案・策定しなくてはなりません。そのためには、クライアントに対して入念なヒアリングを行い、可能な限り正確な見積額を提示し、プロジェクトの方向性について合意を得るプロセスが必要となります。 

【品質リスク】共通認識をつくる

品質リスクが発生する大きな要因は、発注側と受注側の間に生じる認識の齟齬です。品質リスクを最小化するためには、開発するシステムやプログラム、機能要件や非機能要件といったスコープを明確に定義し、クライアントとの間で認識を共有しなくてはなりません。また、発注側と受注側の間で共通認識をつくるのはもちろん、プロジェクトチーム内における共通認識の形成も重要です。プロジェクトに関わるすべての人物と共通認識を形成することで、システム開発における品質リスクの発生を最小限に抑えられます。 

【技術リスク】細かなシステム検証を行う

技術リスクが発生する要因のひとつは、システムの実装に求められる技術的要素への理解不足です。とくにIT分野の技術は日進月歩で発展し、システムの構築技術が複雑化しています。したがって、技術リスクの発生を防ぐためには、一つひとつの要件に対して細かなアセスメントを実行した上で、プロジェクトの実現性を検証するプロセスが不可欠です。開発後期にロールバックが発生した場合は多額の損失が発生するため、プロジェクトの初期段階で細かなシステム検証を行う必要があります。 

リスク管理には一元管理が不可欠

システム開発のプロジェクトを完遂するためには、明確なゴールを設定するとともに、逆算的思考によって目標達成までのルートを具体化しなくてはなりません。そして、プロジェクトで生じ得るリスクを多角的な観点から捉え、チームとクライアントの間で共通認識を形成する必要があります。このプロセスで重要となるのがPMBOKであり、プロジェクトにおけるリスクを一元管理できる組織体制の構築が必要です。 
 
PMBOKにおけるリスク管理は基本的に「リスク管理計画の立案」→「リスクの特定」→「定性的リスクの分析」→「定量的リスク分析」→「リスク対応計画の策定」→「リスクコントロール」というステップで展開します。プロジェクトを完遂するためには発生し得るリスクを随時監視するとともに、その情報を一元的に管理して共有する仕組みを構築しなくてはなりません。リスクを可視化してコントロールするためには、統合的なプロジェクト管理を効率化するソリューションの導入が求められます。「OBPM Neo」は、統合型プロジェクト管理ツールです。日本で唯一PMBOKに準拠し、品質、コスト、スケジュールというQCD3要素はもちろん、要員管理、リスク管理、コミュニケーション、調達管理などのプロセスも統合して管理できます。

まとめ

システム開発には金銭的リスク・納期リスク・品質リスク・技術リスクという4つのリスクが潜んでいます。プロジェクトを完遂するためには、リスクを一元的に管理し、コントロールする手法が必要です。リスク管理の最適化を推進する企業は、統合型プロジェクト管理ツール「OBPM Neo」の導入をご検討ください。 

https://products.sint.co.jp/obpm/products

また、プロジェクト管理力強化につながるポイントをまとめた資料もご用意していますので、こちらもぜひご活用ください。


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